にゃこがやってきた

冴條玲

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こたつ布団は自動ドアがいいナァ

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こたつ布団をめくって欲しいにゃこ、「ナァ」と鳴きながら肩ぽん。

次には鳴くのが面倒になって肩ぽん。だけ。

次には肩まで手をあげるのが面倒になって腕ぽん。

次には腕まで手をあげるのも面倒になって足ぽん。

これ以上の怠慢はもうできまいと思ったけど、甘かった。

次にはよく寝たナァと、伸びをするついでの足ぽん。

だが待て、ぶち雪姫様よ。

伸びをした拍子に爪が立って、召使の服に引っかかって外せないではないか。

こたつに入れないぶち雪姫様。

そもそも、召使にめくらせなくても入れるんだけどね?

爪が外れなくなって、かえって悪戦苦闘することになるのに懲りないぶち雪姫様。

召使が台所に洗い物に立つと、すぐに、「なぁーご」「なぁーご」と鳴きながら探しに来るぶち雪姫様。

そしてやっぱり、こたつ布団をめくって欲しいぶち雪姫様。

だいぶ待つのだ、ぶち雪姫様よ。

どう考えても、自分でこたつに入った方が楽ではないか。

「ナァ」の一声をかけるのももう面倒なのに、こたつ布団をめくってもらうために冬の台所まで追ってきて、「なぁーご」「なぁーご」と鳴きまくるのは面倒じゃないのか。

ぶち雪姫様は足し算も引き算もしないのだ。

こたつ布団をめくってくれる召使が見当たらなくなったら、探す手間とかそういうことを考えたりはしないのだ。

召使が買い物に出てる時は、諦めて自分でこたつに入るけど、
召使が在宅であるからには、なんとしても召使にこたつ布団をめくらせねばならないのだ。



これは、ぶち雪姫様の優雅で怠惰で、時にスリリングな日々の記録である。
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