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とある喫茶店にて~店長が♀~
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タイトル通り店長が♀なだけですストーリーはラスト以外ほぼ変わりません
喫茶トリノス、一部の店員が異能を持っていることや戦闘力を除けば普通の喫茶店である、
もう営業時間も終わりに近づき、今日の仕事も終わるところだ
店の入り口に近い席に座り、掃除しているバイトを眺めながらコーヒーを啜る
私はこの店の店長、バイトからはマスターとか店長とか呼ばれている
さて話は変わるが私は今非常に悩んでいる、そうとっても非常に…
「鈴木君鈴木君」
「何ですかマスター、困ったような顔して」
とりあえずバイト三人の中で一番温和そうな男性、鈴木君に相談してみよう、鈴木君ならきっとこの悩みを解決してくれる、メガネだし、イケメンだし。
「相談したいことがあってね、実は…その……なんだが…」
「どうしたんですかマスター?はっきり言ってくれないとわかりませんよ、安心してください、こう見えても僕口は堅いんで、恥ずかしい相談でも誰にも言いませんよ
一人で考え込んでいても解決することは無いとは言いませんが誰に相談したほうがスッキリすると思いますし」
そう微笑みながら言ってくれる鈴木君、素敵な笑顔である、彼は他のバイトと違ってすぐに手が出ることもないし、外見も怖くない、ザ・草食系といった感じの紳士的な男性だ、持ってる能力も全然攻撃的じゃない
うん、彼は優しいから相談しても大丈夫だろうし、一緒に解決策を考えてくれるはずだ、バイトの戦闘力をしっかり考慮して小声で相談せねば…
「うん、他の二人には黙っていてくれるかい、実は今月のb…「ストッ!」
「…。」
私の顔の横に店で使っている包丁が突き刺さった、どうやら厨房から飛んできたようだ、間違いなく今厨房で洗い物をしてる、外科医になろうと勉強中、医大生の吉野さんだろう、彼女はすぐに手が出る、まったくどうしたものか…というかなんで包丁が飛んできたんだろうか、結構小さい声でしゃべったから厨房に声が届くはずもないし、そもそも私は相談事を言い切っていないのだが、彼女はアレか、エスパーだとでもいうのだろうか
「マスタ~、何の話してるんですか?もしよければ私にもお聞かせ願えませんか?テヘッ♪」
テヘッじゃないよまったく、吉野さんが私の胸倉を掴み話しかけてくる、
彼女の能力は体内であらゆる薬物を生産、放出する能力である
身体能力的には普通のどこにでもいる二十代後半の女性であり、持ってる能力も『薬』という比較的優しそうだが全然そんなことはない
基本的に薬物に分類されるなら何でもいいため、血管を広げる作用を持ち心臓の病気の治療薬としての面を持つが、爆薬としての面も併せ持つニトログリセリンを生成、爆破し店を破壊したり、仕事が忙しくて休みたいときに興奮作用を持つ麻薬系の薬を私に射ち込み働かせたりするとても恐ろしい能力だ、というか能力的に外科医より薬剤師だと思うのだが
「…で、お聞かせ願いましょうか、店長は鈴木君に何を相談しようとしてたんですか?」
吉野さんが私を壁に追い詰め胸倉を掴んだ手でぐりぐりと圧迫しながら尋問してくる、痛い、助けて鈴木君!君の能力なら止められる!
「ああ、鈴木君、マスターは私とちょっとオハナシがあるので店内の掃除を続けてください」
「えっ、いやでも…」
「いいからいいから♪」
「ああ待って行かないで鈴木君!」
結局鈴木君は業務へと戻ってしまった、まったく彼は素敵な男性だが、如何せん自分の意思が希薄な気がする、吉野さんは女性で君は男性だろう、少しくらい男らしさを見せたって…
「店長?」
いややっぱ無理だわ、あれだね、この暗い笑顔で見つめられたら逆らうなんてできない、しかし彼女の笑みはお医者さんを目指している人間がしていいものじゃないと思う
「で、店長の相談事って何ですか?まあ、だいたい予想がついてるんで鈴木君を遠ざけたんですけど…」
「言わなきゃダメ?」
「ダ~メ♪」
「そっか、うふふ~」
「あはは~」
おっと、必殺笑って誤魔化すが効いたのか?
