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⑩解き放たれた思い☆
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ガタガタと車輪が動く音が車内に響いている。
馬車が走り出しても、ソフィアはランドールと手を繋いでいた。
何から話すのがいいのかソフィアはずっと考えてきたが、上手く言葉にできずに飲み込むことを繰り返していた。
それはランドールも同じようで、緊張が伝わってきて、手に汗が滲むのが分かった。
「……俺の母は、俺を産んですぐに亡くなったから……。俺にとって幼い頃、母というのはずっと継母のことだった」
やっと気持ちが整理できたのか、ランドールは考えるようにしながら、ボソリと喋りだした。
「だが、継母は俺が近づくことも疎ましく思っていたし、母と呼ぶことも許さなかった。一度も笑いかけてくれたこともない。自然と母というものはそうなのだと諦めていたし、自分は誰にも愛されない子供だったのだとずっとそう考えていた。弟は母にも父にも可愛がられていたから、よけいにそう思っていた」
ランドールの幼い頃の孤独を思うと胸が張り裂けそうだった。出来ることなら、近くに寄り添って抱き締めてあげたかったと、ソフィアは切ない気持ちになった。
「あるとき、城の倉庫の奥で、俺の母が書いていた日記を見つけた。埃をかぶっていたが中はしっかり読むことができた。その中には、生まれてくる俺への愛が溢れていた。指折り数えて会えることを楽しみにして、俺の将来まですでに心配して、数えきれないくらい愛していると書いてあった。その時俺は、自分が確かに愛されていたことを初めて知ったんだ……」
ランドールの手を握る力が強くなった。涙は流れていなかったが、その目には光るものがあった。
「その時から、俺に愛をくれた人はいたのだと思って生きてこられた。だが、どこかで母を愛することはいけないことだと思う気持ちがあった。あの時、王妃に母を侮辱されて俺は腹立たしくて苦しかった。そんな俺に、それでもいいと、愛する者だから苦しくて怒りが込み上げても、それでいいのだとソフィアが教えてくれた」
「…ランドール様。そんな…私の言葉など……」
頭を振って目をそらしたソフィアだったが、ランドールは訴えかけるように、ソフィアの腕をつかんで見つめ続けた。
「俺から言い出したことだが、仮の婚約者はもうやめにしたい」
ソフィアの心臓は縮むように揺れて痛んだ。もしかして、もうやめようと言われるかもしれないとは想定していた。しかし、実際にそれを耳にすると思った以上に胸は痛み、悲しみが襲ってきた。
「それは……、構いません。私は従うまでですから……。でも、まだ心の準備が……。すみません、予想以上に悲しくなってしまって……」
ポロポロと涙が溢れてしまい、まさかの痛みにソフィア自身も驚いた。年の功とか偉そうな事を思っておきながら、それらしいことは何も出来ずにただ惹かれていたのだと今さら気づいてしまったのだ。
「……ソフィア?どうして泣いて……」
「……だって、私との婚約は破棄されるのでしょう。私いつも偉そうにしながら余裕でいましたけど、本当はランドール様といるのが楽しくて…嬉しくて…、もう二度と会えないのかと思うと…」
「まっ…!ちょっと待て!やめるのは仮の方だ!仮をやめようということだ」
「へ?」
「だっ…だから!本当の婚約者になってくれということだ……」
自信がないのか最後の方が口ごもるように消えてしまったが、確かに聞こえたその言葉に、ソフィアの体は歓喜に震えた。
「……問題は山積みだ。王妃の件もあるし、本格的な嫌がらせが始まるだろう。本来ならそういう危険から伴侶を守るべく相手を探していたが、俺はソフィアに出会ってしまった。もう他の女性との結婚なんて考えられない。俺はソフィアの手を離したくない。一緒にいてくれるならソフィアでないとだめだ。だから、俺は何としてもソフィアを守ると決めたんだ」
