10 / 51
第7章 ジェレミィ(3歳)
ジェレミィ(3歳)1/2
しおりを挟む
学校からの帰り道、幼稚園の前を通るといつもより一層賑やかな声が聞こえてくる。
あ、そっか、今日は健康診断の日だ。
年に一回、僕んちの幼稚園では身体測定と同時に健康診断も行っている。
男の子も女の子も園児全員みんながパンツ一丁になって一列に並ぶ姿は、いつ見ても可愛いと思う。
最初に身長や体重を測定した後、近くのクリニックから出向いてきてくれているお医者さんが、聴診器で心音を聞いたり指を当てて触診したりする。
うちの幼稚園で特徴的なのは、さらに園児の性器の検診をしていることだった。
男の子は包茎の状態や停留睾丸を検査し、女の子は指で開いて形を見て異常がないかどうかを診察する。
もちろんその時は、園児といえども男女別々の部屋で行っている。
性器の検診を始めた当初は、保護者の方に受け入れてもらえるかどうか分からなかったので希望者だけで始めた。
そうしたところ、実はこれが結構、希望者が多くて、今では園児全員が受けている。
本当は自宅で父親や母親が見てやればいいんだろうけど、なんせ医者が無料で見てくれるっていうから、今では検診の一環として園児全員が受けている。
特に母親にとって息子のおちんちんは、自分の子供とは言え自身には無いものだから、なかなか剥いたりするのに抵抗があるみたい。
中には、壊しちゃいそう、とか言って、本当に検診を有り難がってくれる母親もいたりする。
僕はあまりの賑やかさに真っ直ぐ帰宅するのを止めて、様子を伺いに幼稚園の中に入って行った。
まぁ、園児たち、特に男の子の診察の様子も見たかったってこともあったしね。
「お世話になります」
僕はいつも来てくれているクリニックのおじいちゃん先生に挨拶した。
最初に入ったのは女の子の診察をしている部屋だった。
「あー、歩くんだー」
「歩くんだ、歩くんだー」
「きゃー、歩くん、来たー」
わぁわぁわぁわぁ、まあ、賑やかだ。
「歩くん、ここは女の子のお部屋だから、来ちゃダメーっ」
「来ちゃだめー」
「エッチー」
何を言うかと思ったけど、その場は直ぐに退散した。
そして男の子の部屋に行った。
みんな意外と大人しくしていて、身長や体重やその他いろいろ測定し終わると、次に検診のために別室に連れて行かれた。
パイプと白い布で作られた衝立の内側で一列に並んでパンツを下ろし、おちんちんの皮が剥けるかどうかをここで確認してもらう。
不安そうな表情の子や、剥かれるまえから泣き出す子とかいるけど、概ねみんな行儀がいい。
男の子は単純だから一人がパンツを脱ぎ始めると、ドミノ倒しのようにパタパタパタっとみんな連鎖反応で脱ぐ。
たくさんの子象の群れがそこに現れた。
子象の鼻は長いのやら短いのやら、色の白いのや濃いのやら、様々だった。
中には何故か、パオーンってなって上を向いてしまっている子象もいる。
この子象の鼻をクリニックの先生は、感染症対策のため一回一回アルコールで手を消毒しながら、ひとりひとり摘まんで剥けるかどうかを診察していた。
幼稚園児だからみんな剥けるわけではないけど、将来的に包皮の切開手術を受けた方がいいかどうかの助言をしてあげるのだった。
その後、陰嚢を触ってみて睾丸が下りてきていないと、病院へ行くように進言してくれる。
んー、僕も将来、小児科の先生になろうかな‥‥
そう思ったけど、動機があまりに不純なので反省した。
いつまで見ていても子象の群れは可愛らしくて見飽きないけど、ここにいても仕方ないので自宅に帰ることにした。
帰ろうと思って出入り口に向かって園庭を歩いていると、ベテランの保育士さんの叫び声が聞こえた。
行儀がいいわけでは無い子が、ひとりいるらしい。
「歩くーん、そっち行ったー、捕まえてー」
見ると園舎から素っ裸で走り出てくる男の子がいた。
褐色の肌、縮れ気味にカールした短い毛。
間違いない、ジェレミィだ。
母親は日本人で、父親がアフリカ系のハーフの子だ。
ジェレミィは園庭を素っ裸のままこちらに向かって逃げてくる。