ジュワ~
吉野さんの足元のフローリングがなぜか溶け始める、おそらく彼女が強酸性の薬物を生成したのだろう、これで自分の衣服は一切溶かさず、綺麗に店だけ破壊していくのだから詐欺だと思う
「真面目に答えよっか?」
「はい、すいませんでした、実は今月の分の給料が用意できていません」
カシャアン!
店の奥で何かが落ちる音がした、バイト三人のうち最後の一人ドスが今の声を聞きつけショックで鍋でも落としたのだろう、胸倉をつかまれていてもともと声が出しづらく、さらに声量に気を使ったというのに聞きつけやがったか…
「マスター!今月分の給料がn「はい静かに」トスッ
吉野さんが何らかの薬をドスに射ち込み、眠りに落ちるドス、睡眠薬か何かだろうか?まあともかく今月の給料がないことを鈴木君に知られることだけは防げた、優しい彼であればきっと笑って許してくれるだろうがそれでもなかなか伝えづらいこともある
「( ゜д゜)ハッ!今の話マジですか店長!」
そして今明らかに致死量じゃないかってくらいの量の薬を打たれたのに何事もなかったように起き上がる化け物ドス、
彼の能力は肉体そのものと言っていい、厳密に言えば血液らしいが…彼は非常に高い身体能力と毒や薬への驚異的な耐性を備えている、あと顔が黒い。
「もう吉野さんにばれてしまったから今更取り繕っても仕方がない、マジだ」
「マジっすか!?ヤバくないっすかマスター!」
「ヤバいですね…」
あれ?おかしいぞ、いつもの調子なら私が何かやらかしたとき吉野さんが中毒ギリギリの薬を射ち込み、ドスが私をしばき、鈴木君が止めるのが日常だというのに今回は青い顔をしているだけで襲い掛かってこない、まさかさすがに普段やりすぎていると反省してくれたのか?
「吉野先輩、もうこれは俺がマスターを水平線の彼方に放り投げるしか…」
「いえ、私が薬で仮死状態に持っていきましょう、やったことはないですが絶対に成功させて見せます」
違った…こいつら確実に私を亡き者にする気だ、だいたい仮死状態ってなんだ、もう死んでるも同然じゃないか、しかし今回の非は給料を用意できなかった私にある、私の能力である時間操作も封じ、甘んじて罪を受け入れよう…
「ええい!もういい覚悟は決まった!二人とも存分に殺るがいい!」
「黙ってください店長!私たちは崖っぷちな店長を守ろうとしてるだけです!」
「そうですよマスター!」
「今更情けなんてかけるな!君たちは普段のノリで私の息の根を止めるがいい!そんなことしても給料が無いことに変わりはないがな!だから無益な殺生はやめようよ!」
「全然覚悟決まって無いじゃ無いですか店長!だいたいそんな大きな声出したら鈴木君にっ!」
「…給料が……無い…?」
「「「ヒィッ!?」」」
辺りに暗く重いとても低い悪霊のような声が響く、その声はとても小さな呟きだったが耳ではなく脳に直接届く鋭さを持っていた、
「…それって……本当ですか……?」
誰であろうか、そう鈴木君である
「うっうおおおお!マスターはアレだけどここは俺の働いてる店っす!終わらせはしないっ!」
ドスが魔王へと挑む勇者のように鈴木君に立ち向かう、頑張れドス!
「ドス、僕はマスターに聞いているんだ邪魔をしないでくれ」
「うわああああ」
ドスが床に倒れこみ動かなくなる
「確かに店長は酷いけど、殺していい存在じゃない!鈴木君が殺人罪を犯さないために私は戦うわよ、ここは私の店だもの!」
吉野さんが毒手ならぬ薬手を構えそう言い放つ、鈴木君に立ち向かう理由が酷いし、第一ここは私の店だが何にせよありがたい、頑張れ吉野さん!