ランドールはそう言った後、離したくないという思いを込めるように、ソフィアを強く抱き締めてきた。
「ランドール様……」
「実は言えなかったが、他国に送った使者は最初に報告があった時、どうしても気持ちが向かなくて、そのまま交渉は止めているんだ。……頼りないかもしれないが、俺に付いてきて欲しい」
いつの間にか止められていた交渉にも驚いたが、ついこの間まで、手を繋いだだけで真っ赤になっていたランドールが、急に大人びて成長したように見えてソフィアは嬉しくなった。
鳥籠の中に入れられて、空を眺めて鳴いているのはランドールだと思っていたけれど、それはソフィア自身だと気づいた。
そして今、籠の扉をランドールが開けてくれたのだ。
「私もランドール様がいいです。そばに…、ずっとお側にいたいです」
ソフィアを抱き締める力が弛んで、二人の目線が導かれように重なった。
そのままどちらともなく、唇を重ねた。
弾力があり柔らかい感触の中にじんわりとした熱を感じる。ソフィアがわずかに唇を開くと、それが合図だったかのように、角度を変えて深く口付けられた。お互い相手の唇を貪るように食らい付いた。
「はぁ…ランドールさま……」
「ソフィア…もっと……、もっと君が欲しい」
お互い息継ぎも忘れて、荒い息をしながら夢中で口付けた。
ソフィアがランドールの唇をペロリと舐めると、お返しというように舐められた。
ランドールはそのまま舌をソフィアの口の中まで押し入れきた。
ソフィアも自らの舌でそれを迎え入れて、絡ませては、ジュバジュバと音を立てて吸い付いた。
「ああっ…、待って、それはヤバい…」
「だめです。ほらもっと口を開いて…」
いつの間にか経験の差か、攻守が逆転してソフィアがランドールの良さそうなところを舌で探して攻め立てていた。
「んっ、ソフィア…今の……すごい……」
「これですか?」
歯肉の上まで舌を這わせて、ランドールの口内でぐるぐると舌を回すと、たまらないという風にランドールは声を漏らした。
感じているのだと嬉しくなったソフィアは、もっと喜んで欲しくて、音を立てて吸い付いていった。
「んんっ!ソフィア…まって、だめだ…」
「え?何がですか?」
夢中で、ディープキスをしていたら、ランドールが慌てて後ろに飛び退いた。
真っ赤な顔で息を荒くしている姿を見て、ソフィアはやっとその事情に気がついた。
「…ランドール様、大きくなっているんですか?」
「うっ…、言うな…」
真っ赤になったランドールは堪らなく愛しく思えて、ソフィアはその膨らみに手を伸ばした。
「ランドール様の、見せてください」
布地の上から形を確かめるように触れると、硬くて大きなものが圧倒的な存在感で立ち上がっていた。
「あっ…本当、触った…ら…んああ!!」
掠れた声とともにそれはビクビクと揺れて青臭いにおいが漂ってきた。すでにかなり張り詰めていて、布の上から擦っただけで達してしまったらしい。
顔を覆って自身の失態に呆然としているランドールに、ソフィアはもっと愛しい気持ちが湧いてきて、思わず抱き締めてしまった。
「あぁ…情けない……」
「落ち込まないでください。私の手で感じてくれたなら嬉しいです。次はきっと直に触らせてくださいね。それともお口がいいですか?」
調子に乗ったソフィアを、ランドールは口をパクパクとさせながら真っ赤な顔をして見上げた。
「……ソフィア、なんでそんなに慣れているんだ…、まさか…前にもこういうことを……」
「え!?あの…、私は初めてですよ。淑女の教育で知識だけです」
「……なっ、絶対おかしい!まっ…まさか、あの兄と…!?」
「バカなこと言わないでください!あるわけないでしょう!兄がなんと言おうと私のファーストキスはランドール様ですから」
若干ごまかした感はあるが、ソフィアはそう言って微笑んで、ランドールにキスをした。
ずいぶん前に馬車は学校に到着していたが、予鈴が鳴っても二人のキスはずっと続いていたのだった。
