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宝箱探索編
速度重視の探索
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広間で僕らは、お互いの距離を確認しながらMAPを見る。
「このくらいじゃないかな?」
「じゃあ、一度スキル使いますね」
ガクッと莉乃が崩れ落ちたので慌ててスキルを切った。
「大丈夫ですか!」
「大丈夫、大丈夫。想定内だよ」
起き上がりながら手を振って、近寄ろうとした僕に来なくて大丈夫と伝えた。
「結構範囲広かったんだね。スキル使ってみて。多分ここなら大丈夫!」
「分かりました」
もう一度スキルを使うと、莉乃は何事もなく立っているので、僕は両手で大きく丸を作った。
「マップ上の莉乃さんの印との間隔も確認しました。帰ったら円か何かで分かるようにしてもらいましょう」
「そうだね。そのぐらいなら大した作業じゃないだろうから、あっさりやってくれるかも」
以前の装備だったら心配で、こんなに間隔を空けることは出来なかったが、今の装備なら何も問題はない。
僕自身も、精霊やゴーレムと戦えるようになったし、弱点はほとんど無くなっているはずだ。
僕らは右の通路を進んで行くと、その途中に鬼がいた。
「あ、莉乃さん、ストップです」
「どうかした?」
「鬼がいました」
「あー」
僕はスキルを切って莉乃の元に戻り、さっきの広間に戻って2番目の通路に入った。
そっちは少し上り坂でそこをスキルを使って進むとスライムが多くなってきた。
全てB級で生命力吸収が効くから障害にすらならない。
次々と踏み潰して、念の為の魔石を集めて次の広間に着いた。
「スライム祭りです」
「マジで?」
スキルを切って莉乃が来るのを待って、一緒に広間を覗いた。
「おーう、これは酷い」
「莉乃さんはダメですね。生命力吸収が効くから僕だけ行きます」
「京平くんはヌルヌルヌメヌメするの?」
「しませんよ。莉乃さんもさせません。とりあえず踏み潰してくるので、ちょっと離れててください」
「はーい。終わったら呼んでね」
「すぐ終わらせます」
高速で踏み潰しました。
ちょっと大きめのからスモモの魔石が出た。
入り口のときも思ったが、これがカバと同列?
「あ、スモモが5個になった」
「あーあ、前回の余りも争いになったよね。最後は序列順ってことで松下と東京通信が持ってたけど、帰りに出るかな?」
「念の為、もう一つ欲しいですね」
「またケンカしそうだしね」
相手の会社の不祥事暴露大会は勘弁してほしかった。
同じ会社の中で足の引っ張り合いとか意味わからんし。
次の広間に行くと、ファイアジャイアントゴーレムがいた。
すぐに僕は生命力吸収を切ってジャイアントゴーレムに向かった。
後から来た莉乃は周囲にいた精霊とノーマルゴーレムに向かい、精霊から攻撃していく。
ジャイアントゴーレムは僕に気づいて腕を振って攻撃してきたが、こいつの攻撃速度はもう理解しているので、難なく右に避けてレバーを上げる。
そしてジャンプして腹の部分を蹴った。
ジャイアントゴーレムの体が上下に分かれて、僕は上半身の胸にあたりに乗って蹴りつけた。
フィールドに入ってから一回も切っていないので、とてつもない重量になっていたのだろう。
ジャイアントゴーレムの胸がヒビどころではなく、完全に砕けて光に変わっていった。
それから、空中にいる莉乃を狙っていたゴーレムを蹴飛ばして、2体を踏み潰す。
精霊も、莉乃が地面に落としたのを捕まえて、その頭を踏み潰した。
「2人でA級が2つですか・・・支部長が頭抱えそうですね」
「国が喜んでるからいいんだよ。私たちは気にせず稼ぐのみ!」
僕らみたいなのは滅多にいないんだろうけど、管理職なんかになるもんじゃないなって支部長を見てると思ってしまう。
そんな彼でも本社に行きたくなさそうにしているってことは、向こうはもっとキツイんだろう。
「莉乃さんは東京の本社って行ったことありますか?」
