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第3章 若さが欲しい

第2話 小学6年生、ツグの場合

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私は帰宅したあとすぐにとこに就いたが、ひとり残してきた孫のことがどうしても気になって、なかなか眠ることが出来なかった。
そしてようやくうとうとし始めたころ、瞼の裏に褌姿で寝台に仰向けのまま横たわっているの孫のツグの姿が見えてきた。

部屋にひとりとり残されたツグは眠っているのか意識を失っているのか、はたまた意識はあっても体が動かないなのか、部屋の中央の寝台の上で浅い呼吸をしながら静かに眠っている。

あまりにも静かすぎて、まるで宇宙空間にでもいるかのようだった。
そんな静寂の中でただひとつ微かな音があったとすれば、それはツグの褌の紐が解けるときの布が擦れる音だった。
ツグの腰に巻かれていた白い布切れはいつの間にかその結び目が緩んで、そのまま何かに引っ張られるかのようにスルスルと床に落ちていった。

寝台の上に横たわるツグの裸体は均整が取れていて無駄がなく、実に美しいシルエットだった。
ぷよぷよとした子供っぽさはないし、かと言ってゴツゴツした大人の体でもない。
少年特有の未完成な感じ、とでもいうのだろうか。
健やかな肉体を形成するための必要かつ充分な筋肉と脂肪、それらが神の領域で組み合わせられ、胸からお腹、腰から太腿へと芸術的なまでの流線型を描く。
ツグの身体はギリシャ神話に出てくる少年の裸身像にも引けを取らないようだった。

滑らかな手触りのその肌に触れてみる‥‥
やさしい指づかいで滑るように‥‥
頬に手をあて柔らかそうな唇にそっと触れる‥‥
肩、腕、そして手のひらにキスをする‥‥
胸に耳をあて規則正しい心音を聞きながら淡い褐色の乳輪を指で撫ぜてみる‥‥
柔らかそうなお腹の真ん中にちょこんと窪んだアーモンドのような形のへそ‥‥
そのまま真っ直ぐに下腹部へ手を這わせる‥‥
ツグの性器が指先に触れる‥‥
軽く握りしめその感触を確かめる‥‥
やわらかくていい弾力‥‥
ふたつの睾丸は肉体の成長を感じさせる重量感‥‥
熟し具合がまたいい‥‥
太腿、内股、ふくらはぎ‥‥
足の指一本一本を口に含み舌で舐めてみる‥‥

こうして、神さまによるその「行為」は静かな空間で静かに始まっていった。

ツグの体はどこに触れても敏感に反応する。
全身の産毛、乳首、そして性器。
身体中のあらゆるところが感じて勃ってしまっている。
ツグは全身が性感帯でできているような子だった。

包皮は既に剥けている、いやもう剥かれてしまったのか。
収穫されたばかりの水々しい果実のように、つるつるした亀頭がとてもきれいな色をしていて食べごろを感じさせた。

絶え間ない愛撫にツグの性器は大きく膨らみ、もうだいぶ硬くなっている。
心臓から送り出される血流のリズムに合わせて、ピクンピクンと脈打っているのがつぶさに分かる。

全身は金縛りにあっているかのように、硬直したまま身動きひとつしない。
はちきれそうなまでに血液を溜め込んだ性器を、やさしく握って上下にゆっくりさすってみる。
その瞬間、ツグの性器は稲妻が落ちた避雷針のように強烈な刺激を受け、それはそのままダイレクトに体中へと伝わっていった。

それでもツグの裸体への愛撫は止まらない。

ん、んん‥‥

小動物の鳴き声のような喘ぎ声が、喉の奥から漏れて出た。
その声はときに長くときに短く発せられた。
全身がやや汗ばんで肌がしっとり湿ってきた。
12歳の体はこんなにも代謝が激しいのか。

ツグは体中を巡る甘く痺れるような快感を、余すとこなく全て吸収しようとしている。
この体の反応、ツグはまだ自分で自分を慰めるという事を一度も経験した事がない証拠だった。

