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Brand New Day
第2話 幼馴染み
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守の身体に溜まりに溜まった性欲を吐き出したあと、新見が電話をかけた相手は博だった。
「先輩、オレのサッカー教室の指導、手伝ってもらえませんかね?」
「サムライジャパンの活躍もあってかなり盛り上がってるし、教室の生徒が増えてきてるんすよ」
「先輩も現役を離れてから時間が経ってるっつったって、教えることくらいはできるっしょ」
「オレ、先輩の実力、知ってるんすから」
「なんだよいきなり」
「お前、なにか企んでるんだろ」
「言っとくが蹴翔にはもう絶対に手を出させないからな」
「当たり前じゃないすか」
「もう、あれが最初で最後です」
「2度とあんなことしませんよ」
「でもその代わり蹴翔にはよく言っといてくださいよ、もうオレの邪魔しないようにって」
「邪魔?」
「そうっすよ」
「今日、あともうちょいってとこで最近入ったオレのお気に入り、蹴翔に連れてかれちゃったんですから」
「なんなんだ?」
「なんの話だかさっぱりわからない、お前の話は」
「イヤだなあ、先輩」
「オレ、守に聞きましたよ」
「先輩も、もうこっち側の人になったんでしょ?」
「こっち側の人?」
「お前の話は要領を得なくて全くもって理解できない」
「要するにですね、オレのサッカー教室、男の子の生徒が増えちゃって、マジで手が足りないって話っす」
「あ、サッカーだから手じゃなくて、足が足りないのか‥‥」
実際には男の子だけでなく女の子も増えてはいるのだが、新見は端から男の子にしか興味がないのは言うまでもない。
「くだらない冗談はいい」
「もう切るぞ」
「あ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ、先輩」
「マジでサッカー教室の指導員の件、考えといてくださいね」
「うまくやればきっと先輩好みの子が見つかって、守みたいに手懐けられますよ、男の子を」
新見が博のことをこっち側の人と言ったのは、おそらく自分が守とセックスしたことを知っていて、そのことを言っているのだと思った。
もちろん電話口ではそんなこと追及もしないし、仮に新見の真意がわかったところであえて肯定も否定もするつもりもなかった。
男の子、か‥‥
博は守とのセックスを思い出していた。
正直、小学生男子との肛門性交がこんなにも気持ちいいものだとは、ゆめゆめ想いもよらなかった。
倫理的なことはともかくとして、いわゆる世に言う食わず嫌いとは、まさしくこの事なのだと本気で思ったほどだった。
こっち側の人‥‥
ま、そういう意味なんだろうな‥‥
博は守という禁断の果実を食べてしまって以来、自分でも捕えようのないもやもやした衝動に駆られることがあるのを自覚していた。
自分は再び男の子の肉体を求めてるか?
また男の子と肛門性交したいと思ってるのか?
相手は守がいいのか、それとも別の子か?
年齢は?
小学1年生?
それとも2年生?
もしくは5年生とか6年生?
中学生はどうなんだろうか?
