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おじさん、お父さん
第5話 作り笑い
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フル勃起してもまだどことなくあどけなさの残る守のペニスは、博の指に導かれ温かい湯の中に放精した。
長い旅路の果てようやく川上に昇り詰めた魚が、びゅるびゅるっと勢いよく最高の瞬間を迎える姿に守の射精は似ていた。
しかし博自身も、なぜか守のその姿に身体が反応してしまっていた。
「おじさんも出したいんでしょ?」
守にそう指摘されて博は少々バツが悪く感じた。
「おじさんも隠さなくたっていいよ」
「だってさっきから俺の尻に、おじさんの硬くなったちんこ当たってんだもん」
「ははは‥‥」
「気づかれてたか」
「おじさんさ‥‥」
「おじさんさえ良ければだけどさ‥‥」
「?」
「俺はいいよ、いまここでしても‥‥」
「いま? ここで?」
「うん」
「ここで性教育してもらっても、俺、全然いいよ」
博は守に単刀直入にそう言われて、戸惑いと幾許かの恐れを自らに抱いていた。
それは守に対するこの一連の感情が、単に息子の幼馴染であり親友として、または小学6年生のひとりの男の子として可愛いと言うだけでは、もはやないのではないかと思い始めていたからだった。
守を抱きたいという気持ちと、抱いてはいけないという気持ちがないまぜになり、心と身体が昂るばかりだった。
守はそんな博の揺れ動く感情を察知してか、博の漲ったものを握ってきた。
「おじさんのもほら、もうこんなに硬くなってるよ」
「おじさんだってさっき言ってたじゃん」
「我慢しないで射精さなきゃダメだって」
「おじさんなら俺さ、してもらっていいんだぜ」
「俺の尻に挿れて、中でそのまま射精してもらっても」
博のペニスを握った守の手が動き出した。
守はさっき、人にやってもらうのって気持ちいいよね、と言った。
確かに気持ちいい。
自分で自分のものを握ってやる感覚とは切り離されたところで施されるオナニーは。
しかも大人ではない少年の手に握られて扱かれるこの感覚は、それこそ未知の快感であることは否めなかった。
このままこの流れに乗って守と性教育に及ぶべきなのだろうか。
それとも手淫で射精させてやったところまでで留めておくべきなのか。
しかし博の心の均衡を破ったのは、理性の方だった。
「いや、守くん、ここまででやめておこう」
「でもそれじゃあ、おじさん欲求不満のままだよ」
「おじさん、俺の尻でするの、イヤ?」
「中出しが好きじゃないんなら、俺のお腹とか背中とかに射精せばいいよ」
「顔射は目に入らなければ痛くないから、俺が目つぶってるときに顔にかけてくれればいいし」
「口でしてもらうのが好きだったら俺、口で抜いてやるよ」
「おじさんのだったら全然飲める自信あるから、口の中で射精しちゃっていいからさ」
博は守のたたみかけるようなその言葉の応酬になんだか急に切なくなってきた。
それは守が新見と過ごしてきた時間を垣間見た気がしたからだった。
「ありがとう、守くん」
「でもその気持ちだけ、もらっとくよ」
「おじさん、あのさ‥‥」
「聞いてもいい?」
「なにかな?」
「あのさ‥‥」
「‥‥?」
「あー、ううん、やっぱいいや、やめとく」
「構わないから言ってごらん」
「でもさ‥‥」
「いいよ、なんだい?」
「じゃあ聞くけど、おじさんはさ、蹴翔に性教育したんでしょ」
「それは、蹴翔から聞いたのかな?」
