月曜日の巫女

桜居かのん

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この楽しき祭りにて-Side B-

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「ふーじわーら、センセ!」




文化祭から数日後、加茂が両手を後ろに回し、スキップでもしそうな感じで話しかけてきた。



「なんだ?」



「ゆいちゃんに貸した服の事なんですけどぉ-」



にこにこと加茂は笑みを浮かべている。

こいつか、あの元凶は。



「可愛かったデショ?」



おい、何でお前が自慢げに話すんだ。



「まさか破かれるとは思わなかったけど・・・・・・やーらしー」



にやにやと見てくる加茂を見てため息をつく。

そうか、あれはこいつなりの意趣返しだったか。



「俺は何も知らんが?」



素っ気なく返すと、少しきょとんとした後、くすり、と加茂は小さな笑みを浮かべた。

今の笑い方、相当に黒いぞ。



「思ったより先生にダメージあったみたいだから、まぁ服の弁償は勘弁してあげる」



今度はさっきとは打って変わり、無邪気に加茂は笑った。

そしてくるりと背中を向けた後、少しこちらを肩越しに振り向いた。




「あ、僕、ゆいちゃんの事、好きだから」




んじゃ!と言って、スキップして加茂は去っていった。



「・・・・・・良いねぇ、若いって」



そういう風に簡単に気持ちを言える加茂を少し羨ましく思える。

でもあれはおそらく俺をからかうのが目的で本心では無さそうだ、多分。

俺は頭をがりがりと掻くと、本来の目的地に足を向けた。




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