急いではダメだ。
ツグはまだ初めてなんだから。
もっとじっくり楽しませてあげないと。
でないと、目醒めたばかりの男の子の性器はすぐに終わりを迎えてしまう。
でもそんな快感をひとたび覚えてしまったツグは、下半身を戦慄わななかせながら先を急ごうとしている。

まだだよ、ツグ‥‥
もっとじっくり楽しまなくては‥‥

ツグの性器をしごくスピードが緩まる。
そして少し落ち着いたころに再びアップテンポで攻める。
先端から透明の蜜がタラタラとしたたり、お腹の上に真っ直ぐ糸を引いて落ちた。
呼吸がずいぶん荒くなっている。

いま、ツグの性器をなぶっているのは本当に神さまなのか?
もしそうであるなら、ツグのこの初めての体験をこんなにもらせて楽しむことが、神さまがお望みになる「行為」なのか?
そして、その神さまの「行為」に対して、ツグが自分の肉体を提供し充分にご満足いただくまでお相手をすることが、神さまへの「お礼」となるのか?

ツグよ、お前はなんて可愛い子なんだ‥‥

誰かがそう呟いたような気がした。
でもそこには誰の姿も

すると突然、ツグが仰向けに寝たまま胸を弓なりに反らせて顎を上げた。

はぁうっ。

ため息なのか、それとも喘ぎ声か。

もっと、声を出していいんだよ‥‥

乳首の周りが濡れているようにも見える。
指でいじられているというよりは、下から上へ何度も何度も丁寧に舐められているようだ。

両手は体の左右にピッタリと添えられ、寝台の上のシーツに爪を立てている。
一所懸命に何かをこらえているようなその表情が、なぜか不思議と艶やかに見えた。
ちょっとでも気を抜くとすぐにでも下半身が熔け出し、ツグの体の中で作られ始めたばかりの濃厚な体液が堰を切って吐き出されそうだった。

腹が大きく数回、不規則に波打った。
そしてくわっと凹んだ。
まるで形のいいヘソの中に舌を入れられ、じっとりと舐められているかのようだ。
両足の爪先も体操選手のようにピンと硬直した。
快楽と自制心がツグの体の中で支配権を争っている。

気持ちよかったら素直に快楽に溺れていいんだよ‥‥

今度は両手が肩の高さまで横に真っ直ぐ広げられ両足も大きく開き、ツグは裸のまま寝台の上で「大」の字になった。
腋や股など普段は閉じられてい見えない部位がよく見えた。
伸びきった両手両足はまるで縄で縛られて固定されているようにも見える。
腋の下や性器はまだ全くの無毛で、少年の裸体の艶めかしさが際立った。
腰の辺りだけ真っ白なパンツを履いているような、そんなくっきりとした日焼けの跡もよくわかる。
他人に見られたら恥ずかしい、いつもは隠している部分がいまはこんなにも無防備に晒されてしまっている。

硬く大きく膨らんだツグの性器は、見えない神さまに握られながら快楽のを受けるのが好きみたいだ。
何故なら先端から透明な液がますます多量に出てきていているから。

ツグの体が小刻みに震えた。
ゼーゼーするほど息も荒い。
全身はびっしょりと汗をかいてしまっている。
下半身がまるで限界まで伸びたゴムのように、ギリギリのところまで緊張を溜め込んでいるのが分かる。

もう6年生の男の子だからもちろん毎朝ちゃんと勃つし、お風呂に入っている時や学校の授業中も、こうなってしまうことがある。
こんなことはいつもだったらそのうちに元に戻っている。
でも今日は、もうずっと長い時間この状態がつづいている。
いや、見えない手によってこの状態をかなり長いこと続けいる。

性器の根元でやっとの思いで抑えている疼きはもう決壊寸前で、いつ洪水を起こしてもおかしくない状態だった。
呼吸がまた一段と荒くなった。
懸命にこらえるように首を左右に大きく振ると、長い前髪の先から汗の雫が飛び散った。