博はまるでなにかの中毒患者のように、自分がどんどん知らない世界へとのめり込んでいく気がしてならなかった。
「先輩、聞いてます? オレの話」
「指導員の話、引き受けてくれますよね?」
博はもうあれこれ考えることが面倒くさくなってきていた。
しかし頭の中を一瞬、過ったのは、紛れもなく裸の守を抱く自分の姿だった。
「ああ、分かったよ」
結局、博は新見のオファーを引き受けてしまったことによって押し寄せてくる複雑な思いを抱きかかえるしかないのだった。
複雑な思い。
それは決して全てが後悔だけではないと思っている自分がいることの理解でもあり、自分で蓋をして覆い隠してはもう一度開けて覗き見している自分なのだと、博自身もちろん分かっていた。
その日の夜のこと、博が帰宅すると玄関には見慣れた蹴翔の靴とあともうひとつ、それより小さな運動靴が玄関にきちんと揃えて置いてあった。
聞くと近所に越してきた子が遊びにきていて、いまは夕飯を終えて蹴翔と一緒に入浴中とのことだった。
とは言ってもその子は何年か前までは近くに住んでいて、父親の転勤で再び同じ場所に戻ってきただけのようだった。
蹴翔も引っ越して行く前からよく知っている子で、しょっちゅう一緒に遊んでは弟のように可愛がっていたらしい。
博は帰宅して早々、サッカー教室帰りの子供たちだけだと身体をちゃんと洗えないからという理由で、蹴翔とその友だちが入る風呂に遅れて一緒に入ることになった。
案の定、浴室からはふたりの男の子のわちゃわちゃする甲高い声が聞こえてきていた。
博は浴室の扉を開けた。
ふたりとも博が脱衣場にいることすら全く気づいていなかったようで、いきなり開いた扉に驚いた様子でふたり同時に振り向いた。
「あ、お父さん、帰ってきたの?」
「お帰りー」
「お帰りなさい」
少し遠慮気味な表情で、蹴翔の友だちというその男の子も挨拶した。
「お父さんも一緒に入るの?」
「ああ、そうだよ」
「泥だらけのサッカー少年ふたりを洗ってやるためにな」
「やった!」
蹴翔は6年生にしては、こういうところがまだ幼い。
しかしまた、そこが可愛いのだとも、父親としては思っていた。
「ねぇねぇお父さん、覚えてる?」
「この子、駆だよ、前、近くに住んでて引っ越して行っちゃった」
「またこっちに帰って来たんだよ」
「幼馴染みって言うんでしょ? 僕たち」
幼馴染み?
確かにそうかもしれないが、この年齢でその関係性を表現する言葉としては、歳が若すぎて少ししっくりこない感じがした。
「あ、ああ、もちろん覚えてるとも」
「駆くん、だよね?」
正直に言えば博はあまりこの男の子のことは覚えていなかった。
しかしそれを言ってしまってはその場がしらけそうだったのと、それよりもその駆という名の男の子の初見での挨拶が少しおどおどした感じに見えたから、これ以上不安がらせるのも可哀想に思った。
「駆くん、大きくなったね」
「もう小学生かな?」
少し探りを入れてみる。
「1年生です」
博は何となく思い出してきた。
顔のパーツのひとつひとつは違えど、それらを集合体にした全体的な顔立ちや雰囲気が思いのほか蹴翔に似ていて、小さい頃ふたりで一緒にいるとよく兄弟に間違えられた子がいたことを。
ああ、あの子か‥‥
あのときの子が、この子か‥‥
へぇ、大きくなったなぁ‥‥
博は駆の容姿を見た。
もちろん6年生の蹴翔と比べると、ひと回りどころかそれ以上に小柄ではあるのだが、股間には大きさこそ違えど蹴翔のそれと同じ形をしたものがちょこんと付いていた。
「お父さん、今日ね、駆やばかったんだよ」
「やばかった?」
「交通事故に遭いそうになったとか?」
「ううん、違う」
「ある意味、もっとやばかった」
やばい?
蹴翔は最近、こういった物騒な言葉をよく使う。
まったくいつどこで覚えたのやら‥‥
