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番外編 & SS
番外編 背徳のススメ
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ヨハネス回
ほぼいたすお話です。
※※※
「……っっ………うう……」
私が必死に声を殺している様を楽しむように、長い指が膣壁をうねるように刺激してきた。
巧みで複雑な動きに翻弄されて蜜口に力が入ってキュッと締まると、ヨハネスはクスリと嬉しそうに笑った。
「どうしました? ココが好きなんですか?」
「んんんんっ……!」
気持ちいいところに押し当てられて激しく擦られると、たまらなくなって私はヨハネスの肩に口を押し当てて絶頂に身を震わせた。
「ん…イってしまったんですか? 一人で? アリサは私を置いていくのが好きですね」
微妙な言葉を選んで耳元で囁いてくるヨハネスを軽く睨みつけると、ふわりと嬉しそうに微笑んだヨハネスが顔を近づけてきた。
すぐに重なった唇から魔力を吸い取られているのを感じる。
今散ったばかりの熱が再び上がっていくのを余韻に震えながら感じていた。
ここはどこで、なぜこんな事になったのか。
私はぼんやりとしながら、今日のことを思い出していた。
今日は月に一度の神殿での礼拝の日。
異世界に残ることを決めた私は、ヨハネスに呼ばれて祈りに参加することになっていた。
礼拝を執り行うのは神官長達で、普段ヨハネスは参加することはない。
私のために今回は特別にどこかで出てくるつもりなのかなと思い込んでいた。
礼拝は白の正装が基本なので、私は神殿巫女が着用する白い聖衣を着用した。
首まで詰まった上品なワンピースで肌の露出はほとんどない。少し苦しいくらいだが、厳格な空間ではこれくらいの緊張感が必要なのだろう。
神殿に着くとすぐにヨハネスの部屋に通された。ヨハネスもやはり礼拝に参加するらしく、教皇用の白の聖衣を纏っていた。
金糸の刺繍が豪華なもので、上はゆったりとした作りの長衣に、下もゆったりして長いスカートのようにも見える不思議なデザインだったが、さすがの洗練された美しさにうっとりと見入ってしまった。
「今日は、アリサと私の特別な日にしようと思いまして、特別な場所を用意しました。気に入ってくれるといいのですが」
私の手を取ったヨハネスは、ふわりと花が咲くような柔らかい笑顔で微笑んだ。
私は特別な日、という言葉に首を傾げた。
月一礼拝は何度も参加しているので、何か特別なイベントでもあるのだろうかと考えながらヨハネスに連れられて歩いて行った。
てっきり礼拝堂に入るのかと思っていたら、その手前の部屋の鍵を開けて、ヨハネスは入ってしまった。すぐにどうぞと言われてしまったので、私は戸惑いながら中に足を踏み入れた。
中は何もない小さな部屋で、片方の壁だけ複雑な階段のような形をしていた。
そして驚いたのは、話をする神官長の声が丸聞こえだった。
ヨハネスは私を手招きして近くに来させてから小声で話しかけてきた。
「ここは祭壇の裏なのですよ」
「ええ!?」
驚いて大きな声を出しそうになり慌てて口を押さえた。
「今は神官長講話の最中ですね。きっと大勢集まってみんな真剣に耳を傾けていますよ」
よく分からないが、これはありがたいお話を近くで聞けるという特別席的な事なのだろうか。
そんなところを気を使ってもらわなくても、後ろの席でも堂内の椅子で大丈夫なのにと思っていたら、ヨハネスは私の腰に触れて自分の方へぐっと引き寄せてきた。
「え……?」
「アリサ、もう我慢できません」
「え…なっ………っっんんんっ!!」
急に何を言い出すのかと思った瞬間に、ヨハネスの唇が降ってきて、私の唇に重なった。
ヨハネスの長い髪が私の頬を擦り、サラサラと音が聞こえるのを耳で聞いて、やっと今の状況を理解した。
「だ…だめですって! こんなところで…何を……」
「今日は特別な日だとお伝えしましたよね。私とアリサが初めてひとつになる日、思い出に残るように特別な場所を選びました」
またまた、花が咲きそうな全力の笑顔を向けられて、眩しくて目が眩みそうだ。
いくらなんでもこんな場所で、祭壇の向こうではとっても真面目な集会をやっているのだ。こんなことをしたらイシスへの冒涜になるのではないかと目で訴えたら、すぐに読み取ったのかヨハネスは大丈夫ですと言ってきた。
「イシスは寛容ですよ。素直であれ、ですから」
「ヨハネス様、それ多用してますけど、そのうちバチが当たりますよ……」
「アリサを前に我慢できなくなる気持ちはきっとイシスも分かってくれますよ」
ほらと言いながら、ヨハネスは私の足に下半身を擦り付けてきた。
上品で洗練された美しい聖衣を突き破るように盛り上がったそこをは、すっかり硬くなって凶器のように衣を押し上げていた。
「わっ…えっ……もう……」
「だめ…ですか? アリサに触れたら私はすぐこんな風になってしまうのに……」
「あ……ちょっ……だ……め……」