「ないよー。なんとなくキツイイメージがあるから行くことはないかな。モンスター相手にしてた方が楽!」
確かに。
人相手に腹の探り合いとか、僕なんか一瞬で白旗を上げることになると思う。
松嶋さんたちは、笑顔でいろいろなことを考えているんだろうな。
僕には到底できそうにない。
20分がすぎたので、カードリッジに新しい魔石を入れてセットする。
「次も上り坂ですね」
「どんな場所に行くかワクワクするね!」
「ワクワクしますけど、あの青いデカブツだけが不安材料ですね」
次の広間の入り口に着いたので、そっと中を覗いた。
「うわ・・・」
「なになに? どうしたの?」
スキルを急いで切って莉乃を呼び寄せ、一緒にそれを見た。
「うわー、溶岩の海だ」
「浮島が幾つかありますね。あれを渡るのか・・・凄く勇気が必要ですね」
一歩間違えれば、装備ごとこんがりになる気がする。
一旦引いて、僕は簡易椅子を二つ取り出して座った。
「今日はここまでですね」
「流石に溶岩の海には安易に行けないよね」
「あの海の中にモンスターがいたら怖いですね」
「あー、遠くて分からなかったけど、いるかもしれないんだ。何を食べているんだろうね?」
「溶岩がそのまま主食の可能性が高いですよね」
リュックから携帯食と飲み物を取り出して莉乃に渡し、次に自分の分を出してフェイスガードを上げた。
「やっぱり熱い!」
「ホントそれ!」
急いで食べて飲んでフェイスガードを下すと冷却装置が作動して顔が心地いい温度まで冷やされた。
それからは、来た道を戻って最初の広間に着いた。
道中はA級モンスターは出ずに、全てB級だったので、莉乃と一緒に倒して魔石は何となく全部拾って持って帰ることにした。
「宝箱出ませんでしたね」
「うーん、残念。でも、京平くんと一緒で楽しかった」
「僕もです。装備が更新されたらもっと楽しくなるんでしょうね」
「京平くんに頼らずにA級をバッサバッサと倒せたりするかも!」
「危険な行動は禁止ですよ」
魔石が入ったリュックを一旦莉乃に預けて、彼女ごとおんぶしてスキルを発動し、出入り口のポータルを潜る。
外に出ると、何羽かファイアバードが倒れていたが、面倒臭かったのでそのまま放置して阿蘇市に戻った。
阿蘇市に戻ると、僕らは注目を浴びた。
理由としては、フィールドを探索するのにこれほど重装備をしている人はいないことと、これが僕と天外天の専用装備ということが認識されたためだろう。
他の市なら、僕らの姿を見るなり握手や写真などを求めてくる人たちが多いのだが、阿蘇市では帰還した探索者は組合での手続きが終わってからでないと声をかけてはいけないといったような暗黙の了解があって、僕らは余裕を持って歩くことができる。
それでも、僕が持っているリュックが気になるのか、後ろからゾロゾロとみんなついてきた。
「みんな気になるんですかね? リュックの中身」
「それも気になるけど、私たちのことも気になってついてきているのかも」
「・・・色紙持っている人もいますしね」
「阿蘇市の人は自制がしっかりしているからね。私たちは大丈夫だけど、気が立っている探索者にうっかり声をかけてしまったら・・・」
「トラブルになりますからね」
僕らは組合の建物の中に入って受付に向かった。
ついてきていた人たちは、扉の前で立ち止まり、そのまま待つ人と帰る人に分かれていく。
「すみません、魔石を持ってきました」
「お疲れ様でした。瀬尾様と宮下様は、着替えが済みましたらそのまま支部長室へ移動をお願いします」
受付の人がそう言って魔石の入ったリュックを中身を確認せずに預かった。
僕たちは首を傾げたが、そのまま割り当てられた部屋に入って装備を脱ぎ、シャワーで身体を洗ってから私服に着替えた。
同じくシャワーを浴びて着替えてきた莉乃と扉の前で待ち合わせ、支部長室に向かう。
「何の用ですかね?」
「装備を更新するとか松嶋さんが言ってたから、その件かも」
支部長室の扉を叩いて中に入ると、疲れ切った支部長、副支部長と笑顔の松嶋さん、そして、新たに設置された巨大テレビ画面に兼良さん、大森さん、平石さんがいた。