「駆さ、僕と同じサッカー教室に通い始めたんだけど、今日、新見コーチに車に乗せられそうになってさ」
「あれさ、新見コーチ、絶対に僕にしたことと同じことしようとしてたんだと思うんだ」
「だから焦って駆の手、引っ張って連れて帰ってきた」
そうか、そういうことか‥‥
新見のやつが今日、狙ってて蹴翔に邪魔されたっていうのはこの子のことか‥‥
「でね、久しぶりだからって思って家まで連れてきた」
「それでね、僕、駆のお母さんに今日、駆、僕ん家に泊まってもいい?って聞いたの」
「そしたら、駆のお母さんが、いいよって言ってくれたんだ」
博は蹴翔の話を聞きながら、改めてもう一度、駆の全裸をまじまじと眺めた。
新見はこの子をこういう姿にして、そして悪戯しようとしたのか‥‥
そう言えば確か、守も小学1年生のときに初めて新見に身体を悪戯されたと言っていた‥‥
あいつはこんなにも小さな男の子に手を出しているのか‥‥
しかしいまの博には100%、新見を咎めることのできない自分がいた。
少年という生き物の肉体は未完成なゆえ、パンツを下ろして性器を見なければ雌雄の判別がつかない子も多い。
そのため一般的かつ表面的でしかない常識というものの裏側に隠されている魅力という名の滲み出てくるような誘惑が、理性と欲望の隙間に実に巧妙に、そして心地よく染み込んでくるのを博はもうすでに実体験として知ってしまっていたからだった。
守という禁断の実の味わい‥‥
そしていま目の前にあるまだ青い果実‥‥
守のように貪られることに慣れていない、というよりむしろ、まだ誰も味見すらしたことのない未成熟な果実‥‥
博がそんな思いを頭の中でゆらゆら巡らせていると、蹴翔がいきなり大きなくしゃみをした。
それはまるでコントに出てくるような、典型的なカタカナ文字のくしゃみだった。
博は我に帰った。
「寒いのか?」
見るとふたりの髪の毛が濡れているものの、それは洗髪ではなく、単に水飛沫で濡れたものであることに気づいた。
「お前たち、ずっとお風呂で遊んでたんだろ」
「身体も洗わずに」
博は駆が萎縮しないよう、あえて大袈裟な笑みを浮かべながらそう言った。
「違うよ、これから洗うとこだったんだよぉ」
「なぁ、駆」
駆は強制的に共犯にさせられてしまった。
「まあ、いい」
「お父さんがふたりとも洗ってやるから」
「僕はいいよ、もう自分で洗えるから」
「それよりお父さん、駆のこと洗ってやってよ」
蹴翔は冷えかかった身体を湯船に沈めながら言った。
兄弟のいない分、少しばかりお兄ちゃんぶりたかった様子も窺えた。
「よし、じゃあ駆くん、おじさんが身体洗ってあげるから」
博はそう言ってボディーソープのボトルの頭を3回、押し下げた。
ノズルの先から勢いよく乳白色の液体がピュッ、ピュッ、ピュッとスポンジの上に吐き出された。
軽く泡立て駆の胸元を何回か擦ってやったが、そのときちょっと痛そうな表情を見せた。
大して強くも擦っていないのだが、考えてみたら蹴翔もこのくらいの年齢のとき、同じようにスポンジで身体を擦ると痛がっていたのを思い出した。
子どもの肌はデリケートだからな‥‥
「駆くん、ごめんごめん」
「ちょっと痛かったかな?」
「スポンジはやめて、手で洗ってあげるね」
博はそう言って今度は駆の胸やお腹のあたりに、ボディーソープを直接ピュッ、ピュッ、ピュッと振りかけた。
トロリとした乳白色の粘液が駆の胸やお腹の上をトロトロと流れ落ちた。
そしてそれはそのまま下腹部を伝い、股間にぴょこんとくっ付いている真っ白でふっくらとした、子どものおちんちんと言えば誰もがイメージするであろうあのらっきょうのような形の先端で雫になった。
博はそれを手のひらで受け止める体裁を装いながら、まだ男としては何も知らない性器を丸ごと指の中に包み込んだ。
小っちゃい‥‥
そして小指の方から順番に指を折り曲げやさしく握りしめた。
それを何度か繰り返す。