「吉野さん、確かに貴女の能力は強力だが僕の前では無力だ」
「くっ」
吉野さんもなす術なく突破された、そしてとうとう私の前に鈴木君が現れた
「マスター」
「なるほど、今日は何かがおかしかった、いつもはすぐ襲撃してくるバイト二人が私を守った。
これと比べれば給料が無いことなど小さく見えてこないかい?」
「マスター、給料、無いんですね?」
名推理を披露する探偵の演技は通じないか…なら私の能力を使うまでだ
「鈴木君、私の能力は知っているだろう、時間操作だ、私は時間を止めてここから逃げることも、僅かだが時間を巻き戻し、給料が無いとばれる前に戻ることもできるのだよ」
「マスター、僕の能力は能力の無効化です、お忘れですか?」
「あっはっはそうだったね、すっかり忘れてたよ」
そう、鈴木君の能力は能力の無効化、これによってドスは血液そのものがまともに働かなくなり、吉野さんは普通の女性ほどの力しか無くなり呆気なく突破されたのだ、もちろん私の時間操作も使えない
「さて、マスター」
「はい、何でしょうか?」
「どうするおつもりで?」
「……フッ、体で払おう」
「言いましたね、僕は本気ですよ」
「えっ、ちょっと待って何をする気だい?やめっ、あっ、いやっ」
「二階は自宅でしたね、行きましょうか」
△▽△▽△▽△
私はバイト先の喫茶店で、かけられていたタオルケットを払いのけ目を覚ました。
衣服は喫茶店の制服のままで、椅子で寝ていたせいか体が少し痛い
確かさっき鈴木さんに立ち向かって…そこからの記憶が無い、ふと時計を見るとあれから3時間くらい経っていた
隣を見るとドスが寝ている、おそらく彼も私と似たような状況だろう
店長は無事だろうか?お金に関しては厳しい鈴木君のことだ、腎臓が無くなって無いと良いが…
カウンターの方からすすり泣く声が聞こえる、店長だろうか?正直恐ろしくて確認したくない、薄目で声を聞いて伺おう。
「うっ…ぐすっ……ひっぐ…うう」
「すみません、ちょっと調子に乗りすぎました」
「…はじめて……ひくっ…だったのに……えぐっ」
店長が鈴木さんに食われた!
もともと店長は鈴木君のことを好いていたからそれ故にしっかり断れなかったのだろう、もしかしたら最初は意外と乗り気だったのかもしれない、しかし言動に似合わず乙女思考な店長のことだ、男は皆狼、現実を知って傷ついている、といったところだろうか?
「…優しくしてって…ぐすっ……言ったのに…うぇっ…怖いし…痛いし……ひっぐ…」
「ごめん、」
鈴木さんが店長に土下座している、鈴木さん、いや人間のゴミよ、給料が無い、これは店長が悪い、だからって襲うのは人としてどうかしてるぞ、能力によって命が安い世界とはいえモラルはあるのだ
いや、店長の想いに気づいていた?いやでもそれはそれで最悪だな
「…うっ…責任…ひくっ……とらないと…ゆるさないんだもんっ…ぐすっ…うう…」
「!」
店長…貴女、そこまで鈴木さんのことが……
仕方ない、あんなんでもお世話になってる人だ、こうなったら能力が無くたって全力で店長の想いを最高の結果で実現させてやる、
幸い、あのゴミの人としての能力は低くない、今回ので信頼は地に墜ちたが、昨日までは良い男性の理想像だった奴だ、今はゴミだが…。
ゴミよ、次に店長を泣かせたらその命は無いと思え、能力など無くとも刃物で刺せば人は死ぬのだから。
まあ、その顔を見る限りそんな心配も要らなさそうだが…取り敢えず、明日祝いの品でも買ってこようか
喫茶トリノス、珈琲一杯150円、
女性アルバイトは疲れた顔で、店長は満点の笑顔で営業しています、是非お越しください。
喫茶トリノス、一部の店員が異能を持っていることや戦闘力を除けば普通の喫茶店である、