「お疲れ様。2人とも自由に座ってくれ」
「はい・・・何か話し合われたんですか?」
支部長と副支部長がため息をついた。
「魔石の話だ。・・・国から要請があった。瀬尾が関わって獲得できたA級魔石について、購入額が一律35億に決まった。ただし、一回のアタックで購入するのは1個のみ。または、半年に1個。他のは民間に譲ることになった。オークションにするか、ここにいる企業に買い取ってもらうか・・・どうする」
・・・その判断を僕に任せますか。
松嶋さんたちの笑顔は相変わらずだが、目が違う。
多分国とも交渉しまくったんだろうな。
金額が35億になったこともそこが関係しているのかも。
僕は、はぁーとため息を一つついた。
「莉乃さんは僕に任せていいですか?」
「うん。天外天は京平くんの判断に任せるよ。いざとなったらそう言っていいことを高城ちゃんと話ししてたから」
僕は一度頷いた。
「ここにいる皆さんを優先で」
全員が凄い笑顔になった。
多分、凄く期待していたのだろう。
滅多なことでは手に入らないA級魔石を、今後確実に手に入れることが出来るのだ。
彼らの頭の中でどんな計画が生み出されているか分からないが、多分、あの笑顔の裏で色々考えているんだろう。
「金額はどうしましょう?」
「国の減額分を余剰の魔石に振り分けます。ちなみに今日のアタックではA級魔石は何個ほど?」
「2個だけで・・・」
テレビの人たちの肩が落ちた。
松嶋さんの周囲だけすごく輝いている。
「ただ、スモモが5個だけしか手にはいら」
「当社の分を大鷲製薬さんに譲ります」
あっさりと話が済んだ。
他の人も頷いている。
「それじゃ、今回の松下魔力電機さんが購入するA級魔石は65億ということで、後で手続きしよう。瀬尾たちも疲れていつところ悪かったな。今日はこれで終わりだ。ゆっくり休んでくれ」
終わりと言いながらも支部長も松嶋さんも動こうとしない。
僕と莉乃は空気を読んで大人しく退室した。
支部長! 副支部長! 頑張って!
「このくらいじゃないかな?」
「じゃあ、一度スキル使いますね」
ガクッと莉乃が崩れ落ちたので慌ててスキルを切った。
「大丈夫ですか!」
「大丈夫、大丈夫。想定内だよ」
起き上がりながら手を振って、近寄ろうとした僕に来なくて大丈夫と伝えた。
「結構範囲広かったんだね。スキル使ってみて。多分ここなら大丈夫!」
「分かりました」
もう一度スキルを使うと、莉乃は何事もなく立っているので、僕は両手で大きく丸を作った。
「マップ上の莉乃さんの印との間隔も確認しました。帰ったら円か何かで分かるようにしてもらいましょう」
「そうだね。そのぐらいなら大した作業じゃないだろうから、あっさりやってくれるかも」
以前の装備だったら心配で、こんなに間隔を空けることは出来なかったが、今の装備なら何も問題はない。
僕自身も、精霊やゴーレムと戦えるようになったし、弱点はほとんど無くなっているはずだ。
僕らは右の通路を進んで行くと、その途中に鬼がいた。
「あ、莉乃さん、ストップです」
「どうかした?」
「鬼がいました」
「あー」
僕はスキルを切って莉乃の元に戻り、さっきの広間に戻って2番目の通路に入った。
そっちは少し上り坂でそこをスキルを使って進むとスライムが多くなってきた。
全てB級で生命力吸収が効くから障害にすらならない。
次々と踏み潰して、念の為の魔石を集めて次の広間に着いた。
「スライム祭りです」
「マジで?」
スキルを切って莉乃が来るのを待って、一緒に広間を覗いた。
「おーう、これは酷い」
「莉乃さんはダメですね。生命力吸収が効くから僕だけ行きます」
「京平くんはヌルヌルヌメヌメするの?」
「しませんよ。莉乃さんもさせません。とりあえず踏み潰してくるので、ちょっと離れててください」
「はーい。終わったら呼んでね」
「すぐ終わらせます」
高速で踏み潰しました。
ちょっと大きめのからスモモの魔石が出た。
入り口のときも思ったが、これがカバと同列?
