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サイファ ~迦陵頻伽みたいな声~

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 なるべく冷えないように、膝に座らせて左腕で抱いたら、デゼルが首まで赤くして、びくりと身を震わせた。
 ふふ、可愛い。
 胸の奥がとけるような甘さに熱くなって、デゼルを洗ってあげながら、指先をつい、白い肌にすべらせた。ら。
 デゼルが甘い声で啼いたんだ。
 わ、綺麗な声。どうしよう、抱きたい。
 違う、そうじゃなくて。
 デゼルが甘い声で僕を呼んだから。
 
「なに?」

 魔が差して、デゼルの耳元でクスっと笑って、首筋に唇を寄せたら、デゼルがもっと甘く啼いた。

 ――天上の鳥の声みたい。

 どうしよう、このデゼル。
 デゼルの身体に負担をかけたら駄目だって、わかってるんだけど。
 僕の中に、デゼルの甘い声をもっと聴きたい僕がいて。
 たまらなかったみたいで、デゼルが身をよじって僕にすがりついてきた。
 ほんとに、どうしよう。すごく可愛くて、嬉しい。

「デゼル、気持ちいいの? そんなにしがみつかれると洗えないんだけど――」

 泣いてるデゼルが綺麗で、しばらく見詰めた後、目を伏せて、そっと、唇を重ねた。

「あ、そっか。そのまま、しがみついててね。離れると冷えるから。先に背中から洗えばいいんだ」
「えぇっ」

 あは、可愛い。
 デゼルは膨らみ始めたばかりの胸を、僕の胸に押しつけたようなかっこうなんだけど。デゼル、このままでいられるのかな。
 可愛らしく耳まで紅潮させて、苦しそうなのに、僕にそのままでって言われたから、そのままでいようとしてて。

「はっ…あ……」
「とっても、甘くて綺麗な声。僕のこと、呼んでみて?」
「サイファ…様……」

 すごく可愛いんだけど、これ、デゼルの身体にきっと負担だよね。
 なるべく手際よく、洗ってあげなくちゃ。

「ねぇ、デゼル。僕のこと好き?」

 僕にしがみついたままのデゼルが、こくんとうなずいたから。
 胸がいよいよ甘く熱くなって、デゼルを抱く腕に、つい、力を込めてしまったけど。デゼル、大丈夫だったかな。苦しくなかったかな。

「おねだりしたら、なんでも、してあげるよ」
「……? なんでも、いいの?」
「うん」
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