逃げようとしたところを、後ろから抱きしめられて、ワンピースの上から胸を揉まれた。薄い下着しか身につけていなかったので、すぐに先端を探り当てられて指でくいくいと摘まれて、声を漏らしそうになり唇を噛んだ。
「他の男達とは仲良くしているのに、どうして私はだめなのですか……?」
「そ……れ……は、だって……ヨハネ…スさ……、私を……避けて……」
ヨハネスは前世の件があって、私を前の世界に戻さなければいけないと考えて、思いが強くならないようにと避けていたらしい。
最初に吸血をしてもらってから、ほとんど触れることはなかった。
この世界に残ることを決めてから、やっと自然に触れてくれるようになった。
その触り方が少しもどかしいと思っていたことは確かだったが、今こんなところでなくてもいいのにと混乱していた。
胸を弄りながら、ヨハネスの片方の手は私の下半身に這ってきた。
聖衣のワンピースは禁欲的な作りのくせに、やけに生地が薄くて、触れられたら触感が濃く伝わってくる。
ヨハネスは布の上から私の秘所を弄り始めた。
「んんんっ……くっ…ん……ぁ……」
手で口を押さえながら与えられる快感に抗ってみる。完全に受け入れたらこんなものではすまないはずだ。
理性を保とうとするのに必死だった。
「アリサ……、神聖な聖衣が愛液でびしょびしょになってしまいました。ずいぶんとはしたない子ですね」
「ぁ……や………」
真っ白だったスカートが濡れて中まで透けてしまいそうなっていた。快感を我慢しようとして、足がガクガクと揺れ出すとヨハネスはそっと耳元で囁いてきた。
「そろそろ足がつらそうですね。あちらに座って足を開いて……まずは指でアリサの中を愛してあげましょう」
あちらと言われた方向は本当に祭壇の裏、木製の階段上に造られていたその裏手の空きスペースに誘導してきた。
確かに寝転ぶにはちょうど良さそうだったが、ありえない位置である。
目でダメだと訴えて首を振ったが、ヨハネスはニッコリと微笑んでから、私を持ち上げて移動してしまった。
いけない場所でもたらされる快感を想像したら、蜜がとろりとこぼれ落ちていくのが分かって、愕然としてしまった。
ヨハネスは言った通り私を座らせたあと足を開いた。ワンピースはたくし上げられて、白いガーターベルトとレースの下着が丸見えになってしまった。
「……なんて光景でしょう。神聖な聖衣の下にこんな卑猥な格好を隠していたなんて……」
「だっ…これは……用意されていた…から」
「ふふっ…素直なアリサ……可愛すぎます」
ヨハネスが舌を出して私の唇をペロペロと舐めた。くすぐったさに口を開けると、すぐに口内に舌を入れられて、同じように歯列の裏から舌の根元まで舐められてしまう。
そして下着の中に侵入した指が、花芯をゆっくりとなぞり始めた。
上と下どちらか分からないくちゅくちゅという水音が室内に響き渡って、それが向こうに聞こえてしまうかもしれないと恥ずかしさと緊張で心臓が壊れそうに鳴っていた。
「……っっ……はぁ………」
舌で口内を犯しながら、ヨハネスの指は蜜口から中に侵入した。溢れ出す蜜は一切の抵抗もなく、ヨハネスの指を飲み込んだ。
もっと…もっと欲しい。
私の頭に浮かんできた思いは徐々に大きくなっていった。
「ううっ…!!」
ヨハネスから与えられる容赦ない刺激に、私はまた軽く達してしまった。止まらない快感に、ゆっくりと息を吐きながら呼吸を整えていたら、指を引き抜いたヨハネスは、愛液でびしょびしょに濡れている手を私の前に見せてきた。
「アリサ…、こんなに濡れてしまってはもう、信者の前に姿は見せられませんね。綺麗にしてくれますか?」
なんて事を命令してくるのかと、信じられなくて息を呑んだ。
てらてらと光る指から垂れた雫が私の頬にぽたりと落ちた。
「あなたの可愛い舌で、私の指を愛してくれますか?」
そう言われてしまうと、胸がきゅっと鳴って目が離せなくなってしまった。
私もヨハネスの全てを愛したい…頭の中がそれでいっぱいになってしまい、私は口を開けて舌を出した。
「いい子ですね」
自分のもの舐めるなんて信じられないけれど、ヨハネスに喜んでもらいたいと思い出したら止まらなくなった。
大きく舌を伸ばして大胆に舐め取るとヨハネスは嬉しそうに微笑む。それだけで、きゅうきゅうと密口が締まって熱いものが欲しくてたまらなくなった。
気がつけば自分からヨハネスの腕を掴んで、手首から指先まで舌を這わせて綺麗に舐めてしまった。
「いいですよ…アリサ。なんて可愛いのでしょう。ご褒美にアリサが欲しいものをあげましょう」
ヨハネスの言葉に期待を込めた目で見つめてしまう。ここまで高められて、欲しいものは決まっていた。
「綺麗にしてもらったこの指ですか? また中をたくさんかき回してあげましょうか?」
いじわるなヨハネスに、私は涙目になってふるふると首を振った。
「困りましたね……。欲しがりなアリサ、何がいいのか、ちゃんとそのお口で教えてくれますか?」
耳元で囁かれた声に、私は恥ずかしなって真っ赤になった。
まさか自分の口からなんて、何と伝えていいのか、想像したら顔から火が出そうになった。
