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一輪の薔薇
一輪の薔薇9
しおりを挟むエレベーターの最上階に着くと、その床にはふわふわの絨毯が敷き詰められていた。
廊下を進むと奥にドアが一つだけある。
表札はないがこのフロアに部屋のドアは一つだけ。
私はためらわずにそのドアのチャイムを鳴らした。
反応は無い。
再度鳴らすがやはり反応は無かった。
先生がここに藤原が居ると言った以上、反応が無いのはもしかしたら中で倒れているせいかもと思えて、私は急に不安になってきた。
もらった合鍵を差し込み、鍵を回すとガチャリと音がする。
ドアを少し開けてみるとチェーンもかかっておらず、私は一歩、中に入った。
肌に、ぴりっとした痛みが一瞬走ったが、私はそれを無視し、ドアを閉めた。
部屋の中は一切電気が付いていない。
廊下の奥にある磨りガラスのドアから、外の光が差し込んでいるようで、私はそこに進みそのドアをあけた。
開けると広いリビングで、中心には大きなソファーとテーブルがあり、横には大きな窓が広がっている。
カーテンが全く閉められていないせいか、部屋の中に月明かりが十分なほどに届き、思ったよりも室内は明るかった。
周囲を見渡し奥を見れば一つ、ドアがある。
もしかしたら寝室で、藤原はここにいるかもしれない。
私はいまだ電気もつけないまま、その部屋のドアを静かにあけ、中に入った。
その部屋はリビングよりは小さいが、大きな窓から外の光が差し込んで、目も慣れてきたのか、部屋の中が割とよく見える。
部屋の奥に大きなベットがあるのがわかり、私はそこに近づいた。
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