もう営業時間も終わりに近づき、今日の仕事も終わるところだ
店の入り口に近い席に座り、掃除しているバイトを眺めながらコーヒーを啜る
私はこの店の店長、バイトからはマスターとか店長とか呼ばれている
さて話は変わるが私は今非常に悩んでいる、そうとっても非常に…
「鈴木君鈴木君」
「何ですかマスター、困ったような顔して」
とりあえずバイト三人の中で一番温和そうな男性、鈴木君に相談してみよう、鈴木君ならきっとこの悩みを解決してくれる、メガネだし、イケメンだし。
「相談したいことがあってね、実は…その……なんだが…」
「どうしたんですかマスター?はっきり言ってくれないとわかりませんよ、安心してください、こう見えても僕口は堅いんで、恥ずかしい相談でも誰にも言いませんよ
一人で考え込んでいても解決することは無いとは言いませんが誰に相談したほうがスッキリすると思いますし」
そう微笑みながら言ってくれる鈴木君、素敵な笑顔である、彼は他のバイトと違ってすぐに手が出ることもないし、外見も怖くない、ザ・草食系といった感じの紳士的な男性だ、持ってる能力も全然攻撃的じゃない
うん、彼は優しいから相談しても大丈夫だろうし、一緒に解決策を考えてくれるはずだ、バイトの戦闘力をしっかり考慮して小声で相談せねば…
「うん、他の二人には黙っていてくれるかい、実は今月のb…「ストッ!」
「…。」
私の顔の横に店で使っている包丁が突き刺さった、どうやら厨房から飛んできたようだ、間違いなく今厨房で洗い物をしてる、外科医になろうと勉強中、医大生の吉野さんだろう、彼女はすぐに手が出る、まったくどうしたものか…というかなんで包丁が飛んできたんだろうか、結構小さい声でしゃべったから厨房に声が届くはずもないし、そもそも私は相談事を言い切っていないのだが、彼女はアレか、エスパーだとでもいうのだろうか
「マスタ~、何の話してるんですか?もしよければ私にもお聞かせ願えませんか?テヘッ♪」
テヘッじゃないよまったく、吉野さんが私の胸倉を掴み話しかけてくる、
彼女の能力は体内であらゆる薬物を生産、放出する能力である
身体能力的には普通のどこにでもいる二十代後半の女性であり、持ってる能力も『薬』という比較的優しそうだが全然そんなことはない
基本的に薬物に分類されるなら何でもいいため、血管を広げる作用を持ち心臓の病気の治療薬としての面を持つが、爆薬としての面も併せ持つニトログリセリンを生成、爆破し店を破壊したり、仕事が忙しくて休みたいときに興奮作用を持つ麻薬系の薬を私に射ち込み働かせたりするとても恐ろしい能力だ、というか能力的に外科医より薬剤師だと思うのだが
「…で、お聞かせ願いましょうか、店長は鈴木君に何を相談しようとしてたんですか?」
吉野さんが私を壁に追い詰め胸倉を掴んだ手でぐりぐりと圧迫しながら尋問してくる、痛い、助けて鈴木君!君の能力なら止められる!
「ああ、鈴木君、マスターは私とちょっとオハナシがあるので店内の掃除を続けてください」
「えっ、いやでも…」
「いいからいいから♪」
「ああ待って行かないで鈴木君!」
結局鈴木君は業務へと戻ってしまった、まったく彼は素敵な男性だが、如何せん自分の意思が希薄な気がする、吉野さんは女性で君は男性だろう、少しくらい男らしさを見せたって…
「店長?」
いややっぱ無理だわ、あれだね、この暗い笑顔で見つめられたら逆らうなんてできない、しかし彼女の笑みはお医者さんを目指している人間がしていいものじゃないと思う
「で、店長の相談事って何ですか?まあ、だいたい予想がついてるんで鈴木君を遠ざけたんですけど…」
「言わなきゃダメ?」
「ダ~メ♪」
「そっか、うふふ~」
「あはは~」
おっと、必殺笑って誤魔化すが効いたのか?
