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本編
さんじゅういち 二人の物語
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資料の束を紐で括ったビリジアンは、それを木箱の中に入れて、すぐに持っていけるように準備をした。
資料の中身は、ロクローの現状とその考察をまとめたものだ。
魔法省にロクローの変化について報告をしたところ、詳しい状況をまとめて提出するようにと連絡があった。
狩り大会に連れ出してしまったことについてお咎めはなかった。
ただ、報告が遅れたのは事情もあったと思うが、以後気をつけるようにと指導された。
マゼンタのところにも魔法省から調査員が派遣されて、ロクローは検査をするために持ち帰られた。
今まで使えないゴミ扱いをされてきた魔法生物達に、今、各方面から熱い視線が注がれている。
召喚獣は高位の魔術師達によって、国の治安維持や、新たな魔法具の開発に大きく貢献している。
成体になったロクローには、おそらく対象が持つ魔力を増幅させる力があるのではないかとビリジアンは見ている。
ロクローは魔力をマゼンタから吸い取ったようだが、そう言ったことが継続的にできるなら、魔力過多症の人間からしたら、喉から手が出るほど欲しい存在だとマゼンタは言っていた。
魔力をあげたい人、大きな魔力を必要としている人、魔法生物はその媒介となる大きな可能性を秘めている。
今まで構造的には完成していたが、膨大な魔力が必要となるために計画が止まっていたものがたくさんある。
長距離移動装置などに転用できないかという話が出ているらしい。
学園は長期休みに入ったので、ビリジアンは寮の飼育部屋にこもって、資料の作成にあたっていた。
深夜まで資料を作成して、朝方少し寝てから起きて、汚いままでは外に行けないので、体を綺麗にして身支度を整えた。
魔法省まで赴いて、資料を提出すれば少しは落ち着くだろうと思った。
マゼンタからはまだ連絡がないので、今のうちにできることはやっておこうと色々と動いていた。
「お前達も成体になれるといいなぁ。しかし、俺のピンチが鍵なんて、どうすればいいのか」
新入りロクロー以外の子達は、特に変化はない。今まで通り、のんびりとゴロゴロしているので、ビリジアンは餌を与えながら、延々と考えていた。
ロクローと同じように成体になるとしたら、やはり同じようなキッカケが必要になる。
いくら考えても思いつかなくて、また崖まで行こうかとそこまで考え始めていた。
その時、コンコンとノック音がして、ビリジアンは驚いて椅子から落ちそうになった。
寮の部屋まで訪ねてくるなんて、学園長くらいしかいない。
しかしまさかと、小さな期待が生まれて、トクトクと胸を揺らした。
「はい、開いてます」
キィィと木製のドアが軋む音を立てて開いた。
そこには、まだ会えないと思っていた人物の姿があって、ビリジアンは思わず椅子を転がしながら立ち上がった。
「先生、遅くなりました」
「マゼンダ……って、うわっ!」
ドアが開いた時から泣きそうな顔だったマゼンタは、勢いよくビリジアンに飛びついてきた。
ビリジアンは仰け反りながら受け止めたが、せっかく治療した腕がまた傷つかないか、心配になってしまった。
「いつの間に退院したんだ? それに腕は? 大丈夫なのか?」
「ええ、もう問題ないです。手続き前に先生に連絡しようと思ったのですが、それより早く会いたくて病院から出てすぐにこちらに」
「そ、そうか。元気になったならいい……、とりあえず落ち着いて座って話そうか?」
「先生……」
自分自身が冷静になるために、マゼンダから一度離れようとしたが、マゼンダはお構いなしにビリジアンの服に手を入れてきた。
直に背中を撫でられて、ビリジアンはひゃあと変な声を上げてしまった。
「お、お前なぁ……」
「だって、本気で抱きますって言ったじゃないですか。ずっと我慢していたのに……もう、待てません」
興奮ているのか、マゼンダから荒い息遣いが聞こえてきた。
下半身にぐいぐいと昂りを押し付けられて、さすが若いなと変に感心してしまった。
「あのな、マゼンダ。ひとつ確認しておきたいことがあるんだ」
部屋のドアに押し付けられて、マゼンダが顔中にキスを落としていく中、なんとかそれを手で押さえて、ビリジアンは口を開いた。
「バイオレット嬢のことなんだが……」
「はい? バイオレット嬢ですか?」
「二人はその……付き合っている、のか? お似合いだったし……仲が良かったから……」
何を言われても傷つかないつもりだったが、ビリジアンはドクドクと心臓の音がする度に、軋むような痛みを感じた。
「先生、いくら社交界の話題に疎いからと言って、そこのゴシップ誌の見出しすら目に入らないのでしょうか?」
「へ?」
何を言われたのかと思えば、マゼンダが指差した先には、魔法生物達の寝床に敷くために、キャメルからもらった貴族向け雑誌の切れ端が机の上に載っていた。
完全にただの道具にしか見えていなかったが、よく見たらそこには、バーミリオン王子、バイオレット嬢と婚約! という見出しがデカデカと書かれていた。
「は? う、うそ!? あれは本当の記事か!?」
「いくらゴシップ誌でも王室の話題を捏造したら罪に問われますよ。学園は休みに入りましたが、その前に盛り上がっていなかったですか?」
そういえば、いたるところで生徒が集まって手を叩いて盛り上がっていたのを見た。
ビリジアンはロクローのことで頭がいっぱいだったので、そこに参加することもなく、忙しく通り過ぎただけだった。
「なっ、なっ、どういうことだ? 俺はてっきり二人は付き合っているのかと……」
「分かりました。誤解がないように説明します。我が国の王子でありながら、あの方は大変、純粋……というか、恋愛に対しては非常に幼く、困り果てたバイオレット嬢に頼まれたのです」
「頼まれた? バイオレットはバーミリオン殿下が……」
「はい、そうです。入学した時から気になっていて、好きになってしまったと。しかし、恋愛学を学びながらイビキをかいて寝てしまうような人なので、お友達から抜け出すことができない。それなら、他の男性といい雰囲気になっているところを見せて、嫉妬させる作戦を立てたのです。その相手として、殿下が一番危険だと警戒する人として私に依頼が来た、ということですね」
「あ、あの、庭でイチャイチャしたり、劇場で首元に口紅が付いていたのも」
そこまで話すと、マゼンダは顔に手を当てた。
誤解させてしまってすみませんと謝ってきた。
「そ、そうか……、それでバイオレット嬢の作戦勝ちで、無事婚約者の座をゲットできたというわけだな」
「ええ、他の誰かに取られまいと自分の気持ちに気がついた殿下が、告白したそうです」
