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来訪者
来訪者13
しおりを挟む「葛木先生、私、霊が見えるようになったとかじゃないんですか?」
「あぁ、あの無理矢理解放した力は俺が閉じた」
「はぁ?!」
葛木先生に聞こうとしたのに、
平然と藤原が答えた。
「と、閉じたっていつ?!」
「お前が車に乗って帰る時」
私は必死に思い返した。
何か儀式を去れただろうか。
いや、そんな事は。
「もしかして、あの、頭撫でた、やつ?」
「お、正解だ。偉いな」
からかうように笑う藤原に私は一気に怒りがこみ上げてきた。
あの時、優しく笑って私の頭を撫でた事に、
不覚にも少しどきりとしてしまったからだ。
まさかその時に何かされていただなんて。
「酷い!幽霊が見えるかと期待していたのに!」
「お前ね、そういうもんじゃないんだよ。
何の対策もしてないやつが能力を開けっ放しというのは危ないんだ」
少なくとも藤原が私のことを思って密かにやったのはわかったけど、
気持ちはそれでは割り切れない。
「そうだ、私が嫌がればもしかしたら藤原って出来ないんじゃないの?」
まだ巫女と確定していなくても、藤原は先日躊躇していた。
なのに今回は何故。
「さぁな」
藤原はぶっきらぼうにそう言うと、カップを手に取りコーヒーをすすった。
もしかして出来る出来ないに何かルールとかあるのだろうか。
ということは今後も知らないうちに、何かされるかも知れないということで。
「葛木先生、藤原。
今度から勝手に私の身体とか能力をいじるのやめて下さい」
じろりと並んで座る2人を見れば、
葛木先生は苦笑いを浮かべているし、
藤原なんてぷいと横を向いたままで何も言わない。
なんて大人げない態度だ。
これはこれ以上怒っても何もならない。
私は次の疑問に移ることにした。
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