ベルメルは見た

冴條玲

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本物の初恋を知ったベルメル

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 ゼルダ様への初恋が二度も破れ、僕はすっかり意気消沈して、トボトボと部署に戻りかけていました。
 その僕を、廊下ですれ違った女の子が呼び止めました。お茶汲みのマルガリータさんです。

「あの、これ……!」

 可愛らしく、頬を桜色に染めたマルガリータさんが、可愛い花柄の白い封筒を僕に差し出しました。

 ――えぇえ!?

 僕の心拍数は、途端に跳ね上がりました。初恋の痛みなんて吹っ飛びました。 

 ――だって!!

 これは、もしかして、ラブレターですか!? ラブレターですよね!?
 僕、ラブレターなんて頂くの、初めてです!
 それも、こんなに可愛い女の子からだなんて。
 ゼルダ様の手ほどきで、僕もようやく、たくましくて頼りがいのある男になれたんでしょうか。
 そうです、恋は女の子とするものです。
 ゼルダ様はそれは優秀で見目麗しい御方でしたが、若気の至り、気の迷いです!
 今、僕は本物の初恋を知りました!
 この胸の高鳴りを、ああ、どうしたら!!

「ゼルダ様に渡してくださいっ!」

 ――僕、やさぐれてもいいですか。

 
  **――*――**
 

 三年の月日が経ちました。
 
 この春、僕はマルガリータさんと結婚しました。
 マルガリータさんは、ゼルダ様に「えぇと、私の四番目の妃になりたいってこと?」と聞かれて、自爆なさったそうです。
 何でも、ゼルダ様にはもう、三人ものお妃様とお子様がいらっしゃるなんて、夢にも思わなかったそうです。
 そして、恋破れたマルガリータさんは、ふと、ラブレターを渡す役を、怒らずに引き受けてくれた僕を優しいと思ったそうです。

 僕は、はやまって、やさぐれなくてよかったです。


● めでたし ●
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