低年齢の子の性器はふにゃふにゃしていて頼りない。
しかしその反面、手触りがいいとも言える。
男の子は寒いときにはきゅっと縮こまっているのに、浴室の中にいて身体が温まっているせいなんだろうなと博は思った。
「ここは男の子の大事な部分だから、よく洗っておかないとね」
博はそう言って少し言い訳がましく、そのうえ客観的に見ても必要以上に時間をかけて、小学1年生の男の子の陰茎と睾丸を揉みつづけた。
その感触を十分に手と脳に記憶させたあと、今度はボディーソープでぬるぬるした手で駆のお腹や胸を満遍なく撫で回した。
「手で洗えば痛くないよね?」
片方の手のひらは駆の身体のフロント部分を洗い、もう片方はお尻に回されていた。
まだ肉の薄い小さなふたつの丘陵を鷲掴みにするように揉み洗いしながら、頃合いをみてふたつ並んだ丘陵の隙間をこじ開けるようにして指を差し込んだ。
そのときほんの少しだけ指が挟み込まれた気がした。
きっとその奥に触られたくない何かを隠しているのだと思った。
「先輩、オレのサッカー教室の指導、手伝ってもらえませんかね?」
「サムライジャパンの活躍もあってかなり盛り上がってるし、教室の生徒が増えてきてるんすよ」
「先輩も現役を離れてから時間が経ってるっつったって、教えることくらいはできるっしょ」
「オレ、先輩の実力、知ってるんすから」
「なんだよいきなり」
「お前、なにか企んでるんだろ」
「言っとくが蹴翔にはもう絶対に手を出させないからな」
「当たり前じゃないすか」
「もう、あれが最初で最後です」
「2度とあんなことしませんよ」
「でもその代わり蹴翔にはよく言っといてくださいよ、もうオレの邪魔しないようにって」
「邪魔?」
「そうっすよ」
「今日、あともうちょいってとこで最近入ったオレのお気に入り、蹴翔に連れてかれちゃったんですから」
「なんなんだ?」
「なんの話だかさっぱりわからない、お前の話は」
「イヤだなあ、先輩」
「オレ、守に聞きましたよ」
「先輩も、もうこっち側の人になったんでしょ?」
「こっち側の人?」
「お前の話は要領を得なくて全くもって理解できない」
「要するにですね、オレのサッカー教室、男の子の生徒が増えちゃって、マジで手が足りないって話っす」
「あ、サッカーだから手じゃなくて、足が足りないのか‥‥」
実際には男の子だけでなく女の子も増えてはいるのだが、新見は端から男の子にしか興味がないのは言うまでもない。
「くだらない冗談はいい」
「もう切るぞ」
「あ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ、先輩」
「マジでサッカー教室の指導員の件、考えといてくださいね」
「うまくやればきっと先輩好みの子が見つかって、守みたいに手懐けられますよ、男の子を」
新見が博のことをこっち側の人と言ったのは、おそらく自分が守とセックスしたことを知っていて、そのことを言っているのだと思った。
もちろん電話口ではそんなこと追及もしないし、仮に新見の真意がわかったところであえて肯定も否定もするつもりもなかった。
男の子、か‥‥
博は守とのセックスを思い出していた。
正直、小学生男子との肛門性交がこんなにも気持ちいいものだとは、ゆめゆめ想いもよらなかった。
倫理的なことはともかくとして、いわゆる世に言う食わず嫌いとは、まさしくこの事なのだと本気で思ったほどだった。
こっち側の人‥‥
ま、そういう意味なんだろうな‥‥
博は守という禁断の果実を食べてしまって以来、自分でも捕えようのないもやもやした衝動に駆られることがあるのを自覚していた。
自分は再び男の子の肉体を求めてるか?
また男の子と肛門性交したいと思ってるのか?
相手は守がいいのか、それとも別の子か?
年齢は?
小学1年生?
それとも2年生?
もしくは5年生とか6年生?
中学生はどうなんだろうか?