「な……なるほど、そうか、そうだったのか……でも、どうしてバイオレット嬢のためにそこまで……」
「正確には殿下のためです。正直なところ、殿下の頭の中はまだ少年のような状態で、いつまでも恋愛とはなんだ? みたいな質問をされるのに飽き飽きしていたのです。恋人ができれば私の役目も終わりですから、早くお役御免になりたかったというわけです」
バイオレットと話すだけで真っ赤になっていたバーミリオンの姿を思い出して、ビリジアンは納得してしまった。
純粋培養されて育てられたのかもしれないが、アレではなかなか前に進めないだろう。
「後はどうです? 何か心配事はありますか? 正直褒められるような日々を送ってきたわけではないですが、先生にお会いしてからは、今まで会っていた人達がどうでもよくなって、誰とも関係を持ってはいません」
「そ、それは……」
「ええ、私は先生が……」
「待て、待ってくれ」
マゼンダが想いを口にしようとする気配を感じたビリジアンは、マゼンダの口に手を当てて塞いだ。
そしてマゼンダのガチガチになっている昂りに、自分のモノを押し付けた。
「え……先生……、先生も大きくなって」
マゼンダの熱い瞳に溶かされて、ビリジアンのソコは反応していた。
同じように硬くなったモノを、布の上からくっつけて擦るだけで、声を漏らしそうなくらい気持ちよかった。
「……当たり前だろう。好きなやつに触れたら、俺だってこうなる」
「すき……な?」
もう一度口にするのが恥ずかしくなったビリジアンは、首を縦に振って頷いた。
「先生っっ!! 嬉しい!!」
「わぅ! ちょ、わわっ」
感極まった顔になったマゼンダは、ビリジアンを持ち上げてぎゅっと抱きしめてきた。
お互いそう変わらない体格なので、マゼンダの腕が大丈夫なのか冷や冷やしてしまった。
「好き、好きです。私も先生が、ビリジアンが大好きです」
「わ、分かった。分かったから、とりあえずここはアレだから、隣の部屋に……」
「どうしてですか? ここにもベッドがあるからいいじゃないですか?」
「いや、だって、魔法生物達がいるから」
「みんな部屋に入って出てきませんよ。もう待てないんです。今すぐ先生の服をぶち破ってお尻を犯しまく……愛したいのです」
何やら物騒な台詞が聞こえた気がするが、余裕がないのはビリジアンも同じなので、二人でキスをしながらお互いの服を脱がし合って、雪崩れ込むようにベッドに転がった。
ぴちゃぴちゃと音を立てて、マゼンダの指が内部を出入りするので、うつ伏せになったビリジアンは耳を塞ぎたくなった。
しかし、ぐりぐりと内壁を擦られると、たまらない快感に、シーツを掴んで耐えるしかなかった。
「マゼ……マゼンダ」
「はい、どうしましたか?」
「まだ……なのか? もう熱くなって、く、苦しい……」
「だいぶほぐれてきましたけど、もうちょっとかなぁ。このオイルは特別製で痛みは最小限に抑えてくれるそうです。それと、本当かどうか分かりませんが、二人の愛が深ければ、媚薬効果もあるそうですよ」
ベッド上で尻を高くあげた状態。
そんな格好すら恥ずかしいのに、媚薬効果と言われて、頭がくらりとしてしまった。
男同士の交わりでは、後ろの処理に時間がかかると聞いたが、マゼンダは持参した物でじっくりと丁寧に準備をしてくれた。
それは嬉しいのだが、気持ちよさが最上位まで届かないもどかしさで、おかしくなりそうだった。
「……正直なところ、自信がなくなってきました」
「え?」
「先生のナカ弄ってるだけでも、指に吸い付いてきてたまらないのに、この中に挿入ったら、すぐに果ててしまいそうで……」
「いいって……気持ち良くなって欲しい、から、早く挿れてくれよ」
「先生……」
ごくりと唾を飲み込んだマゼンダは、ビリジアンをゴロンと仰向けに寝かせた。
ビリジアンは膝を立てた状態で足を手で持った。
足の間に入ってきたマゼンダは、大きくなった自身を何度か扱いた後、ビリジアンの後孔に押し当ててゆっくりと挿入ってきた。
「ん、……くっっ……」
「先生? 大丈夫ですか?」
「あ、だ、いじょぶだ……ハァハァ、ちょっと……驚いただけ、だ」
「ゆっくり挿れますよ」
じゅうぶんに柔らかくなっていたからか、マゼンダの大きなモノはズブズブと音を立てながら、奥深くまで沈んできた。
張形の時とはまた違う圧迫感にビリジアンは苦しくなって息を漏らしたが、その苦しさの先に、目がチカチカするほどの快感を感じて、息を吸い込んだ。
「う、動いて、いいですか?」
余裕があったように見えたマゼンダが、ハァハァ息を吐いて、熱の孕んだ目でビリジアンを見てきた。
ビリジアンが頷くと、マゼンダは初めはゆっくりと、だんだん速度を上げて、奥深くまで打ち込んできた。
「かっ、くっっ、あ、あ、あ、あっ、くっ……」
「先生……先生、気持ちいい?」
「ああ、い、いいっ……いい、やばい」
「あ……ハァハァ……ここ、突くと、締まるの最高……すごい……先生の中、気持ち良すぎる」
「あっ、くつっ、やばっ、なか壊れ……うぅぅ、あっ、ううぁ」
ゆっくり腰を振る余裕がなくなったのか、マゼンダはギラついた目でガンガンと腰を打ちつけてきた。
ビリジアンは、ベッドの上まで押されて、たまらずにマゼンダの首の後に手を巻きつけた。
「んんっ……んんんっーー!」
キスをしながら中を擦られるのが、たまらなく気持ちいい。
何度目かに奥を擦られた時に、ビリジアンは達してしまったが、マゼンダはお構いなしに浅いところから一気に深く貫くのを繰り返してきた。
「先生? またイッたの? 可愛いなぁ、ここ擦るとすぐイッちゃう。今度我慢できるか試してみましょうか? それとも、何回イケるかがいいですか?」
「んんっ、ふ……め……だ……め」
「目がトロンとしちゃって、頭まで溶けちゃったの? ああすごく……可愛い……」
何度達したか分からない。
短時間にこんなに射精することなんて今までの人生で一度もない。
淡白だと思っていた自分が嘘のように、次から次へと欲が湧いてきて、もっと、もっと欲しいと身体中でマゼンダを求めていた。
「マゼンダ」
「ふふ、どうしました?」
蕩けた頭だったが、ふと線が繋がったようにビリジアンは目を開けた。
覆い被さっているマゼンダを引き寄せて、熱い唇に吸い付いた。
「俺は年上だし、全然立派じゃないし、マゼンダに釣り合わないって考えて、逃げてしまった。ごめん……」
「な、何を言っているんですか。そんなの……」
「俺が……俺がマゼンダを笑わせたい。人を好きに……愛し合うことの喜びを一緒に……二人で感じたい」
「せんせ……」
「頼りない男で迷惑をかけるかもしれないが、俺なりにお前を精一杯愛する。大切に、すると誓う」
「うぅ……うううっ」
尻の奥でブルブルと震える感触がして、熱いものが飛び散ったのが分かった。
マゼンダが達したのだと分かったが、顔を上げたらマゼンダはポロポロと涙をこぼして泣いていた。
