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第二章

(24)ハーレムクイーンは愛を注ぐ【終】

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「これはもう必要ありません」

 新しく造り直した庭園が一望できるのテラスに私は男達を呼び出した。
 ランスロット、エドワード、ベルトラン、そしてヨハネス。
 全員が着席したのを確認したら、私は白いガーデンテーブルの上に、ドンと音を立てながら大きな種を置いた。

 私が今どういう状況なのか、というのは事前にヨハネスから全員に伝えてもらっていた。どういう決断を下すのか、みんなで見守ろうということになっていたらしい。

 その私がみんなを呼び出して、仰々しく種を置いたものだから、ヨハネス以外の三人は口を開けて私の方を見てきた。

「おい…必要ないって……という事は…アリサ……!」

 ランスロットが目を輝かせて今にも飛びかかってきそうなのを、ちょっと待ってと言って止めた。

「ベルトランはもう知っているけど、二人にもちゃんとミルドレッドと私の関係について話しておきたいの」

 エドワードとランスロットには、まだ詳しい事情を話していなかったので、ミルドレッドが私の前世で、ベルトラン、ヨハネスとの繋がりについて説明した。足りないところは、ベルトランやヨハネスが補足してくれた。

「なるほど……、ではアリサが受け継いだ体質の他に、前世からの影響はあるのですか?」

「……ほとんどは魔力だけですね。性格的なところはミルドレッドとアリサは違いますので。趣味嗜好など細かいところは分からないですが……」

 エドワードの問いにはヨハネスが答えた。自身も引っ張られるところはあるが、やはりゼキエルと自分は違うと感じるようになったと言ってくれた。

「じゃ、いーんじゃねぇの。記憶持ちのやつは見たことあるけど、みんなこだわり過ぎなんだよ。前世で失敗したことを今世では絶対に…とか。いーじゃねーか、今世は今世なんだから、同じように転んだって、前世と同じだろなんて、ツッコむやつはいねーし。知らねーよって顔で立ち上がればいいだけだ」

 ランスロットのバッサリとした意見にみんな一瞬言葉を失ってしまった。
 鳥の囀りが聞こえて来るほど沈黙が流れた。

「ランスロット……。お前、たまにいい事言うよな」

「おい…たまにってなんだよ!」

 エドワードとランスロットのやり取りがおかしくてついクスクスと笑ってしまった。
 そして改めて気合を入れた。
 確かに、前世は前世であるが、彼らと生きていくのを決めたのだから、私には言わなくてはいけない事があった。
 言うなら今しかない。
 ゴクリと唾を飲み込んで息を吐いた後、ひとり立ち上がった。
 再びみんなの視線が私に集まった。

「私…、前の世界では男性とお付き合いすることはおろか、特別な気持ちも抱いたことがなくて…いつかは恋がしたいとずっと思っていた。それで、この世界に来て、みんなと出会って…、魔力の問題とかもあったけど、一緒に過ごすうちに、どんどん惹かれていって…。まさか、一人じゃなくてみんなにってところが信じられなくて、だめだって気持ちを押さえつけていたけど、こうやって元の世界に戻れる機会をもらっても、頭に浮かぶのはみんなのことばかりで……」

 話しながらこの世界に来てからのことがたくさん浮かんできた。
 ランスロットとエドワードとの出会い。
 皇宮から神殿へと向かう旅。
 魔力の暴走とベルトランとの出会い。
 治療として彼らに魔力を与える戸惑いの日々。
 そしてヨハネスとの出会いと初めての吸血。
 いつしか、治療の行為を超えて彼らを求めてしまった。

 体だけが先に走り出してしまったけれど、心もやっと追いついて、全員を好きだという事に気がついた。

「最初に言った通り、この種はもう必要なくて、私はここで……この世界で生きていきたい。できれば……みんなと一緒に……」

 なんとか自分の気持ちを伝えようと言葉を選んだけれど、途中から感情がこもってしまい上手く喋ることができなかった。
 そんな私にヨハネスは優しく微笑んで大丈夫ですと言ってくれた。

「ここに集まった者達は、みんなアリサと共に生きることを望んでいます。アリサの選択を心から嬉しいと思っていますよ」

「あ…あの、一つ言っておきたい重要なことが……」

 すっかり歓迎ムードに流れているのが嬉しかったのだが、私は大事なことを伝えていなかったので慌てて口を開いた。

「わ……私、みんなのことを平等には愛せません」

 変なタイミングで強い言葉を言ってしまったので、全員キョトンとした顔をしてしまったので、急いで補足をしなければ一歩前に出た。

「え…と、誰が嫌いとか好きとかではなく、全員が好きだけど、それぞれ好きなところとか違う。全員のグラスに寸分違わず、同じように愛を注ぐことはできないし…測ったように平等には愛せない。私は一人一人、全力でその時にあるいっぱいの愛を注ぎたいと思っていて……それはグラスが溢れてしまうくらいの気持ちだから……」