「あ…あの、…その…、ヨハネス様の…それを……」
震える手で指さしたのは、ヨハネスの下半身で高く聳え立ったモノ。
おずおずと伝えると、ヨハネスにガッと手首を掴まれて、その欲望へと導かれてしまった。手で触れると、衣服を押し上げて石のように硬くなった欲望は、わずかに先の方が濡れていた。
「これですか? ……同じ。私もアリサと同じですよ。興奮し過ぎてすでに先から溢れてしまいました」
これが欲しいですかと聞かれて、私は素直にこくこくと頷いた。
クスリと微笑んだヨハネスは、下着をくつろげて、凶器のように硬く立ち上がった欲望を取り出した。
漂ってきた雄の匂いに興奮した私は、直に触れて熱さを確かめるように擦ってみた。
欲望はまたぐんと硬度を増して、お腹につきそうなくらい張りつめていた。
「アリサ……」
ヨハネスの声がわずかに掠れて聞こえた。余裕があるように見えて、ヨハネスもまた限界なのかもしれないと思うと、早く一緒に溶けてしまいたくなった。
「ヨハネスさ…ま。は…やく、中に……。欲しい…欲しいです」
我慢できなくなった私はヨハネスを見つめながら懇願した。今までペラペラとよく喋っていたヨハネスは急に無言になり、喉を上下させたのが分かった。
台座に座った私にヨハネスは立ったまま向かい合う体勢で、蜜口にピタリと熱いものを当てた。愛液の滑りを利用してぐぐっと中に挿入ってきた。
ヨハネスは急がなかった。ゆっくり、時間をかけて全てを押し挿れていく。
ぬちぬちと膣壁が大きなモノの存在に広がっていく、それがまた強烈な快感をもたらせて、すぐに達してしまいそうになり、私は深く息を吐きながら耐えた。
見上げればヨハネスも同じように顔を赤くして、深く息を吐いていた。ヨハネスが感じている。その妖しく美しい姿に魅了されて、私は手を伸ばした。
「あ…………はい…って……」
「ええ……、も…根元まで……挿入りましたよ。これで……私達は……一つです」
嬉しそうに笑っているが泣きそうな顔をしたヨハネスが、繋がったまま私をぎゅっと抱きしめてきた。
角度が変わりもっと深い繋がりに我慢できずに声を漏らしてしまいそうになり、慌てて口に手を当てた。
背中は祭壇の裏、向こうは神官長の話が終わり、聖歌の準備へ移るような音や声が聞こえていた。
「アリサ…やっと一つになれましたね。愛しています。あなたを…誰よりも……」
「ヨハネスさ…ま。……あぁ……」
「はぁ…たまらない……もうこれだけで達しそうです」
激しくすると気付かれてしまいますからと言って、ヨハネスはゆっくりと抜き差しを始めた。
「……ふ……んっ……はぁ……」
「どうしてここでアリサを抱こうとしたのか分かりますか?」
「……っ……ぁ………」
「アリサが礼拝に来て…祭壇を見たら…、ここで私としたことを思い出すように…選んだのです」
「や……っ……んな………」
「聖歌を聞くたびに…私に貫かれたことを思い出して…頬を染めるアリサを見たくて…」
なんて事を考えるのかと、頭はクラクラして沸騰しそうだ。奥を打たれてゆっくりと蜜口まで戻りまた深く奥まで入ってくる。
ヨハネスのじわじわとした責めに、我慢しても声が漏れてしまう。
時々気持ちのいいところをぐりぐりと擦られるともうだめで、ヨハネスの肩に噛み付くように口を当てて悶えた。
「自分でも困ったものだと思うのですが、アリサの事に関してはどうしても願望を止められないのです。……こんな私は嫌いですか?」
さすがに毎回こんな所で求められるのは困るが、ヨハネスの気持ちに応えたいという思いはある。嫌いかなんて言われたら、胸がキュッと痛んでしまった。
「き…嫌い…なんて……ちがっ……」
「じゃあ、なんですか?」
「す…す……」
「す?」
「好き。ヨハネスさま…好き…です」
その瞬間。
両手で顔を押さえたヨハネスは、これはナントカとかと言いながら悶えるような声を上げた。
しかも耐えきれないように、ドンドンと祭壇裏を叩くので向こうに気付かれてしまわないか私は心臓が冷えてしまった。
幸いちょうど聖歌が盛り上がり盛大な音楽が流れたので、上手いこと重なってくれた。
「あぁ…たまらない…、アリサが…アリサが私を飲み込んだまま熱烈な愛の告白なんて……」
「え、…あ…の……」
「しかも私の願望まで認めてくれるなんて嬉しいです。良かった…これで、もっと色々なことができますね。あー楽しみ」
「なっ……」
確かに好きだと言ったので、愛の告白ではあるが何か拡大解釈されている気がしないでもない。
「次は…あの庭園でしましょうか? 出会った時を再現しながら」
「ええ!?」
今度こそ驚いて声を上げてしまったら、ヨハネスに手で口を塞がれた。ちょうど音楽が終わり、何か聞こえなかった?と向こうから怪しむような声が聞こえてきてしまった。
「アリサ、静かにしないと、誰か来てしまいますよ」
そんなことは、絶対に嫌なので口を閉じてふるふると首を振ると、ニヤニヤと笑ったヨハネスが今度は強く腰を打ちつけてきた。
「んんっ!?」
まさかこんな時にと涙目で訴えると、ヨハネスは口をパカッと開けた。そこは牙が見えて私は絶句してしまった。
