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阿蘇灼熱ダンジョン編
4日目と帰還と情弱の結果
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4日目になった。
3日目はあれから動けず、みんな厳しい表情で悩んでいた。
それほどあの青い存在は衝撃的だったようだ。
「一旦帰りましょうか」
僕の提案に、誰からともなく、みんな頷く。
こうして、第二回灼熱ダンジョンは3泊4日、A級4個、スモモ6個、B級52個で幕を閉じた。
これでも普通の探索者ではあり得ない成果で、僕らは今後働かなくてもいいほど稼いだことになる。
それからスモモの魔石はメインの4企業に渡され、余った2個は協議の上、行き先が決まることになった。
B級はメインを除く参加企業に分けられた。
スモモの魔石を知らなかったのか、営業担当が悔しそうな表情をしていた。
A級は探索者組合が主導して、国・警察・自衛隊と協議するらしい。
ただし、その際に松下魔力電機の松嶋さんが「差し出がましいとは思いますが」と前置きがあって、僕たちの前に来た。
「A級魔石をもし民間が手に入れようとしたら、最低50億です」
笑顔で教えられたその数字に、僕らだけでなく、国の担当者にも激震が走った。
「後、火龍の魔石ですか? A級よりも大きいとお聞きしましたが、100億じゃ効かないと思います。参考までに」
・・・みんなが固まっている。
何という爆弾を置いて行ってくれたんだ!
話が絶対に拗れるだろ!
ほら! 国の担当者が渋い顔をしてる!
自衛隊の人も! あ! 警察の人もだ!
この状況を見て、支部長が僕のところにやってきた。
「・・・瀬尾・・・どうしたらいいと思う?」
「大人たちで話し合ってください。言っておきますが、僕はまだ探索続けますが、天外天の人たちは分かりませんからね。もらうだけ貰って引退したいと考えているかもしれません」
「・・・だよな」
50億が4個で200億。
探索者組合の取り分が金額が10億。
残り190億を5人で割ると38億。
前回のアタック分もあるので完全に勝ち組だ。
装備品も、僕の協力ということで使っているが、購入に切り替えても痛くも痒くもないだろう。
莉乃さんは宝箱を求めて入ってたけど、今後はどうするつもりだろう。
やっぱり、他の3人と一緒に辞めるのだろうか?
「お金の話は・・・もう聞こえているみたいだな」
支部長の視線の先に天外天がいた。
装備を脱いで、私服姿に切り替わっているが、莉乃さん以外の顔が緩みまくっている。
「そういえば、装備のメンテはどうするつもりだ?」
「松嶋さんが任せてくださいと言っていたので、言葉に甘えることにします」
「カメラのデータも丸ごと渡したのか?」
「・・・」
失念していた。
「まあ、お前のカメラだから瀬尾の姿は映ってないだろうがな」
「・・・分かってましたよ」
「嘘はつかなくていい。向こうが上手なだけだ。なんせ、ダンジョンのデータがそれで全部手に入るからな」
「・・・いい経験をしたと考えておきます」
「それでいい。天外天の物は組合でデータを抜いた後、メンテを頼むつもりだ」
組合としても、情報は秘匿しておきたいとこなのだろう。
ただ、今回は僕が大々的に動いたために、秘匿ができない状況となってしまった。
近日中に僕たちがアタックした情報が広まるだろう。
「何を言っているんだ、お前は」
呆れながら支部長が僕を見た。
「お前たちがアタックしたことなど、初日からメディアに流れてる。あんな目立つ装備をした5人をSNSに流さない人などいない。だから情弱と呼ばれるんだ」
熊本でそう呼ばれていることは知っていた。
まさか日本全体でそういう認識になっているのだろうか?