「お、おい。泣きながらイクやつがいるか」
「だっ、だって、先生のせいですよ。そんなことを言われたらイッちゃいます。最高にカッコよくて可愛くて……なんて人なんだ」
興奮と感動で感情が入り混じったマゼンダは、泣きながら口を尖らせた。
「そういうところ、好きすぎて誰にも見せたくない」
「こんなことをするのはマゼンダだけだ」
「当たり前じゃないですか。俺だけが知ってるビリジアンを、閉じ込めておきたいくらいなのに」
マゼンダが上から重なるようにぎゅっと抱きしめてきた。
剥き出しの独占欲が心地よく感じて、抱きしめ返したビリジアンは、微笑んで目を閉じた。
「ねぇ、先生……もう一回……」
マゼンダがまた熱くなったソコをビリジアンのモノに擦り付けた時、ポンポンと何かが弾ける音がした。
「なんだ? 何の音だ?」
ポンポンという音は一回ではなく、部屋のあちこちから聞こえていた。
次の瞬間、目が眩むほどの眩しさに、ビリジアンとマゼンダはうわっと叫んで目に手を当てた。
「一体何が?」
先に目が慣れたマゼンダが手を外して、辺りを見て先生と叫んだ。
「大変です。魔法生物達が……」
「え!?」
魔法生物に何かあったら大変なので急いで手を外したビリジアンは、光に包まれた目の前の光景に口を開けて驚いてしまった。
「う……そ……だろう」
「みんな、成体になってますね……」
魔法生物がいるゲージの中では、それぞれがロクローと同じ、光り輝く蝶の姿になって、ゆらゆらと飛んでいた。
まさか、急に何がどうしてこんなことになったのか、理解が追いつかなかった。
「どういうことだ? 俺はピンチになっていないし、ピンチに見えた? え? なぜ? なぜだ……」
「先生!」
マゼンダが何かに気がついたように、ポンと手を叩いた。
「愛、ですよ」
「え?」
「人同士が愛し合うこと、愛を感じた時に、この子達は成長するのでは?」
「愛を感じる、受け取るということか……」
「そうですよ。ヒトは魔法生物のフェロモンを感じ取れないと聞きましたが、そんな人同士の愛の繋がりを感じた時、それを成長する力に変えるのではないでしょうか?」
「なんてロマンチックな……、ということは、今ここで俺がマゼンダと愛し合ったから……」
これで結論が出たと、ビリジアンとマゼンダは目を合わせて二人で頷いてしまった。
これをどうやって、他人に伝えたらいいのか、頭を悩ませるところだが、マゼンダの思いつきは、今まで行われていた研究を覆す、新しい発見だった。
「これは忙しいことになりそうだ。早速、資料を書き直して提出しなければ……」
すっかり研究家の顔になって立ち上がろうとしていたビリジアンの腰に、マゼンダがしがみついてきた。
「それって、今すぐやる必要ありますか?」
「え? そりゃ……なるべく早くとは思うが……」
「せっかく両思いになれたのに、恋人を置いてサッサと仕事に向かうなんて」
「えっっ、そんなつもりは……」
「まだまだ離しません。この子達にもたっぷり愛を感じてもらいましょう」
「え……う、うわぁっっ」
若さ溢れるマゼンダは、まだまだ足りないという顔で、あっという間にビリジアンをベッドに押し倒してしまった。
マゼンダはすでに復活していたらしく、ビリジアンに休む間を与えることなく、ズブリとナカに挿入して腰を沈めてきた。
「ゔぅぅっ……、あぁっ」
「先生……ビリジアン、好き……愛してる」
太くて硬いモノにゴリゴリと内壁を擦られて、ビリジアンは、目の前がチカチカと光ってしまうしまうくらいの快感に襲われた。
回復力の速さと体力はさすがだと思いながら、ビリジアンもまた熱く硬くなった自身に手を這わせた。
耳元で名前を呼ばれて、息遣いを感じるたびに達しそうになってしまうのは慣れるだろか。
すぐに唇も奪われて、手を繋ぎ指を絡めた。
上も下も、繋がっていないところがないくらい密着して、幸せな熱に全身が溺れるように満たされていった。
魔法学園は一年制で、病気や家庭の事情などで休学する生徒を除けば、ほとんどの生徒が卒業し、また新しい一年生が入学してくる。
明日の入学式のために、会場となる体育館にはたくさんの椅子が並べられていた。
新一年生用に配る資料を椅子の上に載せ終えたビリジアンは、ふぅと息を吐いて額に流れていた汗を拭った。
「コンドルト先生、お疲れ様です」
「キャメル先生、まだ残っていらっしゃったんですね」
すでに日が落ちて、空のピンク色が夜の闇に包まれようとしていた。
入学式の準備のため、教師達は朝から会場作りに追われていたが、今はほぼ終了して、ビリジアン以外の設営係りの教師は帰宅した。
ビリジアンは、魔法生物についての発表があり、遅れて参加したために最後まで残っていた。
「明日は私が司会なので、職員室で祝辞の作成を……。コンドルト先生も早く帰らなくていいのですか? 熱々の新婚さんなんですから」
「はははっ、揶揄わないでください。向こうも泊まりで仕事なんです。帰りは明日になるので、大丈夫です」
「あら、マゼンダくん。卒業してからますます忙しくなりましたね。式を挙げたばかりなのに、置いてきぼりなんて寂しいですね」
ビリジアンとマゼンダは、マゼンダが在学中に交際を始めた。
グラス家にも挨拶に行き、卒業後に結婚する意思を伝えると、マゼンダの両親は泣いて喜んでくれた。
彼らなりに、マゼンダを心配していたが、離れていく息子の心に、どうしていいか分からずにいたそうだ。
荒れた生活をしていつも沈んだ目をしていた息子が、生き生きとした目に変わり、紹介したい人がいると久々に話しかけてきたので、グラス伯爵はそれだけで胸がいっぱいになったそうだ。
在学中は教師と生徒の関係でもあるので、卒業を待って結婚式を挙げた。
学園に程近い場所に家を建てて、そこで二人で暮らし始めた。
マゼンダはグラス家の家業でもある、葡萄酒の製造と販売の事業や、新しい事業にも力を入れて精力的に働いている。
ビリジアンも、今や国中の期待と注目を集めている魔法生物の研究者として忙しくしているが、学園の教師として仕事も続けていた。
ちなみに完成体になった魔法生物達は、各地に派遣されて、魔力過多症の治療や、魔力を必要としている機関に力を提供している。
住まいを移したが、魔法生物の飼育部屋は新居にもあり、今は二体の魔法生物を育てて研究している。
「今はとにかくお互いできることを一生懸命やろうって話し合ったんです。アイツもまだ若いですから、縛られずに色々な経験をして失敗して、そういうことが大事だと思いまして」
「まぁ、さすがコンドルト先生。知ってますよ。魔力過多のマゼンダくんのために、専用の食事を用意したり、魔法具を開発したり、甲斐甲斐しく色々されてるみたいじゃないですか。尽くしていらっしゃいますよねー」
「ああ……ええ、はい……自分でも本当、呆れてしまうくらいで……」
ここがゲームの世界で前の人生があったことは忘れていない。