そう言えば、オールドブラッドでも特にヨハネスの家系は太古の血と呼ばれ、原始的なヴァンパイアであると聞かされていた。
以前吸血してもらった時よりも明らかに牙が鋭く長くなっていて、途中で二股に分かれるという凶器にしか見えない作りになっていた。
「これが…私の一族の特性なのです。最高に興奮した時にだけ、牙が二股に分かれて急速に吸うことができる。もちろん、吸われる方は快感も二倍になるそうですよ。では、アリサ…たくさん飲ませてくださいね」
「う…嘘……こ…こんな……今だめ…声出ちゃう…だめ……!」
ただでさえ怪しまれている時に、これ以上の物音は絶対に気づかれてしまうと思ったのに、ヨハネスは容赦なく私の首筋に牙を当てた。
私は声を我慢しなくてはと口に手を入れて耐えようとした。
しかし二倍の快感の前で、それは無駄な抵抗だった。
肉に牙が食い込んでズボッと肌の奥に入っていくと、とてつもない快感が私を貫いた。
「んあっ!!あああっっいぁぁああああーーーーーーー!!!」
背中を弓形にそらして、飲み込んでいたヨハネスを食いちぎる勢いでぎゅうぎゅうと締めて達した。達してもなお続く快感にガタガタを震えながら、口の端からは涎を垂らしていた。こうなると声は止められずどんどんと漏れてしまう。
「あっ…イク…また…イク!! 止まらな……ヨハネス…も…また…だめぇ……!!」
じゅらじゅると音を立てながら、ヨハネスは私の血を飲んでいた。
どくどくと中のヨハネスが揺れて、膣壁に熱い飛沫を感じて、達したのだろうと分かったが、ヨハネスもまた止まらないのだろう。すぐに硬度を増してしまう。その熱さに私が達すると、ヨハネスもまたイク。その繰り返しだった。
何度中に出されたのか分からないが、膣内はもうヨハネスが出したものでいっぱいで、お腹が苦しいくらいだった。
こんなに叫んでしまったが、ヨハネスが私を牙で貫いた瞬間、聖堂の鐘が高らかに鳴り響き、私の声は見事にかき消された。
まるで計算されていたかのようなタイミングだが、血を飲まれてイキ過ぎた頭は朦朧としてもう何も考えられない。
それでは今日はこの辺りでと声が聞こえて、礼拝堂から人々が話しながら大勢が出ていく気配がした。
今日は何か変な音がしたとか、何か違うなと言った声を頭の端の方で聞いていた。
快感に支配された私はもうそんな事どうでも良くて、ヨハネスの背中には手を回してぐいぐいと力を入れてしがみついていた。
「ヨハネスさまぁ……もっとぉ……、ここも噛んで……ここもここも…吸ってください」
「あぁ…アリサ……飛んでしまった貴方はたまらない。観客は消えましたから……、お望み通り……まずはここから……」
私の体には至るところにヨハネスの噛み痕が付いていく。
とろとろに溶けてしまった私は、喜んで甘い痛みに声を上げ続けた。
「この前の月一礼拝ですが、イシスの声のようなものが聞こえたと話題になっているみたいですよ」
ヨハネスが優雅にカップを持ちながら恐ろしい事を言ってきたので、私は飲んでいたお茶を噴き出してむせた。
「ゲッ……ゴッ…、う……冗談ですよね?」
「いいえ、冗談ではなく本当です。イシスは可愛い声だと話題に……」
信じられないと私は真っ赤になって耳を塞いだ。
今日はヨハネスが屋敷に遊びに来て、ティールームでお茶を飲んでいたが、ヨハネスは嬉しそうに先日のあの話を話題にしてきた。
他の三人は今外に出ているので良かったとホッとした。こんな話題を出されたら何を言われるか分からない。
「アリサ、例の部屋ですが、私はあそこをアリサとの初めての部屋と名付けて、記念の像でも作って特別な部屋にしようかと……」
「ぎゃーー!やややめてください!!」
真っ昼間から使用人の誰かが聞いていたら恥ずかしすぎると、慌ててヨハネスの方へ行って手で口を塞いだ。
「そ…そういうのは、二人だけの思い出という事で…。あまり公にされるのはちょっと…。二人の秘密にしておきたいです」
考え方が別次元のヨハネスにはこれくらい言っておかないと、変な願望が始まってしまうと、慣れていないが頑張って甘えてみた。
「アリサ…嬉しい…。二人だけの秘密なんて…」
「そうそう秘密です。だから心に閉まって……」
「秘密なんて…、興奮してきました」
「え?」
軽く口止めしておこうと思ったのに、いつの間にか腕を取られて、座っているヨハネスの膝を跨ぐように乗せられた。
「ここでも、二人の秘密を増やしませんか?」
「だっ…だめですよ。誰が来るか……」
「大丈夫です。私が採用した者達は口が堅いですから」
「それじゃ、秘密じゃないです…って……あっ……もっ……」
真っ昼間から、誰が来るか分からない場所で秘密の情事。
神聖な祭壇の裏での背徳の行為。
ヨハネスはとんでもない事を仕掛けてくるので、気を抜くことができない。
いや、本当は……こんな状況に胸を高鳴らせて、次は何があるのかと期待してしまう自分に気付かないようにしている。
すぐに始まった激しいキスを受けながら、もっともっとという声を飲み込んだ。
