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チュチュン  チュリン

後輩「あ、朝……今日は、学校だよね、うん」

後輩「……あれ、なんだろ……頭がフラフラする」

後輩「あうあー……熱計ろっと……」

後輩母「あんたどうしたの!顔真っ赤じゃない!」

後輩「……どうりで調子、悪いと思った」

後輩母「すぐに熱を測りなさいな」

後輩「言われなくてもそのつもりでだってば……」

ピピピッ

後輩母「39度……凄い熱だわ。今日は学校を休みなさい」

後輩「でも……」

後輩母「でもじゃない」

後輩「……ふぁい」


男「……」

シャワワー

男「こんなもんで、いいか」

男(……後輩)


男『後輩のクラス……確かここだったよな』

後輩友『あ』

男『ん?』

後輩友『後輩なら今日は学校休んでますよ』

男『む、そうか……ありがとう』

後輩友『あなたが……先輩さん、ですか?』

男『そうだが、キミは?』

後輩友『後輩がいつもお世話になっているようで。あの子の友人です』

男『世話をしなくてもしっかりしてるから特に世話はしてないが』

後輩友『しっかりしてるように見えますけど、意外と抜けてるんですよ?あの子』

男『あー、確かに。言われてみればどっか抜けてる気はする』

後輩友『……話に聞いてた通り。面白い人ですね、先輩』

男『そうか?』

後輩友『後輩のこと、よろしくお願いします』

男『んー……面白い人に任せて大丈夫?』

後輩友『面白い人だから、ですよ。ふふふ』


男「なんか知らんが頼まれてしまったからな。行くとするか」


後輩「うー……すっごい暇だー……」

後輩「こうダルいとゲームなんてする気も起きないし……」


ピーンポーン


後輩「あれ?誰か来た……

後輩(もしかして、友かな?)

後輩「はーい、今出ますー」

後輩「友ー?暇すぎて死にそうだったよー」

ガチャ

男「む……そりゃ大変だ」

後輩「せ、せんぱいっ!?」


男「風邪だったらしいね、大丈夫?」

後輩「あ、は、はい!」

後輩(パジャマ姿な上に髪の毛ぼさぼさ……うぅ、最悪)

男「まだ顔が赤いな。無理してるんじゃないか?」

後輩「い、いえその……熱はだいぶ収まったので、平気です」

男「本当か?」

ピトッ

後輩「あ……ふぇ……?」

男「やっぱりまだ熱、あるんじゃないか?」

後輩(先輩の顔が近くに……私はパジャマで……先輩の目、綺麗だな……)

後輩「ふぇあ……」

プシュー  
バタン

男「だ、大丈夫か!?後輩!後輩!?」


後輩母「ごめんなさいね。私がついていれたらよかったんだけれど」

男「いえ、なんか自分のせいで余計無理させちゃったみたいで申し訳ないです」

後輩母「そんなことないと思うわよ?」

男「それじゃ……後輩がこれ以上無理してもいけないんで、自分帰ります」

後輩母「あら、もう少しゆっくりしていったら……」

男「いえ……」

ギュ 

男「……?」

後輩「せん……ぱい」ギュゥゥ

男「……すいません。もう少しいてもいいですか?」ポフ

後輩母「えぇ、もちろんよ。ふふふ」


後輩「迷惑なんかじゃ、無かったですよ……?」

男「なんだ、聞いてたのか」

後輩「変なとこ気にするんですもん、先輩は」

男「最近よく変だと言われるぞ」

後輩「あはは、前からですよ。少なくとも私の知ってる先輩はずっと変です」

男「むむ、失礼極まりないな」

後輩「私も割と変ですから、気にしないでください」

男「それもそうだな」

後輩「そこは否定してくださいよー、もー……っけほ」


男「本当に、大丈夫なのか?」

後輩「大丈夫ですよ……少なくとも、先輩のせいではないですから気にしないでください」

男「……そうか」

後輩「熱が上がってくると、何でか気分が高ぶりますよね不思議と」

男「確かに、風邪の時とかむしょうに遊びたくなったりするな」

後輩「ゲーム、します?」

男「気にしすぎな先輩のためにも、早く治して欲しいところだな」

後輩「はぁい、分かりまし、た……」

フラ

男「っ!」

後輩「すぅー……すぅー……」

男「……なんだ。寝ただけ、か……」


後輩母「入っても大丈夫かしら?」ガチャ

男「あ、はい。寝ちゃったみたいです」

後輩母「落ち着いたみたいで、良かったわ……ところで先輩くん、時間大丈夫なの?」

男「……っと、もうこんな時間」

後輩母「心配してくれるのはありがたいけど、あなたの親御さんを心配させるわけにもいかないわ」

男「……そう、ですね。今日はお邪魔しました」

後輩母「お邪魔だなんて、そんなことないわ。またいつでもいらっしゃい」

男「そうさせてもらいます。後輩によろしく伝えておいてください」


後輩「すー……くー……」

後輩母「幸せそうに寝ちゃってこの子は……」
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