博はまるでなにかの中毒患者のように、自分がどんどん知らない世界へとのめり込んでいく気がしてならなかった。
「先輩、聞いてます? オレの話」
「指導員の話、引き受けてくれますよね?」
博はもうあれこれ考えることが面倒くさくなってきていた。
しかし頭の中を一瞬、過ったのは、紛れもなく裸の守を抱く自分の姿だった。
「ああ、分かったよ」
結局、博は新見のオファーを引き受けてしまったことによって押し寄せてくる複雑な思いを抱きかかえるしかないのだった。
複雑な思い。
それは決して全てが後悔だけではないと思っている自分がいることの理解でもあり、自分で蓋をして覆い隠してはもう一度開けて覗き見している自分なのだと、博自身もちろん分かっていた。
その日の夜のこと、博が帰宅すると玄関には見慣れた蹴翔の靴とあともうひとつ、それより小さな運動靴が玄関にきちんと揃えて置いてあった。
聞くと近所に越してきた子が遊びにきていて、いまは夕飯を終えて蹴翔と一緒に入浴中とのことだった。
とは言ってもその子は何年か前までは近くに住んでいて、父親の転勤で再び同じ場所に戻ってきただけのようだった。
蹴翔も引っ越して行く前からよく知っている子で、しょっちゅう一緒に遊んでは弟のように可愛がっていたらしい。
博は帰宅して早々、サッカー教室帰りの子供たちだけだと身体をちゃんと洗えないからという理由で、蹴翔とその友だちが入る風呂に遅れて一緒に入ることになった。
案の定、浴室からはふたりの男の子のわちゃわちゃする甲高い声が聞こえてきていた。
博は浴室の扉を開けた。
ふたりとも博が脱衣場にいることすら全く気づいていなかったようで、いきなり開いた扉に驚いた様子でふたり同時に振り向いた。
「あ、お父さん、帰ってきたの?」
「お帰りー」
「お帰りなさい」
少し遠慮気味な表情で、蹴翔の友だちというその男の子も挨拶した。
「お父さんも一緒に入るの?」
「ああ、そうだよ」
「泥だらけのサッカー少年ふたりを洗ってやるためにな」
「やった!」
蹴翔は6年生にしては、こういうところがまだ幼い。
しかしまた、そこが可愛いのだとも、父親としては思っていた。
「ねぇねぇお父さん、覚えてる?」
「この子、駆だよ、前、近くに住んでて引っ越して行っちゃった」
「またこっちに帰って来たんだよ」
「幼馴染みって言うんでしょ? 僕たち」
幼馴染み?
確かにそうかもしれないが、この年齢でその関係性を表現する言葉としては、歳が若すぎて少ししっくりこない感じがした。
「あ、ああ、もちろん覚えてるとも」
「駆くん、だよね?」
正直に言えば博はあまりこの男の子のことは覚えていなかった。
しかしそれを言ってしまってはその場がしらけそうだったのと、それよりもその駆という名の男の子の初見での挨拶が少しおどおどした感じに見えたから、これ以上不安がらせるのも可哀想に思った。
「駆くん、大きくなったね」
「もう小学生かな?」
少し探りを入れてみる。
「1年生です」
博は何となく思い出してきた。
顔のパーツのひとつひとつは違えど、それらを集合体にした全体的な顔立ちや雰囲気が思いのほか蹴翔に似ていて、小さい頃ふたりで一緒にいるとよく兄弟に間違えられた子がいたことを。
ああ、あの子か‥‥
あのときの子が、この子か‥‥
へぇ、大きくなったなぁ‥‥
博は駆の容姿を見た。
もちろん6年生の蹴翔と比べると、ひと回りどころかそれ以上に小柄ではあるのだが、股間には大きさこそ違えど蹴翔のそれと同じ形をしたものがちょこんと付いていた。
「お父さん、今日ね、駆やばかったんだよ」
「やばかった?」
「交通事故に遭いそうになったとか?」
「ううん、違う」
「ある意味、もっとやばかった」
やばい?
蹴翔は最近、こういった物騒な言葉をよく使う。
まったくいつどこで覚えたのやら‥‥
「駆さ、僕と同じサッカー教室に通い始めたんだけど、今日、新見コーチに車に乗せられそうになってさ」
「あれさ、新見コーチ、絶対に僕にしたことと同じことしようとしてたんだと思うんだ」
「だから焦って駆の手、引っ張って連れて帰ってきた」
そうか、そういうことか‥‥
新見のやつが今日、狙ってて蹴翔に邪魔されたっていうのはこの子のことか‥‥
「でね、久しぶりだからって思って家まで連れてきた」
「それでね、僕、駆のお母さんに今日、駆、僕ん家に泊まってもいい?って聞いたの」
