月曜日の巫女

桜居かのん

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従者

従者8

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「先生が、長としての藤原を維持することにしか頭にないのなら、信用出来ない」





だが彼女から向けられたものは、酷く冷たい目だった。


初めて彼女から向けられた敵意に私はどうしていいかわからない。



「何か誤解をしているのでは」



「先生は本音では巫女がいて欲しいんでしょう?」



「それは・・・・・・」



「藤原が無くしたいと行動してるのを側で見ているのに」



冷たい視線に絶えられず、私は少し顔を背けた。


そうだ、今回の事で痛いほど巫女の重要性を味わった。

光明は無くそうとしていても、きっと無くすことは出来ない、私はそうたかをくくっているのかもしれない。

光明も巫女がいて良かったと思う日が来るのではないだろうかと。




「あんなにも崩れた光明を戻せたのは巫女である貴女の力です。

正直に言うと、私は初めて巫女の存在の重要性を理解しました。

ですから光明ももしかしたら考えが」



「ほら、結局藤原の事を本当に第一には考えて無い」



どう言えば彼女は納得してくれるのだろう。


人の心など移りゆくものだ。

光明だってあんなに否定した巫女に助けられた。

東雲さんが巫女じゃないなんて光明が言うのは、自分が今まで否定し続けたのに、今更認めるわけにはいかないからでは無いだろうか。





「先生、まだ私が巫女だと思ってるんですね」



「はい」



「今回は巫女では無い私の言葉を、単に藤原が必死に聞いてくれただけです」



「いえ、貴女が巫女だったからこそ通じたんです」



「それは、藤原の意志を無視してませんか?

藤原は違うと言ってるのに、なんで先生が勝手に決めるんですか?」



「私が決めると言う事ではなく、単に事実を述べているだけです」



そうじゃなければ、何者の言葉も、私の言葉すら聞かず、誰も入れない結界の張られた部屋に入り、光明をこちらに戻した女性がただの一般人であるはずがない。



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