だが、ビリジアンとして生きていくと決めたことから、前の自分のことは少しずつ記憶が薄れていった。
特に恋愛について、自分がどういう恋愛をしてきたかは覚えていなかった。
自分はどうも、人を好きになると、とことん尽くしてしまうらしい。
なんでもやってあげたくなるし、世話をしてあげたい。
この歳になって恥ずかしいが、毎日好きが溢れてきて、持て余してしまうくらいなのだ。
「はぁ、ごちそうさまと言いたいところなのですけど、ちょっと心配です。というのも、愛情というのは傾きが大きすぎると、それはそれはそれで……。ようはバランスが大事なのです」
「な、なるほど……バランスですか」
自分でも持て余すくらいの愛情で困っていたビリジアンは、キャメルの言葉に身を乗り出した。
キャメルは恋愛学の専門家だ。
彼女の言うことは、しっかり聞いておかないといけないと、息を呑んだ時、ガラガラと体育館のドアが開けられる音がした。
「リジー!」
「マゼンダっ!」
ドアの向こうに見えたのはマゼンダだった。
仕事帰りなのか、髪を後ろに撫で付けて、ビシッとした装いで、いつもよりもっとカッコよく見えてしまった。
「帰りが遅いから心配になって……」
「今日は泊まりで視察の予定じゃなかったのか?」
「早めに終わらせて急いで帰ってきたんです。だって、リジーが寂しがると思ったから」
ビリジアンがマゼンダの方に歩いていくと、マゼンダは待っていましたとばかりに手を広げてビリジアンを抱きしめた。
ビリジアンの首元に鼻を埋めたマゼンダは、思いきり息を吸い込んだ。
「んーー会いたかったぁ、リジーの匂いーー」
「まっ、待てっ、こんなところでっ」
「あっ、マシュロンを食べましたね。この前、お腹を壊したからダメだって言ったのに」
「え、えっと、つい美味しそうで……」
「こんなところに赤石の欠片が、肌が荒れるからちゃんと洗わないと、あっ、ここにもありますよ。帰ったら湯で流しましょう。肌を整えてから服を着ましょうね」
「わ、分かったから、外では匂いチェックするなって」
くんくんと指先まで匂いを嗅がれて、体をくねらせたビリジアンは、ポカンとした顔で口を開けているキャメルと目が合って、あっと声を上げた。
「キャ、キャメル先生! こ、これは……お話中に失礼しました」
「いいえ、私のことはお気になさらずに」
「その、何の話でしたっけ……?」
「ん? ああ、あれは私の杞憂でした。何でもありません」
「そ、そうですか」
突然のマゼンダの登場で、混乱したビリジアンは、先ほどまで話していた内容をすっかり忘れてしまった。
「施錠は私がしますから、コンドルト先生は、先に上がってください」
「すみません、よろしくお願いします」
準備は終わっていたので、あとはキャメルに任せて先に帰ることになった。
二人でドアから出て振り返った時、キャメルは微笑みながら手を振ってくれた。
「ごちそうさま。リジー」
「わっ、あ、お疲れ様です」
ビリジアンはペコリと頭を下げたが、マズいことを聞かれてしまったと顔から湯気が上がりそうになった。
校門を出たところで、やっと息ができるようになったビリジアンは、マゼンダの背中をペチンと叩いた。
「あーー、あんなところでお前がリジーとか言うから、キャメル先生に聞かれてしまったじゃないか」
「本当ですよ。リジーと呼べるのは俺だけなのに!」
「いや、何でお前が怒るんだよ。好きに呼べとは言ったが、リジーって顔じゃないからやめろって言うのに」
「いいじゃないですか。愛称なんですから、私の目から見ると、よく似合ってます。愛しのリジー」
ムッとしていたビリジアンに近づいたマゼンダは、チュッと音を立てて頬に口付けてきた。
混乱していた気持ちも、こうやって触れられると一気に萎んで、何を悩んでいたのかどうでもよくなってしまう。
マゼンダは特別な魔法でも使えるのではないかといつも思う。
心を高鳴らせてくれるのも、落ち着かせてくれるのもマゼンダだった。
家までは馬車を使うこともなく徒歩で帰れる距離なので、マゼンダはたまに校門まで迎えに来てくれることがある。
校内まで迎えに来たのは初めてだった。
「……不意打ちだよ。今日会えないと思っていたから、嬉しかった」
「先生、本当に私のことが好きですね」
「悪いかよ」
「そんなっ、愛されてるなって、幸せな気持ちになります」
嬉しそうに笑ったマゼンダを見て、ビリジアンも嬉しくなって笑い返した。
まさかゲームのモブ教師である自分と、花形の攻略対象者であるマゼンダが結ばれるなんてエンドは、制作者でも考えなかったことだろう。
それでも、確かに二人は結ばれて、こうして一緒に歩いている。
不安になることがないと言えば嘘になるが、今この瞬間、自分は幸せだと間違いなく言える。
何も恐れることはないのだと、ビリジアンは強い気持ちでマゼンダの手を握った。
「あの話は本当だ」
「え? 何の話ですか?」
「だから、その……寂しがるってやつだ……。帰ってきてくれてよかった」
マゼンダは心配症なところがあるから、ビリジアンはちゃんと自分の気持ちを話すようにしている。
改めて言うのも恥ずかしいが、今言わないと言えなくなりそうで、口にしてみた。
すると、パタリと足を止めたマゼンダは、口に手を当てて目をつぶってしまった。
少し先まで行ってしまったビリジアンは、不思議に思いながら振り返った。
「……リジー、時々、とんでもなく可愛いもの放り込んでくるの、ほんと心臓に悪い」
「え? 心臓? どうした、大丈夫か?」
苦しそうに見えたので、ビリジアンは急いでマゼンダに駆け寄ったが、マゼンダは大丈夫だと言って笑った。
「早く帰りましょう」
「もう、すぐそこだよ。屋根が見えているじゃないか」
学園から出て少し歩いたところで、もう待ちきれないと言う顔になったマゼンダがおかしくて、ビリジアンは笑って家の方向を指差した。
「リジーは明日、忙しいですか?」
「入学式だから、忙しいには忙しいが……」
「じゃあ、遅刻させないように努めます」
目を細めてニヤリと笑ったマゼンダを見て、ビリジアンは背中がピリッと痺れたのを感じた。
綺麗に笑ったようにも見える表情だが、ビリジアンにはピンときてしまった。
「あっ、お前っ、その顔! 俺にはもう分かったぞ。何か企んでいる時の顔だ!」
「大丈夫ですって。痕は残しませんから」
「じゃあ、大丈夫か。……って何の話だ?」
「それはもう、素敵な話です」
キラキラ輝く目をしたマゼンダに手を引かれて、首を傾げながらビリジアンは仕方なく一緒に歩き出した。
愛を恐れていた二人は、今や愛に溢れた日々を送り、幸せに暮らしている。
これから先はゲームのお話ではない。
ビリジアンとマゼンダが二人で紡ぐ、新しい物語だ。
いつか新しい光が増えて、もっと大きな幸せで溢れることになるだろう。
それはまだ少し先のお話。
二人の姿が門の中に消えて行った後、夜空に光輝く蝶がどこからともなく飛んできた。
