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case4
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事例4
28歳 女性 騎士団副隊長
鈍感な彼を…
私には好きな人が居ます。
幼なじみで、小さい頃からずっと一緒に育って来ました、ずっと届かないこの想いも一緒に…
それがもどかしくて、最近は仕事にさえ身が入らなく…仕舞いには彼の妹に…
「ねぇお姉ちゃん、あの朴念仁の何処が良いの?」
と聞かれる始末です。
何処がって…何処だろ?
「副隊長?」
あ、ごめんなさい…どうしました?
「ですから、近隣に出たオークの討伐についての会議のお時間ですよ!」
もうそんな時間⁈
「副隊長最近お疲れですか?話しかけても上の空ですし…」
うーん…そうなのかも、オークの討伐が終わったら少しお休みを貰おうかな…
「あ、それなら!会議の後お時間ありますか?」
有ると思うけど、用事があるの?
「はい、実は最近女性騎士の間で流行ってる簡易魔法陣があるんですよ、良かったら買いに行きませんか?」
流行りのスクロール?
「なんでも、素敵な殿方と逢える…為のおまじないだそうで、かなりの人気なんです!」
面白そうね、じゃあまた後でね!
…アプリと呼ばれるそのスクロールは、魔法の効力こそはマチマチであるものの、最終的には絶対に結ばれると言う。
言われてみれば、最近女性騎士団に彼氏持ちが増えている様な…
そんな事を考えながら私は会議へ向かった。
…
…
…
スクロールを買ってから数日、未だに使える勇気が出ません。
今日は新たに見つかった魔物の討伐へ行く日です。
「副隊長、準備完了しました」
分かりました、隊長…いつでも行けます!
「よし、じゃあ出発だ!」
待ちなさい!
「どうした?」
兜…また忘れましたね?
「あ~…申し訳ない…でも無くても」
…無くても?
「ウッス!つけて来ます!」
…この時、私は嫌な胸騒ぎがして、落ち着きませんでした。
こういう時の予感はよく当たります。
しかもその時に囮を買って出るのはいつも…
「フェンリルだ!ここは俺が食い止めるから副隊長は撤退しろ!」
そんな!いくら隊長でもフェンリル相手に一人…
「良いから行け!犬コロ一匹どうってことない、妹と夕飯作って待っててくれよ?」
…必ず帰って来て!
「おう、パインサラダで頼むな!」
…
…
…
人の気も知らない癖に…
団員を率いて撤退をする最中、私はいつもこう思う。
彼の隣りに立つ為に今まで頑張って来た、彼はいつも私を後ろに押し除けて、私の盾になろうとする…
私が買い物に誘う時も、文句を言いながらも付いてくる。
でも、どれだけアピールしても彼は気付かない、心配も…私のこの気持ちも…
不安な気持ちを振り払い、彼の大好物を作る、帰って来たら私から告白しよう、自分にそう言い聞かせながら料理を作る。
ふと、スクロールの存在を思い出して、懐から取り出す。
最終的には絶対結ばれる、もしこの噂が本物なら…私はすがる様な想いでスクロールに魔力を込めた…
どうかお願い、どうか彼を守って…
「おめでとう!大当たりだ!」
何処からかそんな声が響き、スクロールが光り輝くと私の手から消えてしまう。
「3時間後に城門前ねー、遅刻厳禁!」
半信半疑だった、場所どころか時間指定までされたのだから。
しかし、予定通りきっかり3時間後にボロボロになって彼は帰って来た、しかもフェンリルを討伐した証まで持って。
泣きそうになるのを…駆け寄って抱きしめたくなるのをぐっと堪えて…
おかえり…心配したんだよ?
「ただいま、帰って来たろ?」
神様のおかげだね…
「そうか?アイツかなりの捻くれ者だったぜ?」
…あのね
「…あのさ」
…?
「…?」
私達…
「俺達…」
…お先にどうぞ?
「えっお、応…あのさ…俺達付き合わないか?」
…ふぇ…?
「えっいやぁだから、付き合わないか?」
…ホントに大当たりだったんだ…
「何の話?」
ううん、こっちの話…やっと気づいてくれたんだね、その分高く付くからね?
「うへぇ…フェンリルより怖い…」
お夕飯抜きで良い?
「そりゃ無いぜ…」
…
…
…
🔚
28歳 女性 騎士団副隊長
鈍感な彼を…
私には好きな人が居ます。
幼なじみで、小さい頃からずっと一緒に育って来ました、ずっと届かないこの想いも一緒に…
それがもどかしくて、最近は仕事にさえ身が入らなく…仕舞いには彼の妹に…
「ねぇお姉ちゃん、あの朴念仁の何処が良いの?」
と聞かれる始末です。
何処がって…何処だろ?
