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阿蘇ダンジョン攻略編
カレー議論
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「木下、お前の荷物は出せるか?」
「ん? あ、そうだったな。俺たちの荷物には手をつけていなかったか」
木下の甲冑が渦を巻いて身体の中に吸い込まれていく。
そうすると、元の姿の木下と・・・漫画に出てきそうなリュックが現れた。
「・・・何を入れてきた?」
「食料がメインで食器やら鍋やら飯盒やら。それと着替えとかタオルとかだな」
「何日分の食料だって言ってたか?」
「5日分。カレーとか鍋系の煮込んで終わりのメニューに統一してるけどな」
こんな荷物がこいつの鎧一つの中に収まっているとは・・・。
「・・・間違えようの無いカレーの材料と鍋だけ出してあとはしまってくれ。カレーなら2人分ぐらい調整出来るだろ」
「分かった」
そう言うと、木下はリュックから鍋とまな板、包丁、木のヘラを取り出し、玉ねぎ、ニンジン、小間切れ牛肉、ジャガイモ、インスタントコーヒー、ヨーグルト・・・。
「ちょっと待て木下」
「どうかしたか?」
更に何かを出そうとする木下を止めて、僕はヨーグルトとインスタントコーヒーを横に避けた。
「この二つは戻せ。今なら間に合う」
「・・・この二つって日和子がカレーに必要だって言ってたヤツだぞ?」
「如月さんは日常的に料理はしていたのか?」
「ああ、正直言ってお店を出せるレベルだと思う。今回は固形のルーを持ってきたけど、家だとスパイスをオリジナルで作ったやつが保管されてるしな」
「そんな料理が得意な人間と料理を殆どしない僕とでは使う材料も変わってくるんだ。固形のルーは入れ物もそのままもってきてるか?」
「え? ああ、買ったままだけど?」
「なら、そこに代表的な作り方が書いてるはずだ。そこに、コーヒーを入れるとか書いてあるか?」
木下は箱の裏面に書いてある、カレーの作り方をじっくり読んで、一度目頭をギュッと摘んでもう一度よーく見た。
「書いて・・・無いな」
「そうだ。無いんだ。だからこそみんな美味しいと思える。オリジナルを入れて良いのは、それだけ経験を積んだ人だけだ。僕や木下みたいなど素人が手を出していい領域じゃ無い」
「お・・・おう」
ここまで僕が強く言うのも、昔やらかした経験があるからだ。
あの時は、ばーちゃんの卵焼きを真似て塩と砂糖を入れて作ってみた。
とんでもない味になった。
・・・じーちゃん、あの時は残りを食べてくれてありがとう。
野菜を切り、玉ねぎを炒め、続けてニンジンとジャガイモを投入し、最後に肉を入れてある程度熱が通ったら水を入れて一煮立ちさせる。
その間に木下が出した無洗米を2合出して飯盒に入れ、水を入れて蓋をし、火にかけた。
初めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋とるなっと。
鍋の方の灰汁を取って捨ててカレーのルーを投入する。
「木下・・・」
「・・・」
「そのコーヒーはお前が飲むんだよな?」
「・・・べつに、入れてもいいだろ。日和子のカレーは本当に美味しいんだぞ!」
「そうだろうな。そんな一手間を加えるんだから、しっかり自分で味見して、何度も試行錯誤してから適量を見つけ出して作っているんだろうよ。で? 木下は如月さんの手伝いを何回した?」
「手伝い?」
「ああ、当然インスタントの粉を何杯分入れたコーヒーか、ヨーグルトをどの位の量を入れたのか、見てたんだよな!?」
僕が睨むと木下は目を逸らした。
そうだろうよ。
お前がそんな殊勝な性格な訳がない。
食う専門なのに、味を知ってるってだけで口出しして失敗するタイプの典型だ。
「木下、そのコーヒーを飲みながら待ってろ」
「・・・わーったよ。くそ・・・」
木下がコーヒーを持って離れた場所の岩に座って口をつける。
一口飲んですごい表情になった。
・・・何の考えもなしに粉を入れたせいだろう。
僕はその間もしっかりと鍋を混ぜて、底が焦げつかないように注意する。
ご飯の方も、ボコボコを泡を吹き出し始めた。
我慢我慢。
「おい吹き出してるぞ!」
「触んなバカ!」
容赦なく生命力吸収を使って、木下がしようとしていた行動を阻止した。
「じっとしてろ」
生身の木下を岩の椅子まで引きずっていき、また鍋の場所まで戻ってスキルを切る。
そうすると、木下が立ち上がり顔を真っ赤にして僕を睨んだ。
「俺だってやろうと思えば出来るんだよ!」
突然の叫びだが、この場でその言葉は全く信用できない。
「じゃあ、飯盒でご飯を炊く時の有名な文章言ってみろよ」
「・・・」
木下の目が色んな場所を見る。
必死に思い出そうとしているのだろうが、多分聞いたこともないのだろう。
飯盒から泡が出なくなったところで、火から遠ざけてまたしばらく放置する。
カレーもいい具合に煮込むことができた。
最初に作った時は、水が多すぎてスープ状態になったんだよな・・・。
今ではいい思い出だ。
本当なら飯盒を逆さにして、叩くのと同時に新聞紙等で周りを拭くのだが、今回は諦めて叩くだけにする。
それから飯盒の蓋を開けて、紙の深皿によそう。
「ほら見ろ、焦げてるじゃねーか」
「・・・帰ったらサバイバルのイロハが書かれた本も読め・・・その上でそのセリフが吐けるか楽しみにするよ」
木下への宿題がどんどん増えていく。
カレーもかけて木のスプーンを添えて木下に渡す。
木下は不満げな顔をしてそれを受け取った。
「・・・やっぱり日和子のカレーの方が美味しい・・・」
・・・コイツには二度と作ってやらねー!!