そのとき、ツグの動きが止まった。

息を止めて、じっと何かを溜めている‥‥
その瞬間を、待っている‥‥

あっ‥‥ああっ‥‥

突然、亀頭の先端から白濁の粘液が勢いよく溢れ出てきた。
下半身が波打つたびに肌色の砲身から白い砲弾が何発も何発も発射された。
初めてで不慣れなためかコントロールも悪く、腹や胸の上などあちこちに飛び散った。
そして腰をちょっと引いたかと思うと、ドクンドクンと脈打ちながら残りの体液をふたつの楕円球の奥から絞り出した。

ツグは、初めて射精した。

ツグ、おめでとう‥‥
よく、頑張ったね‥‥
こういうの初めてなんだね‥‥
精通って言うんだよ‥‥
体の準備は十分にできていたみたいだ‥‥
だってものすごくたくさん出たから‥‥
これからは自分でするんだよ‥‥
これでまたちょっと、大人になったね‥‥

ツグは全身シャワーでも浴びたかのように汗でびっしょり濡れて、すべすべの肌が蝋燭の薄明りに照らされてキラキラと光っていた。
疲れてぐったりしているその表情が心なしか虚ろに感じるが、満ち足りているようにも見える。
両手両足の拘束も解かれたようで、いまは静かに呼吸をしている。

ツグは祖父とサッカーがしたくて自分の意思でここに来たんだ。

これでいいんだよね。
もう終わったんだよね、おじいちゃん‥‥

ツグの性器はまたいつもの可愛らしい男の子の形に戻っていた。

ツグ、君は神さまへのお礼として立派に役目を果たしたよ。
ワールドカップ級の、いやそれ以上の最高級のトロフィーを君にあげよう。
だって、ツグは自分の大事な「初めて」を神さまに捧げたんだから。

私は翌朝、昨夜の場所へ孫を迎えに行った。
しかしツグは部屋から出てこない。
中に入ってみると、孫は全裸のまままだ寝台の上で寝ている。
よほど体力を使うことでもあったのだろうか。

私は昨夜、孫の夢を見たような気がする。
孫のツグが裸で寝ていたような‥‥
そう、まるっきりこんな感じで。
だがそれがどんな夢だったのかは覚えていない。
もう年のせいなのだろうか?

私は眠っているツグの裸体を抱きかかえて気が動転した。
かなりの高熱だ。
私は手早く洋服を着せ急いで車に乗せた。
そして孫が小さい頃から世話になっている総合病院へ駆け込んだ。
小さい頃からよく診てくれていたかかりつけの小児科医が直ぐにツグの容体を診てくれた。

「たいぶ体力が落ちています」
「特に気がかりなのは、心臓の機能がかなり低下してることです」
「あまりいい状態とは言えません」
「心臓に大きな負担がかかったようですね」
「お心当たりはありますか?」
「たとえば‥‥」

「極度の肉体的な興奮状態が長く続いたとか‥‥」

「とにかく、しばらくはゆっくり安静にしていてください」
「それとスポーツはもうなさらないほうがいいでしょう」

私には小児科医が言っていることが理解できなかった。
こんなことになるのが始めからわかっていれば、孫をあんなところへ連れて行かなかった。
娘夫婦には何て説明しようか。
そんなことばかり考えていた。
後悔の念にさいなまれる。

孫はそのまましばらく入院生活を送ることになった。
友達からお見舞いでもらった寄せ書きのあるサッカーボールを、ベッドの上で抱きかかえている姿を目にするたびに心が痛んだ。

そして私はといえば、孫とは反対に見る見る若さを取り戻していった。
予想以上に体力が蘇り、みんなから若返ったと口々に言われた。
だがそれは嬉しいどころか、私にとっては悲しみが増すばかりだった。

確かに、神さまはちゃんと約束をお守りくださった。
そして私は間違いなく若さを取り戻した。
でもそれは、私が連れて行った「お礼」と引き換えであることに、今更ながら思い知らされると言うことでもあった。
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