祝福するように邸の周りを飛んで、空に向かってひらひらと舞い上がり消えていった。
⬜︎おわり⬜︎
資料の中身は、ロクローの現状とその考察をまとめたものだ。
魔法省にロクローの変化について報告をしたところ、詳しい状況をまとめて提出するようにと連絡があった。
狩り大会に連れ出してしまったことについてお咎めはなかった。
ただ、報告が遅れたのは事情もあったと思うが、以後気をつけるようにと指導された。
マゼンタのところにも魔法省から調査員が派遣されて、ロクローは検査をするために持ち帰られた。
今まで使えないゴミ扱いをされてきた魔法生物達に、今、各方面から熱い視線が注がれている。
召喚獣は高位の魔術師達によって、国の治安維持や、新たな魔法具の開発に大きく貢献している。
成体になったロクローには、おそらく対象が持つ魔力を増幅させる力があるのではないかとビリジアンは見ている。
ロクローは魔力をマゼンタから吸い取ったようだが、そう言ったことが継続的にできるなら、魔力過多症の人間からしたら、喉から手が出るほど欲しい存在だとマゼンタは言っていた。
魔力をあげたい人、大きな魔力を必要としている人、魔法生物はその媒介となる大きな可能性を秘めている。
今まで構造的には完成していたが、膨大な魔力が必要となるために計画が止まっていたものがたくさんある。
長距離移動装置などに転用できないかという話が出ているらしい。
学園は長期休みに入ったので、ビリジアンは寮の飼育部屋にこもって、資料の作成にあたっていた。
深夜まで資料を作成して、朝方少し寝てから起きて、汚いままでは外に行けないので、体を綺麗にして身支度を整えた。
魔法省まで赴いて、資料を提出すれば少しは落ち着くだろうと思った。
マゼンタからはまだ連絡がないので、今のうちにできることはやっておこうと色々と動いていた。
「お前達も成体になれるといいなぁ。しかし、俺のピンチが鍵なんて、どうすればいいのか」
新入りロクロー以外の子達は、特に変化はない。今まで通り、のんびりとゴロゴロしているので、ビリジアンは餌を与えながら、延々と考えていた。
ロクローと同じように成体になるとしたら、やはり同じようなキッカケが必要になる。
いくら考えても思いつかなくて、また崖まで行こうかとそこまで考え始めていた。
その時、コンコンとノック音がして、ビリジアンは驚いて椅子から落ちそうになった。
寮の部屋まで訪ねてくるなんて、学園長くらいしかいない。
しかしまさかと、小さな期待が生まれて、トクトクと胸を揺らした。
「はい、開いてます」
キィィと木製のドアが軋む音を立てて開いた。
そこには、まだ会えないと思っていた人物の姿があって、ビリジアンは思わず椅子を転がしながら立ち上がった。
「先生、遅くなりました」
「マゼンダ……って、うわっ!」
ドアが開いた時から泣きそうな顔だったマゼンタは、勢いよくビリジアンに飛びついてきた。
ビリジアンは仰け反りながら受け止めたが、せっかく治療した腕がまた傷つかないか、心配になってしまった。
「いつの間に退院したんだ? それに腕は? 大丈夫なのか?」
「ええ、もう問題ないです。手続き前に先生に連絡しようと思ったのですが、それより早く会いたくて病院から出てすぐにこちらに」
「そ、そうか。元気になったならいい……、とりあえず落ち着いて座って話そうか?」
「先生……」
自分自身が冷静になるために、マゼンダから一度離れようとしたが、マゼンダはお構いなしにビリジアンの服に手を入れてきた。
直に背中を撫でられて、ビリジアンはひゃあと変な声を上げてしまった。
「お、お前なぁ……」
「だって、本気で抱きますって言ったじゃないですか。ずっと我慢していたのに……もう、待てません」
興奮ているのか、マゼンダから荒い息遣いが聞こえてきた。
下半身にぐいぐいと昂りを押し付けられて、さすが若いなと変に感心してしまった。
「あのな、マゼンダ。ひとつ確認しておきたいことがあるんだ」
部屋のドアに押し付けられて、マゼンダが顔中にキスを落としていく中、なんとかそれを手で押さえて、ビリジアンは口を開いた。
「バイオレット嬢のことなんだが……」
「はい? バイオレット嬢ですか?」
「二人はその……付き合っている、のか? お似合いだったし……仲が良かったから……」
何を言われても傷つかないつもりだったが、ビリジアンはドクドクと心臓の音がする度に、軋むような痛みを感じた。
「先生、いくら社交界の話題に疎いからと言って、そこのゴシップ誌の見出しすら目に入らないのでしょうか?」
「へ?」
何を言われたのかと思えば、マゼンダが指差した先には、魔法生物達の寝床に敷くために、キャメルからもらった貴族向け雑誌の切れ端が机の上に載っていた。
完全にただの道具にしか見えていなかったが、よく見たらそこには、バーミリオン王子、バイオレット嬢と婚約! という見出しがデカデカと書かれていた。
「は? う、うそ!? あれは本当の記事か!?」
「いくらゴシップ誌でも王室の話題を捏造したら罪に問われますよ。学園は休みに入りましたが、その前に盛り上がっていなかったですか?」
そういえば、いたるところで生徒が集まって手を叩いて盛り上がっていたのを見た。
ビリジアンはロクローのことで頭がいっぱいだったので、そこに参加することもなく、忙しく通り過ぎただけだった。
「なっ、なっ、どういうことだ? 俺はてっきり二人は付き合っているのかと……」
「分かりました。誤解がないように説明します。我が国の王子でありながら、あの方は大変、純粋……というか、恋愛に対しては非常に幼く、困り果てたバイオレット嬢に頼まれたのです」
「頼まれた? バイオレットはバーミリオン殿下が……」
「はい、そうです。入学した時から気になっていて、好きになってしまったと。しかし、恋愛学を学びながらイビキをかいて寝てしまうような人なので、お友達から抜け出すことができない。それなら、他の男性といい雰囲気になっているところを見せて、嫉妬させる作戦を立てたのです。その相手として、殿下が一番危険だと警戒する人として私に依頼が来た、ということですね」
「あ、あの、庭でイチャイチャしたり、劇場で首元に口紅が付いていたのも」
そこまで話すと、マゼンダは顔に手を当てた。
誤解させてしまってすみませんと謝ってきた。
「そ、そうか……、それでバイオレット嬢の作戦勝ちで、無事婚約者の座をゲットできたというわけだな」
「ええ、他の誰かに取られまいと自分の気持ちに気がついた殿下が、告白したそうです」
「な……なるほど、そうか、そうだったのか……でも、どうしてバイオレット嬢のためにそこまで……」
「正確には殿下のためです。正直なところ、殿下の頭の中はまだ少年のような状態で、いつまでも恋愛とはなんだ? みたいな質問をされるのに飽き飽きしていたのです。恋人ができれば私の役目も終わりですから、早くお役御免になりたかったというわけです」
