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欠けてゆくもの
欠けてゆくもの5
しおりを挟むその日も加茂君は学校に来ていなかった。
急用のため実家に帰って今週は休むと、途中担任から話しがあった。
ざわつくクラスの中で、真相を知る私は一人、加茂君の事より藤原のことを考えていた。
もういやだ。
私の、今の一番の気持ちだ。
なのに藤原のことばかり考えている。
仲良くなったのに嫌われるということは、どんなに怖い事か。
実咲と塔子に突然嫌われたら、私はどうしていいかわからないだろう。
それと同じ事。
私は落ち込む理由をそういうことだと理解していた。
そして、藤原が追いかけても、声をかけてきてもくれないと分かった以上、本当に嫌われた可能性を考えるようになった。
もうどんな顔をして会って話せばいいのかわからない。
私は藤原に会うのが、怖くて仕方がなくなった。
藤原の授業中も出来るだけ下を向いて目を合わせないようにした。
鉢合わせしないかと、びくびくしながら教室を移動したりした。
一度だけ葛木先生と顔を合わせそうになったけど、何故か私はすぐさま踵を返して逃げてしまった。
そのおかげなのか、何事も無く土曜日の授業を終えることができた。
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