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巫女という呪
巫女という呪11
しおりを挟む私達は若者達で溢れかえる、JR渋谷駅に降りた。
加茂君は初めての渋谷に興奮しているようで、人混みも気にせず何度も角度を変えて、忠犬ハチ公をスマホで撮影している。
それを、近くを歩く女性達がちらちらと見ている。
あれは物珍しくて見ているんじゃないというのは、次ぎに加茂君の横にいる私に向けられる視線で分かった。
「ゆいちゃんありがと!次はやっぱり109でしょ!」
撮影に満足したのか、次は意気揚々とお目当ての白いビルに指を指す。
私はそんな無邪気な顔に何故かホッとさせられた。
横に並んで歩いていて、思ったよりも背が高いことに気がついた。
でも藤原の方がもっと高いな。
そう無意識に思った自分に驚いて、そして気持ちが一気に落ち込む。
その事を消さなくてはと、私は頭をまた振った。
すると加茂君に手を繋がれ、驚いて顔を見る。
「人混みではぐれるとまずいじゃない?僕が」
そう言うとにっこり笑い、ウィンクした。
そっか、きっと加茂君はわかってるんだ。
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