「うん‥‥」
「ああ、したよ」
「蹴翔に性教育をね‥‥」
「‥‥」
「蹴翔は、あいつはなんて言ってた?」
「嬉しかった、って」
「嬉しかった‥‥」
「そうか、あいつ、そんなふうに言ってたか‥‥」
「おじさん‥‥」
「ん?」
「俺、おじさんにお願いがあるんだけど」
「いいよ、なんでも聞いてあげるから言ってごらん」
「だったらさ‥‥」
「‥‥」
「俺にも蹴翔と同じように性教育、してくんないかな‥‥」
「実はね、それ、蹴翔からも頼まれてたんだよ」
「蹴翔から?」
「守くんにも自分と同じように性教育してやってくれって」
「それってさ、俺がそうしてくれたら嬉しいなぁって、蹴翔に言ったからだよ」
「でも、嘘じゃないんだ、本心からそう言った」
「俺、コーチと何回も何回もセックスしたけどさ、別に俺からして欲しいとかって、あんま思ったことがなくて」
「だけどコーチの家とか行って裸でエッチとかしてると、たまにコーチ、俺の身体やさしく触ってくれたり、気持ちいいこともしてくれたりしてさ」
「でもこの前、俺のチンコに毛が生えてきたの発見した途端、賞味期限過ぎたなってボソっと言われたんだ」
「それからはセックスもなんか乱暴な感じで、コーチ、自分が満足すると毎回、はい終わりって感じになっちゃうんだよ」
博は新見に対する嫌悪感を禁じえなかった。
同時にいままで躊躇していた守との性教育に対する思いが俄かに揺らぎ始めた。
それは守に対する同情なのか愛情なのか、はたまた自身の中に溜まったものをただ守の体内に出したいだけなのか。
守の裸体は美しい。
それは一緒に風呂に入って直に目撃し触れたのだから間違いない。
博は考えていた。
もし本当に守が心底、自分と交わることを望んでいるならば、性教育という名の性行為をして欲しいと思っているならば、逆にそれは叶えてやらねばならないのではないか、と。
「守くん‥‥」
「ん?」
「守くんは新見にそんな扱いを受けてきたのに、なんでわざわざ私にまで性教育して欲しいなんて思うんだい?」
「蹴翔が嬉しそうに話してたからだよ、おじさんに性教育してもらったことを」
「嬉しそうっていうか、幸せそうに見えたからかな」
「やってることは同じでもさ、コーチと俺、おじさんと蹴翔では全然中身が違うって思ったんだ」
「蹴翔、ほんと嬉しそうだった、お父さんからそういうことを教わったのが」
「俺んちってさ、母親しかいないから、そういう話自体まじ全然無理だし」
「だから蹴翔が羨ましくなって、俺もおじさんに性教育されてみてー、って感じで言ったんだよ」
「それって守くんは、本気でそう思ったの?」
「それとも、ノリとか冗談のつもりだった?」
「おじさんは守くんに性教育することで、もしかしたら守くんの人生を、もっとめちゃくちゃにしちゃうかもしれないと思ってるんだ」
「それでもいいのかい?」
「守くんは新見だけでなく、別の大人とも性行為をして、気持ちよかったとか嬉しかったとか、そういう気持ちだけが残ればいいけど、そうじゃない気持ちになってしまった場合、キズつくのは守くんの方なんだよ」
博は、守がいつか大人になって恋愛をして、その相手が男であれ女であれ、そのときに自分の身体が新見のみならず親友の父親にも穢されたと思う日が来るのではないかと、それを気にしていた。
「守くんは、大人の男の人とセックスするという、その覚悟はあるかい?」
覚悟って‥‥
おじさん、俺、そこまで重たく考えてないよ‥‥
大好きなおじさんに性教育してもらうのに、覚悟なんて重たいもん、いるのか?