ジュワ~
吉野さんの足元のフローリングがなぜか溶け始める、おそらく彼女が強酸性の薬物を生成したのだろう、これで自分の衣服は一切溶かさず、綺麗に店だけ破壊していくのだから詐欺だと思う
「真面目に答えよっか?」
「はい、すいませんでした、実は今月の分の給料が用意できていません」
カシャアン!
店の奥で何かが落ちる音がした、バイト三人のうち最後の一人ドスが今の声を聞きつけショックで鍋でも落としたのだろう、胸倉をつかまれていてもともと声が出しづらく、さらに声量に気を使ったというのに聞きつけやがったか…
「マスター!今月分の給料がn「はい静かに」トスッ
吉野さんが何らかの薬をドスに射ち込み、眠りに落ちるドス、睡眠薬か何かだろうか?まあともかく今月の給料がないことを鈴木君に知られることだけは防げた、優しい彼であればきっと笑って許してくれるだろうがそれでもなかなか伝えづらいこともある
「( ゜д゜)ハッ!今の話マジですか店長!」
そして今明らかに致死量じゃないかってくらいの量の薬を打たれたのに何事もなかったように起き上がる化け物ドス、
彼の能力は肉体そのものと言っていい、厳密に言えば血液らしいが…彼は非常に高い身体能力と毒や薬への驚異的な耐性を備えている、あと顔が黒い。
「もう吉野さんにばれてしまったから今更取り繕っても仕方がない、マジだ」
「マジっすか!?ヤバくないっすかマスター!」
「ヤバいですね…」
あれ?おかしいぞ、いつもの調子なら私が何かやらかしたとき吉野さんが中毒ギリギリの薬を射ち込み、ドスが私をしばき、鈴木君が止めるのが日常だというのに今回は青い顔をしているだけで襲い掛かってこない、まさかさすがに普段やりすぎていると反省してくれたのか?
「吉野先輩、もうこれは俺がマスターを水平線の彼方に放り投げるしか…」
「いえ、私が薬で仮死状態に持っていきましょう、やったことはないですが絶対に成功させて見せます」
違った…こいつら確実に私を亡き者にする気だ、だいたい仮死状態ってなんだ、もう死んでるも同然じゃないか、しかし今回の非は給料を用意できなかった私にある、私の能力である時間操作も封じ、甘んじて罪を受け入れよう…
「ええい!もういい覚悟は決まった!二人とも存分に殺るがいい!」
「黙ってください店長!私たちは崖っぷちな店長を守ろうとしてるだけです!」
「そうですよマスター!」
「今更情けなんてかけるな!君たちは普段のノリで私の息の根を止めるがいい!そんなことしても給料が無いことに変わりはないがな!だから無益な殺生はやめようよ!」
「全然覚悟決まって無いじゃ無いですか店長!だいたいそんな大きな声出したら鈴木君にっ!」
「…給料が……無い…?」
「「「ヒィッ!?」」」
辺りに暗く重いとても低い悪霊のような声が響く、その声はとても小さな呟きだったが耳ではなく脳に直接届く鋭さを持っていた、
「…それって……本当ですか……?」
誰であろうか、そう鈴木君である
「うっうおおおお!マスターはアレだけどここは俺の働いてる店っす!終わらせはしないっ!」
ドスが魔王へと挑む勇者のように鈴木君に立ち向かう、頑張れドス!
「ドス、僕はマスターに聞いているんだ邪魔をしないでくれ」
「うわああああ」
ドスが床に倒れこみ動かなくなる
「確かに店長は酷いけど、殺していい存在じゃない!鈴木君が殺人罪を犯さないために私は戦うわよ、ここは私の店だもの!」
吉野さんが毒手ならぬ薬手を構えそう言い放つ、鈴木君に立ち向かう理由が酷いし、第一ここは私の店だが何にせよありがたい、頑張れ吉野さん!