「歩くーん、脱走よ、脱走-ッ」
「捕まえてー」
ベテランの保育士さんが、また叫んだ。
ジェレミィは生まれたままの姿で好き勝手にオープンエアーの園庭を駆け回っている。
すると踵を返そうとしたその時に、足が滑って地面にベタンと転び、ワーワーと泣き出した。
そりゃ、裸だもん。
転んだら痛いに決まってるよ。
「もー、そんな格好で恥ずかしよ」
僕はジェレミィを抱き起して、身体の土埃を払ってやった。
膝小僧を少し擦りむいている。
「だーいじょーぶー?」
その様子を見ていたベテラン保育士さんが心配して叫んだ。
「ちょっと膝、擦りむきましたぁ」
「僕、保健室に連れて行きまーす」
「お願いしてもいーいー?」
「はーい」
「消毒して手当てしときまーす」
「その子、検査もう終わってるからー、後はよろしくねー」
「わかりましたぁー」
僕も叫び返した。
「アユム、キャリー、ミー」
ジェレミィはそう言って大きく手を広げた。
「抱っこするの?」
「足、怪我してるからね」
「いいよ、抱っこしてあげる」
裸足のままのジェレミィを抱きかかえて、僕は保健室に向かった。
ジェレミィのおちんちんが、僕の脇腹にくっついた。
シャツの上からでも、何となくそのぷりぷりした感触で分かる。
「ジェレミィ、どうしたの?」
「検査、怖かったの?」
「怖くないよ」
ジェレミィはハーフだから、日本語も話せるし英語も話す。
ときどきちゃんぽんになって、僕も何を言ってるのか良く分からない時がある。
「擦りむいたとこ、痛くない?」
「アウチ!」
こんな感じ。
保健室のベッドに座らせると、擦りむいた膝小僧の消毒をして絆創膏を貼った。
「ジェレミィ、何で逃げ出したの?」
「ボーリン」
「ボーリングなんて、してたか?」
「ノー、つまんない」
「それと、ユータロー、チェイス、ミー」
「エン、タッチ、ヒア」
ジェレミィはそう言って、自分で自分のおちんちんを揉むようにして握った。
あ、そっか、今日は健康診断の日だ。
年に一回、僕んちの幼稚園では身体測定と同時に健康診断も行っている。
男の子も女の子も園児全員みんながパンツ一丁になって一列に並ぶ姿は、いつ見ても可愛いと思う。
最初に身長や体重を測定した後、近くのクリニックから出向いてきてくれているお医者さんが、聴診器で心音を聞いたり指を当てて触診したりする。
うちの幼稚園で特徴的なのは、さらに園児の性器の検診をしていることだった。
男の子は包茎の状態や停留睾丸を検査し、女の子は指で開いて形を見て異常がないかどうかを診察する。
もちろんその時は、園児といえども男女別々の部屋で行っている。
性器の検診を始めた当初は、保護者の方に受け入れてもらえるかどうか分からなかったので希望者だけで始めた。
そうしたところ、実はこれが結構、希望者が多くて、今では園児全員が受けている。
本当は自宅で父親や母親が見てやればいいんだろうけど、なんせ医者が無料で見てくれるっていうから、今では検診の一環として園児全員が受けている。
特に母親にとって息子のおちんちんは、自分の子供とは言え自身には無いものだから、なかなか剥いたりするのに抵抗があるみたい。
中には、壊しちゃいそう、とか言って、本当に検診を有り難がってくれる母親もいたりする。
僕はあまりの賑やかさに真っ直ぐ帰宅するのを止めて、様子を伺いに幼稚園の中に入って行った。
まぁ、園児たち、特に男の子の診察の様子も見たかったってこともあったしね。
「お世話になります」
僕はいつも来てくれているクリニックのおじいちゃん先生に挨拶した。
最初に入ったのは女の子の診察をしている部屋だった。
「あー、歩くんだー」
「歩くんだ、歩くんだー」
「きゃー、歩くん、来たー」
わぁわぁわぁわぁ、まあ、賑やかだ。
「歩くん、ここは女の子のお部屋だから、来ちゃダメーっ」
「来ちゃだめー」
「エッチー」
何を言うかと思ったけど、その場は直ぐに退散した。
そして男の子の部屋に行った。
