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一輪の薔薇
一輪の薔薇6
しおりを挟む「これが部屋の鍵です」
葛木先生は私に鍵を差し出す。
私はその鍵を見た後、目の前の先生を見上げた。
「私はここで、どうなるんですか?」
どうすればいいのか、とは再度聞かなかった。
何故かこちらの方が合っている気がしたからだ。
「私は、あなたに会えば、きっと光明は戻ってくると信じています。
あなたに危害を加えるような事は、決してしないはずです」
「なんか色々曖昧ですね」
何だか呆れ気味に言ってしまった。
きっと全て先生がそうあって欲しいと願っているだけのことなんだろう。
「今まで何度も私はあなたにすがりました。
そしてあなたが傷ついてずっと私達を避けていたのも知っています。
でも、それでもあんな光明をこれ以上放っておけずに、またあなたにすがってしまった。
だからもう二度と私の顔が見たくないのならこの後に学園を去っても、陰陽師という立場を無くしたっていい。
断って良いなんていいましたが、やはり貴女に光明に会って欲しいんです」
そういうと、葛木先生は深々と私に向かって頭を下げた。
私が黙っていると、先生は頭を下げたままぴくりとも動かない。
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