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巫女という呪
巫女という呪15
しおりを挟む加茂君は私の掌に未だに文字が流れるスマートフォンを乗せる。
今度は加茂君が鞄から小さいケースを取り出すと、そこから、カードサイズの白くて薄いシートを一枚取り出した。
そして私の掌に置いているスマートフォンの画面の上に乗せる。
全く何をしているのかわからず、私はじっとそれを見ていた。
すると、加茂君は手を合わせ、素早く手印を切った途端、それと同時にスマートフォンの上にあるシートが一瞬にして粉になり、四散する。
周囲の空気が一気に軽くなるのを全身で感じて、私は目を見開いた。
「はい、おしまい!」
私は両手にスマートフォンを載せたまま、呆然と目の前の加茂君を見る。
「やっぱりゆいちゃんが一緒なだけあるなぁ。
いつもより強くいけたし」
私の手からスマートフォンを取りながら加茂君は満足そうな顔をした。
「何したの?」
「ちょうどここら地域の浄化を頼まれてたんだ。
上からやると範囲も広くいけるからここに来られて助かったよ。
あ、もちろんデートが目的でこれはオマケ。
で、面白いでしょ、コレ」
そういうと未だ文字の流れるスマートフォンの画面を見せた。
「これは陰陽師でも若手のグループで開発したアプリなんだ。
これのおかげで簡単な事なら印も結ばないで済ませられる。
未だに紙にこだわってるひともいるけど、かさばるし目立つしナンセンスだよ。
さっきの白いのは気づいてる思うけど塩をシート化したもので、これも長年かけて開発された優れモノ。
粉の塩なんて持って歩いてたら、警察に職質されると面倒になるってのが良くあってさ」
スマートフォンをさわりながら加茂君は弾んだ声で説明する。
私は自分の知っている陰陽師の世界とはあまりに違っていて、こんなにも現代では進んでいるんだと純粋に感心した。
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