「副隊長?」
あ、ごめんなさい…どうしました?
「ですから、近隣に出たオークの討伐についての会議のお時間ですよ!」
もうそんな時間⁈
「副隊長最近お疲れですか?話しかけても上の空ですし…」
うーん…そうなのかも、オークの討伐が終わったら少しお休みを貰おうかな…
「あ、それなら!会議の後お時間ありますか?」
有ると思うけど、用事があるの?
「はい、実は最近女性騎士の間で流行ってる簡易魔法陣があるんですよ、良かったら買いに行きませんか?」
流行りのスクロール?
「なんでも、素敵な殿方と逢える…為のおまじないだそうで、かなりの人気なんです!」
面白そうね、じゃあまた後でね!
…アプリと呼ばれるそのスクロールは、魔法の効力こそはマチマチであるものの、最終的には絶対に結ばれると言う。
言われてみれば、最近女性騎士団に彼氏持ちが増えている様な…
そんな事を考えながら私は会議へ向かった。
…
…
…
スクロールを買ってから数日、未だに使える勇気が出ません。
今日は新たに見つかった魔物の討伐へ行く日です。
「副隊長、準備完了しました」
分かりました、隊長…いつでも行けます!
「よし、じゃあ出発だ!」
待ちなさい!
「どうした?」
兜…また忘れましたね?
「あ~…申し訳ない…でも無くても」
…無くても?
「ウッス!つけて来ます!」
…この時、私は嫌な胸騒ぎがして、落ち着きませんでした。
こういう時の予感はよく当たります。
しかもその時に囮を買って出るのはいつも…
「フェンリルだ!ここは俺が食い止めるから副隊長は撤退しろ!」
そんな!いくら隊長でもフェンリル相手に一人…
「良いから行け!犬コロ一匹どうってことない、妹と夕飯作って待っててくれよ?」
…必ず帰って来て!
「おう、パインサラダで頼むな!」
…
…
…
人の気も知らない癖に…
団員を率いて撤退をする最中、私はいつもこう思う。
彼の隣りに立つ為に今まで頑張って来た、彼はいつも私を後ろに押し除けて、私の盾になろうとする…
私が買い物に誘う時も、文句を言いながらも付いてくる。
でも、どれだけアピールしても彼は気付かない、心配も…私のこの気持ちも…
不安な気持ちを振り払い、彼の大好物を作る、帰って来たら私から告白しよう、自分にそう言い聞かせながら料理を作る。
ふと、スクロールの存在を思い出して、懐から取り出す。
最終的には絶対結ばれる、もしこの噂が本物なら…私はすがる様な想いでスクロールに魔力を込めた…
どうかお願い、どうか彼を守って…
「おめでとう!大当たりだ!」
何処からかそんな声が響き、スクロールが光り輝くと私の手から消えてしまう。
「3時間後に城門前ねー、遅刻厳禁!」
半信半疑だった、場所どころか時間指定までされたのだから。
しかし、予定通りきっかり3時間後にボロボロになって彼は帰って来た、しかもフェンリルを討伐した証まで持って。
泣きそうになるのを…駆け寄って抱きしめたくなるのをぐっと堪えて…
おかえり…心配したんだよ?
「ただいま、帰って来たろ?」
神様のおかげだね…
「そうか?アイツかなりの捻くれ者だったぜ?」
…あのね
「…あのさ」
…?
「…?」
私達…
「俺達…」
…お先にどうぞ?
「えっお、応…あのさ…俺達付き合わないか?」
…ふぇ…?
「えっいやぁだから、付き合わないか?」
…ホントに大当たりだったんだ…
「何の話?」
ううん、こっちの話…やっと気づいてくれたんだね、その分高く付くからね?
「うへぇ…フェンリルより怖い…」
お夕飯抜きで良い?
「そりゃ無いぜ…」
…
…
…
🔚
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みんなの感想(14件)
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6話までしかなくて悲しいですね。 めちゃくちゃ読みやすいのに。
太蔵絶対いいお父さんなりそうですね。 幸せな家庭気づいて貰いたくなります
いいねぇ~( ⸝⸝•௰•⸝⸝ )
彼女視点ですね!
きっとこの後パインサラダを妹と3人で食べるんですね…
気が利きそうな妹だから…いい所でいなくなりそう…(*´艸`)
尚前回の当たりは副隊長の事だったりする。
全て神様の計算の上って事で有る。
ご要望にお応え出来たかな?
パインサラダはあかんだろ…( ^∀^)
副隊長の名前はクローディアか!…(*´・ω・`)b
隊長はオズマだけどな!