月曜日の巫女

桜居かのん

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一輪の薔薇

一輪の薔薇23

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「馬鹿みたい」





思わず呟く。

どうして私をそんなにも突き動かしているのか分からなかった。

そんな単純なことをどうして気がつかなかったのか自分でもわからない。

好きな人のベットで身体を起こしたまま私は両手を顔に当てた。





「ほんと、馬鹿だなぁ」





諦めにも似た声が出てしまう。

だって私は・・・・・・。



私は頭を冷やそうとベッドから起き上がり、寝室の奥にあるドアをあけた。

そこは綺麗な洗面所というよりは、パウダールームというのがぴったりのような広くてお洒落な空間で、いくつかドアがあり、おそらくバスルームや他の部屋と繋がっているのがわかった。

勢いよく水をだし、目一杯ごしごしと顔を洗う。

横に置いてあるふわふわのタオルで拭きながら、ここには生活感があまりに無いことに気がついた。

洗面台にあるコップには歯ブラシが一つだけ。

私はそれにホッとしてしまった。

鏡に写る自分を見る。

洋服はくしゃくしゃだ。
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