□□
「ところで……、ずっと忘れていたのですが、ランドール様の弟のギデオン様とまだお会いしていないのですが…、パーティーにもいらしてなかった…ですよね」
誰も話題に上げないのだが、王妃とともに王位を狙う男であるギデオンの存在感がなさすぎて、ソフィアはすっかり忘れていたのだ。
確かソフィアと同じ年で、すでに婚約者もいるという話なのだが、挨拶しようにもいっこうに姿が見えなかった。
「何を言っているんだ、ソフィア。お前同じクラスだろう。いつも普通に通学しているはずだ」
「は!?え!?くっ…クラスメイトなんですか?ええ?いったい……どこに…」
きちんと紹介するのを忘れていたとランドールは頭を押さえながらため息をついた。
「あいつは…、大人しすぎるというか、母親は強烈なくせに、本人はいつもいるかどうかも忘れるくらい存在感がないんだ」
どういう扱いなのか謎過ぎるのだが、やっと紹介してもらえることになった。大人しいとは言われているが、あの母親の影響を受けていれば、それなりに狡猾で鋭い目をした男が想像できた。
着替えが必要なランドールは先に私室へ行ってもらいソフィアは一人で教室へ行き、そのまま教室の中をじっくり眺めてみた。
ちゃんと通いだしてしばらく経っているが、いつもと同じ顔ぶれのように見える。
もちろん顔を知らないので、この中の誰かということになるのだから、顔だけでも知っておきたいとフィオネに声をかけた。
「え?ギデオンさま?それなら後ろの方の席……」
やはり同じクラスだったのかとソフィアは衝撃を受けた。フィオネが指を示した先を見たがそこには空っぽの席があって、本人はまだ来ていないようだった。
「…なんだけど、あそこには座られないのよ」
「はい?どういうこと?」
「多分あそこにいらっしゃるかと……」
フィオネが次に示した先に見えたものがとても信じられなくてソフィアは思考が止まってしまった。
「え…?あれが……?」
ソフィアが驚いて溢した声が、ざわざわと声が行き交う教室の中で吸い込まれるように消えていった。
□□□
馬車が走り出しても、ソフィアはランドールと手を繋いでいた。
何から話すのがいいのかソフィアはずっと考えてきたが、上手く言葉にできずに飲み込むことを繰り返していた。
それはランドールも同じようで、緊張が伝わってきて、手に汗が滲むのが分かった。
「……俺の母は、俺を産んですぐに亡くなったから……。俺にとって幼い頃、母というのはずっと継母のことだった」
やっと気持ちが整理できたのか、ランドールは考えるようにしながら、ボソリと喋りだした。
「だが、継母は俺が近づくことも疎ましく思っていたし、母と呼ぶことも許さなかった。一度も笑いかけてくれたこともない。自然と母というものはそうなのだと諦めていたし、自分は誰にも愛されない子供だったのだとずっとそう考えていた。弟は母にも父にも可愛がられていたから、よけいにそう思っていた」
ランドールの幼い頃の孤独を思うと胸が張り裂けそうだった。出来ることなら、近くに寄り添って抱き締めてあげたかったと、ソフィアは切ない気持ちになった。
「あるとき、城の倉庫の奥で、俺の母が書いていた日記を見つけた。埃をかぶっていたが中はしっかり読むことができた。その中には、生まれてくる俺への愛が溢れていた。指折り数えて会えることを楽しみにして、俺の将来まですでに心配して、数えきれないくらい愛していると書いてあった。その時俺は、自分が確かに愛されていたことを初めて知ったんだ……」
ランドールの手を握る力が強くなった。涙は流れていなかったが、その目には光るものがあった。
「その時から、俺に愛をくれた人はいたのだと思って生きてこられた。だが、どこかで母を愛することはいけないことだと思う気持ちがあった。あの時、王妃に母を侮辱されて俺は腹立たしくて苦しかった。そんな俺に、それでもいいと、愛する者だから苦しくて怒りが込み上げても、それでいいのだとソフィアが教えてくれた」