それを言うのはもう少し後にとっておこうと、秘密の味に酔いしれたのだった。
□終わり□
ほぼいたすお話です。
※※※
「……っっ………うう……」
私が必死に声を殺している様を楽しむように、長い指が膣壁をうねるように刺激してきた。
巧みで複雑な動きに翻弄されて蜜口に力が入ってキュッと締まると、ヨハネスはクスリと嬉しそうに笑った。
「どうしました? ココが好きなんですか?」
「んんんんっ……!」
気持ちいいところに押し当てられて激しく擦られると、たまらなくなって私はヨハネスの肩に口を押し当てて絶頂に身を震わせた。
「ん…イってしまったんですか? 一人で? アリサは私を置いていくのが好きですね」
微妙な言葉を選んで耳元で囁いてくるヨハネスを軽く睨みつけると、ふわりと嬉しそうに微笑んだヨハネスが顔を近づけてきた。
すぐに重なった唇から魔力を吸い取られているのを感じる。
今散ったばかりの熱が再び上がっていくのを余韻に震えながら感じていた。
ここはどこで、なぜこんな事になったのか。
私はぼんやりとしながら、今日のことを思い出していた。
今日は月に一度の神殿での礼拝の日。
異世界に残ることを決めた私は、ヨハネスに呼ばれて祈りに参加することになっていた。
礼拝を執り行うのは神官長達で、普段ヨハネスは参加することはない。
私のために今回は特別にどこかで出てくるつもりなのかなと思い込んでいた。
礼拝は白の正装が基本なので、私は神殿巫女が着用する白い聖衣を着用した。
首まで詰まった上品なワンピースで肌の露出はほとんどない。少し苦しいくらいだが、厳格な空間ではこれくらいの緊張感が必要なのだろう。
神殿に着くとすぐにヨハネスの部屋に通された。ヨハネスもやはり礼拝に参加するらしく、教皇用の白の聖衣を纏っていた。
金糸の刺繍が豪華なもので、上はゆったりとした作りの長衣に、下もゆったりして長いスカートのようにも見える不思議なデザインだったが、さすがの洗練された美しさにうっとりと見入ってしまった。
「今日は、アリサと私の特別な日にしようと思いまして、特別な場所を用意しました。気に入ってくれるといいのですが」
私の手を取ったヨハネスは、ふわりと花が咲くような柔らかい笑顔で微笑んだ。
私は特別な日、という言葉に首を傾げた。
月一礼拝は何度も参加しているので、何か特別なイベントでもあるのだろうかと考えながらヨハネスに連れられて歩いて行った。
てっきり礼拝堂に入るのかと思っていたら、その手前の部屋の鍵を開けて、ヨハネスは入ってしまった。すぐにどうぞと言われてしまったので、私は戸惑いながら中に足を踏み入れた。
中は何もない小さな部屋で、片方の壁だけ複雑な階段のような形をしていた。
そして驚いたのは、話をする神官長の声が丸聞こえだった。
ヨハネスは私を手招きして近くに来させてから小声で話しかけてきた。
「ここは祭壇の裏なのですよ」
「ええ!?」
驚いて大きな声を出しそうになり慌てて口を押さえた。
「今は神官長講話の最中ですね。きっと大勢集まってみんな真剣に耳を傾けていますよ」
よく分からないが、これはありがたいお話を近くで聞けるという特別席的な事なのだろうか。
そんなところを気を使ってもらわなくても、後ろの席でも堂内の椅子で大丈夫なのにと思っていたら、ヨハネスは私の腰に触れて自分の方へぐっと引き寄せてきた。
「え……?」
「アリサ、もう我慢できません」
「え…なっ………っっんんんっ!!」
急に何を言い出すのかと思った瞬間に、ヨハネスの唇が降ってきて、私の唇に重なった。
ヨハネスの長い髪が私の頬を擦り、サラサラと音が聞こえるのを耳で聞いて、やっと今の状況を理解した。
「だ…だめですって! こんなところで…何を……」
「今日は特別な日だとお伝えしましたよね。私とアリサが初めてひとつになる日、思い出に残るように特別な場所を選びました」
またまた、花が咲きそうな全力の笑顔を向けられて、眩しくて目が眩みそうだ。
いくらなんでもこんな場所で、祭壇の向こうではとっても真面目な集会をやっているのだ。こんなことをしたらイシスへの冒涜になるのではないかと目で訴えたら、すぐに読み取ったのかヨハネスは大丈夫ですと言ってきた。
「イシスは寛容ですよ。素直であれ、ですから」
「ヨハネス様、それ多用してますけど、そのうちバチが当たりますよ……」
「アリサを前に我慢できなくなる気持ちはきっとイシスも分かってくれますよ」
ほらと言いながら、ヨハネスは私の足に下半身を擦り付けてきた。
上品で洗練された美しい聖衣を突き破るように盛り上がったそこをは、すっかり硬くなって凶器のように衣を押し上げていた。
「わっ…えっ……もう……」
「だめ…ですか? アリサに触れたら私はすぐこんな風になってしまうのに……」
「あ……ちょっ……だ……め……」
逃げようとしたところを、後ろから抱きしめられて、ワンピースの上から胸を揉まれた。薄い下着しか身につけていなかったので、すぐに先端を探り当てられて指でくいくいと摘まれて、声を漏らしそうになり唇を噛んだ。