「アリサ、分かっているよ。均等に愛さなければと思う必要なんてない。アリサが思う好きなだけ愛を注いでくれればいいんだ。俺はそれだけで十分嬉しい」

「あのな、俺は誰かと比べて愛されてないなんて、いちいち思うような、みみっちいヤツじゃない。そりゃ少しは嫉妬するだろうけど、その分他のやつに負けないくらい好きな自信があるから」

「……俺は王子達とは違う。アリサと一緒に生きられるなら、それだけで幸せだ」

 エドワードに続いて、ランスロット、ベルトランと、私の気持ちを受け入れてくれた。
 ヨハネスはベルトランの意見に苦笑いだったが、席を立って私の隣に歩いてきてくれた。

「そうですね、私も王子達とはもう違いますから。溢れるほど愛を注いでくれたら、同じように、いや…、それ以上にお返しするつもりです。改めて聞きましょう、アリサ、ここに残り、私達と生きてくれますか?」

 ヨハネスがゆっくりと私の前に手を差し出してきた。
 私はヨハネスに向き合って、姿勢を正してからその手に自分の手を重ねた。

「はい、よろしくお願いします」

 私が答えた瞬間、先ほど机の上に置いた種がいきなり光を放ち始めた。
 種の中から飛び出してきた眩しいほどの光にみんな慌て出した。

「おい! ベルトラン! なんでこれは? 作動したのか?」

「……アリサが机に置いた時、強く置き過ぎたのか……」

「え!? わ…私!? ど…どうしよう、雑に扱ったから壊れちゃった? 大丈夫かな?」

「大丈夫ですよ。もし発動しても、輪の中に入らなければそのうち消えますので…」

 と言いつつ、何があるか分からないからか、ヨハネスがサッと私の腕を引いて自分の後ろに庇うように隠した。

 移動するときの光の発動の仕方とは違う、何か意思めいたものを感じた。
 光がバッと強くなって膨れ上がった時、ヨハネスが小さな声でイシスと呟いた声がきこえた。




 思わずぎゅっと目を強く瞑った瞬間、今まで聞こえていた音が消えて、急に辺りが静かになってしまった。

 恐る恐る目を開けると、そこに飛び込んできたのはよく見慣れた光景だった。


「あー、疲れた。ったく、弁当が白飯だけってアリかよ。肉入れてくれ肉!」

「おかえりー。文句言うなよ、こっちだって模試だったから忙しかったんだ。明日から自分で用意しろ」

「それはいやだ、一秒でも寝る!」

 私は見慣れた古い木造の家の廊下に立っていた。足の裏に当たる木の感覚が懐かしくて泣きそうになった。
 ここは、私の生まれ育った家だ。
 奥にある台所の部屋から弟達の声が聞こえた。
 ということはまさか帰ってきてしまったのだろうか……。

 ゆっくりと足を進めて台所の部屋の前に立つと、夕食を食べながらテレビを見たりゲームをしている弟達の日常の光景があった。

「母さんと父さん帰り何時?」

「言ってたけど覚えてねー。遅くなんじゃねーの」

「あー、学校からの手紙あるんだわ。ここ置いとくから言っといて」

「はぁ? 自分で言えよ」

 記憶にある弟達のごく普通の光景。思わず声をかけようとしたが、声が出てこなかった。そして、誰も立っている私に気がつくことはない。

「あーあ、ウチも姉ちゃんか妹がいたらなぁ。四人兄弟ってむさ苦しくて花がないよな」

「あっ、俺、妹がいい! お兄ちゃん~とか言って甘えてくる感じの!」

 彼らの会話から、私の存在が消えているのだと気が付いた。
 これは私のいない世界。元の世界では最初から私が存在しないことになっているのかもしれない。
 なんとなく、異世界に残ると決めた私に、イシスが見せてくれているのかもしれないと気が付いてきた。

 騒がしい弟達の中、ずっと無言で食事をしていた一番上の弟が箸を持つ手を止めた。

「俺は……姉ちゃんかな。なんだろう。姉ちゃんって言うと…心が温かくなる気がする」

 一番上の弟が目線を上げた。
 私のことは見えないはずなのに、なぜか目が合ったような気がしてドキッとなった。

 その瞬間急速にどこかに引っ張られるような感覚がして、次の瞬間には何もない白い空間に一人で立っていた。



『ひとり勘のいい弟がいたな。向こうの世界では私の力も完璧ではない』

「……? もしかして、女神イシス…ですか?」

『そうだ』

 何もない空間に、頭に響くような声だけが聞こえてきた。
 男性とも女性とも言えない、不思議な声だった。

『私の作りし愛おしい魂よ。残ることを選んでくれて嬉しい。これは私からのプレゼントだ。元の世界のことが心に残るとつらいだろう……』

「そう…ですね。みんなに忘れられてしまうのは辛いけど…、この方が…お互いにとって幸せ…ですね」

『……大丈夫だ。お前といた日々、お前が伝えたい思いは彼らの中で生きている。思い出せなくとも、生きる力になるはずだ』

「……そうだったら嬉しいです。イシス…ありがとうございます」

 心残りだったことを、イシスが見せてくれた。寂しくはあるが自分で選んだ道なので、前に進むしかない。
 時々思い出して、その度に弟達の幸せを願う。違う世界にいてもそれだけは変わらず思い続けるだろう。

