サッカー少年の性教育

てつじん

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おじさん、お父さん

第2話 チン毛

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博はひとまず守をリビングへ通したものの、なにをどうしたらいいのか分からなかった。

やあ、守くん、いらっしゃい、じゃあ早速、性教育セックスしよう、という訳にももちろんいかないし、第一、本音を言えば守に本当にその行為セックスをしていいものかどうか、博はまだ決めかねていたのだった。

「あ、そうだ、守くん、夕飯まだだったよね?」
「なにが食べたい?」

「俺はなんでもいいです」

「なんでもいいか‥‥」
「んー、そういうのが一番困るんだよなぁ」

博は笑った。
守は母子家庭のためか、夕食はなにが食べたい?などとあまり聞かれたこともなく、母親がギリギリの生活費の中で作ってくれるものをただ食べるだけだった。

「じゃあ、肉と魚だったらどっちがいい?」

「そりゃあ、肉!」

「なら肉にしよう」

「おじさん、料理できるの?」

「いや、全く」

「え?」

「ウーバーで頼むんだよ」
「んー、そうだな、これなんか美味しいぞ」

博はスマホの画面を見せながら、何度か注文したことのあるローストビーフ丼の写真を見せた。

「うまそー」
「俺、これ食べたい!」

「うん、じゃあ、これにしよう」

そうして小一時間ほどで夕食が届いた。
守は山盛りのローストビーフをまるでフードファイターのような勢いで平らげていった。

「やっぱ大盛りにして良かったな」

博は守の身体つきから、おそらく大盛りくらいでないと足りないかもしれないと思い、普通サイズの1.5倍の大盛りを頼んでおいたのだった。

「蹴翔もいつも大盛り?」

「あいつは普通サイズかな」
「でも最近はちょっと足りなさそうにしてるから、私のを分けてやるんだけどね」

博は男の子がもりもり食べている姿を見るのが好きだった。
だから食べっぷりのいい守の食事姿は清々すがすがしいくらいに気持ち良く、その嬉しそうな姿を見ているだけで博も幸せな気分になれるのだった。
夕食が済んでひと休みしたところで、博は守に風呂をすすめた。

「守くん、お風呂沸いてるから、入っておいで」

「うん」

守はそう返事をして一旦、浴室へ向かったものの、もう一度戻ってきた。

「おじさんも一緒に入ろうよ」

「え? 私も?」

博はパンツ一枚の格好で現れた守になぜか一瞬、ドキっとした。

「あー、いや、やっぱいいや」
「おじさん、1人でゆっくり入りたいもんね」

「そんなことないよ、守くん」
「よし、一緒に入ろう」

「いいの?」
「じゃあ、俺、先に入ってるから」

博が支度をして後から浴室に入ると、守は洗い場で身体を洗っていた。

「ちょっと待ってて、いま身体洗っちゃうから」

「そんなに急がなくていいよ」
「どれ、おじさんが身体、洗ってやろう」

博はそのとき、守の裸身を見ながらふと昆虫の羽化を連想していた。
男の子から少年へと脱皮するその瞬間が、いま目の前にある。
やわらかさからしなやかさへ、幼さから逞しさへ、体臭も甘いだけのものから少しだけ甘酸っぱいものになる。
そんな変化が先ほど博をドキッとさせた理由の一端なのかもしれないと博は思った。

一糸纏わぬ守の肢体を目の当たりにして、博はどうしても思わずにはいられなかった。

新見はこの子のこの肉体カラダを1年生のときから6年間さんざんしゃぶり尽くした挙句、自分のテイストと合わなくなったからといって捨てるというわけなのか。

博は込み上げる怒りの感情の中に、実はほんの少しの嫉妬が混じっていることに博自身、気づいていなかった。

「おじさん、俺、自分で洗えるからいいよ」

「子供なんだから、遠慮しなくていいんだぞ」

博は意図的に守を子供扱いした。

「誰かに背中を流してもらうことなんて、あまりないだろ」
「今日はせっかく2人で入ってるんだから、私が守くんの背中を流してあげるよ」

自分でも不思議に思うくらい言葉に弾みと勢いがあった。
守も少し気押され気味だったが、決して悪い気はしていなかった。

「う、うん、じゃあ‥‥」

守は博に背を向けた。

「こうして見ると、守くんは蹴翔よりも全然肩幅もあって大きいんだなぁ」

両肩から滑らかに流れ落ちた先にある肩甲骨、背中全体を覆う成長途中の硬すぎない筋肉など、それら全ての造形が美しかった。
2つ並んだ楕円の球体はふっくらしている割にはよく引き締まっていて、曲線の完成度はギリシア彫刻の少年像に負けず劣らずであった。

