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従者
従者1
しおりを挟む※葛木誠太郎視点のお話しです
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東雲さんを無理矢理光明に会わせたあの日、私は覚悟を決めた。
自分達の身勝手で傷つけたまだ高校生の子供を、また勝手を言って連れだした。
彼女に光明が危害を加えないと確信していた訳では無かった。
最悪彼女を抱いて光明が元に戻るなら良いのでは無いかと、心の隅に思わなかった訳では無い。
その時は彼女の記憶を消せばいいだけのこと。
そんな自分をなんて最低な人間だと思いつつ、だが立場も仕事も全て失って、光明に遠ざけられる事になったとしても、巫女かもしれない彼女に賭けたかった。
彼女に光明と会って欲しいと頼んだ時、彼女は断らない、それは何故か断言できた。
長にこんなにも献身的である事が、彼女が巫女であることをより強く私に思わせた。
まだ子供の純粋な心を利用しながら、きっと今までの者達もこうやって巫女を自分達の良いように利用していたのだろうと想像した。
だからこそ光明が巫女を無くしたいという気持ちも理解できる。
でもいざ巫女という存在に寄りかかると、それだけの存在を無くしてしまうのはやはり惜しくなる。
そんな事を考えるたび、純粋な光明に比べ自分の汚さを自覚した。
『俺はもう大丈夫だ。お前は家に戻れ』
その着信があったのは、そろそろ夜が明けだした頃だった。
久しぶりに聞く、はっきりとした意志を持つ光明の声に、涙が浮かぶ。
あぁ彼女が戻してくれたのだ、やはり巫女は凄いのだと素直に感じた。
全く連絡のない彼女にやはり不安になり何度も電話し、メールも送っていたが何の反応も無かった。
それがどちらを意味しているのかわからず、車の中でひたすらスマートフォンを握っていた。
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