月曜日の巫女

桜居かのん

文字の大きさ
上 下
55 / 200
欠けてゆくもの

欠けてゆくもの5

しおりを挟む

その日も加茂君は学校に来ていなかった。

急用のため実家に帰って今週は休むと、途中担任から話しがあった。

ざわつくクラスの中で、真相を知る私は一人、加茂君の事より藤原のことを考えていた。

もういやだ。

私の、今の一番の気持ちだ。

なのに藤原のことばかり考えている。

仲良くなったのに嫌われるということは、どんなに怖い事か。

実咲と塔子に突然嫌われたら、私はどうしていいかわからないだろう。

それと同じ事。

私は落ち込む理由をそういうことだと理解していた。

そして、藤原が追いかけても、声をかけてきてもくれないと分かった以上、本当に嫌われた可能性を考えるようになった。

もうどんな顔をして会って話せばいいのかわからない。

私は藤原に会うのが、怖くて仕方がなくなった。


藤原の授業中も出来るだけ下を向いて目を合わせないようにした。

鉢合わせしないかと、びくびくしながら教室を移動したりした。

一度だけ葛木先生と顔を合わせそうになったけど、何故か私はすぐさま踵を返して逃げてしまった。

そのおかげなのか、何事も無く土曜日の授業を終えることができた。

しおりを挟む

処理中です...