月曜日の巫女

桜居かのん

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Holy Night

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「ゆいちゃん」





図書室で本を選んでいたら、にこにこと笑みを浮かばせて加茂君が声をかけてきた。



「加茂君も本を借りるの?」



「ううん、ゆいちゃんを探してたの」



私はその言葉に首をかしげた。



「24日、予定無ければ僕とデートしない?」



「へ?」



私は思わず変な声を出した。



「予定もう入ってる?」



「いや無いけど・・・・・・もしかしてまた何か手伝うとか?」



私の不審そうな目に、加茂君はびっくりしたような顔をして必死に手を振って否定した。



「実はね、24日と25日だけ、とあるカフェで限定デザートが出るんだけど、それがカップル限定なんだ。

東京に来たら絶対一度はそのお店に行ってみたかったんだけど、25日はすぐ実家に戻らないといけないから、もしゆいちゃんの予定が大丈夫なら付き合ってもらえないかなーと」



少し恥ずかしそうに頬をかきながらそういう加茂君に、あぁそういうことなのかと合点がいった。



「でも加茂君なら他の女の子に声かけたら誰でもOKすると思うよ?」



「急に動かないといけない時もあるし、相手の本性がわからないと気が抜けないでしょ?

そんな状態で楽しみにしているデザートを食べたくないよ」



そうか、前回みたいに仕事を頼まれたりすることもあるんだ。

確かに相手の子が陰陽師か普通の子かわからないのでは動きにくいのかも知れない。



「なるほど、私なら気を使わないですむもんね」



「そういう意味じゃなくて、ゆいちゃんなら僕も楽しく過ごせるってこと!」



もう!と可愛く怒る加茂君に、ごめんと笑って返す。



「うん、予定もないし私で良ければ付き合うよ」



「良かった~。

じゃメールで当日の待ち合わせは決めようね!」



じゃーねーと手を振って出て行った加茂君に私も手を振って見送る。

そして振り向いた時、机の並ぶエリアの生徒達と目が合い、一部の女子に睨まれた事に驚き、慌てて奥の本棚に引っ込んだ。


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