俺はただ、蹴翔と同じ気持ちになりたかっただけなんだよ‥‥
博は言葉を続けた。
「守くんはそれでもおじさんに抱いてもらいたいのかい?」
「性教育してもらいたいかい?」
「え‥‥、あ、いや‥‥」
守は思った。
もしかしたらおじさんは、俺とはセックスしたくないのかもしれない‥‥
穢されたと思う日が来るって言ったけど、もう俺の身体はコーチに穢されてて、そんな俺とはセックスしたくないのかもしれない‥‥
博は単に守の意志を再確認したかっただけなのだが、守の将来を思う余り少々表現が重たくなってしまったようだった。
「い、いや、おじさん、あのときはさ、まぁつまり勢いっつーか、蹴翔にちょっと大げさに言っちゃっただけなんだよね」
「やっぱ、いいや」
「性教育して欲しいって話しも、もう忘れて」
「大丈夫、俺はもう、誰ともそういうことしないから」
守はそう言って笑って見せた。
しかし博にはその笑顔が作り笑いにしか見えなかった。
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しかし博自身も、なぜか守のその姿に身体が反応してしまっていた。
「おじさんも出したいんでしょ?」
守にそう指摘されて博は少々バツが悪く感じた。
「おじさんも隠さなくたっていいよ」
「だってさっきから俺の尻に、おじさんの硬くなったちんこ当たってんだもん」
「ははは‥‥」
「気づかれてたか」
「おじさんさ‥‥」
「おじさんさえ良ければだけどさ‥‥」
「?」
「俺はいいよ、いまここでしても‥‥」
「いま? ここで?」
「うん」
「ここで性教育してもらっても、俺、全然いいよ」
博は守に単刀直入にそう言われて、戸惑いと幾許かの恐れを自らに抱いていた。
それは守に対するこの一連の感情が、単に息子の幼馴染であり親友として、または小学6年生のひとりの男の子として可愛いと言うだけでは、もはやないのではないかと思い始めていたからだった。
守を抱きたいという気持ちと、抱いてはいけないという気持ちがないまぜになり、心と身体が昂るばかりだった。
守はそんな博の揺れ動く感情を察知してか、博の漲ったものを握ってきた。
「おじさんのもほら、もうこんなに硬くなってるよ」
「おじさんだってさっき言ってたじゃん」
「我慢しないで射精さなきゃダメだって」
「おじさんなら俺さ、してもらっていいんだぜ」
「俺の尻に挿れて、中でそのまま射精してもらっても」
博のペニスを握った守の手が動き出した。
守はさっき、人にやってもらうのって気持ちいいよね、と言った。
確かに気持ちいい。
自分で自分のものを握ってやる感覚とは切り離されたところで施されるオナニーは。
しかも大人ではない少年の手に握られて扱かれるこの感覚は、それこそ未知の快感であることは否めなかった。
このままこの流れに乗って守と性教育に及ぶべきなのだろうか。
それとも手淫で射精させてやったところまでで留めておくべきなのか。
しかし博の心の均衡を破ったのは、理性の方だった。
「いや、守くん、ここまででやめておこう」
「でもそれじゃあ、おじさん欲求不満のままだよ」
「おじさん、俺の尻でするの、イヤ?」
「中出しが好きじゃないんなら、俺のお腹とか背中とかに射精せばいいよ」
「顔射は目に入らなければ痛くないから、俺が目つぶってるときに顔にかけてくれればいいし」
「口でしてもらうのが好きだったら俺、口で抜いてやるよ」
「おじさんのだったら全然飲める自信あるから、口の中で射精しちゃっていいからさ」
博は守のたたみかけるようなその言葉の応酬になんだか急に切なくなってきた。
それは守が新見と過ごしてきた時間を垣間見た気がしたからだった。
「ありがとう、守くん」
「でもその気持ちだけ、もらっとくよ」
「おじさん、あのさ‥‥」
「聞いてもいい?」
「なにかな?」
「あのさ‥‥」
「‥‥?」
「あー、ううん、やっぱいいや、やめとく」
「構わないから言ってごらん」
「でもさ‥‥」
「いいよ、なんだい?」
「じゃあ聞くけど、おじさんはさ、蹴翔に性教育したんでしょ」
「それは、蹴翔から聞いたのかな?」
「うん‥‥」
「ああ、したよ」
「蹴翔に性教育をね‥‥」
「‥‥」
「蹴翔は、あいつはなんて言ってた?」
「嬉しかった、って」
「嬉しかった‥‥」
