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欠けてゆくもの
欠けてゆくもの20
しおりを挟む「加茂君、もういいから」
既にもうどうでもよくなっていた私には、あんな事で謝罪される気にもならなかった。
「ご、ごめん、なさい・・・・・・」
途切れ途切れに俯いたままか細い声で謝る加茂君に、そんなにも申し訳無く思っていたのかと知って、投げやりな気分だった自分が少し恥ずかしい。
「ほんともう良いから。気にしないで」
自然と私の声は和らいでいた。
だけど加茂君は俯いたまま黙っている。
良く見ると、身体の横にある手が、かたかたと小さく震えているのがわかった。
酷く京都で怒られたのだろうか。
何だか本当に申し訳無い気持ちになってきていた。
しかし突然加茂君は膝から崩れ落ちたかと思うと、両手をついて頭を下げた。
「二度と、二度と、しま・・・・・・」
「やめて!やめてよ!
そんなことすること無いから!」
急に土下座をしたかと思うと、震える声でまた謝りだした。
私は慌てて加茂君に近寄ってしゃがむ。
加茂君の肩を持って起こそうとしているのに、その身体はぴくりともしない。
男子の力ってやっぱり強いんだ、と途惑っていたら、少しだけ加茂君が私の方を向く。
眼鏡の隙間から見えたその目は、涙を浮かべ怯えているように見え、私は彼の肩を持ったまま、その怯える目の意味に困惑する。
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