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最終話
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とある国の、とある森の奥。
人里離れた場所に立つその屋敷には、恐ろしい吸血鬼の夫婦が住んでいる。
その森に迷い込んだものは、二度と帰ってくることはないという。
「ノル様、おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「先ほど、エルシンク様がいらっしゃっておりましたよ」
「……何か言っていたか」
「前にも増して綺麗になった、と言われました」
「ふむ、そうか。次に来たときは首をねじ切ってやろう」
「それはいけません。次に来るときは王室御用達のプリンをもってきてくださる予定ですので」
「あいつが?」
「はい。もしも嘘をつかれたら、私が首をねじ切りますわ」
「……それならば、仕方ないか」
「ノル様も一度食べてみてはいかがですか?」
「……いや、私はこちらで十分だ」
「あっ……」
もしもその森を通る必要があるのならば、美味しいプリンを持ち歩くとよい。
もしかすると見逃してもらえることも、あるかもしれない。
――――エルシンク家当主、ここに記す
人里離れた場所に立つその屋敷には、恐ろしい吸血鬼の夫婦が住んでいる。
その森に迷い込んだものは、二度と帰ってくることはないという。
「ノル様、おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「先ほど、エルシンク様がいらっしゃっておりましたよ」
「……何か言っていたか」
「前にも増して綺麗になった、と言われました」
「ふむ、そうか。次に来たときは首をねじ切ってやろう」
「それはいけません。次に来るときは王室御用達のプリンをもってきてくださる予定ですので」
「あいつが?」
「はい。もしも嘘をつかれたら、私が首をねじ切りますわ」
「……それならば、仕方ないか」
「ノル様も一度食べてみてはいかがですか?」
「……いや、私はこちらで十分だ」
「あっ……」
もしもその森を通る必要があるのならば、美味しいプリンを持ち歩くとよい。
もしかすると見逃してもらえることも、あるかもしれない。
――――エルシンク家当主、ここに記す
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