博が守の両脚の間に手を滑り込ませて太ももを洗ってやっていたとき、ふと手が守の性器に触れた。

新見はこれをもてあそび吸い付くしたのか‥‥

博はたまれない思いで守を後ろから抱きしめてやりたくなったが、その衝動を何とか抑え込んだ。
背中を洗い終えて博は言った。

「さぁ、こっち向いて」

守は恥ずかしいのか自分の肩越しに後ろを振り返りながら言った。

「おじさん、いいよ、前は自分で洗うよ」

「恥ずかしのか?」

「別にそういうわけじゃないけど‥‥」

とは言ったものの、守は自分の性器を博の目の前に晒すことに、どこかむず痒いような恥ずかしさを感じていた。

「ほら、こっち向いて」

少しだけ語気を強めた博に守は仕方なしに正面を向いた。
するとちょうどしゃがみ込んでいる博の目線と、第二次性徴期の入り口に差しかかった守の性器の位置が同じ高さになった。
性毛が生えてきているとは聞いていたが、もちろん博のようにもさもさと繁茂しているわけではなかった。
陰茎の付け根に短い毛がしょぼしょぼとまばらに生えてきている程度だった。

「おじさん、俺って毛、生えるの早いのかなぁ?」

博の視線が自分の性器に向かっているに何となく気づいた守は、恥じらいを掻き消すかのように自分から話題にした。

「昔と比べたら、最近の子は身体の成長が早いから、別におかしくはないと思うけどね」

「でも蹴翔はまだでしょ?」

「ああ、まぁそうだな」
「あいつはまだつるつるで、子供のおちんちんだな」

博は蹴翔の性器をわざと子供っぽく言うために、意図的におちんちんと言った。

「守くんは毛が生えるのはイヤなのかい?」

「うーん、わかんない‥‥」

守は毛が生えてきたことで新見からの興味が失われてしまったことが、少なからずトラウマになっていた。

「毛なんて別になくてもいいのに」

「そんなことないだろ」
「健康な身体だったら、遅かれ早かれみんな生えてくるんだから」

「それは分かってるけど‥‥」

守はなにか言い淀んでいるようだった。

「ねぇ、おじさん‥‥」

「ん?」

「おじさん、パイパンって知ってる?」

「パイパン?」

博はもちろん知っていたが、その答えを言うよりも何よりも、守の口からそんな言葉が出てくるとは思ってもいなかったから少々驚いていた。

「チン毛ないの、パイパンって言うんだって」
「蹴翔が教えてくれた」

「蹴翔が?」

それもまた驚きだった。

「うん」
「なんかググってたら出てきたって」

「蹴翔のやつ、なにを調べてるんだ?」
「パイパンの前にあいつ、まだ毛も生えてきてないのになぁ」

博はここにいない蹴翔のことをちょっとからかい気味に言った。
しかし守の目は笑っていなかった。

「おじさん、あのさ‥‥」
「俺の毛、剃ってくんないかな」

「え?」
「毛を剃るのか?」

「うん」

「せっかく生えてきたのに?」

「うん」

「守くん、それ本気で言ってるの?」
「おじさんは剃らなくてもいいと思うけどな」
「せっかく生えてきたんだし」

「チン毛、コーチは嫌いみたいなのに、おじさんは違うんだね」

「だって喜ばしいことじゃないか」
「ちゃんと成長してるってことだし、大人からすると子供の発毛は微笑ましい感じもするし‥‥」

守が、そんなもんなのかなぁ、とぼんやり考えていたら、博の唇がじりじりと守の股間に近づいてきた。
守は急に体が強張って、ただじっとその様子を見ていることしかできなかった。
次第に胸の鼓動も高鳴ってきた。
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