「あ、スモモが5個になった」
「あーあ、前回の余りも争いになったよね。最後は序列順ってことで松下と東京通信が持ってたけど、帰りに出るかな?」
「念の為、もう一つ欲しいですね」
「またケンカしそうだしね」
相手の会社の不祥事暴露大会は勘弁してほしかった。
同じ会社の中で足の引っ張り合いとか意味わからんし。
次の広間に行くと、ファイアジャイアントゴーレムがいた。
すぐに僕は生命力吸収を切ってジャイアントゴーレムに向かった。
後から来た莉乃は周囲にいた精霊とノーマルゴーレムに向かい、精霊から攻撃していく。
ジャイアントゴーレムは僕に気づいて腕を振って攻撃してきたが、こいつの攻撃速度はもう理解しているので、難なく右に避けてレバーを上げる。
そしてジャンプして腹の部分を蹴った。
ジャイアントゴーレムの体が上下に分かれて、僕は上半身の胸にあたりに乗って蹴りつけた。
フィールドに入ってから一回も切っていないので、とてつもない重量になっていたのだろう。
ジャイアントゴーレムの胸がヒビどころではなく、完全に砕けて光に変わっていった。
それから、空中にいる莉乃を狙っていたゴーレムを蹴飛ばして、2体を踏み潰す。
精霊も、莉乃が地面に落としたのを捕まえて、その頭を踏み潰した。
「2人でA級が2つですか・・・支部長が頭抱えそうですね」
「国が喜んでるからいいんだよ。私たちは気にせず稼ぐのみ!」
僕らみたいなのは滅多にいないんだろうけど、管理職なんかになるもんじゃないなって支部長を見てると思ってしまう。
そんな彼でも本社に行きたくなさそうにしているってことは、向こうはもっとキツイんだろう。
「莉乃さんは東京の本社って行ったことありますか?」
「ないよー。なんとなくキツイイメージがあるから行くことはないかな。モンスター相手にしてた方が楽!」
確かに。
人相手に腹の探り合いとか、僕なんか一瞬で白旗を上げることになると思う。
松嶋さんたちは、笑顔でいろいろなことを考えているんだろうな。
僕には到底できそうにない。
20分がすぎたので、カードリッジに新しい魔石を入れてセットする。
「次も上り坂ですね」
「どんな場所に行くかワクワクするね!」
「ワクワクしますけど、あの青いデカブツだけが不安材料ですね」
次の広間の入り口に着いたので、そっと中を覗いた。
「うわ・・・」
「なになに? どうしたの?」
スキルを急いで切って莉乃を呼び寄せ、一緒にそれを見た。
「うわー、溶岩の海だ」
「浮島が幾つかありますね。あれを渡るのか・・・凄く勇気が必要ですね」
一歩間違えれば、装備ごとこんがりになる気がする。
一旦引いて、僕は簡易椅子を二つ取り出して座った。
「今日はここまでですね」
「流石に溶岩の海には安易に行けないよね」
「あの海の中にモンスターがいたら怖いですね」
「あー、遠くて分からなかったけど、いるかもしれないんだ。何を食べているんだろうね?」
「溶岩がそのまま主食の可能性が高いですよね」
リュックから携帯食と飲み物を取り出して莉乃に渡し、次に自分の分を出してフェイスガードを上げた。
「やっぱり熱い!」
「ホントそれ!」
急いで食べて飲んでフェイスガードを下すと冷却装置が作動して顔が心地いい温度まで冷やされた。
それからは、来た道を戻って最初の広間に着いた。
道中はA級モンスターは出ずに、全てB級だったので、莉乃と一緒に倒して魔石は何となく全部拾って持って帰ることにした。
「宝箱出ませんでしたね」
「うーん、残念。でも、京平くんと一緒で楽しかった」
「僕もです。装備が更新されたらもっと楽しくなるんでしょうね」
「京平くんに頼らずにA級をバッサバッサと倒せたりするかも!」
「危険な行動は禁止ですよ」
魔石が入ったリュックを一旦莉乃に預けて、彼女ごとおんぶしてスキルを発動し、出入り口のポータルを潜る。
外に出ると、何羽かファイアバードが倒れていたが、面倒臭かったのでそのまま放置して阿蘇市に戻った。
阿蘇市に戻ると、僕らは注目を浴びた。
