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第6章 助けが欲しい

第3話 小学5年生、ハルトの場合(後編)

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精通したばかりのハルトの精液はまだ薄く、成人のそれとは違い半透明で上澄みのようだった。
激しく体をなぶられて体力を消耗したいま、ハルトはひとしきりの休息を得ている。
しかしそれも束の間のことだった。
再びハルトの体は誰かに操られるように不自然に起き上がり、犬のように四つん這いになった。
まるで夢遊病患者のように勝手に体が動き出す。

両手と両足を付いてお尻を突き出した姿は何かを待機させられているように見えた。
恥ずかしそうに腰を左右に揺らしながら、肛門をぎゅっと閉じたり元に戻したりを繰り返している。
ハルトは見えない誰かに肛門を舐められているのだった。
そしてそれは同時にその穴に何かを挿入するための準備でもあった。

すると突然、四つん這いになったハルトの背中にズシリと誰かが覆い被さった。
そして身動きがとれないまま、いきなり棒状の何かが肛門に挿入され、そのまま全身が築き上げられるように揺さぶられた。
挿入されているのは硬い肉質の棒状のもので、それはハルトの体内でますます膨張し容易には抜けない状態になった。
腹部の中心まで届くらい奥まで捩じ込まれている感じで、兎に角、力任せで自分勝手に突き刺してくる。

しかし意外とハルトも、耐えきれないような苦痛を感じてはいない様子だった。
それはヌルヌルとした液が肛門の奥を潤しているということもあったが、一方ではこの行為がもうずっと昔から繰り返されていて体が慣れていているようにも見えた。
ただその挿入され慣れている肉質の棒は、毎回毎回、微妙に大きさや硬さ形が異なっていた。

ハルトの体に刺さっている棒は直腸の内壁を擦り上げ、内側から恥骨の辺りを刺激した。
何故だかハルトのペニスも少し硬くなってきていたが、されていることに対しての特別な感情や肉体への刺激は感じない。
ただ事務的に体を提供したまま、ひたすらにそれが終わるのを待ってる感じだった。
もう何回もこんなことを繰り繰り返しさせられてきたような感じさえした。

溜まったものを全部吐き出すまでは絶対に相手を逃がさないというしつこさが、腹部をホールドして離してくれない。
ときどき足の位置を修正するのは、踏ん張ってもっと強く腰を突き上げられるようにしているためなのか。
でもそのとき以外はずっと同じリズムで背後から突き上げてくる。

やがて、刺さっている肉質の棒が不規則な動きをした。
ギューっと力強く奥に差し込まれたあと、ジワーッと生暖かい液体が体内に広がるのを感じた。
挿入されてたまましばらく動きが止まっていたが、じきに膨張が鎮まりロックが外れするりと抜けた。
ハルトは体内の奥に放出されたトロトロした液体の感覚を残したまま、その場に崩れるようにして静かに横たわった。

その光景は何度も無理やりに交尾させられ出産を繰り返させられたラブの姿に、どことなく似ていた。

朝、起きると、僕は寝台の上で全裸はだかで寝ていた。
何があったのかはよく分からないんないけど、ビリビリに引き裂かれた木綿の布が床に落ちている。

間もなくしてお姉ちゃんが迎えに来てくれた。
そしてラブがもういないことも教えてくれた。

家に帰ってみると、警察の人と保健所の人が来ていた。
ブリーダーとペットホテルが動物愛護法違反で摘発されたって、お姉ちゃんが教えてくれた。
以前から不審に思っていた仔犬の引き取り客と、ペットホテルの利用者に通報されたみたいだった。
もちろん、ふたつのお店はもう続けることはできないし、免許も剥奪されて罰金も課せられた。
うちのお店は信用を大きく失いお客さんも激減したけど、ペット関連グッズのショップだけは残ったので最低限そこは何とか助かった。

家にいた親犬たちは動物愛護団体によって助け出され保護されていった。
だけど、残念ながらラブは間に合わなかった。
僕は悲しくなって泣いた。

それからしばらくは家の中が落ち着かなかったかど、ようやく少しずつ元に戻ってきた。
戻ったというよりは、以前よりもずっと普通の家に近い状態になったような気がする。
お父さんの表情も心なしか優しくなったように見えた。

お父さんが一緒にお風呂に入ろうと言った。
随分と久しぶりだ。

「ハルト、こっちおいで」

湯船に浸かりながら、お父さんが僕を抱き寄せた。
5年生にもなってお父さんに抱きしめられるなんて、ちょっと恥ずかしいような照れくさいような気がした。
学校の友達には絶対に言えないけど、だけどイヤな感じはしなかった。
どちらかというと反対に、ちょっと嬉しかったくらいだ。

お父さんに跨るように正面から抱き付いて両手を首に回した。
肌と肌が触れ合うのって安心する。
お父さんも僕の背中と腰に手を回してギュッと僕を抱きしめてくれた。
誰かに抱きしめられるなんて、もうずっとされたことがない。
僕のおちんちんが、お父さんのお腹にくっついた。