「そうか、あいつ、そんなふうに言ってたか‥‥」
「おじさん‥‥」
「ん?」
「俺、おじさんにお願いがあるんだけど」
「いいよ、なんでも聞いてあげるから言ってごらん」
「だったらさ‥‥」
「‥‥」
「俺にも蹴翔と同じように性教育、してくんないかな‥‥」
「実はね、それ、蹴翔からも頼まれてたんだよ」
「蹴翔から?」
「守くんにも自分と同じように性教育してやってくれって」
「それってさ、俺がそうしてくれたら嬉しいなぁって、蹴翔に言ったからだよ」
「でも、嘘じゃないんだ、本心からそう言った」
「俺、コーチと何回も何回もセックスしたけどさ、別に俺からして欲しいとかって、あんま思ったことがなくて」
「だけどコーチの家とか行って裸でエッチとかしてると、たまにコーチ、俺の身体やさしく触ってくれたり、気持ちいいこともしてくれたりしてさ」
「でもこの前、俺のチンコに毛が生えてきたの発見した途端、賞味期限過ぎたなってボソっと言われたんだ」
「それからはセックスもなんか乱暴な感じで、コーチ、自分が満足すると毎回、はい終わりって感じになっちゃうんだよ」
博は新見に対する嫌悪感を禁じえなかった。
同時にいままで躊躇していた守との性教育に対する思いが俄かに揺らぎ始めた。
それは守に対する同情なのか愛情なのか、はたまた自身の中に溜まったものをただ守の体内に出したいだけなのか。
守の裸体は美しい。
それは一緒に風呂に入って直に目撃し触れたのだから間違いない。
博は考えていた。
もし本当に守が心底、自分と交わることを望んでいるならば、性教育という名の性行為をして欲しいと思っているならば、逆にそれは叶えてやらねばならないのではないか、と。
「守くん‥‥」
「ん?」
「守くんは新見にそんな扱いを受けてきたのに、なんでわざわざ私にまで性教育して欲しいなんて思うんだい?」
「蹴翔が嬉しそうに話してたからだよ、おじさんに性教育してもらったことを」
「嬉しそうっていうか、幸せそうに見えたからかな」
「やってることは同じでもさ、コーチと俺、おじさんと蹴翔では全然中身が違うって思ったんだ」
「蹴翔、ほんと嬉しそうだった、お父さんからそういうことを教わったのが」
「俺んちってさ、母親しかいないから、そういう話自体まじ全然無理だし」
「だから蹴翔が羨ましくなって、俺もおじさんに性教育されてみてー、って感じで言ったんだよ」
「それって守くんは、本気でそう思ったの?」
「それとも、ノリとか冗談のつもりだった?」
「おじさんは守くんに性教育することで、もしかしたら守くんの人生を、もっとめちゃくちゃにしちゃうかもしれないと思ってるんだ」
「それでもいいのかい?」
「守くんは新見だけでなく、別の大人とも性行為をして、気持ちよかったとか嬉しかったとか、そういう気持ちだけが残ればいいけど、そうじゃない気持ちになってしまった場合、キズつくのは守くんの方なんだよ」
博は、守がいつか大人になって恋愛をして、その相手が男であれ女であれ、そのときに自分の身体が新見のみならず親友の父親にも穢されたと思う日が来るのではないかと、それを気にしていた。
「守くんは、大人の男の人とセックスするという、その覚悟はあるかい?」
覚悟って‥‥
おじさん、俺、そこまで重たく考えてないよ‥‥
大好きなおじさんに性教育してもらうのに、覚悟なんて重たいもん、いるのか?
俺はただ、蹴翔と同じ気持ちになりたかっただけなんだよ‥‥
博は言葉を続けた。
「守くんはそれでもおじさんに抱いてもらいたいのかい?」
「性教育してもらいたいかい?」
「え‥‥、あ、いや‥‥」
守は思った。
もしかしたらおじさんは、俺とはセックスしたくないのかもしれない‥‥
穢されたと思う日が来るって言ったけど、もう俺の身体はコーチに穢されてて、そんな俺とはセックスしたくないのかもしれない‥‥
博は単に守の意志を再確認したかっただけなのだが、守の将来を思う余り少々表現が重たくなってしまったようだった。
「い、いや、おじさん、あのときはさ、まぁつまり勢いっつーか、蹴翔にちょっと大げさに言っちゃっただけなんだよね」
「やっぱ、いいや」
「性教育して欲しいって話しも、もう忘れて」
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