「吉野さん、確かに貴女の能力は強力だが僕の前では無力だ」
「くっ」
吉野さんもなす術なく突破された、そしてとうとう私の前に鈴木君が現れた
「マスター」
「なるほど、今日は何かがおかしかった、いつもはすぐ襲撃してくるバイト二人が私を守った。
これと比べれば給料が無いことなど小さく見えてこないかい?」
「マスター、給料、無いんですね?」
名推理を披露する探偵の演技は通じないか…なら私の能力を使うまでだ
「鈴木君、私の能力は知っているだろう、時間操作だ、私は時間を止めてここから逃げることも、僅かだが時間を巻き戻し、給料が無いとばれる前に戻ることもできるのだよ」
「マスター、僕の能力は能力の無効化です、お忘れですか?」
「あっはっはそうだったね、すっかり忘れてたよ」
そう、鈴木君の能力は能力の無効化、これによってドスは血液そのものがまともに働かなくなり、吉野さんは普通の女性ほどの力しか無くなり呆気なく突破されたのだ、もちろん私の時間操作も使えない
「さて、マスター」
「はい、何でしょうか?」
「どうするおつもりで?」
「……フッ、体で払おう」
「言いましたね、僕は本気ですよ」
「えっ、ちょっと待って何をする気だい?やめっ、あっ、いやっ」
「二階は自宅でしたね、行きましょうか」
△▽△▽△▽△
私はバイト先の喫茶店で、かけられていたタオルケットを払いのけ目を覚ました。
衣服は喫茶店の制服のままで、椅子で寝ていたせいか体が少し痛い
確かさっき鈴木さんに立ち向かって…そこからの記憶が無い、ふと時計を見るとあれから3時間くらい経っていた
隣を見るとドスが寝ている、おそらく彼も私と似たような状況だろう
店長は無事だろうか?お金に関しては厳しい鈴木君のことだ、腎臓が無くなって無いと良いが…
カウンターの方からすすり泣く声が聞こえる、店長だろうか?正直恐ろしくて確認したくない、薄目で声を聞いて伺おう。
「うっ…ぐすっ……ひっぐ…うう」
「すみません、ちょっと調子に乗りすぎました」
「…はじめて……ひくっ…だったのに……えぐっ」
店長が鈴木さんに食われた!
もともと店長は鈴木君のことを好いていたからそれ故にしっかり断れなかったのだろう、もしかしたら最初は意外と乗り気だったのかもしれない、しかし言動に似合わず乙女思考な店長のことだ、男は皆狼、現実を知って傷ついている、といったところだろうか?
「…優しくしてって…ぐすっ……言ったのに…うぇっ…怖いし…痛いし……ひっぐ…」
「ごめん、」
鈴木さんが店長に土下座している、鈴木さん、いや人間のゴミよ、給料が無い、これは店長が悪い、だからって襲うのは人としてどうかしてるぞ、能力によって命が安い世界とはいえモラルはあるのだ
いや、店長の想いに気づいていた?いやでもそれはそれで最悪だな
「…うっ…責任…ひくっ……とらないと…ゆるさないんだもんっ…ぐすっ…うう…」
「!」
店長…貴女、そこまで鈴木さんのことが……
仕方ない、あんなんでもお世話になってる人だ、こうなったら能力が無くたって全力で店長の想いを最高の結果で実現させてやる、
幸い、あのゴミの人としての能力は低くない、今回ので信頼は地に墜ちたが、昨日までは良い男性の理想像だった奴だ、今はゴミだが…。
ゴミよ、次に店長を泣かせたらその命は無いと思え、能力など無くとも刃物で刺せば人は死ぬのだから。
まあ、その顔を見る限りそんな心配も要らなさそうだが…取り敢えず、明日祝いの品でも買ってこようか
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