「ん? あ、そうだったな。俺たちの荷物には手をつけていなかったか」
木下の甲冑が渦を巻いて身体の中に吸い込まれていく。
そうすると、元の姿の木下と・・・漫画に出てきそうなリュックが現れた。
「・・・何を入れてきた?」
「食料がメインで食器やら鍋やら飯盒やら。それと着替えとかタオルとかだな」
「何日分の食料だって言ってたか?」
「5日分。カレーとか鍋系の煮込んで終わりのメニューに統一してるけどな」
こんな荷物がこいつの鎧一つの中に収まっているとは・・・。
「・・・間違えようの無いカレーの材料と鍋だけ出してあとはしまってくれ。カレーなら2人分ぐらい調整出来るだろ」
「分かった」
そう言うと、木下はリュックから鍋とまな板、包丁、木のヘラを取り出し、玉ねぎ、ニンジン、小間切れ牛肉、ジャガイモ、インスタントコーヒー、ヨーグルト・・・。
「ちょっと待て木下」
「どうかしたか?」
更に何かを出そうとする木下を止めて、僕はヨーグルトとインスタントコーヒーを横に避けた。
「この二つは戻せ。今なら間に合う」
「・・・この二つって日和子がカレーに必要だって言ってたヤツだぞ?」
「如月さんは日常的に料理はしていたのか?」
「ああ、正直言ってお店を出せるレベルだと思う。今回は固形のルーを持ってきたけど、家だとスパイスをオリジナルで作ったやつが保管されてるしな」
「そんな料理が得意な人間と料理を殆どしない僕とでは使う材料も変わってくるんだ。固形のルーは入れ物もそのままもってきてるか?」
「え? ああ、買ったままだけど?」
「なら、そこに代表的な作り方が書いてるはずだ。そこに、コーヒーを入れるとか書いてあるか?」
木下は箱の裏面に書いてある、カレーの作り方をじっくり読んで、一度目頭をギュッと摘んでもう一度よーく見た。
「書いて・・・無いな」
「そうだ。無いんだ。だからこそみんな美味しいと思える。オリジナルを入れて良いのは、それだけ経験を積んだ人だけだ。僕や木下みたいなど素人が手を出していい領域じゃ無い」
「お・・・おう」
ここまで僕が強く言うのも、昔やらかした経験があるからだ。
あの時は、ばーちゃんの卵焼きを真似て塩と砂糖を入れて作ってみた。
とんでもない味になった。
・・・じーちゃん、あの時は残りを食べてくれてありがとう。
野菜を切り、玉ねぎを炒め、続けてニンジンとジャガイモを投入し、最後に肉を入れてある程度熱が通ったら水を入れて一煮立ちさせる。
その間に木下が出した無洗米を2合出して飯盒に入れ、水を入れて蓋をし、火にかけた。
初めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋とるなっと。
鍋の方の灰汁を取って捨ててカレーのルーを投入する。
「木下・・・」
「・・・」
「そのコーヒーはお前が飲むんだよな?」
「・・・べつに、入れてもいいだろ。日和子のカレーは本当に美味しいんだぞ!」
「そうだろうな。そんな一手間を加えるんだから、しっかり自分で味見して、何度も試行錯誤してから適量を見つけ出して作っているんだろうよ。で? 木下は如月さんの手伝いを何回した?」
「手伝い?」
「ああ、当然インスタントの粉を何杯分入れたコーヒーか、ヨーグルトをどの位の量を入れたのか、見てたんだよな!?」
僕が睨むと木下は目を逸らした。
そうだろうよ。
お前がそんな殊勝な性格な訳がない。
食う専門なのに、味を知ってるってだけで口出しして失敗するタイプの典型だ。
「木下、そのコーヒーを飲みながら待ってろ」
「・・・わーったよ。くそ・・・」
木下がコーヒーを持って離れた場所の岩に座って口をつける。
一口飲んですごい表情になった。
・・・何の考えもなしに粉を入れたせいだろう。
僕はその間もしっかりと鍋を混ぜて、底が焦げつかないように注意する。
ご飯の方も、ボコボコを泡を吹き出し始めた。
我慢我慢。
「おい吹き出してるぞ!」
「触んなバカ!」
容赦なく生命力吸収を使って、木下がしようとしていた行動を阻止した。
「じっとしてろ」
生身の木下を岩の椅子まで引きずっていき、また鍋の場所まで戻ってスキルを切る。
そうすると、木下が立ち上がり顔を真っ赤にして僕を睨んだ。
「俺だってやろうと思えば出来るんだよ!」
突然の叫びだが、この場でその言葉は全く信用できない。
「じゃあ、飯盒でご飯を炊く時の有名な文章言ってみろよ」
「・・・」
木下の目が色んな場所を見る。
必死に思い出そうとしているのだろうが、多分聞いたこともないのだろう。
飯盒から泡が出なくなったところで、火から遠ざけてまたしばらく放置する。
カレーもいい具合に煮込むことができた。
最初に作った時は、水が多すぎてスープ状態になったんだよな・・・。
今ではいい思い出だ。
本当なら飯盒を逆さにして、叩くのと同時に新聞紙等で周りを拭くのだが、今回は諦めて叩くだけにする。
それから飯盒の蓋を開けて、紙の深皿によそう。
「ほら見ろ、焦げてるじゃねーか」
「・・・帰ったらサバイバルのイロハが書かれた本も読め・・・その上でそのセリフが吐けるか楽しみにするよ」
木下への宿題がどんどん増えていく。
カレーもかけて木のスプーンを添えて木下に渡す。
木下は不満げな顔をしてそれを受け取った。
「・・・やっぱり日和子のカレーの方が美味しい・・・」
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