『さて、そろそろお前を返してやらないと、あいつらは私の場所まで乗り込んできそうだ』

 もう一度ありがとうと伝えたけれど、イシスの声は返って来なかった。
 真っ白な世界の中で自分の体も白く変わっていき、温かい温もりに包まれるような感覚が広がっていった。



「……大丈夫、イシスの気配が消えたので、もうすぐ目を開けてくれます」

「ったくよー、ビックリさせないでくれよ。ヨハネス様、女神さんに言っといてくださいよ。勝手に連れて行くなって」

 瞼が重くてなかなか開かないのだけれど、耳に聞こえてきた声はほっと安心するものだった。

「……もうそろそろ起きてもいいころだと思いますが……」

「もう少しいいですよ。眠っているアリサの顔を見るのが俺は好きなんです。ほら、ここの小鼻がたまにヒクヒク動くところとか……」

 眠くて仕方がなかったのだが、エドワードの恥ずかしすぎる指摘に、私は一気に目が覚めて目をバッと開けた。

「やっと起きたか…遅いぞ」

「アリサ、お帰りなさい」

 目の前に飛び込んできたのは、横たわる私を囲んで四人が笑っている顔だった。
 みんなの穏やかな表情に、不思議な世界の旅から帰って来たのだと実感が湧いてきた。
 ずっと二つの世界の間に浮いていたような気持ちだったが、これでやっとこの世界の一員になれたような気がした。

「ただいま」

 私はみんなに向かって笑顔で答えた。










 ※※※※※ エピローグ







 真っ青な空を悠々と大きな黒鳥が飛んでいく。
 その自由で楽しげな様子を私は目を細めながらのんびりと窓から眺めていた。

「何を見ているんだ?」

 私の懐に潜り込んでいた猫のベルトランが、ぬっと顔を出して頬をペロリと舐めてきた。

「んっ……、空だよ。今大きな鳥が飛んでいて……」

 いつだったか似たような光景を見たなと思い出していたのだ。

「鳥? アリサの世界では珍しいのか?」

 興味を持ったのか、対面に座っているランスロットが質問を投げてきた。

「そんな事はないけど、あまり大きな鳥は見たことがないから……」

「そんなに好きなら俺と首都のユーコン公園へ行こうよ。珍しい種類の鳥が多く見られるから、人気の観光地なんだ」

 隣に座っているエドワードが、流れるように自然に私の手を取って甲に口付けてきた。

「おい、エドワード。さりげなく抜けがけするなよ」

 ランスロットとエドワードが睨み合って火花を散らしているのは帝国の首都に向かう馬車の中だ。
 神殿に向かう旅をしたメンバーで、今度は逆に首都に向けて走っている。
 私は動きやすいドレスを着込んで、ランスロットとエドワードは神殿騎士団の青い騎士服をビシッと着こなしていた。

 他に前回と違うのは行き先と、大人が四人乗っても狭くない大型の馬車、ちゃんと運転手付きだ。もちろん、しっかり屋根も付いている。

 今私達は、一週間後、首都で行われる聖女の誕生式典に招待されて、四人で向かっているところだ。
 今回ヨハネスは聖務があり不参加だった。

 この世界に残ると決めたが、生活は大きく変わる事はなかった。
 ランスロットとエドワードが交代で護衛に付きながら、ベルトランは魔塔で研究の仕事を続けて、ヨハネスは相変わらず神殿の長として忙しく過ごしている。
 セイラは必死で修行を積んで、ついに聖女として認められるくらいの白魔力を身につけることに成功した。
 いよいよ本格的に聖女の仕事に取り組むとあって、誕生を祝う式典が開催されることになった。
 私の存在は公にはされないが、有り余る魔力を頼りに、皇家や神殿から様々な依頼があり、できる限り協力している。
 なぜか魔物退治などの案件まであり、攻撃系が全然使えない私は話にならないので、騎士二人のどちらかか、ベルトランが一緒に対応している。
 毎日色々なことがあって慌ただしいが、みんなに愛されて大切にされる日々はこの上ない贅沢で幸せなものだった。

