月曜日の巫女

桜居かのん

文字の大きさ
上 下
112 / 200
一輪の薔薇

一輪の薔薇9

しおりを挟む

エレベーターの最上階に着くと、その床にはふわふわの絨毯が敷き詰められていた。

廊下を進むと奥にドアが一つだけある。

表札はないがこのフロアに部屋のドアは一つだけ。

私はためらわずにそのドアのチャイムを鳴らした。

反応は無い。

再度鳴らすがやはり反応は無かった。

先生がここに藤原が居ると言った以上、反応が無いのはもしかしたら中で倒れているせいかもと思えて、私は急に不安になってきた。

もらった合鍵を差し込み、鍵を回すとガチャリと音がする。

ドアを少し開けてみるとチェーンもかかっておらず、私は一歩、中に入った。

肌に、ぴりっとした痛みが一瞬走ったが、私はそれを無視し、ドアを閉めた。


部屋の中は一切電気が付いていない。

廊下の奥にある磨りガラスのドアから、外の光が差し込んでいるようで、私はそこに進みそのドアをあけた。

開けると広いリビングで、中心には大きなソファーとテーブルがあり、横には大きな窓が広がっている。

カーテンが全く閉められていないせいか、部屋の中に月明かりが十分なほどに届き、思ったよりも室内は明るかった。

周囲を見渡し奥を見れば一つ、ドアがある。

もしかしたら寝室で、藤原はここにいるかもしれない。

私はいまだ電気もつけないまま、その部屋のドアを静かにあけ、中に入った。

その部屋はリビングよりは小さいが、大きな窓から外の光が差し込んで、目も慣れてきたのか、部屋の中が割とよく見える。

部屋の奥に大きなベットがあるのがわかり、私はそこに近づいた。

しおりを挟む

処理中です...