にゃこがやってきた

冴條玲

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こねこもらって

猫を捨てる人【前編】

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譲渡実績がたくさんある譲渡会、保護団体だから、スタッフさんは誰より猫のことを知っているだろう――
そう考えてしまう人は、スタッフさん自身も含めて多いと思われますが、残念ながら、全然、わかってない知らない人が多いのが現実です。
『可愛い子猫のうちだけ可愛がって、あとは譲渡』という保護団体のお仕事は、猫を飼うのとは違います。
『里親がつかない猫は施設のケージで管理・飼育』という保護団体のお仕事も、猫を家族に迎えるのとは違います。

保護活動家のうち、猫を家族に迎えて終生飼育を完遂までした経験がない人は、そこの違いを知らず、『完全に理解したの法則』こと『ダニング=クルーガー効果』の『馬鹿の山』に登って天狗になってしまっていることがままあります。
そうでもなければ、里親の審査なんて馬鹿なこと、するはずがないから。
※ 『完全に理解したの法則』を知らない人は、面白いので、是非、調べてみて下さい。
あらかじめ完璧な里親を審査して探すという考え方が既に間違いなのです。
ペットショップのように、猫への愛だけを問い、愛がある人には飼育方法をアドバイス、よい飼い主に育てるべきなのです。

譲渡会や保護団体の悪口を言いたいわけではなく、譲渡会や保護団体による間違いだらけの情報や審査を信じて猫をもらったあげく、『猫を捨てる人』になって欲しくないから。
保護団体の情報提供は逆効果なんです。
猫を家族として迎えた誰もが、『ダニング=クルーガー効果』の『絶望の谷』を経験するものですが、その谷を知らない保護団体に適切なアドバイスはできません。
猫6匹の多頭飼いをして全頭、終生飼育を完遂した知人がいますが、人懐こいガゼルはもちろん、人見知りで知らない人の前には姿さえ見せないことが多いエトランジュまで、3時間で手懐けました。
彼は明らかに『啓蒙の坂』を登り切った人です。
譲渡してるだけ、ケージで管理してるだけの人達とは猫についての知識が天と地ほど違います。

本題ですが、とある保護団体が『ペットショップで猫を買ってくる人に無責任に捨てられる猫はこんなに可哀相』と言いたいらしい動画を配信していて、たくさんの高評価がついていたのですが、内容が『馬鹿の山』にも程があったので、よくある勘違いとみなして、その動画に突っ込む形で、話を進めてみたいと思います。
「僕は私はこんな非道で無責任な飼い主じゃないから大丈夫!」という、間違った自信をつけてアドバイザー不在のまま猫をもらって『絶望の谷』に落ちた時、あなたは絶対にならないはずだった『猫を捨てる人』になってしまうかもしれないのだから。

さて、その動画は一匹の可愛い子猫が、ペットショップで買われてきたところから始まります。
可愛い子猫のうちは可愛がってもらえて、豪華なキャットフード、誕生日も祝ってもらえて、ぼくは家族が大好き!
という薔薇色の日々から始まります。
ここで最初のツッコミ。
1歳の誕生日、猫はすでに子猫じゃねぇ!Σq
知らないと多頭飼育崩壊の大惨事ですよ。
猫は生後半年くらいでほぼ成猫となり、発情期を迎えます。
特にメスの子猫については避妊手術をするかしないか、迎えてすぐに方針を決めて、子猫を産ませたくない場合は適切な時期に早急に施術しないと、一度の脱走でほぼ孕んできます。
「あの動画では、1歳の誕生日はまだ子猫だったから、まだ先のことだと思って…」
なんて、孕んでしまってからオロオロしても後の祭りです。
「どうしよう、こんなにたくさん飼えない… こんなにたくさん避妊手術するお金ない… 絶望しかない… メ、メスはすぐに捨てるしか…!」
こうして爆誕する『猫を捨てる人』。

動画の次のシーンは、
子猫のうちは、それはそれは可愛がってもらった僕でしたが、成猫になったら粗末なエサになって、おもちゃをくわえて遊んでもらえるのを待っても、待っても、遊んでもらえなくなるというものでした。
ここで次なるツッコミ。
「成猫になったら粗末なエサになる」のは仕様です。
むしろ、成猫に子猫と同じ調子でエサをあげていたのではデブリングになって、様々な病気を引き起こしますので、そっちが虐待です。
子猫というのは100gほどで生まれて、半年で30倍の3000gほどになるのですから、子猫期に必要なエネルギー量はたいへんなものです。
成猫には子猫よりたくさんのエサが必要なはず、などと思い込みで与えず、子猫には子猫用、成猫には成猫用のフードを買って、パッケージに書かれた目安量を目安に給餌して下さいね。
このシーンにはもう一つ、ツッコミどころがあります。
オモチャをくわえてワンコのようにおとなしく、遊んでもらえるのを待つ猫などまずいません。
多くの猫は、飼い主の邪魔をするのが大好きなアマノジャクです。
「今、忙しいんだね! 僕と遊べー!」
新聞を広げていれば新聞の上に座り込み、
パソコンに向かっていればキーボードのど真ん中を通って謎語を打ち込んだあげくゴロゴロにゃんこ、
料理をしていれば包丁を使っていようがお構いなしでまな板や背中に飛び乗って来る――
危険極まりないミニライオンなのです!( ゚Д゚)9
構ってくれなきゃイタズラするぞ、毎日がハロウィーン✨(∩´∀`)∩
猫のしつけは可能ですが、難度高いです。
猫をしつけることはできないと誤解してる人も多いレベルです。
ぶっちばーちゃんは17歳までツメとぎのしつけすら諦められていました。
そこで爪といじゃダメ! ってとこでとぎまくって、実家のあちこちをズタボロにしていたものです。
叱ってみたり、ご褒美を用意してみたり、しつけようと努力してるのにしつかない、そんな時に理解のない家族から投げつけられる、心ない怒声。
「猫のしつけくらい、責任もってきちんとやれよ!」
どうしてわかってくれないの、こんなに大切にしてるのに、なんにも言うこと聞いてくれない、愛猫の考えてることがなんにもわからない、どうやってしつけたらいいの、もう駄目だ――
こうして飼い主は『絶望の谷』に落ち、家族からのクレームに耐えかねて、『猫を捨てる人』となってしまうのです。

○ 後編に続きます ○
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