みんな意外と大人しくしていて、身長や体重やその他いろいろ測定し終わると、次に検診のために別室に連れて行かれた。
パイプと白い布で作られた衝立の内側で一列に並んでパンツを下ろし、おちんちんの皮が剥けるかどうかをここで確認してもらう。
不安そうな表情の子や、剥かれるまえから泣き出す子とかいるけど、概ねみんな行儀がいい。
男の子は単純だから一人がパンツを脱ぎ始めると、ドミノ倒しのようにパタパタパタっとみんな連鎖反応で脱ぐ。
たくさんの子象の群れがそこに現れた。
子象の鼻は長いのやら短いのやら、色の白いのや濃いのやら、様々だった。
中には何故か、パオーンってなって上を向いてしまっている子象もいる。
この子象の鼻をクリニックの先生は、感染症対策のため一回一回アルコールで手を消毒しながら、ひとりひとり摘まんで剥けるかどうかを診察していた。
幼稚園児だからみんな剥けるわけではないけど、将来的に包皮の切開手術を受けた方がいいかどうかの助言をしてあげるのだった。
その後、陰嚢を触ってみて睾丸が下りてきていないと、病院へ行くように進言してくれる。
んー、僕も将来、小児科の先生になろうかな‥‥
そう思ったけど、動機があまりに不純なので反省した。
いつまで見ていても子象の群れは可愛らしくて見飽きないけど、ここにいても仕方ないので自宅に帰ることにした。
帰ろうと思って出入り口に向かって園庭を歩いていると、ベテランの保育士さんの叫び声が聞こえた。
行儀がいいわけでは無い子が、ひとりいるらしい。
「歩くーん、そっち行ったー、捕まえてー」
見ると園舎から素っ裸で走り出てくる男の子がいた。
褐色の肌、縮れ気味にカールした短い毛。
間違いない、ジェレミィだ。
母親は日本人で、父親がアフリカ系のハーフの子だ。
ジェレミィは園庭を素っ裸のままこちらに向かって逃げてくる。
「歩くーん、脱走よ、脱走-ッ」
「捕まえてー」
ベテランの保育士さんが、また叫んだ。
ジェレミィは生まれたままの姿で好き勝手にオープンエアーの園庭を駆け回っている。
すると踵を返そうとしたその時に、足が滑って地面にベタンと転び、ワーワーと泣き出した。
そりゃ、裸だもん。
転んだら痛いに決まってるよ。
「もー、そんな格好で恥ずかしよ」
僕はジェレミィを抱き起して、身体の土埃を払ってやった。
膝小僧を少し擦りむいている。
「だーいじょーぶー?」
その様子を見ていたベテラン保育士さんが心配して叫んだ。
「ちょっと膝、擦りむきましたぁ」
「僕、保健室に連れて行きまーす」
「お願いしてもいーいー?」
「はーい」
「消毒して手当てしときまーす」
「その子、検査もう終わってるからー、後はよろしくねー」
「わかりましたぁー」
僕も叫び返した。
「アユム、キャリー、ミー」
ジェレミィはそう言って大きく手を広げた。
「抱っこするの?」
「足、怪我してるからね」
「いいよ、抱っこしてあげる」
裸足のままのジェレミィを抱きかかえて、僕は保健室に向かった。
ジェレミィのおちんちんが、僕の脇腹にくっついた。
シャツの上からでも、何となくそのぷりぷりした感触で分かる。
「ジェレミィ、どうしたの?」
「検査、怖かったの?」
「怖くないよ」
ジェレミィはハーフだから、日本語も話せるし英語も話す。
ときどきちゃんぽんになって、僕も何を言ってるのか良く分からない時がある。
「擦りむいたとこ、痛くない?」
「アウチ!」
こんな感じ。
保健室のベッドに座らせると、擦りむいた膝小僧の消毒をして絆創膏を貼った。
「ジェレミィ、何で逃げ出したの?」
「ボーリン」
「ボーリングなんて、してたか?」
「ノー、つまんない」
「それと、ユータロー、チェイス、ミー」
「エン、タッチ、ヒア」
ジェレミィはそう言って、自分で自分のおちんちんを揉むようにして握った。
30
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。





塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる