月曜日の巫女

桜居かのん

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欠けてゆくもの

欠けてゆくもの7

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ピンポーン、ピンポーン。
部屋にあるインターフォンが鳴っていることに気がつき、私は未だにだるい身体をゆっくりと起こす。
何か届け物だろうか。
私は入り口にいる人を確認しようと、もそもそとベッドから起きてモニターを見た。
そこには、何故か葛木先生が立っていた。
私は慌てて通話ボタンを押す。


「先生?!」


『あぁ良かった。寮にいたんですね』


心底ホッとしたように、モニターの向こうで先生は言った。


『待ち合わせの時間を遙かに過ぎても来ないので、体調を崩したのではと』


「待ち合わせ、ですか?」


『え?今日1時に待ち合わせだと聞いたのですが』


途惑ったような先生の声に私が途惑う。
一体どういう事だろう。
1時に約束していたのは藤原だったはずで。
あぁそうか。
段々と頭が回ってきたのか、何故こんな事になったのか、わかったような気がした。


「あの、少し話せますか?学校とかで」


私は先生に尋ねた。
寮に男性は原則入れない。
聞かれたくない話をするなら、それこそ学校の方が好都合だ。


『わかりました。私はいつもの部屋にいますから、ゆっくり来て下さいね』


私は、すぐに準備して行きます!と返すと、急いで出かける準備を始めた。
制服のまま寝てしまってシャツはしわになっているが仕方ない。
簡単にブラシで髪の毛を整え、私は部屋を出た。

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