「他の男達とは仲良くしているのに、どうして私はだめなのですか……?」
「そ……れ……は、だって……ヨハネ…スさ……、私を……避けて……」
ヨハネスは前世の件があって、私を前の世界に戻さなければいけないと考えて、思いが強くならないようにと避けていたらしい。
最初に吸血をしてもらってから、ほとんど触れることはなかった。
この世界に残ることを決めてから、やっと自然に触れてくれるようになった。
その触り方が少しもどかしいと思っていたことは確かだったが、今こんなところでなくてもいいのにと混乱していた。
胸を弄りながら、ヨハネスの片方の手は私の下半身に這ってきた。
聖衣のワンピースは禁欲的な作りのくせに、やけに生地が薄くて、触れられたら触感が濃く伝わってくる。
ヨハネスは布の上から私の秘所を弄り始めた。
「んんんっ……くっ…ん……ぁ……」
手で口を押さえながら与えられる快感に抗ってみる。完全に受け入れたらこんなものではすまないはずだ。
理性を保とうとするのに必死だった。
「アリサ……、神聖な聖衣が愛液でびしょびしょになってしまいました。ずいぶんとはしたない子ですね」
「ぁ……や………」
真っ白だったスカートが濡れて中まで透けてしまいそうなっていた。快感を我慢しようとして、足がガクガクと揺れ出すとヨハネスはそっと耳元で囁いてきた。
「そろそろ足がつらそうですね。あちらに座って足を開いて……まずは指でアリサの中を愛してあげましょう」
あちらと言われた方向は本当に祭壇の裏、木製の階段上に造られていたその裏手の空きスペースに誘導してきた。
確かに寝転ぶにはちょうど良さそうだったが、ありえない位置である。
目でダメだと訴えて首を振ったが、ヨハネスはニッコリと微笑んでから、私を持ち上げて移動してしまった。
いけない場所でもたらされる快感を想像したら、蜜がとろりとこぼれ落ちていくのが分かって、愕然としてしまった。
ヨハネスは言った通り私を座らせたあと足を開いた。ワンピースはたくし上げられて、白いガーターベルトとレースの下着が丸見えになってしまった。
「……なんて光景でしょう。神聖な聖衣の下にこんな卑猥な格好を隠していたなんて……」
「だっ…これは……用意されていた…から」
「ふふっ…素直なアリサ……可愛すぎます」
ヨハネスが舌を出して私の唇をペロペロと舐めた。くすぐったさに口を開けると、すぐに口内に舌を入れられて、同じように歯列の裏から舌の根元まで舐められてしまう。
そして下着の中に侵入した指が、花芯をゆっくりとなぞり始めた。
上と下どちらか分からないくちゅくちゅという水音が室内に響き渡って、それが向こうに聞こえてしまうかもしれないと恥ずかしさと緊張で心臓が壊れそうに鳴っていた。
「……っっ……はぁ………」
舌で口内を犯しながら、ヨハネスの指は蜜口から中に侵入した。溢れ出す蜜は一切の抵抗もなく、ヨハネスの指を飲み込んだ。
もっと…もっと欲しい。
私の頭に浮かんできた思いは徐々に大きくなっていった。
「ううっ…!!」
ヨハネスから与えられる容赦ない刺激に、私はまた軽く達してしまった。止まらない快感に、ゆっくりと息を吐きながら呼吸を整えていたら、指を引き抜いたヨハネスは、愛液でびしょびしょに濡れている手を私の前に見せてきた。
「アリサ…、こんなに濡れてしまってはもう、信者の前に姿は見せられませんね。綺麗にしてくれますか?」
なんて事を命令してくるのかと、信じられなくて息を呑んだ。
てらてらと光る指から垂れた雫が私の頬にぽたりと落ちた。
「あなたの可愛い舌で、私の指を愛してくれますか?」
そう言われてしまうと、胸がきゅっと鳴って目が離せなくなってしまった。
私もヨハネスの全てを愛したい…頭の中がそれでいっぱいになってしまい、私は口を開けて舌を出した。
「いい子ですね」
自分のもの舐めるなんて信じられないけれど、ヨハネスに喜んでもらいたいと思い出したら止まらなくなった。
大きく舌を伸ばして大胆に舐め取るとヨハネスは嬉しそうに微笑む。それだけで、きゅうきゅうと密口が締まって熱いものが欲しくてたまらなくなった。
気がつけば自分からヨハネスの腕を掴んで、手首から指先まで舌を這わせて綺麗に舐めてしまった。
「いいですよ…アリサ。なんて可愛いのでしょう。ご褒美にアリサが欲しいものをあげましょう」
ヨハネスの言葉に期待を込めた目で見つめてしまう。ここまで高められて、欲しいものは決まっていた。
「綺麗にしてもらったこの指ですか? また中をたくさんかき回してあげましょうか?」
いじわるなヨハネスに、私は涙目になってふるふると首を振った。
「困りましたね……。欲しがりなアリサ、何がいいのか、ちゃんとそのお口で教えてくれますか?」
耳元で囁かれた声に、私は恥ずかしなって真っ赤になった。
まさか自分の口からなんて、何と伝えていいのか、想像したら顔から火が出そうになった。
「あ…あの、…その…、ヨハネス様の…それを……」
震える手で指さしたのは、ヨハネスの下半身で高く聳え立ったモノ。
おずおずと伝えると、ヨハネスにガッと手首を掴まれて、その欲望へと導かれてしまった。手で触れると、衣服を押し上げて石のように硬くなった欲望は、わずかに先の方が濡れていた。
「これですか? ……同じ。私もアリサと同じですよ。興奮し過ぎてすでに先から溢れてしまいました」
これが欲しいですかと聞かれて、私は素直にこくこくと頷いた。
クスリと微笑んだヨハネスは、下着をくつろげて、凶器のように硬く立ち上がった欲望を取り出した。
漂ってきた雄の匂いに興奮した私は、直に触れて熱さを確かめるように擦ってみた。
欲望はまたぐんと硬度を増して、お腹につきそうなくらい張りつめていた。
「アリサ……」
ヨハネスの声がわずかに掠れて聞こえた。余裕があるように見えて、ヨハネスもまた限界なのかもしれないと思うと、早く一緒に溶けてしまいたくなった。
「ヨハネスさ…ま。は…やく、中に……。欲しい…欲しいです」
我慢できなくなった私はヨハネスを見つめながら懇願した。今までペラペラとよく喋っていたヨハネスは急に無言になり、喉を上下させたのが分かった。
台座に座った私にヨハネスは立ったまま向かい合う体勢で、蜜口にピタリと熱いものを当てた。愛液の滑りを利用してぐぐっと中に挿入ってきた。
ヨハネスは急がなかった。ゆっくり、時間をかけて全てを押し挿れていく。
ぬちぬちと膣壁が大きなモノの存在に広がっていく、それがまた強烈な快感をもたらせて、すぐに達してしまいそうになり、私は深く息を吐きながら耐えた。
見上げればヨハネスも同じように顔を赤くして、深く息を吐いていた。ヨハネスが感じている。その妖しく美しい姿に魅了されて、私は手を伸ばした。
「あ…………はい…って……」
「ええ……、も…根元まで……挿入りましたよ。これで……私達は……一つです」
嬉しそうに笑っているが泣きそうな顔をしたヨハネスが、繋がったまま私をぎゅっと抱きしめてきた。
角度が変わりもっと深い繋がりに我慢できずに声を漏らしてしまいそうになり、慌てて口に手を当てた。
背中は祭壇の裏、向こうは神官長の話が終わり、聖歌の準備へ移るような音や声が聞こえていた。
「アリサ…やっと一つになれましたね。愛しています。あなたを…誰よりも……」
「ヨハネスさ…ま。……あぁ……」
「はぁ…たまらない……もうこれだけで達しそうです」
激しくすると気付かれてしまいますからと言って、ヨハネスはゆっくりと抜き差しを始めた。
「……ふ……んっ……はぁ……」
「どうしてここでアリサを抱こうとしたのか分かりますか?」
「……っ……ぁ………」
「アリサが礼拝に来て…祭壇を見たら…、ここで私としたことを思い出すように…選んだのです」
「や……っ……んな………」
「聖歌を聞くたびに…私に貫かれたことを思い出して…頬を染めるアリサを見たくて…」
なんて事を考えるのかと、頭はクラクラして沸騰しそうだ。奥を打たれてゆっくりと蜜口まで戻りまた深く奥まで入ってくる。
ヨハネスのじわじわとした責めに、我慢しても声が漏れてしまう。
時々気持ちのいいところをぐりぐりと擦られるともうだめで、ヨハネスの肩に噛み付くように口を当てて悶えた。
「自分でも困ったものだと思うのですが、アリサの事に関してはどうしても願望を止められないのです。……こんな私は嫌いですか?」
さすがに毎回こんな所で求められるのは困るが、ヨハネスの気持ちに応えたいという思いはある。嫌いかなんて言われたら、胸がキュッと痛んでしまった。
「き…嫌い…なんて……ちがっ……」
「じゃあ、なんですか?」
「す…す……」
「す?」
「好き。ヨハネスさま…好き…です」
その瞬間。
両手で顔を押さえたヨハネスは、これはナントカとかと言いながら悶えるような声を上げた。
しかも耐えきれないように、ドンドンと祭壇裏を叩くので向こうに気付かれてしまわないか私は心臓が冷えてしまった。
幸いちょうど聖歌が盛り上がり盛大な音楽が流れたので、上手いこと重なってくれた。
「あぁ…たまらない…、アリサが…アリサが私を飲み込んだまま熱烈な愛の告白なんて……」
「え、…あ…の……」
「しかも私の願望まで認めてくれるなんて嬉しいです。良かった…これで、もっと色々なことができますね。あー楽しみ」
「なっ……」
確かに好きだと言ったので、愛の告白ではあるが何か拡大解釈されている気がしないでもない。
「次は…あの庭園でしましょうか? 出会った時を再現しながら」
「ええ!?」
今度こそ驚いて声を上げてしまったら、ヨハネスに手で口を塞がれた。ちょうど音楽が終わり、何か聞こえなかった?と向こうから怪しむような声が聞こえてきてしまった。
「アリサ、静かにしないと、誰か来てしまいますよ」
そんなことは、絶対に嫌なので口を閉じてふるふると首を振ると、ニヤニヤと笑ったヨハネスが今度は強く腰を打ちつけてきた。
「んんっ!?」
まさかこんな時にと涙目で訴えると、ヨハネスは口をパカッと開けた。そこは牙が見えて私は絶句してしまった。
そう言えば、オールドブラッドでも特にヨハネスの家系は太古の血と呼ばれ、原始的なヴァンパイアであると聞かされていた。
以前吸血してもらった時よりも明らかに牙が鋭く長くなっていて、途中で二股に分かれるという凶器にしか見えない作りになっていた。
「これが…私の一族の特性なのです。最高に興奮した時にだけ、牙が二股に分かれて急速に吸うことができる。もちろん、吸われる方は快感も二倍になるそうですよ。では、アリサ…たくさん飲ませてくださいね」
「う…嘘……こ…こんな……今だめ…声出ちゃう…だめ……!」
ただでさえ怪しまれている時に、これ以上の物音は絶対に気づかれてしまうと思ったのに、ヨハネスは容赦なく私の首筋に牙を当てた。
私は声を我慢しなくてはと口に手を入れて耐えようとした。
しかし二倍の快感の前で、それは無駄な抵抗だった。
肉に牙が食い込んでズボッと肌の奥に入っていくと、とてつもない快感が私を貫いた。
「んあっ!!あああっっいぁぁああああーーーーーーー!!!」
背中を弓形にそらして、飲み込んでいたヨハネスを食いちぎる勢いでぎゅうぎゅうと締めて達した。達してもなお続く快感にガタガタを震えながら、口の端からは涎を垂らしていた。こうなると声は止められずどんどんと漏れてしまう。
「あっ…イク…また…イク!! 止まらな……ヨハネス…も…また…だめぇ……!!」
じゅらじゅると音を立てながら、ヨハネスは私の血を飲んでいた。
どくどくと中のヨハネスが揺れて、膣壁に熱い飛沫を感じて、達したのだろうと分かったが、ヨハネスもまた止まらないのだろう。すぐに硬度を増してしまう。その熱さに私が達すると、ヨハネスもまたイク。その繰り返しだった。
何度中に出されたのか分からないが、膣内はもうヨハネスが出したものでいっぱいで、お腹が苦しいくらいだった。
こんなに叫んでしまったが、ヨハネスが私を牙で貫いた瞬間、聖堂の鐘が高らかに鳴り響き、私の声は見事にかき消された。
まるで計算されていたかのようなタイミングだが、血を飲まれてイキ過ぎた頭は朦朧としてもう何も考えられない。
それでは今日はこの辺りでと声が聞こえて、礼拝堂から人々が話しながら大勢が出ていく気配がした。
今日は何か変な音がしたとか、何か違うなと言った声を頭の端の方で聞いていた。
快感に支配された私はもうそんな事どうでも良くて、ヨハネスの背中には手を回してぐいぐいと力を入れてしがみついていた。
「ヨハネスさまぁ……もっとぉ……、ここも噛んで……ここもここも…吸ってください」
「あぁ…アリサ……飛んでしまった貴方はたまらない。観客は消えましたから……、お望み通り……まずはここから……」
私の体には至るところにヨハネスの噛み痕が付いていく。
とろとろに溶けてしまった私は、喜んで甘い痛みに声を上げ続けた。
「この前の月一礼拝ですが、イシスの声のようなものが聞こえたと話題になっているみたいですよ」
ヨハネスが優雅にカップを持ちながら恐ろしい事を言ってきたので、私は飲んでいたお茶を噴き出してむせた。
「ゲッ……ゴッ…、う……冗談ですよね?」
「いいえ、冗談ではなく本当です。イシスは可愛い声だと話題に……」
信じられないと私は真っ赤になって耳を塞いだ。
今日はヨハネスが屋敷に遊びに来て、ティールームでお茶を飲んでいたが、ヨハネスは嬉しそうに先日のあの話を話題にしてきた。
他の三人は今外に出ているので良かったとホッとした。こんな話題を出されたら何を言われるか分からない。
「アリサ、例の部屋ですが、私はあそこをアリサとの初めての部屋と名付けて、記念の像でも作って特別な部屋にしようかと……」
「ぎゃーー!やややめてください!!」
真っ昼間から使用人の誰かが聞いていたら恥ずかしすぎると、慌ててヨハネスの方へ行って手で口を塞いだ。
「そ…そういうのは、二人だけの思い出という事で…。あまり公にされるのはちょっと…。二人の秘密にしておきたいです」
考え方が別次元のヨハネスにはこれくらい言っておかないと、変な願望が始まってしまうと、慣れていないが頑張って甘えてみた。
「アリサ…嬉しい…。二人だけの秘密なんて…」
「そうそう秘密です。だから心に閉まって……」
「秘密なんて…、興奮してきました」
「え?」
軽く口止めしておこうと思ったのに、いつの間にか腕を取られて、座っているヨハネスの膝を跨ぐように乗せられた。
「ここでも、二人の秘密を増やしませんか?」
「だっ…だめですよ。誰が来るか……」
「大丈夫です。私が採用した者達は口が堅いですから」
「それじゃ、秘密じゃないです…って……あっ……もっ……」
真っ昼間から、誰が来るか分からない場所で秘密の情事。
神聖な祭壇の裏での背徳の行為。
ヨハネスはとんでもない事を仕掛けてくるので、気を抜くことができない。
いや、本当は……こんな状況に胸を高鳴らせて、次は何があるのかと期待してしまう自分に気付かないようにしている。
すぐに始まった激しいキスを受けながら、もっともっとという声を飲み込んだ。
それを言うのはもう少し後にとっておこうと、秘密の味に酔いしれたのだった。
□終わり□
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