上 下
4 / 19

4

しおりを挟む
後輩「……はっ……はっ」

キキキキィィィ

後輩「せ、せんぱぁい!お、おはようございますぅ……」

男「ん、おはよう。随分と大変だったみたいだね」

後輩「は……はい……」

後輩(あーでもないこーでもないと考えてたらいつの間にか……)

男「ま、こっちもさっき来たばかりだから急がなくて大丈夫だったけどね」

後輩「はぁ……そ、そう……でしたか……はぁ」

男「とりあえず、落ち着くまでどっか座ろうか」

後輩「は、はい……すいません……」


後輩「昨日の方は、妹さんだったんですね」

男「あぁ、ほんと申し訳ない。勝手に電話に出たりしないようきつく言っておいたから」

後輩「い、いえ……私はてっきり……」

男「てっきり?」

後輩「……な、なんでもないです!」

男「ふーん……で、そろそろ落ち着いたか?」

後輩「あ、はい……ほんと、お時間取らせちゃってすいません」

男「時間取られるくらいなんてことないよ。それじゃ、行こうか」

後輩「はいっ!」


ジャララララ ジャララララ

男「こっちは大型店舗だけあって音も凄いな」

後輩「あの……今更ですが、やっぱりこういうとこ苦手ですか?」

男「ん-、大きい音は得意じゃないけど……ゲームが嫌いなわけじゃないから心配しなくていいよ」

後輩(……ほっ」

男「それで、今日はどんなゲームするんだ?」

後輩「えーっと、ですね」

後輩(アーケード系は独りの世界に行って失敗ばかりだから……適当に)

後輩「こんなんどうでしょう?」ビシッ


男「なるほど、こういうのも悪くないな」

バン! バン!
ヴォー ウォー

後輩「は、はいぃ、で、で、ですねぇ……」

後輩(ひ、ひいええええ!!)

男「こういうのも、好きなのか?」

バババン!

後輩「え、えと……初めてです、今日が」

後輩(あ、頭が飛んだぁぁぁぁ!!)

男「そっか、後輩でもやらないゲームがあるんだな……っと」

ガリッ

後輩「ひっ!」

後輩(画面が血でまっかっかに……)


GAME OVER


男「あ、終わっちゃったな」

後輩「や、やっぱり初めてだと、む、難しいですね……」

男「俺がもう少し上手かったらな」

後輩「十分お上手だと思いますが……」

男「ほう、後輩にそう言ってもらえると頼もしいな」

後輩(……やっぱり、普通にゲームしてたらいつも通りになっちゃう)


後輩「ねぇ、先輩」

先輩「ん?」

後輩「今日はゲームを見て回りませんか?先輩もゆっくり見たことないですよね?」

男「んー、そうだな……たまにはいいかもしれない」

後輩「私、飲み物買ってきますよ!何がいいですか?」

男「後輩は、何が飲みたい?」

後輩「私ですか?私は……コーラですかね」

男「ん、OK。ここで待っててくれ」

スタスタ

後輩「……あれ?」


男「これは……クイズゲーム?こんなのもあるのか」

後輩「あ、これ。私やってたことありますよ」

カード発行 一枚『300円』

男「カードが必要なのか」

後輩「カード無しでも出来ますけど……せっかくですし私のカード使いましょう」

ピローン  レベル50

男「結構レベル高いんだな」

後輩「一時期ハマってやってたんで……あ、始まりますよ」

問題『漫画家手塚治虫の作品で無免……』

ピローン

男「問題最後まで言ってないぞ?」

後輩「今のとこまで聞けば分かりますよ。『ブラック・ジャック』と」

ピロリローン 正解!

男「おー、やるもんだ」


問題『もしあなたが、それを十分に愛するなら。どんなものでも、あなたに話しかけてくれるでしょう。
という言葉を残した、アメリカの植物学者は誰でしょう?』

後輩(うぐ……名言とか苦手なんだよね……さっぱりだ……)

ぴと

後輩「へっ!?せ、せんぱいっ!?」

後輩(先輩の手が私の手の上に……)

ピローン

男「『ジョージ・ワシントン・カーヴァー』」

ピロリローン  正解!

後輩「す、すごいです先輩……」ドキドキ

男「はは。十数問の中で一問だけ出来て凄いなら、後輩は超人だな」

後輩(あ、手が離れちゃった。もうちょっと……なんて)


『結果発表 一位!』 テレーン

後輩「やった、やりましたよ先輩!」

男「まぁ、ほとんど後輩が答えてたけど」

後輩(やば……また私一人で楽しんでたかな……)

男「よっと」

チャリンチャリン ピーッ

後輩「あれ?先輩何してるんですか?」

男「結構面白かったから、カードを作っておこうかとね」

男「今度は二問ぐらい解けるように頑張っておくよ」

後輩(今度ってことは……) 

後輩「はいっ!」
しおりを挟む

処理中です...