「…ランドール様。そんな…私の言葉など……」
頭を振って目をそらしたソフィアだったが、ランドールは訴えかけるように、ソフィアの腕をつかんで見つめ続けた。
「俺から言い出したことだが、仮の婚約者はもうやめにしたい」
ソフィアの心臓は縮むように揺れて痛んだ。もしかして、もうやめようと言われるかもしれないとは想定していた。しかし、実際にそれを耳にすると思った以上に胸は痛み、悲しみが襲ってきた。
「それは……、構いません。私は従うまでですから……。でも、まだ心の準備が……。すみません、予想以上に悲しくなってしまって……」
ポロポロと涙が溢れてしまい、まさかの痛みにソフィア自身も驚いた。年の功とか偉そうな事を思っておきながら、それらしいことは何も出来ずにただ惹かれていたのだと今さら気づいてしまったのだ。
「……ソフィア?どうして泣いて……」
「……だって、私との婚約は破棄されるのでしょう。私いつも偉そうにしながら余裕でいましたけど、本当はランドール様といるのが楽しくて…嬉しくて…、もう二度と会えないのかと思うと…」
「まっ…!ちょっと待て!やめるのは仮の方だ!仮をやめようということだ」
「へ?」
「だっ…だから!本当の婚約者になってくれということだ……」
自信がないのか最後の方が口ごもるように消えてしまったが、確かに聞こえたその言葉に、ソフィアの体は歓喜に震えた。
「……問題は山積みだ。王妃の件もあるし、本格的な嫌がらせが始まるだろう。本来ならそういう危険から伴侶を守るべく相手を探していたが、俺はソフィアに出会ってしまった。もう他の女性との結婚なんて考えられない。俺はソフィアの手を離したくない。一緒にいてくれるならソフィアでないとだめだ。だから、俺は何としてもソフィアを守ると決めたんだ」
ランドールはそう言った後、離したくないという思いを込めるように、ソフィアを強く抱き締めてきた。
「ランドール様……」
「実は言えなかったが、他国に送った使者は最初に報告があった時、どうしても気持ちが向かなくて、そのまま交渉は止めているんだ。……頼りないかもしれないが、俺に付いてきて欲しい」
いつの間にか止められていた交渉にも驚いたが、ついこの間まで、手を繋いだだけで真っ赤になっていたランドールが、急に大人びて成長したように見えてソフィアは嬉しくなった。
鳥籠の中に入れられて、空を眺めて鳴いているのはランドールだと思っていたけれど、それはソフィア自身だと気づいた。
そして今、籠の扉をランドールが開けてくれたのだ。
「私もランドール様がいいです。そばに…、ずっとお側にいたいです」
ソフィアを抱き締める力が弛んで、二人の目線が導かれように重なった。
そのままどちらともなく、唇を重ねた。
弾力があり柔らかい感触の中にじんわりとした熱を感じる。ソフィアがわずかに唇を開くと、それが合図だったかのように、角度を変えて深く口付けられた。お互い相手の唇を貪るように食らい付いた。
「はぁ…ランドールさま……」
「ソフィア…もっと……、もっと君が欲しい」
お互い息継ぎも忘れて、荒い息をしながら夢中で口付けた。
ソフィアがランドールの唇をペロリと舐めると、お返しというように舐められた。
ランドールはそのまま舌をソフィアの口の中まで押し入れきた。
ソフィアも自らの舌でそれを迎え入れて、絡ませては、ジュバジュバと音を立てて吸い付いた。
「ああっ…、待って、それはヤバい…」
「だめです。ほらもっと口を開いて…」
いつの間にか経験の差か、攻守が逆転してソフィアがランドールの良さそうなところを舌で探して攻め立てていた。
「んっ、ソフィア…今の……すごい……」
「これですか?」
歯肉の上まで舌を這わせて、ランドールの口内でぐるぐると舌を回すと、たまらないという風にランドールは声を漏らした。
感じているのだと嬉しくなったソフィアは、もっと喜んで欲しくて、音を立てて吸い付いていった。
「んんっ!ソフィア…まって、だめだ…」