「ハルトもいつの間にか大きくなったな」
「ごめんな、お前の成長、ちゃんと見てやれてなかった」

僕はお父さんの首元で、うんと頷いた。

「子供は生まれてくれば、それでいいってもんじゃないんだよな」
「ちゃんと育っていくのをそばで見ててやんないといけないんだよな、本当は‥‥」

お父さんが僕の頭を撫ぜた。
こんなことされた記憶、あまりない。

「人間も動物も、おんなじだ‥‥」
「犬たちはかわいそうなことしたな」
「安心できる場所、与えてあげてなかったもんな」
「仔犬を産ませて、直ぐに引き離しちゃったもんな」

お父さんは手でお湯を救って僕の肩にかけてくれた。

「ハルトもいつか好きな人ができて子供ができるんだろうな」

「僕、知ってるよ、交尾するんでしょ」

お父さんは、ちょっとびっくりしてた。
僕が交尾だなんて言ったから。

「家にいた犬、見てたから知ってる」
「人間も動物だから、同じでしょ」

「最近の子供は、ませてるんだな」
「それと人間は、交尾とはいわない‥‥」

「セックスっていうんだよね」

「何でも知ってるんだな」

「学校の友達が言ってた」

「いつの時代にもいるか、そういうませたヤツ」
「ハルト、ちょっと立ってみろ」

「‥‥?」

僕は湯船の中でお父さんの目の前に立った。
お父さんは僕のおちんちんを指で摘まみ、そっと皮を剥いた。

「いつの間にか、もう、ちゃんと剥けるようになったんだな」
「でも、毛はまだか‥‥」

「5年生なんだから、まだだよ」

お父さんと僕は笑った。

おちんちんの皮が剥けるようになったのは、つい最近のことだ。
よく考えると、お願いをしにあの場所へ泊りに行くまでは剥けなかったけど、その日を境に剥けるようになっていた。

「ハルトもこれからどんどん体が成長しておちんちんの周りや、腋の下とかに毛が生えてくる」
「髭も、生える」
「心も体も大人になったとき、好きな女の人が出来て、その人と愛し合って、結ばれる‥‥」
「ちょっと難しいな、こんな話」

「好きな人とセックスするって話しでしょ?」

「こういう話はお父さんのほうがドキドキするなぁ」
「でも、まあ、そういうことだ」
「おちんちんは、オシッコをするためだけについているわけじゃない」
「金玉も、付いている理由がちゃんとある」

そう言ってお父さんはもう一度、僕のおちんちんの皮を剥いた。

「おんなじ形になったね、お父さんと」

それからお父さんは僕の金玉を下からてのひらで包むようにして握り、大きさを確かめるようにコロコロと揉んだ。

「ハルトが幼稚園に上がる前、まだ、タマが下りてきていなくって、しょちゅうこうやって触ってたっけなぁ」

お父さんに触られて、僕のおちんちんがちょっと硬くなってきた。
僕はそのまま浴槽の縁に腰かけた。
もう完全に勃ってしまった。

「セックスとか、おちんちんの話しはまた今度にしよう」
「それからこういう話しは、お母さんやマナとはしないほうがいいぞ」

「うん、分かった」

浴槽から出るとお父さんが体を洗ってくれた。
いつもひとりでお風呂に入ってるから自分で洗えるけど、お父さんは僕の体を洗いたいみたいだ。

「おちんちんの皮もちゃんと剥いて、中もきれいに洗うんだ」

お父さんはそう言って先っぽを指で摘んで皮を根元まで剥いてくれた。
亀頭が全部出てきて、それを見たお父さんは改めてびっくりしているようだった。
僕自身も初めてちゃんと剥けるようになったって気づいたときには、キノコみたいなその形に驚いた。

「あれ?」

「‥‥?」

「こんなところに、アザなんてあったかな?」

お父さんは僕の背中の右上にハート形のアザがあると言った。
そんなのお母さんにもお姉ちゃんにも言われたことがない。
アザなんて、突然できるものなのかな?
そして僕は同じハート形の模様のあるラブのことを思い出していた。

ラブ、今頃どうしてるのかな?

お父さんと一緒にお風呂に入った日からしばらくの間、お父さんは仕事が忙しくなったと言って帰りが遅くなった。
そしてそんな日が数日続いたある日、やっぱりお父さんは夜遅く僕がもう寝てしまった後に帰ってきた。

翌朝、目覚めると家の中にやせ細って弱りきった犬がいた。
背中にはハート型の模様があった。

僕はその犬を抱きしめた。
抱きしめていたら、ポロポロポロポロ涙があふれてきた。

神さまは、僕たちのお願いをひとつ残らず全部、叶えてくれたんだ。
そう、思った。

ハート模様のその犬は頬を伝う僕の涙を何度も何度もなめてくれた。
それはまるで僕に、もう大丈夫だから心配しないでって、言っているようなそんな気がした。
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