バイオレットと話すだけで真っ赤になっていたバーミリオンの姿を思い出して、ビリジアンは納得してしまった。
純粋培養されて育てられたのかもしれないが、アレではなかなか前に進めないだろう。
「後はどうです? 何か心配事はありますか? 正直褒められるような日々を送ってきたわけではないですが、先生にお会いしてからは、今まで会っていた人達がどうでもよくなって、誰とも関係を持ってはいません」
「そ、それは……」
「ええ、私は先生が……」
「待て、待ってくれ」
マゼンダが想いを口にしようとする気配を感じたビリジアンは、マゼンダの口に手を当てて塞いだ。
そしてマゼンダのガチガチになっている昂りに、自分のモノを押し付けた。
「え……先生……、先生も大きくなって」
マゼンダの熱い瞳に溶かされて、ビリジアンのソコは反応していた。
同じように硬くなったモノを、布の上からくっつけて擦るだけで、声を漏らしそうなくらい気持ちよかった。
「……当たり前だろう。好きなやつに触れたら、俺だってこうなる」
「すき……な?」
もう一度口にするのが恥ずかしくなったビリジアンは、首を縦に振って頷いた。
「先生っっ!! 嬉しい!!」
「わぅ! ちょ、わわっ」
感極まった顔になったマゼンダは、ビリジアンを持ち上げてぎゅっと抱きしめてきた。
お互いそう変わらない体格なので、マゼンダの腕が大丈夫なのか冷や冷やしてしまった。
「好き、好きです。私も先生が、ビリジアンが大好きです」
「わ、分かった。分かったから、とりあえずここはアレだから、隣の部屋に……」
「どうしてですか? ここにもベッドがあるからいいじゃないですか?」
「いや、だって、魔法生物達がいるから」
「みんな部屋に入って出てきませんよ。もう待てないんです。今すぐ先生の服をぶち破ってお尻を犯しまく……愛したいのです」
何やら物騒な台詞が聞こえた気がするが、余裕がないのはビリジアンも同じなので、二人でキスをしながらお互いの服を脱がし合って、雪崩れ込むようにベッドに転がった。
ぴちゃぴちゃと音を立てて、マゼンダの指が内部を出入りするので、うつ伏せになったビリジアンは耳を塞ぎたくなった。
しかし、ぐりぐりと内壁を擦られると、たまらない快感に、シーツを掴んで耐えるしかなかった。
「マゼ……マゼンダ」
「はい、どうしましたか?」
「まだ……なのか? もう熱くなって、く、苦しい……」
「だいぶほぐれてきましたけど、もうちょっとかなぁ。このオイルは特別製で痛みは最小限に抑えてくれるそうです。それと、本当かどうか分かりませんが、二人の愛が深ければ、媚薬効果もあるそうですよ」
ベッド上で尻を高くあげた状態。
そんな格好すら恥ずかしいのに、媚薬効果と言われて、頭がくらりとしてしまった。
男同士の交わりでは、後ろの処理に時間がかかると聞いたが、マゼンダは持参した物でじっくりと丁寧に準備をしてくれた。
それは嬉しいのだが、気持ちよさが最上位まで届かないもどかしさで、おかしくなりそうだった。
「……正直なところ、自信がなくなってきました」
「え?」
「先生のナカ弄ってるだけでも、指に吸い付いてきてたまらないのに、この中に挿入ったら、すぐに果ててしまいそうで……」
「いいって……気持ち良くなって欲しい、から、早く挿れてくれよ」
「先生……」
ごくりと唾を飲み込んだマゼンダは、ビリジアンをゴロンと仰向けに寝かせた。
ビリジアンは膝を立てた状態で足を手で持った。
足の間に入ってきたマゼンダは、大きくなった自身を何度か扱いた後、ビリジアンの後孔に押し当ててゆっくりと挿入ってきた。
「ん、……くっっ……」
「先生? 大丈夫ですか?」
「あ、だ、いじょぶだ……ハァハァ、ちょっと……驚いただけ、だ」
「ゆっくり挿れますよ」
じゅうぶんに柔らかくなっていたからか、マゼンダの大きなモノはズブズブと音を立てながら、奥深くまで沈んできた。
張形の時とはまた違う圧迫感にビリジアンは苦しくなって息を漏らしたが、その苦しさの先に、目がチカチカするほどの快感を感じて、息を吸い込んだ。
「う、動いて、いいですか?」
余裕があったように見えたマゼンダが、ハァハァ息を吐いて、熱の孕んだ目でビリジアンを見てきた。
ビリジアンが頷くと、マゼンダは初めはゆっくりと、だんだん速度を上げて、奥深くまで打ち込んできた。
「かっ、くっっ、あ、あ、あ、あっ、くっ……」
「先生……先生、気持ちいい?」
「ああ、い、いいっ……いい、やばい」
「あ……ハァハァ……ここ、突くと、締まるの最高……すごい……先生の中、気持ち良すぎる」
「あっ、くつっ、やばっ、なか壊れ……うぅぅ、あっ、ううぁ」
ゆっくり腰を振る余裕がなくなったのか、マゼンダはギラついた目でガンガンと腰を打ちつけてきた。
ビリジアンは、ベッドの上まで押されて、たまらずにマゼンダの首の後に手を巻きつけた。
「んんっ……んんんっーー!」
キスをしながら中を擦られるのが、たまらなく気持ちいい。
何度目かに奥を擦られた時に、ビリジアンは達してしまったが、マゼンダはお構いなしに浅いところから一気に深く貫くのを繰り返してきた。
「先生? またイッたの? 可愛いなぁ、ここ擦るとすぐイッちゃう。今度我慢できるか試してみましょうか? それとも、何回イケるかがいいですか?」
「んんっ、ふ……め……だ……め」
「目がトロンとしちゃって、頭まで溶けちゃったの? ああすごく……可愛い……」
何度達したか分からない。
短時間にこんなに射精することなんて今までの人生で一度もない。
淡白だと思っていた自分が嘘のように、次から次へと欲が湧いてきて、もっと、もっと欲しいと身体中でマゼンダを求めていた。
「マゼンダ」
「ふふ、どうしました?」
蕩けた頭だったが、ふと線が繋がったようにビリジアンは目を開けた。
覆い被さっているマゼンダを引き寄せて、熱い唇に吸い付いた。
「俺は年上だし、全然立派じゃないし、マゼンダに釣り合わないって考えて、逃げてしまった。ごめん……」
「な、何を言っているんですか。そんなの……」
「俺が……俺がマゼンダを笑わせたい。人を好きに……愛し合うことの喜びを一緒に……二人で感じたい」
「せんせ……」
「頼りない男で迷惑をかけるかもしれないが、俺なりにお前を精一杯愛する。大切に、すると誓う」
「うぅ……うううっ」
尻の奥でブルブルと震える感触がして、熱いものが飛び散ったのが分かった。
マゼンダが達したのだと分かったが、顔を上げたらマゼンダはポロポロと涙をこぼして泣いていた。
「お、おい。泣きながらイクやつがいるか」
「だっ、だって、先生のせいですよ。そんなことを言われたらイッちゃいます。最高にカッコよくて可愛くて……なんて人なんだ」
興奮と感動で感情が入り混じったマゼンダは、泣きながら口を尖らせた。
「そういうところ、好きすぎて誰にも見せたくない」
「こんなことをするのはマゼンダだけだ」
「当たり前じゃないですか。俺だけが知ってるビリジアンを、閉じ込めておきたいくらいなのに」
マゼンダが上から重なるようにぎゅっと抱きしめてきた。
剥き出しの独占欲が心地よく感じて、抱きしめ返したビリジアンは、微笑んで目を閉じた。
「ねぇ、先生……もう一回……」
マゼンダがまた熱くなったソコをビリジアンのモノに擦り付けた時、ポンポンと何かが弾ける音がした。
「なんだ? 何の音だ?」
ポンポンという音は一回ではなく、部屋のあちこちから聞こえていた。
次の瞬間、目が眩むほどの眩しさに、ビリジアンとマゼンダはうわっと叫んで目に手を当てた。
「一体何が?」
先に目が慣れたマゼンダが手を外して、辺りを見て先生と叫んだ。
「大変です。魔法生物達が……」
「え!?」
魔法生物に何かあったら大変なので急いで手を外したビリジアンは、光に包まれた目の前の光景に口を開けて驚いてしまった。
「う……そ……だろう」
「みんな、成体になってますね……」
魔法生物がいるゲージの中では、それぞれがロクローと同じ、光り輝く蝶の姿になって、ゆらゆらと飛んでいた。
まさか、急に何がどうしてこんなことになったのか、理解が追いつかなかった。
「どういうことだ? 俺はピンチになっていないし、ピンチに見えた? え? なぜ? なぜだ……」
「先生!」
マゼンダが何かに気がついたように、ポンと手を叩いた。
「愛、ですよ」
「え?」
「人同士が愛し合うこと、愛を感じた時に、この子達は成長するのでは?」
「愛を感じる、受け取るということか……」
「そうですよ。ヒトは魔法生物のフェロモンを感じ取れないと聞きましたが、そんな人同士の愛の繋がりを感じた時、それを成長する力に変えるのではないでしょうか?」
「なんてロマンチックな……、ということは、今ここで俺がマゼンダと愛し合ったから……」
これで結論が出たと、ビリジアンとマゼンダは目を合わせて二人で頷いてしまった。
これをどうやって、他人に伝えたらいいのか、頭を悩ませるところだが、マゼンダの思いつきは、今まで行われていた研究を覆す、新しい発見だった。
「これは忙しいことになりそうだ。早速、資料を書き直して提出しなければ……」
すっかり研究家の顔になって立ち上がろうとしていたビリジアンの腰に、マゼンダがしがみついてきた。
「それって、今すぐやる必要ありますか?」
「え? そりゃ……なるべく早くとは思うが……」
「せっかく両思いになれたのに、恋人を置いてサッサと仕事に向かうなんて」
「えっっ、そんなつもりは……」
「まだまだ離しません。この子達にもたっぷり愛を感じてもらいましょう」
「え……う、うわぁっっ」
若さ溢れるマゼンダは、まだまだ足りないという顔で、あっという間にビリジアンをベッドに押し倒してしまった。
マゼンダはすでに復活していたらしく、ビリジアンに休む間を与えることなく、ズブリとナカに挿入して腰を沈めてきた。
「ゔぅぅっ……、あぁっ」
「先生……ビリジアン、好き……愛してる」
太くて硬いモノにゴリゴリと内壁を擦られて、ビリジアンは、目の前がチカチカと光ってしまうしまうくらいの快感に襲われた。
回復力の速さと体力はさすがだと思いながら、ビリジアンもまた熱く硬くなった自身に手を這わせた。
耳元で名前を呼ばれて、息遣いを感じるたびに達しそうになってしまうのは慣れるだろか。
すぐに唇も奪われて、手を繋ぎ指を絡めた。
上も下も、繋がっていないところがないくらい密着して、幸せな熱に全身が溺れるように満たされていった。
魔法学園は一年制で、病気や家庭の事情などで休学する生徒を除けば、ほとんどの生徒が卒業し、また新しい一年生が入学してくる。
明日の入学式のために、会場となる体育館にはたくさんの椅子が並べられていた。
新一年生用に配る資料を椅子の上に載せ終えたビリジアンは、ふぅと息を吐いて額に流れていた汗を拭った。
「コンドルト先生、お疲れ様です」
「キャメル先生、まだ残っていらっしゃったんですね」
すでに日が落ちて、空のピンク色が夜の闇に包まれようとしていた。
入学式の準備のため、教師達は朝から会場作りに追われていたが、今はほぼ終了して、ビリジアン以外の設営係りの教師は帰宅した。
ビリジアンは、魔法生物についての発表があり、遅れて参加したために最後まで残っていた。
「明日は私が司会なので、職員室で祝辞の作成を……。コンドルト先生も早く帰らなくていいのですか? 熱々の新婚さんなんですから」
「はははっ、揶揄わないでください。向こうも泊まりで仕事なんです。帰りは明日になるので、大丈夫です」
「あら、マゼンダくん。卒業してからますます忙しくなりましたね。式を挙げたばかりなのに、置いてきぼりなんて寂しいですね」
ビリジアンとマゼンダは、マゼンダが在学中に交際を始めた。
グラス家にも挨拶に行き、卒業後に結婚する意思を伝えると、マゼンダの両親は泣いて喜んでくれた。
彼らなりに、マゼンダを心配していたが、離れていく息子の心に、どうしていいか分からずにいたそうだ。
荒れた生活をしていつも沈んだ目をしていた息子が、生き生きとした目に変わり、紹介したい人がいると久々に話しかけてきたので、グラス伯爵はそれだけで胸がいっぱいになったそうだ。
在学中は教師と生徒の関係でもあるので、卒業を待って結婚式を挙げた。
学園に程近い場所に家を建てて、そこで二人で暮らし始めた。
マゼンダはグラス家の家業でもある、葡萄酒の製造と販売の事業や、新しい事業にも力を入れて精力的に働いている。
ビリジアンも、今や国中の期待と注目を集めている魔法生物の研究者として忙しくしているが、学園の教師として仕事も続けていた。
ちなみに完成体になった魔法生物達は、各地に派遣されて、魔力過多症の治療や、魔力を必要としている機関に力を提供している。
住まいを移したが、魔法生物の飼育部屋は新居にもあり、今は二体の魔法生物を育てて研究している。
「今はとにかくお互いできることを一生懸命やろうって話し合ったんです。アイツもまだ若いですから、縛られずに色々な経験をして失敗して、そういうことが大事だと思いまして」
「まぁ、さすがコンドルト先生。知ってますよ。魔力過多のマゼンダくんのために、専用の食事を用意したり、魔法具を開発したり、甲斐甲斐しく色々されてるみたいじゃないですか。尽くしていらっしゃいますよねー」
「ああ……ええ、はい……自分でも本当、呆れてしまうくらいで……」
ここがゲームの世界で前の人生があったことは忘れていない。
だが、ビリジアンとして生きていくと決めたことから、前の自分のことは少しずつ記憶が薄れていった。
特に恋愛について、自分がどういう恋愛をしてきたかは覚えていなかった。
自分はどうも、人を好きになると、とことん尽くしてしまうらしい。
なんでもやってあげたくなるし、世話をしてあげたい。
この歳になって恥ずかしいが、毎日好きが溢れてきて、持て余してしまうくらいなのだ。
「はぁ、ごちそうさまと言いたいところなのですけど、ちょっと心配です。というのも、愛情というのは傾きが大きすぎると、それはそれはそれで……。ようはバランスが大事なのです」
「な、なるほど……バランスですか」
自分でも持て余すくらいの愛情で困っていたビリジアンは、キャメルの言葉に身を乗り出した。
キャメルは恋愛学の専門家だ。
彼女の言うことは、しっかり聞いておかないといけないと、息を呑んだ時、ガラガラと体育館のドアが開けられる音がした。
「リジー!」
「マゼンダっ!」
ドアの向こうに見えたのはマゼンダだった。
仕事帰りなのか、髪を後ろに撫で付けて、ビシッとした装いで、いつもよりもっとカッコよく見えてしまった。
「帰りが遅いから心配になって……」
「今日は泊まりで視察の予定じゃなかったのか?」
「早めに終わらせて急いで帰ってきたんです。だって、リジーが寂しがると思ったから」
ビリジアンがマゼンダの方に歩いていくと、マゼンダは待っていましたとばかりに手を広げてビリジアンを抱きしめた。
ビリジアンの首元に鼻を埋めたマゼンダは、思いきり息を吸い込んだ。
「んーー会いたかったぁ、リジーの匂いーー」
「まっ、待てっ、こんなところでっ」
「あっ、マシュロンを食べましたね。この前、お腹を壊したからダメだって言ったのに」
「え、えっと、つい美味しそうで……」
「こんなところに赤石の欠片が、肌が荒れるからちゃんと洗わないと、あっ、ここにもありますよ。帰ったら湯で流しましょう。肌を整えてから服を着ましょうね」
「わ、分かったから、外では匂いチェックするなって」
くんくんと指先まで匂いを嗅がれて、体をくねらせたビリジアンは、ポカンとした顔で口を開けているキャメルと目が合って、あっと声を上げた。
「キャ、キャメル先生! こ、これは……お話中に失礼しました」
「いいえ、私のことはお気になさらずに」
「その、何の話でしたっけ……?」
「ん? ああ、あれは私の杞憂でした。何でもありません」
「そ、そうですか」
突然のマゼンダの登場で、混乱したビリジアンは、先ほどまで話していた内容をすっかり忘れてしまった。
「施錠は私がしますから、コンドルト先生は、先に上がってください」
「すみません、よろしくお願いします」
準備は終わっていたので、あとはキャメルに任せて先に帰ることになった。
二人でドアから出て振り返った時、キャメルは微笑みながら手を振ってくれた。
「ごちそうさま。リジー」
「わっ、あ、お疲れ様です」
ビリジアンはペコリと頭を下げたが、マズいことを聞かれてしまったと顔から湯気が上がりそうになった。
校門を出たところで、やっと息ができるようになったビリジアンは、マゼンダの背中をペチンと叩いた。
「あーー、あんなところでお前がリジーとか言うから、キャメル先生に聞かれてしまったじゃないか」
「本当ですよ。リジーと呼べるのは俺だけなのに!」
「いや、何でお前が怒るんだよ。好きに呼べとは言ったが、リジーって顔じゃないからやめろって言うのに」
「いいじゃないですか。愛称なんですから、私の目から見ると、よく似合ってます。愛しのリジー」
ムッとしていたビリジアンに近づいたマゼンダは、チュッと音を立てて頬に口付けてきた。
混乱していた気持ちも、こうやって触れられると一気に萎んで、何を悩んでいたのかどうでもよくなってしまう。
マゼンダは特別な魔法でも使えるのではないかといつも思う。
心を高鳴らせてくれるのも、落ち着かせてくれるのもマゼンダだった。
家までは馬車を使うこともなく徒歩で帰れる距離なので、マゼンダはたまに校門まで迎えに来てくれることがある。
校内まで迎えに来たのは初めてだった。
「……不意打ちだよ。今日会えないと思っていたから、嬉しかった」
「先生、本当に私のことが好きですね」
「悪いかよ」
「そんなっ、愛されてるなって、幸せな気持ちになります」
嬉しそうに笑ったマゼンダを見て、ビリジアンも嬉しくなって笑い返した。
まさかゲームのモブ教師である自分と、花形の攻略対象者であるマゼンダが結ばれるなんてエンドは、制作者でも考えなかったことだろう。
それでも、確かに二人は結ばれて、こうして一緒に歩いている。
不安になることがないと言えば嘘になるが、今この瞬間、自分は幸せだと間違いなく言える。
何も恐れることはないのだと、ビリジアンは強い気持ちでマゼンダの手を握った。
「あの話は本当だ」
「え? 何の話ですか?」
「だから、その……寂しがるってやつだ……。帰ってきてくれてよかった」
マゼンダは心配症なところがあるから、ビリジアンはちゃんと自分の気持ちを話すようにしている。
改めて言うのも恥ずかしいが、今言わないと言えなくなりそうで、口にしてみた。
すると、パタリと足を止めたマゼンダは、口に手を当てて目をつぶってしまった。
少し先まで行ってしまったビリジアンは、不思議に思いながら振り返った。
「……リジー、時々、とんでもなく可愛いもの放り込んでくるの、ほんと心臓に悪い」
「え? 心臓? どうした、大丈夫か?」
苦しそうに見えたので、ビリジアンは急いでマゼンダに駆け寄ったが、マゼンダは大丈夫だと言って笑った。
「早く帰りましょう」
「もう、すぐそこだよ。屋根が見えているじゃないか」
学園から出て少し歩いたところで、もう待ちきれないと言う顔になったマゼンダがおかしくて、ビリジアンは笑って家の方向を指差した。
「リジーは明日、忙しいですか?」
「入学式だから、忙しいには忙しいが……」
「じゃあ、遅刻させないように努めます」
目を細めてニヤリと笑ったマゼンダを見て、ビリジアンは背中がピリッと痺れたのを感じた。
綺麗に笑ったようにも見える表情だが、ビリジアンにはピンときてしまった。
「あっ、お前っ、その顔! 俺にはもう分かったぞ。何か企んでいる時の顔だ!」
「大丈夫ですって。痕は残しませんから」
「じゃあ、大丈夫か。……って何の話だ?」
「それはもう、素敵な話です」
キラキラ輝く目をしたマゼンダに手を引かれて、首を傾げながらビリジアンは仕方なく一緒に歩き出した。
愛を恐れていた二人は、今や愛に溢れた日々を送り、幸せに暮らしている。
これから先はゲームのお話ではない。
ビリジアンとマゼンダが二人で紡ぐ、新しい物語だ。
いつか新しい光が増えて、もっと大きな幸せで溢れることになるだろう。
それはまだ少し先のお話。
二人の姿が門の中に消えて行った後、夜空に光輝く蝶がどこからともなく飛んできた。
祝福するように邸の周りを飛んで、空に向かってひらひらと舞い上がり消えていった。
⬜︎おわり⬜︎
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