色々な話が終わって、僕たちはそれぞれのホテルに戻った。
前回と違って、まだみんな体力は残っていたが、今後のことについて考えたかったのだろう。
僕は莉乃さんと一緒にホテルに戻って、とりあえずバラバラにシャワーを浴びた。
「またその格好? もうちょっと僕を意識してくれないかな?」
「意識してるよ。だから、この『Yes』Tシャツ着てるんじゃない」
「Tシャツはいいんですよ、諦めてます。ただ! 下着はどこ行った!?」
「風呂場に干してるよ。流石に4日目だしね。私も洗濯ぐらいするよ?」
「そっちじゃない! 替えの下着だ!」
「向こうのホテル」
「持ってこいよ!」
「あったかな?」
「不確定!」
冷蔵庫から飲み物を出そうと扉を開けた。
後精算になるが、サイダーでも飲もうかと取り出す。
「私にもビールちょうだい」
「昼間から優雅ですね」
「お金持ち(予定)だからね。使うわよー」
「ハイハイ。お昼どうしますか? なんかコンビニで弁当買ってきますか?」
「コンビニ? 買いに行くの?」
「行きますよ。何が欲しいかメッセ送ってくださいね」
「あ、ちょ・・・」
サイダーを持ったまま部屋から出て、1階に降りた。
「お出かけですか?」
ホテルマンが珍しく声をかけてきた。
「ええ、食事を買いにそこのコンビニに」
「そうですか・・・ご存知ないのですね」
「え?」
「いえ、当店にも昼食スペースがございます。瀬尾様でしたら都合もつけさせていただきますので、ご利用の際は一言申し付けください」
「あ、はい」
何を言いたいのか分からなかったが、何かあっても昼食は食べられるということだろう。
お菓子も久々に食べたいから、莉乃さんとちょっとしたパーティー気分もいいかもしれない。
そう考えて・・・ホテルを出た。
「来た! 瀬尾だぁぁ!!」
叫び声が響いた。
思わず走ってしまった。
しかも、身体強化のおまけ付きで。
「逃げたぞ! SNS回せ!」
「握手したい!」
「せめて触るだけでも!」
しまったと思った。
この状況は熊本の大津町と一緒だ。
過去の教訓が活かされていない!
阿蘇だからこんな状況にはならないと勝手に思っていた!
「コンビニを! 中に入れば何とか!」
青い特徴的な建物を見つけて、中に入ってふぅっと一息つく。
流石に中には入ってこないだろう。
そう思った瞬間、扉が再度開いて人で埋め尽くされた!
「いた! やった、触れた!」
「どいて! 私も触りたい!」
「お客様! 本日は瀬尾様の来店で混雑しております! 怪我がないようにお願いします!」
「SNS見た! どこ!? 見させて!」
弁当を買うどころの話じゃなかった。
「・・・大変だったみたいね」
何も買わずにホテルに戻ってきた。
なんなら、僕の服のボタンとか袖とかベルトとか無くなってた。
流石に身体強化で一般人を振り解くわけには行かず、しがみついてくる人を引きずって戻ってきた。
ホテルの中は、なんか不可侵みたいになっているのか、入り口でみんな手を離してようやく安心できた。
「なんで、縄文杉までまだ安全だったのに」
「A級とB級の魔石をあれだけ持ってこれる探索者は初めてだからじゃないかな? お役所もA級をあれだけ積まれたら、京平くんの価値を認めざる負えないでしょ。弱点だった精霊とゴーレムも装備のおかげで問題なくなってるしね」
「だからと言って、ここまでしますか?」
ズタボロの僕の両腕を広げる。
もう、哀れの一言が1番似合う姿になっているはずだ。
「やるんでしょうね。だって、幸運者が身につけている物だよ。京平くんの幸運にあやかりたいんじゃない?」
「・・・莉乃さんは分かってて外に出なかったんですか?」
「うん。私も外に出たら同じ状態になりそうだったから。まあ、私は女性だから酷いことにはならないと思うけど、胸は揉まれる可能性はあるかな~」
「・・・外に出ないでくださいね」
「心配してくれるの? ありがと。大丈夫だよ。この胸は京平くんのものだからね」