「え?何がですか?」
夢中で、ディープキスをしていたら、ランドールが慌てて後ろに飛び退いた。
真っ赤な顔で息を荒くしている姿を見て、ソフィアはやっとその事情に気がついた。
「…ランドール様、大きくなっているんですか?」
「うっ…、言うな…」
真っ赤になったランドールは堪らなく愛しく思えて、ソフィアはその膨らみに手を伸ばした。
「ランドール様の、見せてください」
布地の上から形を確かめるように触れると、硬くて大きなものが圧倒的な存在感で立ち上がっていた。
「あっ…本当、触った…ら…んああ!!」
掠れた声とともにそれはビクビクと揺れて青臭いにおいが漂ってきた。すでにかなり張り詰めていて、布の上から擦っただけで達してしまったらしい。
顔を覆って自身の失態に呆然としているランドールに、ソフィアはもっと愛しい気持ちが湧いてきて、思わず抱き締めてしまった。
「あぁ…情けない……」
「落ち込まないでください。私の手で感じてくれたなら嬉しいです。次はきっと直に触らせてくださいね。それともお口がいいですか?」
調子に乗ったソフィアを、ランドールは口をパクパクとさせながら真っ赤な顔をして見上げた。
「……ソフィア、なんでそんなに慣れているんだ…、まさか…前にもこういうことを……」
「え!?あの…、私は初めてですよ。淑女の教育で知識だけです」
「……なっ、絶対おかしい!まっ…まさか、あの兄と…!?」
「バカなこと言わないでください!あるわけないでしょう!兄がなんと言おうと私のファーストキスはランドール様ですから」
若干ごまかした感はあるが、ソフィアはそう言って微笑んで、ランドールにキスをした。
ずいぶん前に馬車は学校に到着していたが、予鈴が鳴っても二人のキスはずっと続いていたのだった。
□□
「ところで……、ずっと忘れていたのですが、ランドール様の弟のギデオン様とまだお会いしていないのですが…、パーティーにもいらしてなかった…ですよね」
誰も話題に上げないのだが、王妃とともに王位を狙う男であるギデオンの存在感がなさすぎて、ソフィアはすっかり忘れていたのだ。
確かソフィアと同じ年で、すでに婚約者もいるという話なのだが、挨拶しようにもいっこうに姿が見えなかった。
「何を言っているんだ、ソフィア。お前同じクラスだろう。いつも普通に通学しているはずだ」
「は!?え!?くっ…クラスメイトなんですか?ええ?いったい……どこに…」
きちんと紹介するのを忘れていたとランドールは頭を押さえながらため息をついた。
「あいつは…、大人しすぎるというか、母親は強烈なくせに、本人はいつもいるかどうかも忘れるくらい存在感がないんだ」
どういう扱いなのか謎過ぎるのだが、やっと紹介してもらえることになった。大人しいとは言われているが、あの母親の影響を受けていれば、それなりに狡猾で鋭い目をした男が想像できた。
着替えが必要なランドールは先に私室へ行ってもらいソフィアは一人で教室へ行き、そのまま教室の中をじっくり眺めてみた。
ちゃんと通いだしてしばらく経っているが、いつもと同じ顔ぶれのように見える。
もちろん顔を知らないので、この中の誰かということになるのだから、顔だけでも知っておきたいとフィオネに声をかけた。
「え?ギデオンさま?それなら後ろの方の席……」
やはり同じクラスだったのかとソフィアは衝撃を受けた。フィオネが指を示した先を見たがそこには空っぽの席があって、本人はまだ来ていないようだった。
「…なんだけど、あそこには座られないのよ」
「はい?どういうこと?」
「多分あそこにいらっしゃるかと……」
フィオネが次に示した先に見えたものがとても信じられなくてソフィアは思考が止まってしまった。
「え…?あれが……?」
ソフィアが驚いて溢した声が、ざわざわと声が行き交う教室の中で吸い込まれるように消えていった。
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