12 / 12
本物の初恋を知ったベルメル
しおりを挟む
ゼルダ様への初恋が二度も破れ、僕はすっかり意気消沈して、トボトボと部署に戻りかけていました。
その僕を、廊下ですれ違った女の子が呼び止めました。お茶汲みのマルガリータさんです。
「あの、これ……!」
可愛らしく、頬を桜色に染めたマルガリータさんが、可愛い花柄の白い封筒を僕に差し出しました。
――えぇえ!?
僕の心拍数は、途端に跳ね上がりました。初恋の痛みなんて吹っ飛びました。
――だって!!
これは、もしかして、ラブレターですか!? ラブレターですよね!?
僕、ラブレターなんて頂くの、初めてです!
それも、こんなに可愛い女の子からだなんて。
ゼルダ様の手ほどきで、僕もようやく、たくましくて頼りがいのある男になれたんでしょうか。
そうです、恋は女の子とするものです。
ゼルダ様はそれは優秀で見目麗しい御方でしたが、若気の至り、気の迷いです!
今、僕は本物の初恋を知りました!
この胸の高鳴りを、ああ、どうしたら!!
「ゼルダ様に渡してくださいっ!」
――僕、やさぐれてもいいですか。
**――*――**
三年の月日が経ちました。
この春、僕はマルガリータさんと結婚しました。
マルガリータさんは、ゼルダ様に「えぇと、私の四番目の妃になりたいってこと?」と聞かれて、自爆なさったそうです。
何でも、ゼルダ様にはもう、三人ものお妃様とお子様がいらっしゃるなんて、夢にも思わなかったそうです。
そして、恋破れたマルガリータさんは、ふと、ラブレターを渡す役を、怒らずに引き受けてくれた僕を優しいと思ったそうです。
僕は、はやまって、やさぐれなくてよかったです。
● めでたし ●
その僕を、廊下ですれ違った女の子が呼び止めました。お茶汲みのマルガリータさんです。
「あの、これ……!」
可愛らしく、頬を桜色に染めたマルガリータさんが、可愛い花柄の白い封筒を僕に差し出しました。
――えぇえ!?
僕の心拍数は、途端に跳ね上がりました。初恋の痛みなんて吹っ飛びました。
――だって!!
これは、もしかして、ラブレターですか!? ラブレターですよね!?
僕、ラブレターなんて頂くの、初めてです!
それも、こんなに可愛い女の子からだなんて。
ゼルダ様の手ほどきで、僕もようやく、たくましくて頼りがいのある男になれたんでしょうか。
そうです、恋は女の子とするものです。
ゼルダ様はそれは優秀で見目麗しい御方でしたが、若気の至り、気の迷いです!
今、僕は本物の初恋を知りました!
この胸の高鳴りを、ああ、どうしたら!!
「ゼルダ様に渡してくださいっ!」
――僕、やさぐれてもいいですか。
**――*――**
三年の月日が経ちました。
この春、僕はマルガリータさんと結婚しました。
マルガリータさんは、ゼルダ様に「えぇと、私の四番目の妃になりたいってこと?」と聞かれて、自爆なさったそうです。
何でも、ゼルダ様にはもう、三人ものお妃様とお子様がいらっしゃるなんて、夢にも思わなかったそうです。
そして、恋破れたマルガリータさんは、ふと、ラブレターを渡す役を、怒らずに引き受けてくれた僕を優しいと思ったそうです。
僕は、はやまって、やさぐれなくてよかったです。
● めでたし ●
0
お気に入りに追加
4
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
魔王復活!
大好き丸
ファンタジー
世界を恐怖に陥れた最悪の魔王ヴァルタゼア。
勇者一行は魔王城ヘルキャッスルの罠を掻い潜り、
遂に魔王との戦いの火蓋が切って落とされた。
長き戦いの末、辛くも勝利した勇者一行に魔王は言い放つ。
「この体が滅びようと我が魂は不滅!」
魔王は復活を誓い、人類に恐怖を与え消滅したのだった。
それから時は流れ―。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)
【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます
ユユ
ファンタジー
“美少女だね”
“可愛いね”
“天使みたい”
知ってる。そう言われ続けてきたから。
だけど…
“なんだコレは。
こんなモノを私は妻にしなければならないのか”
召喚(誘拐)された世界では平凡だった。
私は言われた言葉を忘れたりはしない。
* さらっとファンタジー系程度
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
幻贖のランプ 〜抗進する者たち〜
@panope
ファンタジー
共生する動物と共に生きるために体に宿る力。
同族はそれを"幻贖の力"と呼ぶ。
そんな力を持ちながらも、異能を宿さない者たちから身を隠し、生きてきた者たちがいた。
彼らは少数の仲間と共に、ひっそりと時を刻んできた。
幼い頃に両親を失った18歳の少女、パニー。
ある日、彼女は異能を持たない者たちが暮らす外の世界へ踏み出すことを決意する。
亡くなったとされる両親の生存を信じ、大好きな故郷の発展を願う。
ただひたむきに"幸せ"を追い求める彼女。
そんな、パニーの”幸せの叶え方”とは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる