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本編
いち モブおじ先生の生活
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「コンドルト先生、さようなら」
大きな口を開けてあくびをしていたので、ビリジアンは返事をすることができずに、あーあーと変な声を上げてしまった。
後ろから声をかけてきた生徒のグループは、特に気にすることなく、談笑しながらビリジアンを追い抜いて行ってしまった。
たまたま教師を見かけたので、声をかけないと面倒だと思ってとりあえず挨拶をした。
友人同士の会話に夢中になって、声をかけた相手のことなどすぐに忘れてしまった。
小さくなっていく生徒達の背中を見ながら、ビリジアンは、そんなところだろうなと思って頭をかいた。
学園内で大口であくびをしていた自分が悪い。
こんなところをまた学園長に見られでもしたら、給与を減らすぞと怒られてしまう。
しっかりしろと反省した。
たとえ自分が誰からも気にされることもない、ただの空気であるモブだとしても、モブにはモブの生活があるのだ。
今度はなんとしてでもその生活を守らなくてはいけない。
異世界だというのに、馴染みのあるチャイムの音が流れてきた。
ここがどこなのか、自分が誰なのか、一瞬頭が真っ白になったビリジアンは立ち止まった。
見上げると、空はピンク色に染まっていた。
現実世界の夕日とは違って、この世界の夕日はかき氷のイチゴ味みたいな色になる。
口の中に懐かしい甘さを感じて、ビリジアンはため息をついた。
「はぁ……帰ろう」
なぜ自分がここにいるのだろうと、何度も考えたが、答えは出なかった。
多少の不便はあるが、今の生活に慣れつつあることもあって、ビリジアンはもうこのままでいいかと思い始めていた。
トボトボと歩いて帰る場所は、現実世界と変わらない、自由と書いて孤独と読む、男の城だ。
ビリジアンは過去を思い出しながら、学園の門を出て、一人家路に着いた。
◇◇◇
ビリジアン・コンドルト。
それが今の名前である。
今の、というのはワケがあって、実はビリジアンがいる世界は、ゲームの世界なのだ。
常人の理解を超えた話だが、つまりそういうことなのだ。
そういうことが何かを語るには、まずは現実世界の話をする必要がある。
スズキイチロー。
それが、現実世界での名前だった。
平凡だが、無駄にビッグネームのおかげで、名前はすぐに覚えてもらえた。
容姿も頭もこれといって秀でたところはなく、平凡に生きて平凡に大人になった。
記憶にあるところでは、歳は三十八、東京で働いていた会社がクビになり、同時に付き合っていた彼女にもフラれる。
再就職を目指すが、世の中は大不況、企業の雇用は冷え切っていた。
十八で就職して、社内でしか通用しない資格しか持っておらず、他にスキルもない中年男。
若者ですら就職難と言われる中で、面接すらたどり着けずに不採用が続き、ついに心が折れてしまった。
何十社目からか、お祈りメールをもらった時、しばらく休むことにした。
郷里にいた両親はすでに他界、兄弟もいない一人っ子。
田舎の土地には、誰も住んでいないボロ屋が残されていたので、整理するために帰郷することにした。
田舎の家に帰り、倉庫を整理していたら、子供の頃遊んだゲーム機が出てきた。
懐かしさに心が躍って、まだ使えるかもとテレビにセットしてみると、電源が入った。
懐かしのソフトで、当時を思い出しながら遊んでいると、箱の中に見たことがないソフトが入っているのが目に入った。
まったく記憶にないピンク色の花柄のケースが見えて、手に取って首を傾げた。
その時、思い出したのは、近所に住んでいたお姉ちゃんのことだった。
確か、その子の両親は留守がちで、よく家に遊びに来ては、勝手にイチローのゲーム機を使っていた。
そのお姉ちゃんが忘れていったものだろうと思った。
ソフトを取り出してみると、タイトルは『愛欲と傲慢DE偏見』と書かれていた。
子供のオモチャしては、毒々しいタイトルだなと思った。
説明書もなにもなかったので、パソコンを使って検索してみることにした。
ネットの情報によると、内容は女の子向けの恋愛乙女ゲームとなっていた。
当時は規制も何もない時代だったので、かなり過激な内容で、発売後に子供向けではないとクレームが来て、すぐに発売停止となり、その後、制作会社は倒産してしまう。
そのため幻のゲームと呼ばれていて、今では高値で取引されていた。
オークションでの価値を見たら、目玉が飛び出そうな価格になっていて、思わず声を上げて喜んでしまった。
多少の貯金はあるが、アルバイトで食い繋ごうと思っていたので、無職の人間には貴重な生活費になると思った。
すぐに売りに出そうかと思ったが、興味が湧いて、ファンサイトなどで詳しく調べてみることにした。
『愛欲と傲慢DE偏見』
ゲームの舞台は、魔法が使える世界、ラブマジック王国にある魔法学園。
由緒正しき家柄の、貴族のご子息ご息女が通うこの学園は、一般的な学校とは少し違う。
入学年齢は十八から二十歳の間で選択できて、一年制の学校だ。
平民用にも同じような学校があり、国の人間であれば、必ず入らなければいけない。
いわゆる学問や魔法については、それぞれ貴族学校や平民学校で、十八歳までに学ぶことになる。
ならばなぜ、この学園に入学するかといえば、それはこの学園が主に恋愛を学ぶための学校だからだ。
かつて国民全員が性に関して奥手で、恋愛すら恥ずかしくてできないという状況になり、人口減少により、国家滅亡の危機に直面した。
そのため国は、適齢期の男女が恋愛と性の授業を行う魔法学園を創設して、入学を国民の義務とした。
ゲームの主人公は、バイオレット・レオニー。
平民だったが、貴族の家の養女となり、魔法学園に通うことになった。
平民時代、父親が貴族に作った借金が原因で苦しめられて、売られるように養女になったため、貴族に対して偏見を持っている。
そんなバイオレットが、魔法学園に入学して、様々なイケメン達と出会い、恋愛ゲームを繰り広げる。
一通り、詳しい内容を確認した後、イチローは起動確認も兼ねて、実際にプレイしてみることにした。
電源ボタンを押して、ソフトを挿入すると、タイトル画面になって、やけに明るい曲が流れてきた。
ぼんやりその画面を見ながら、コントローラーのスタートボタンを押した。
そこからの現実世界での記憶がない。
真っ暗な中で、ジェットコースターに乗ったように空に浮く感覚がして、気がついたら全く知らない場所に立っていた。
いや、全くではない。
ところどころ作りはおかしいが、よくある学校の教室というような景色だった。
教壇に教卓、黒板らしき物が見えた。
そして先生、と呼ばれて目を瞬かせると、そこには制服を着た学生らしき人達が、机を並べて座っていた。
まるでよくできた夢だった。
自分の手を見て、顔をつねったら痛みを感じて、わっと声を出して驚いた。
また、先生と呼ばれて、よく分からない状況に、心臓がバクバクと鳴り出して、視界がぐるぐると回った。
再び辺りが真っ暗になって、次に気がついた時は、保健室のベッドの上で寝ていた。
白衣ではなく、黒衣を着た、学園医と名乗る女性に、教室で倒れて、教卓の角に頭をぶつけたと言われた。
まだ訳の分からない夢が続いているのかと頭を抱えた。
特に異常はないと言われて、学園医は忙しそうに行ってしまい、一人で保健室に取り残された。
とりあえず状況を把握しようと、胸に付いていた名札のようなものを取ると、そこには、ビリジアン・コンドルトと書かれていた。
その名札を二度見してしまった。
それはどう見ても、日本語ではないし、見たこともない文字だった。
それなのに、スラスラと読むことができて、また混乱して目眩がした。
よく見たら、自分の手もいつもより白い気がして、立ち上がってみると、やはりどこか違った。
フラフラと設置されていた鏡の前に立つと、そこには見たことがない男が立っていた。
これといって特徴はない薄い顔立ちだったが、深緑色の髪の毛で、目にかかった前髪を上げると、焦茶色の瞳があった。
目の色こそ、イチローに近いものはあったが、日本人と呼べるほど平たい顔ではなく、西洋人というほど彫りが深くもない。
とにかく微妙な顔の男で、目の下や口元のシワには、年齢を感じるものがあった。
え、怖っ……
そう口にして、自分の声ではないことに気がついたが、混乱が増しただけだった。
だれかこの状況を説明してくれと見回しても、誰もいない。スルスルと床に座り込んで、途方に暮れるしかなかった。
そこから結論に辿り着くまでは、それなりに時間がかかった。
一通り、ゲームの登場人物などを確認して覚えていたはずだったが、ビリジアンなる人物はいなかったからだ。
明らかにおかしい環境にビクビクしながら情報を集めて、学園や王国の名前、入学予定者の名簿などを見て、やっとここがゲームの世界だと気がついた時、混乱から解放されて喜んでしまったほどだ。
ようやく分かったことは、ここは『愛欲と傲慢DE偏見』のゲームの世界だということ。
気がついたのは、ゲームの舞台である主人公達が入学する前の年で、自分はこの世界で、名前すら設定されていないモブキャラクター、魔法生物学教師のビリジアンに憑依してしまった、ということだった。
ネタバレサイトで見たゲームの内容を思い出しても、ビリジアンの名前はおろか、魔法生物学などという教科すら書かれていなかった。
つまりストーリーに絡むことなく、生きていても死んでいても、何も変わらないモブキャラ。
確かに記憶が無くなる前に始めようとしていたのが、例のゲームだったので、理解し難いが、その中に入ってしまったとしか考えられなかった。
せめて、憑依するのが攻略対象者のイケメン達の一人であったなら、また気分も違っただろう。
モブなんて最悪だとしばらく落ち込んだ。
しかしよく考えれば、このビリジアンという男は、なるべくしてなった、というか、世界や設定は違っても、イチローにとてもよく似ていたのだ。
歳は同じ三十八、独身で両親は他界して兄弟親戚もなく、恋人もいなければ、友人もいない。
毎日、学園と家の往復で、休みの日は仕事であり趣味である、魔法生物の飼育と研究で終わってしまう。
同じ歳であり、空気が妙に馴染むというか、若いイケメンになって、貴族の世界でガツガツしながら生きるよりも、仕事と趣味でのんびり生きることの方に魅力を感じてしまった。
幸いこの世界の知識は頭の中に備わっていて、魔法生物学についても、しっかり入っていた。
何より仕事がある、というのが一番大事だ。
無職と就職活動の辛さを思い出したら、モブキャラといえど、定職のある生活に魅力しか感じなくなった。
ビリジアンに唯一関わりがあるのが、亡くなった父親の友人だったという学園長で、彼の愚痴というか文句からビリジアンの人となりを探り出した。
トンチンカンなことを言って、疑いの目を向けられたら、頭を打った話をして何とか乗り切って、ビリジアンとしての生活を続けてきた。
そういうワケで、恋愛ゲームが舞台の異世界で、全く物語に絡むことがないモブキャラに憑依して三ヶ月。
イチローことビリジアンは、ゲームの世界のアラフォー独身教師の生活に、しっくり……じゃなくて、すっかり慣れてしまい、日々の生活を地味ながら順調に送っていた。
「ただいま帰りましたよぉ」
学園から徒歩十分の教師用の独身寮、木造二階建ての建物だが、現在入居者はビリジアンのみ。
そのため二部屋を使わせてもらい、実に広々と生活していた。
居住用の部屋のドアを開けたビリジアンは、これも現実世界のころと同じなのだが、誰もいない部屋に向かって、ただいまと声をかけた。
もちろん、返事をしてくれるような、可愛い奥さんなどいない。
この世界のいいところは、魔法がほぼ全てのエネルギー、動力となって、社会が成り立っているところだ。
魔力量には差があるが、どんな人間にも体内に魔力が存在する。
血液が作られるのと同じように、心臓で魔力が作られて体内に溜まる。
その魔力を利用して動く、様々な魔法具が開発されている。
部屋に灯りをつけたり、食事を作ったり、掃除をしたりといったことも、魔法具を使えば簡単に行うことができるのだ。
魔法には属性があるが、日常魔法具は属性に関係なく、自由に誰でも使用することができる。
魔力には限りがあるが、魔法具を使うくらいで無くなることはないし、なくなったら寝ればまた溜まるので、非常に便利で経済的な社会になっている。
無から何かを作り出すような、高度な魔法はできないので、食材を買うのにお金は必要だし、独身寮の家賃も給与の半分というかなりのぼったくり価格なので、暮らしていくのにお金は必須だ。
ビリジアンは部屋に置いてある魔法具の籠の中に食材を入れて、蓋を閉めて上部にある紋章を指でタッチした。
まるでボタンを押して調理するような感覚だ。
魔力が吸い取られて、しばらくすると食事ができている。
これを初めて使った時は、感動で大騒ぎしてしまった。
よく考えたら、電子レンジみたいなものだと、今では冷静に分析している。
調理ができるまで、ビリジアンは居住用の部屋を出て、隣の部屋に向かった。
「お待たせー、ジローちゃん、サブ、シロウ、ゴローくん」
声をかけると、暗闇の中で何かが、ピカピカと光った。
灯りをつけると、部屋全体を埋め尽くすように、積み重なったケージの中に、ゴソゴソと動く生物が見えた。
「お前達、お腹空いたろう。今準備するから、ちょっと待ってろな」
ビリジアンは、学園から持って帰ってきた袋の中から、赤い粉末を取り出した。
それを壺の中に入れて、水を入れて丁寧に練った後、棒に塗りつけてケージの中に入れた。
ケージの中には、木で作った小さな小屋があり、そこからガサガサと音が聞こえてきた。
中から出てきたのは、蚕の幼虫によく似た外見の魔法生物だ。
蚕の幼虫が指で掴めるサイズなら、魔法生物は両手に乗せても出てしまうくらいの大きさだ。
猫くらいの大きさだと考えたらちょうどいいかもしれない。
魔法生物とは、魔物召喚を行う際に、偶然出来てしまう生物で、どうやって作り出されているのかは未だ解明されていない。
だいたいがイモムシのような形をしていて、魔力もほとんどなく、かつ何も使えることがないので、失敗作として人々からは嫌われている。
その魔法生物が、どうやって作られるのか、人々の役に立つような生き物にならないかを、日々研究するのがビリジアンの仕事だ。
そして、その生態についてを学園で教えている。
学園では、恋愛学、性学が基本の授業となるが、それだけでは時間が余るのか、魔法学や体術学、そして生物学も学習科目に入っている。
蚕によく似たジローが、練り餌をペロリと平らげたら、ビリジアンは次のケージの中に餌を入れた。
奥の小屋からのそのそと出てきたのは、モンシロチョウの幼虫に似た緑色のイモムシのサブ。
ビリジアンが入れた練り餌をもぐもぐと食べてくれた。
もともと虫嫌いだったので、最初はこの部屋に入るのも鳥肌が立っていたが、一週間も通えば慣れてしまった。
何より、魔法生物の大きなイモムシ達は、初めは恐ろしかったが、よく見たら可愛い。
名前を付けて、自分の手から餌を食べてくれたら、もっと可愛くなった。
もともとのビリジアンは一部屋を魔法生物用の部屋にして、休みの日は一日ここで過ごしていたようだ。
初めて来た時も、床には魔法生物の観察日記がたくさん散らばっていて、おまけに自分の食事の食べ残しもあり、足の踏み場がなかった。
それを集めて掃除をして、何とか動けるようにするのは一苦労だった。
ここまでくれば、ビリジアンが周囲から変わり者、変人と呼ばれていたのも納得だったが、実際魔法生物の世話をしてみると、ついつい夜更かししてしまうくらい楽しいかった。
「はぁ、明日から新学期か。まぁ俺にはゲームの展開なんて関係ないし、どーでもいいか。……わっ、ゴローちゃん、よく食べるな。あんまりデカくなると、ケージが壊れそうだな」
今夜も独り言に花が咲く。
この辺りは現実世界と変わらなくて笑ってしまう。
魔法生物達が話せないのは分かっているが、一人で喋るのがもうクセになってしまった。
前年度の生徒が卒業して、教師達も長期休みに入っていたが、ついに明日から新年度が始まることになった。
誰が入学してくるかは、チェック済みだ。
そこに、主人公バイオレットや、攻略対象のイケメン軍団の名前も書かれていた。
そう、つまりゲームの舞台の始まりでもある。
しかし、恋愛ゲームの始まりになんて心が踊らない。
主人公の恋愛なんてどうでもいいし、適当に幸せになってくれとビリジアンは心の中でつぶやいた。
ゲームのモブキャラに憑依した世界でも、現実世界と同じ、平凡で地味な生活が待っていた。
ビリジアンはこの生活が続くと思っていたが、ゲームの始まりと共に、それは終わりの危機を迎えてしまう。
イモムシ達にご飯をあげて癒されているビリジアンはまだ、後ろから迫ってくる大きな変化の波に気がついていなかった。
⬜︎⬜︎⬜︎
大きな口を開けてあくびをしていたので、ビリジアンは返事をすることができずに、あーあーと変な声を上げてしまった。
後ろから声をかけてきた生徒のグループは、特に気にすることなく、談笑しながらビリジアンを追い抜いて行ってしまった。
たまたま教師を見かけたので、声をかけないと面倒だと思ってとりあえず挨拶をした。
友人同士の会話に夢中になって、声をかけた相手のことなどすぐに忘れてしまった。
小さくなっていく生徒達の背中を見ながら、ビリジアンは、そんなところだろうなと思って頭をかいた。
学園内で大口であくびをしていた自分が悪い。
こんなところをまた学園長に見られでもしたら、給与を減らすぞと怒られてしまう。
しっかりしろと反省した。
たとえ自分が誰からも気にされることもない、ただの空気であるモブだとしても、モブにはモブの生活があるのだ。
今度はなんとしてでもその生活を守らなくてはいけない。
異世界だというのに、馴染みのあるチャイムの音が流れてきた。
ここがどこなのか、自分が誰なのか、一瞬頭が真っ白になったビリジアンは立ち止まった。
見上げると、空はピンク色に染まっていた。
現実世界の夕日とは違って、この世界の夕日はかき氷のイチゴ味みたいな色になる。
口の中に懐かしい甘さを感じて、ビリジアンはため息をついた。
「はぁ……帰ろう」
なぜ自分がここにいるのだろうと、何度も考えたが、答えは出なかった。
多少の不便はあるが、今の生活に慣れつつあることもあって、ビリジアンはもうこのままでいいかと思い始めていた。
トボトボと歩いて帰る場所は、現実世界と変わらない、自由と書いて孤独と読む、男の城だ。
ビリジアンは過去を思い出しながら、学園の門を出て、一人家路に着いた。
◇◇◇
ビリジアン・コンドルト。
それが今の名前である。
今の、というのはワケがあって、実はビリジアンがいる世界は、ゲームの世界なのだ。
常人の理解を超えた話だが、つまりそういうことなのだ。
そういうことが何かを語るには、まずは現実世界の話をする必要がある。
スズキイチロー。
それが、現実世界での名前だった。
平凡だが、無駄にビッグネームのおかげで、名前はすぐに覚えてもらえた。
容姿も頭もこれといって秀でたところはなく、平凡に生きて平凡に大人になった。
記憶にあるところでは、歳は三十八、東京で働いていた会社がクビになり、同時に付き合っていた彼女にもフラれる。
再就職を目指すが、世の中は大不況、企業の雇用は冷え切っていた。
十八で就職して、社内でしか通用しない資格しか持っておらず、他にスキルもない中年男。
若者ですら就職難と言われる中で、面接すらたどり着けずに不採用が続き、ついに心が折れてしまった。
何十社目からか、お祈りメールをもらった時、しばらく休むことにした。
郷里にいた両親はすでに他界、兄弟もいない一人っ子。
田舎の土地には、誰も住んでいないボロ屋が残されていたので、整理するために帰郷することにした。
田舎の家に帰り、倉庫を整理していたら、子供の頃遊んだゲーム機が出てきた。
懐かしさに心が躍って、まだ使えるかもとテレビにセットしてみると、電源が入った。
懐かしのソフトで、当時を思い出しながら遊んでいると、箱の中に見たことがないソフトが入っているのが目に入った。
まったく記憶にないピンク色の花柄のケースが見えて、手に取って首を傾げた。
その時、思い出したのは、近所に住んでいたお姉ちゃんのことだった。
確か、その子の両親は留守がちで、よく家に遊びに来ては、勝手にイチローのゲーム機を使っていた。
そのお姉ちゃんが忘れていったものだろうと思った。
ソフトを取り出してみると、タイトルは『愛欲と傲慢DE偏見』と書かれていた。
子供のオモチャしては、毒々しいタイトルだなと思った。
説明書もなにもなかったので、パソコンを使って検索してみることにした。
ネットの情報によると、内容は女の子向けの恋愛乙女ゲームとなっていた。
当時は規制も何もない時代だったので、かなり過激な内容で、発売後に子供向けではないとクレームが来て、すぐに発売停止となり、その後、制作会社は倒産してしまう。
そのため幻のゲームと呼ばれていて、今では高値で取引されていた。
オークションでの価値を見たら、目玉が飛び出そうな価格になっていて、思わず声を上げて喜んでしまった。
多少の貯金はあるが、アルバイトで食い繋ごうと思っていたので、無職の人間には貴重な生活費になると思った。
すぐに売りに出そうかと思ったが、興味が湧いて、ファンサイトなどで詳しく調べてみることにした。
『愛欲と傲慢DE偏見』
ゲームの舞台は、魔法が使える世界、ラブマジック王国にある魔法学園。
由緒正しき家柄の、貴族のご子息ご息女が通うこの学園は、一般的な学校とは少し違う。
入学年齢は十八から二十歳の間で選択できて、一年制の学校だ。
平民用にも同じような学校があり、国の人間であれば、必ず入らなければいけない。
いわゆる学問や魔法については、それぞれ貴族学校や平民学校で、十八歳までに学ぶことになる。
ならばなぜ、この学園に入学するかといえば、それはこの学園が主に恋愛を学ぶための学校だからだ。
かつて国民全員が性に関して奥手で、恋愛すら恥ずかしくてできないという状況になり、人口減少により、国家滅亡の危機に直面した。
そのため国は、適齢期の男女が恋愛と性の授業を行う魔法学園を創設して、入学を国民の義務とした。
ゲームの主人公は、バイオレット・レオニー。
平民だったが、貴族の家の養女となり、魔法学園に通うことになった。
平民時代、父親が貴族に作った借金が原因で苦しめられて、売られるように養女になったため、貴族に対して偏見を持っている。
そんなバイオレットが、魔法学園に入学して、様々なイケメン達と出会い、恋愛ゲームを繰り広げる。
一通り、詳しい内容を確認した後、イチローは起動確認も兼ねて、実際にプレイしてみることにした。
電源ボタンを押して、ソフトを挿入すると、タイトル画面になって、やけに明るい曲が流れてきた。
ぼんやりその画面を見ながら、コントローラーのスタートボタンを押した。
そこからの現実世界での記憶がない。
真っ暗な中で、ジェットコースターに乗ったように空に浮く感覚がして、気がついたら全く知らない場所に立っていた。
いや、全くではない。
ところどころ作りはおかしいが、よくある学校の教室というような景色だった。
教壇に教卓、黒板らしき物が見えた。
そして先生、と呼ばれて目を瞬かせると、そこには制服を着た学生らしき人達が、机を並べて座っていた。
まるでよくできた夢だった。
自分の手を見て、顔をつねったら痛みを感じて、わっと声を出して驚いた。
また、先生と呼ばれて、よく分からない状況に、心臓がバクバクと鳴り出して、視界がぐるぐると回った。
再び辺りが真っ暗になって、次に気がついた時は、保健室のベッドの上で寝ていた。
白衣ではなく、黒衣を着た、学園医と名乗る女性に、教室で倒れて、教卓の角に頭をぶつけたと言われた。
まだ訳の分からない夢が続いているのかと頭を抱えた。
特に異常はないと言われて、学園医は忙しそうに行ってしまい、一人で保健室に取り残された。
とりあえず状況を把握しようと、胸に付いていた名札のようなものを取ると、そこには、ビリジアン・コンドルトと書かれていた。
その名札を二度見してしまった。
それはどう見ても、日本語ではないし、見たこともない文字だった。
それなのに、スラスラと読むことができて、また混乱して目眩がした。
よく見たら、自分の手もいつもより白い気がして、立ち上がってみると、やはりどこか違った。
フラフラと設置されていた鏡の前に立つと、そこには見たことがない男が立っていた。
これといって特徴はない薄い顔立ちだったが、深緑色の髪の毛で、目にかかった前髪を上げると、焦茶色の瞳があった。
目の色こそ、イチローに近いものはあったが、日本人と呼べるほど平たい顔ではなく、西洋人というほど彫りが深くもない。
とにかく微妙な顔の男で、目の下や口元のシワには、年齢を感じるものがあった。
え、怖っ……
そう口にして、自分の声ではないことに気がついたが、混乱が増しただけだった。
だれかこの状況を説明してくれと見回しても、誰もいない。スルスルと床に座り込んで、途方に暮れるしかなかった。
そこから結論に辿り着くまでは、それなりに時間がかかった。
一通り、ゲームの登場人物などを確認して覚えていたはずだったが、ビリジアンなる人物はいなかったからだ。
明らかにおかしい環境にビクビクしながら情報を集めて、学園や王国の名前、入学予定者の名簿などを見て、やっとここがゲームの世界だと気がついた時、混乱から解放されて喜んでしまったほどだ。
ようやく分かったことは、ここは『愛欲と傲慢DE偏見』のゲームの世界だということ。
気がついたのは、ゲームの舞台である主人公達が入学する前の年で、自分はこの世界で、名前すら設定されていないモブキャラクター、魔法生物学教師のビリジアンに憑依してしまった、ということだった。
ネタバレサイトで見たゲームの内容を思い出しても、ビリジアンの名前はおろか、魔法生物学などという教科すら書かれていなかった。
つまりストーリーに絡むことなく、生きていても死んでいても、何も変わらないモブキャラ。
確かに記憶が無くなる前に始めようとしていたのが、例のゲームだったので、理解し難いが、その中に入ってしまったとしか考えられなかった。
せめて、憑依するのが攻略対象者のイケメン達の一人であったなら、また気分も違っただろう。
モブなんて最悪だとしばらく落ち込んだ。
しかしよく考えれば、このビリジアンという男は、なるべくしてなった、というか、世界や設定は違っても、イチローにとてもよく似ていたのだ。
歳は同じ三十八、独身で両親は他界して兄弟親戚もなく、恋人もいなければ、友人もいない。
毎日、学園と家の往復で、休みの日は仕事であり趣味である、魔法生物の飼育と研究で終わってしまう。
同じ歳であり、空気が妙に馴染むというか、若いイケメンになって、貴族の世界でガツガツしながら生きるよりも、仕事と趣味でのんびり生きることの方に魅力を感じてしまった。
幸いこの世界の知識は頭の中に備わっていて、魔法生物学についても、しっかり入っていた。
何より仕事がある、というのが一番大事だ。
無職と就職活動の辛さを思い出したら、モブキャラといえど、定職のある生活に魅力しか感じなくなった。
ビリジアンに唯一関わりがあるのが、亡くなった父親の友人だったという学園長で、彼の愚痴というか文句からビリジアンの人となりを探り出した。
トンチンカンなことを言って、疑いの目を向けられたら、頭を打った話をして何とか乗り切って、ビリジアンとしての生活を続けてきた。
そういうワケで、恋愛ゲームが舞台の異世界で、全く物語に絡むことがないモブキャラに憑依して三ヶ月。
イチローことビリジアンは、ゲームの世界のアラフォー独身教師の生活に、しっくり……じゃなくて、すっかり慣れてしまい、日々の生活を地味ながら順調に送っていた。
「ただいま帰りましたよぉ」
学園から徒歩十分の教師用の独身寮、木造二階建ての建物だが、現在入居者はビリジアンのみ。
そのため二部屋を使わせてもらい、実に広々と生活していた。
居住用の部屋のドアを開けたビリジアンは、これも現実世界のころと同じなのだが、誰もいない部屋に向かって、ただいまと声をかけた。
もちろん、返事をしてくれるような、可愛い奥さんなどいない。
この世界のいいところは、魔法がほぼ全てのエネルギー、動力となって、社会が成り立っているところだ。
魔力量には差があるが、どんな人間にも体内に魔力が存在する。
血液が作られるのと同じように、心臓で魔力が作られて体内に溜まる。
その魔力を利用して動く、様々な魔法具が開発されている。
部屋に灯りをつけたり、食事を作ったり、掃除をしたりといったことも、魔法具を使えば簡単に行うことができるのだ。
魔法には属性があるが、日常魔法具は属性に関係なく、自由に誰でも使用することができる。
魔力には限りがあるが、魔法具を使うくらいで無くなることはないし、なくなったら寝ればまた溜まるので、非常に便利で経済的な社会になっている。
無から何かを作り出すような、高度な魔法はできないので、食材を買うのにお金は必要だし、独身寮の家賃も給与の半分というかなりのぼったくり価格なので、暮らしていくのにお金は必須だ。
ビリジアンは部屋に置いてある魔法具の籠の中に食材を入れて、蓋を閉めて上部にある紋章を指でタッチした。
まるでボタンを押して調理するような感覚だ。