理由としては、フィールドを探索するのにこれほど重装備をしている人はいないことと、これが僕と天外天の専用装備ということが認識されたためだろう。
他の市なら、僕らの姿を見るなり握手や写真などを求めてくる人たちが多いのだが、阿蘇市では帰還した探索者は組合での手続きが終わってからでないと声をかけてはいけないといったような暗黙の了解があって、僕らは余裕を持って歩くことができる。
それでも、僕が持っているリュックが気になるのか、後ろからゾロゾロとみんなついてきた。
「みんな気になるんですかね? リュックの中身」
「それも気になるけど、私たちのことも気になってついてきているのかも」
「・・・色紙持っている人もいますしね」
「阿蘇市の人は自制がしっかりしているからね。私たちは大丈夫だけど、気が立っている探索者にうっかり声をかけてしまったら・・・」
「トラブルになりますからね」
僕らは組合の建物の中に入って受付に向かった。
ついてきていた人たちは、扉の前で立ち止まり、そのまま待つ人と帰る人に分かれていく。
「すみません、魔石を持ってきました」
「お疲れ様でした。瀬尾様と宮下様は、着替えが済みましたらそのまま支部長室へ移動をお願いします」
受付の人がそう言って魔石の入ったリュックを中身を確認せずに預かった。
僕たちは首を傾げたが、そのまま割り当てられた部屋に入って装備を脱ぎ、シャワーで身体を洗ってから私服に着替えた。
同じくシャワーを浴びて着替えてきた莉乃と扉の前で待ち合わせ、支部長室に向かう。
「何の用ですかね?」
「装備を更新するとか松嶋さんが言ってたから、その件かも」
支部長室の扉を叩いて中に入ると、疲れ切った支部長、副支部長と笑顔の松嶋さん、そして、新たに設置された巨大テレビ画面に兼良さん、大森さん、平石さんがいた。
「お疲れ様。2人とも自由に座ってくれ」
「はい・・・何か話し合われたんですか?」
支部長と副支部長がため息をついた。
「魔石の話だ。・・・国から要請があった。瀬尾が関わって獲得できたA級魔石について、購入額が一律35億に決まった。ただし、一回のアタックで購入するのは1個のみ。または、半年に1個。他のは民間に譲ることになった。オークションにするか、ここにいる企業に買い取ってもらうか・・・どうする」
・・・その判断を僕に任せますか。
松嶋さんたちの笑顔は相変わらずだが、目が違う。
多分国とも交渉しまくったんだろうな。
金額が35億になったこともそこが関係しているのかも。
僕は、はぁーとため息を一つついた。
「莉乃さんは僕に任せていいですか?」
「うん。天外天は京平くんの判断に任せるよ。いざとなったらそう言っていいことを高城ちゃんと話ししてたから」
僕は一度頷いた。
「ここにいる皆さんを優先で」
全員が凄い笑顔になった。
多分、凄く期待していたのだろう。
滅多なことでは手に入らないA級魔石を、今後確実に手に入れることが出来るのだ。
彼らの頭の中でどんな計画が生み出されているか分からないが、多分、あの笑顔の裏で色々考えているんだろう。
「金額はどうしましょう?」
「国の減額分を余剰の魔石に振り分けます。ちなみに今日のアタックではA級魔石は何個ほど?」
「2個だけで・・・」
テレビの人たちの肩が落ちた。
松嶋さんの周囲だけすごく輝いている。
「ただ、スモモが5個だけしか手にはいら」
「当社の分を大鷲製薬さんに譲ります」
あっさりと話が済んだ。
他の人も頷いている。
「それじゃ、今回の松下魔力電機さんが購入するA級魔石は65億ということで、後で手続きしよう。瀬尾たちも疲れていつところ悪かったな。今日はこれで終わりだ。ゆっくり休んでくれ」
終わりと言いながらも支部長も松嶋さんも動こうとしない。
僕と莉乃は空気を読んで大人しく退室した。
支部長! 副支部長! 頑張って!
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