「がー! だからと言って、僕の頭を抱こうとするな! 胸を押し付けようとするな! 僕は男だぞ! その気になったらどうするつもりだ!」
「バッチこーい!」
「アホかー!」
それから莉乃さんがホテルの寝巻きに着替えて、一緒にホテルで昼食を食べた。
ホテルマンの「分かっておりました」という表情が無性に腹たった。
そして翌日・・・僕のランクが1級になったことが発表された・・・僕が知る前にテレビで放送されていた。
3日目はあれから動けず、みんな厳しい表情で悩んでいた。
それほどあの青い存在は衝撃的だったようだ。
「一旦帰りましょうか」
僕の提案に、誰からともなく、みんな頷く。
こうして、第二回灼熱ダンジョンは3泊4日、A級4個、スモモ6個、B級52個で幕を閉じた。
これでも普通の探索者ではあり得ない成果で、僕らは今後働かなくてもいいほど稼いだことになる。
それからスモモの魔石はメインの4企業に渡され、余った2個は協議の上、行き先が決まることになった。
B級はメインを除く参加企業に分けられた。
スモモの魔石を知らなかったのか、営業担当が悔しそうな表情をしていた。
A級は探索者組合が主導して、国・警察・自衛隊と協議するらしい。
ただし、その際に松下魔力電機の松嶋さんが「差し出がましいとは思いますが」と前置きがあって、僕たちの前に来た。
「A級魔石をもし民間が手に入れようとしたら、最低50億です」
笑顔で教えられたその数字に、僕らだけでなく、国の担当者にも激震が走った。
「後、火龍の魔石ですか? A級よりも大きいとお聞きしましたが、100億じゃ効かないと思います。参考までに」
・・・みんなが固まっている。
何という爆弾を置いて行ってくれたんだ!
話が絶対に拗れるだろ!
ほら! 国の担当者が渋い顔をしてる!
自衛隊の人も! あ! 警察の人もだ!
この状況を見て、支部長が僕のところにやってきた。
「・・・瀬尾・・・どうしたらいいと思う?」
「大人たちで話し合ってください。言っておきますが、僕はまだ探索続けますが、天外天の人たちは分かりませんからね。もらうだけ貰って引退したいと考えているかもしれません」
「・・・だよな」
50億が4個で200億。
探索者組合の取り分が金額が10億。
残り190億を5人で割ると38億。
前回のアタック分もあるので完全に勝ち組だ。
装備品も、僕の協力ということで使っているが、購入に切り替えても痛くも痒くもないだろう。
莉乃さんは宝箱を求めて入ってたけど、今後はどうするつもりだろう。
やっぱり、他の3人と一緒に辞めるのだろうか?
「お金の話は・・・もう聞こえているみたいだな」
支部長の視線の先に天外天がいた。
装備を脱いで、私服姿に切り替わっているが、莉乃さん以外の顔が緩みまくっている。
「そういえば、装備のメンテはどうするつもりだ?」
「松嶋さんが任せてくださいと言っていたので、言葉に甘えることにします」
「カメラのデータも丸ごと渡したのか?」
「・・・」
失念していた。
「まあ、お前のカメラだから瀬尾の姿は映ってないだろうがな」
「・・・分かってましたよ」
「嘘はつかなくていい。向こうが上手なだけだ。なんせ、ダンジョンのデータがそれで全部手に入るからな」
「・・・いい経験をしたと考えておきます」
「それでいい。天外天の物は組合でデータを抜いた後、メンテを頼むつもりだ」
組合としても、情報は秘匿しておきたいとこなのだろう。
ただ、今回は僕が大々的に動いたために、秘匿ができない状況となってしまった。
近日中に僕たちがアタックした情報が広まるだろう。
「何を言っているんだ、お前は」
呆れながら支部長が僕を見た。
「お前たちがアタックしたことなど、初日からメディアに流れてる。あんな目立つ装備をした5人をSNSに流さない人などいない。だから情弱と呼ばれるんだ」
熊本でそう呼ばれていることは知っていた。
まさか日本全体でそういう認識になっているのだろうか?
