宿り木カフェ

桜居かのん

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Case5 美人故に結婚が難しくなった29歳

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*********


私は息抜きに宿り木カフェで通話をしていた。

『そうか、亡くなっていた彼の手にはスマートフォン。
そして、連絡しま、のダイイングメッセージが・・・・・・』

「勝手に殺人事件にしないでよ」

私の為に気を紛らわせようとするのはわかるが、あながち事切れてないのか不安で仕方がない。

『ま、だいじょーぶ、だいじょーぶ。
もし本当に亡くなってたら、警察から連絡来るよ』

「マジで嫌だ、そんなの」

うんざりと私は答えた。
誰かと話していないと、落ち着かなかった。
友人は松本さんに連絡してみると言っていたわけで、余計に話すわけにもいかず、この場所は本当に助かった。

『きっと体調が戻ったら連絡くるさ』

そう言ってタクヤさんは最後、真面目な声で言ってくれた。



「ほんとだ、メールきた」

翌日の朝、松本さんからメールが来ていた。
中身は、寝込んでいたこと、昨日から仕事に復帰したこと、仕事が溜まっているので、翌週でよければ食事に行きませんか、という内容だった。

「まぁ仕事が優先なのは仕方ないわよねぇ」

私はそのまま、死んでいたのではと気にしていたことと、来週末なら空いていることを返信した。


*********


「本当に色々とすみませんでした」

松本さんの仕事が一区切りするのを待ち、結局メールを偏してから会ったのは二週間後だった。

前回と同じ小料理屋に直接集合にし、今回は彼が席を押さえていた。
やはり少し彼は遅刻してくると、開口一番、頭を下げて謝罪した。

「あー、とりあえず、座りません?」

立ったまま謝罪している松本さんに苦笑いしかない。


とりあえずビールをし、先付けをもそもそお互い食べながら沈黙が続き、私は耐えきれなくなった。

「あの、面倒なんで率直に色々聞いて良いですか?」

私は、ドンとビールのジョッキを置くと、意を決して目の前の彼を見てそう言った。
つまみを口にしていた松本さんは、ぎょっとした顔をしていたが慌てて飲み込むと、何故かきっちり座り直して私を見たかと思うと、すぐに目をそらした。

「なんで口座教えてってメールしたんですか?」

その質問に私の方を見ると、すごく困惑した顔になる。

「え、それは、お金持って無かったので」

「いや、そこは、「今度その分ご馳走しますから」とかにはならないんですか?!」

彼は目を丸くして私を見た。
あ、考えて見たら、私を誘って当然というのが地で出てしまった。
彼が誘いたく無い場合もあるのに。

「それは・・・・・・別の話では?」

「はい?」

「私は貴女に食事の支払いが出来なかった。
それをきちんと金銭で補填することはわかりますが、食事を奢ることでは補填にならないのでは?」

「・・・・・・」

あぁ、どうしよう、考え方の根本が違うんだ。
これが頭の良い人というものなのだろうか。
私は思わず顔に手を当てた。

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