「それにしても、ヨハネス様の前世が王子様だったとはなぁ、生まれ変わっても聖下なんて、イシスは贔屓しすぎじゃねーか」

 いつもヨハネスがいると静かなランスロットも、今日は羽を伸ばしたようにヨハネスの話題を出してきた。

「生まれ変わりか……、あの人もそうだったのかな」

 ずっと心に引っかかっていた、寂しげな後ろ姿を思い出してポロリと口からこぼしてしまった。

「アリサ、あの人って言うのは誰のことかな?」

 エドワードは私の手を握ったままだったが、心なしか手を握る力が強くなり、笑顔なのに鋭い目を向けてきた。やましい事はないがドキッとして変な汗が出てきた。

「えっ…そ……、ユリウスだよ。あのエルジョーカーの王様の……、二人で話した時、よく分からないことを言っていて……」

「そりゃそうだろう。あいつも四人の王子の生まれ変わりだからな」

「ええ!?」

 ベルトランが今日のお天気でも話題にするように、当たり前のように答えたので三人で声を揃えて驚いてしまった。

「だっ…誰の生まれ変わりなの?」

「俺もヨハネスに指摘されるまで、気が付かなかったが、そう言えばアイツに魂がよく似ていたんだ。第一王子だったラジルだ」

 また三人で驚きの声を上げてしまった。そう言われてよく考えたら、向こうが私がミルドレッドの生まれ変わりだと気付いていたとすると、それらしい事を言っていたと思い出した。

「そうかぁ、だから私にもう一度結婚するかなんて聞いたんだ……」

 一人で納得していたら今度はベルトランを入れた三人が大口を開けて驚いてしまった。

「あの野郎! どさくさに紛れてアリサになんて事を!!」

「まぁもう死んでるから、余計なことはされないから良かったよ」

 ランスロットとエドワードが二人で良かったと頷いていたら、ベルトランがボソリと呟いた。

「それは分からん。俺は暗殺部隊時代、アイツを四回殺したからな」

「はぁ!?」

「言っただろう。かなり強力な黒魔法を使えると。アイツは泥人形作りの天才だ。魔力を込めて生きているように動かす事もできるし、しばらくは死体のように腐られる演出もお手のものだ。俺も毎回騙された」

「えっ……じゃあ……」

「それに、アイツは俺のように動物に変身できる。基本的に変身は同じ動物にしかできない。俺は猫で、アイツは大きな……」

 バサリと羽の音がして私は目線を窓の外に向けた。

「黒鳥だ」

 他の三人は話に夢中だったから気が付かなかったのかもしれない。馬車の周りをぐるりと回るように飛んで、また高い空目掛けて優雅に飛んでいった。

「……こ…黒鳥」

 私が小さく呟いた声も空に吸い込まれていった。


「……なるほど、では地獄から亡霊か蘇って来る前に、アリサと結婚しなければ。屋敷に戻ったら、俺と式をあげよう」

「だあああああーーーーー!!」

 プロポーズまで話の流れで自然にしてしまうエドワードにも驚いたが、それを聞いたランスロットが絶叫する声にも驚いて後ろに倒れそうになった。

「抜けがけするなって言っただろう! アリサと先に結婚するのは俺だ! お前は絶対後だ後!」

「ふっ…ランスロット、こればかりは譲れないな。勝負で決めるか?」

「望むところだ」

 ギャアギャアと騒ぎ出した二人を横目に、ベルトランが私の胸元に背中を擦り付けてきた。

「悪いが、結婚は俺が一番先だ。俺が一番待ったのだからな」

 車内で揉みあっていたランスロットとエドワードがピタリと動きを止めて猫のベルトランの方へ顔を向けた。

「ベルトラン……、またいいところを持っていこうとしているな」

「これに関しては、前世分の待ち時間はなしだ! 今世で出会ってからの時間を待ち時間としよう」

「ふざけるな、却下だ」

 今度はベルトランも混じって三人でギャアギャアと騒ぎ出して私はどっと疲れを感じて頭に手を当てた。

「もう……いいよ、三人一緒で」

「アリサーーー!!!」

 私がため息混じりにこぼしたら、三人の矛先が完全に私にロックオンされてしまった。

 この後、それぞれ着て欲しいドレスがあるとか、それぞれやりたい式があるとかで白熱した議論が始まってしまった。
 同じ日に三回やろうなんて意見も出てきて、それだけはフラフラになるからやめてくれなんて言いながら、最後は想像したらおかしくなってきて大笑いしてしまった。

 旅はまだ始まったばかり。
 私達の進む先に、何が待っているのか誰にも分からない。
 きっと今よりもっと楽しくて、お腹が痛くなるくらいおかしくて幸せだろう。

 不器用な私は、みんなを平等に愛することはできないけれど、一人一人に精一杯の愛を。

 グラスではない、私自身をそのまま飲み干してくれる愛しい人達に、特別な愛を込めて。









 □完□
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