魔力が吸い取られて、しばらくすると食事ができている。
これを初めて使った時は、感動で大騒ぎしてしまった。
よく考えたら、電子レンジみたいなものだと、今では冷静に分析している。
調理ができるまで、ビリジアンは居住用の部屋を出て、隣の部屋に向かった。
「お待たせー、ジローちゃん、サブ、シロウ、ゴローくん」
声をかけると、暗闇の中で何かが、ピカピカと光った。
灯りをつけると、部屋全体を埋め尽くすように、積み重なったケージの中に、ゴソゴソと動く生物が見えた。
「お前達、お腹空いたろう。今準備するから、ちょっと待ってろな」
ビリジアンは、学園から持って帰ってきた袋の中から、赤い粉末を取り出した。
それを壺の中に入れて、水を入れて丁寧に練った後、棒に塗りつけてケージの中に入れた。
ケージの中には、木で作った小さな小屋があり、そこからガサガサと音が聞こえてきた。
中から出てきたのは、蚕の幼虫によく似た外見の魔法生物だ。
蚕の幼虫が指で掴めるサイズなら、魔法生物は両手に乗せても出てしまうくらいの大きさだ。
猫くらいの大きさだと考えたらちょうどいいかもしれない。
魔法生物とは、魔物召喚を行う際に、偶然出来てしまう生物で、どうやって作り出されているのかは未だ解明されていない。
だいたいがイモムシのような形をしていて、魔力もほとんどなく、かつ何も使えることがないので、失敗作として人々からは嫌われている。
その魔法生物が、どうやって作られるのか、人々の役に立つような生き物にならないかを、日々研究するのがビリジアンの仕事だ。
そして、その生態についてを学園で教えている。
学園では、恋愛学、性学が基本の授業となるが、それだけでは時間が余るのか、魔法学や体術学、そして生物学も学習科目に入っている。
蚕によく似たジローが、練り餌をペロリと平らげたら、ビリジアンは次のケージの中に餌を入れた。
奥の小屋からのそのそと出てきたのは、モンシロチョウの幼虫に似た緑色のイモムシのサブ。
ビリジアンが入れた練り餌をもぐもぐと食べてくれた。
もともと虫嫌いだったので、最初はこの部屋に入るのも鳥肌が立っていたが、一週間も通えば慣れてしまった。
何より、魔法生物の大きなイモムシ達は、初めは恐ろしかったが、よく見たら可愛い。
名前を付けて、自分の手から餌を食べてくれたら、もっと可愛くなった。
もともとのビリジアンは一部屋を魔法生物用の部屋にして、休みの日は一日ここで過ごしていたようだ。
初めて来た時も、床には魔法生物の観察日記がたくさん散らばっていて、おまけに自分の食事の食べ残しもあり、足の踏み場がなかった。
それを集めて掃除をして、何とか動けるようにするのは一苦労だった。
ここまでくれば、ビリジアンが周囲から変わり者、変人と呼ばれていたのも納得だったが、実際魔法生物の世話をしてみると、ついつい夜更かししてしまうくらい楽しいかった。
「はぁ、明日から新学期か。まぁ俺にはゲームの展開なんて関係ないし、どーでもいいか。……わっ、ゴローちゃん、よく食べるな。あんまりデカくなると、ケージが壊れそうだな」
今夜も独り言に花が咲く。
この辺りは現実世界と変わらなくて笑ってしまう。
魔法生物達が話せないのは分かっているが、一人で喋るのがもうクセになってしまった。
前年度の生徒が卒業して、教師達も長期休みに入っていたが、ついに明日から新年度が始まることになった。
誰が入学してくるかは、チェック済みだ。
そこに、主人公バイオレットや、攻略対象のイケメン軍団の名前も書かれていた。
そう、つまりゲームの舞台の始まりでもある。
しかし、恋愛ゲームの始まりになんて心が踊らない。
主人公の恋愛なんてどうでもいいし、適当に幸せになってくれとビリジアンは心の中でつぶやいた。
ゲームのモブキャラに憑依した世界でも、現実世界と同じ、平凡で地味な生活が待っていた。
ビリジアンはこの生活が続くと思っていたが、ゲームの始まりと共に、それは終わりの危機を迎えてしまう。
イモムシ達にご飯をあげて癒されているビリジアンはまだ、後ろから迫ってくる大きな変化の波に気がついていなかった。
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