色々な話が終わって、僕たちはそれぞれのホテルに戻った。
前回と違って、まだみんな体力は残っていたが、今後のことについて考えたかったのだろう。
僕は莉乃さんと一緒にホテルに戻って、とりあえずバラバラにシャワーを浴びた。
「またその格好? もうちょっと僕を意識してくれないかな?」
「意識してるよ。だから、この『Yes』Tシャツ着てるんじゃない」
「Tシャツはいいんですよ、諦めてます。ただ! 下着はどこ行った!?」
「風呂場に干してるよ。流石に4日目だしね。私も洗濯ぐらいするよ?」
「そっちじゃない! 替えの下着だ!」
「向こうのホテル」
「持ってこいよ!」
「あったかな?」
「不確定!」
冷蔵庫から飲み物を出そうと扉を開けた。
後精算になるが、サイダーでも飲もうかと取り出す。
「私にもビールちょうだい」
「昼間から優雅ですね」
「お金持ち(予定)だからね。使うわよー」
「ハイハイ。お昼どうしますか? なんかコンビニで弁当買ってきますか?」
「コンビニ? 買いに行くの?」
「行きますよ。何が欲しいかメッセ送ってくださいね」
「あ、ちょ・・・」
サイダーを持ったまま部屋から出て、1階に降りた。
「お出かけですか?」
ホテルマンが珍しく声をかけてきた。
「ええ、食事を買いにそこのコンビニに」
「そうですか・・・ご存知ないのですね」
「え?」
「いえ、当店にも昼食スペースがございます。瀬尾様でしたら都合もつけさせていただきますので、ご利用の際は一言申し付けください」
「あ、はい」
何を言いたいのか分からなかったが、何かあっても昼食は食べられるということだろう。
お菓子も久々に食べたいから、莉乃さんとちょっとしたパーティー気分もいいかもしれない。
そう考えて・・・ホテルを出た。
「来た! 瀬尾だぁぁ!!」
叫び声が響いた。
思わず走ってしまった。
しかも、身体強化のおまけ付きで。
「逃げたぞ! SNS回せ!」
「握手したい!」
「せめて触るだけでも!」
しまったと思った。
この状況は熊本の大津町と一緒だ。
過去の教訓が活かされていない!
阿蘇だからこんな状況にはならないと勝手に思っていた!
「コンビニを! 中に入れば何とか!」
青い特徴的な建物を見つけて、中に入ってふぅっと一息つく。
流石に中には入ってこないだろう。
そう思った瞬間、扉が再度開いて人で埋め尽くされた!
「いた! やった、触れた!」
「どいて! 私も触りたい!」
「お客様! 本日は瀬尾様の来店で混雑しております! 怪我がないようにお願いします!」
「SNS見た! どこ!? 見させて!」
弁当を買うどころの話じゃなかった。
「・・・大変だったみたいね」
何も買わずにホテルに戻ってきた。
なんなら、僕の服のボタンとか袖とかベルトとか無くなってた。
流石に身体強化で一般人を振り解くわけには行かず、しがみついてくる人を引きずって戻ってきた。
ホテルの中は、なんか不可侵みたいになっているのか、入り口でみんな手を離してようやく安心できた。
「なんで、縄文杉までまだ安全だったのに」
「A級とB級の魔石をあれだけ持ってこれる探索者は初めてだからじゃないかな? お役所もA級をあれだけ積まれたら、京平くんの価値を認めざる負えないでしょ。弱点だった精霊とゴーレムも装備のおかげで問題なくなってるしね」
「だからと言って、ここまでしますか?」
ズタボロの僕の両腕を広げる。
もう、哀れの一言が1番似合う姿になっているはずだ。
「やるんでしょうね。だって、幸運者が身につけている物だよ。京平くんの幸運にあやかりたいんじゃない?」
「・・・莉乃さんは分かってて外に出なかったんですか?」
「うん。私も外に出たら同じ状態になりそうだったから。まあ、私は女性だから酷いことにはならないと思うけど、胸は揉まれる可能性はあるかな~」
「・・・外に出ないでくださいね」
「心配してくれるの? ありがと。大丈夫だよ。この胸は京平くんのものだからね」
「がー! だからと言って、僕の頭を抱こうとするな! 胸を押し付けようとするな! 僕は男だぞ! その気になったらどうするつもりだ!」
「バッチこーい!」
「アホかー!」
それから莉乃さんがホテルの寝巻きに着替えて、一緒にホテルで昼食を食べた。
ホテルマンの「分かっておりました」という表情が無性に腹たった。
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