「そしたら、駆のお母さんが、いいよって言ってくれたんだ」
博は蹴翔の話を聞きながら、改めてもう一度、駆の全裸をまじまじと眺めた。
新見はこの子をこういう姿にして、そして悪戯しようとしたのか‥‥
そう言えば確か、守も小学1年生のときに初めて新見に身体を悪戯されたと言っていた‥‥
あいつはこんなにも小さな男の子に手を出しているのか‥‥
しかしいまの博には100%、新見を咎めることのできない自分がいた。
少年という生き物の肉体は未完成なゆえ、パンツを下ろして性器を見なければ雌雄の判別がつかない子も多い。
そのため一般的かつ表面的でしかない常識というものの裏側に隠されている魅力という名の滲み出てくるような誘惑が、理性と欲望の隙間に実に巧妙に、そして心地よく染み込んでくるのを博はもうすでに実体験として知ってしまっていたからだった。
守という禁断の実の味わい‥‥
そしていま目の前にあるまだ青い果実‥‥
守のように貪られることに慣れていない、というよりむしろ、まだ誰も味見すらしたことのない未成熟な果実‥‥
博がそんな思いを頭の中でゆらゆら巡らせていると、蹴翔がいきなり大きなくしゃみをした。
それはまるでコントに出てくるような、典型的なカタカナ文字のくしゃみだった。
博は我に帰った。
「寒いのか?」
見るとふたりの髪の毛が濡れているものの、それは洗髪ではなく、単に水飛沫で濡れたものであることに気づいた。
「お前たち、ずっとお風呂で遊んでたんだろ」
「身体も洗わずに」
博は駆が萎縮しないよう、あえて大袈裟な笑みを浮かべながらそう言った。
「違うよ、これから洗うとこだったんだよぉ」
「なぁ、駆」
駆は強制的に共犯にさせられてしまった。
「まあ、いい」
「お父さんがふたりとも洗ってやるから」
「僕はいいよ、もう自分で洗えるから」
「それよりお父さん、駆のこと洗ってやってよ」
蹴翔は冷えかかった身体を湯船に沈めながら言った。
兄弟のいない分、少しばかりお兄ちゃんぶりたかった様子も窺えた。
「よし、じゃあ駆くん、おじさんが身体洗ってあげるから」
博はそう言ってボディーソープのボトルの頭を3回、押し下げた。
ノズルの先から勢いよく乳白色の液体がピュッ、ピュッ、ピュッとスポンジの上に吐き出された。
軽く泡立て駆の胸元を何回か擦ってやったが、そのときちょっと痛そうな表情を見せた。
大して強くも擦っていないのだが、考えてみたら蹴翔もこのくらいの年齢のとき、同じようにスポンジで身体を擦ると痛がっていたのを思い出した。
子どもの肌はデリケートだからな‥‥
「駆くん、ごめんごめん」
「ちょっと痛かったかな?」
「スポンジはやめて、手で洗ってあげるね」
博はそう言って今度は駆の胸やお腹のあたりに、ボディーソープを直接ピュッ、ピュッ、ピュッと振りかけた。
トロリとした乳白色の粘液が駆の胸やお腹の上をトロトロと流れ落ちた。
そしてそれはそのまま下腹部を伝い、股間にぴょこんとくっ付いている真っ白でふっくらとした、子どものおちんちんと言えば誰もがイメージするであろうあのらっきょうのような形の先端で雫になった。
博はそれを手のひらで受け止める体裁を装いながら、まだ男としては何も知らない性器を丸ごと指の中に包み込んだ。
小っちゃい‥‥
そして小指の方から順番に指を折り曲げやさしく握りしめた。
それを何度か繰り返す。
低年齢の子の性器はふにゃふにゃしていて頼りない。
しかしその反面、手触りがいいとも言える。
男の子は寒いときにはきゅっと縮こまっているのに、浴室の中にいて身体が温まっているせいなんだろうなと博は思った。
「ここは男の子の大事な部分だから、よく洗っておかないとね」
博はそう言って少し言い訳がましく、そのうえ客観的に見ても必要以上に時間をかけて、小学1年生の男の子の陰茎と睾丸を揉みつづけた。
その感触を十分に手と脳に記憶させたあと、今度はボディーソープでぬるぬるした手で駆のお腹や胸を満遍なく撫で回した。
「手で洗えば痛くないよね?」
片方の手のひらは駆の身体のフロント部分を洗い、もう片方はお尻に回されていた。
まだ肉の薄い小さなふたつの丘陵を鷲掴みにするように揉み洗いしながら、頃合いをみてふたつ並んだ丘陵の隙間をこじ開けるようにして指を差し込んだ。
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