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番外編 & SS
SS 男達の会議
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本編完結後のお話
ランスロット視点
※※※※
「今日集まってもらったのは他でもない。アリサについて重要な情報があるからだ」
昼下がりの屋敷に、男三人が集まって井戸端会議よろしく顔をつき合わせた。
発起人はエドワード。
俺とベルトランは、また改まって何のことかと呆れた顔で座っていた。
「重要って…、どうせ大した話じゃないだろう。俺神殿警備の仕事が夕方からなんだよ。そろそろ行かないと……」
「俺はヨハネスの仕事で二日寝ていない。やっと帰って来たところに勘弁してくれ」
二人にブーブーと文句を言われてもエドワードは真剣な顔を崩さない。
さすがに何かあったのかと、身を乗り出した。
「先日、アリサの警護で町へ行ったが、そこでアリサはドレスショップであるものを買っていた」
マダムの店のドレスショップは、町の女性なら誰もが行くところだ。わざわざ話題に出すなんてと呆れた目で見ていたがその次の言葉に体が固まった。
「アリサは……セクシーランジェリーを買っていた」
ベルトランが飲んでいたお茶を噴き出した。さすがムッツリ反応が早いと思っていたら、エドワードは詳細を語り始めた。
「肩部分はヒモのキャミソール、黒いレースがベースで、紫の蝶が胸を覆うデザインだが透けていた。下も同じ仕様で細いヒモで横を結ぶ形だった。外から見てしっかり確認したから間違いはない」
やけに詳しい解説で俺はドン引きしていたが、ベルトランはすでに想像しているのか目元が赤くなっていた。
「諸君らに聞きたいのは、それを見たことがあるか、ということだ」
「ねーよ」
「ない」
俺とベルトランの答えが重なったが、それを聞いてエドワードは安心したように息を吐いた。
「……そうか、ならアリサはまだ……。きっと、とっておきの機会にと、大切にしまっているんだな」
ここで三人の目線がバッと合って、全員コクリと頷いた。
「誰が選ばれても文句はなしだ」
「あ…当たり前だ。そんな…下着くらいで…驚かねーし」
「お前達、忘れていないか? もう一人いることを……」
ベルトランの言葉に、全員の視線が入り口に集中すると、ゲートでフラリとこちらに寄ったのか、白銀の髪をなびかせて天使のような微笑みを浮かべた男が立っていた。
後ろに伸びた影が悪魔の羽のように見えるのは気のせいだろうか。
「ま…まさか……そんな……」
ヨハネスの全て知っているかのような雰囲気に、エドワードが悲鳴のような声を上げた。
「楽しそうなところ悪いですが……、それなら外に干してありましたよ」
のほほんとした余裕の顔で、ヨハネスは洗濯場の方を指差していた。
「と…ということは……もう使用済み」
「ここにいる三人が知らないとなると……」
エドワードがそんなぁと言いながら床に崩れて伸びた。
「私は虫が嫌いでしたが、蝶は好きになりました」
優雅に微笑みながら手を振って、ヨハネスは意味深な発言をした後、歩いて行ってしまった。
エドワードは放心状態だし、ベルトランは無言でカップを持つ手が震えていた。
それを見て一番大人なのは自分かもしれないと思いながらため息をついた。
「あのさ、買ってプレゼントすればよくね?」
一瞬の沈黙の後、エドワードがそれだ! と叫んだ。
「よし! これからみんなで行こう!」
「は!? 何で…俺は夕方から夜勤が……しかも何で野郎同士で……」
「行くか……」
「ええ!? ベルトランまで!?」
ありえないと思っていたベルトランが乗ってしまった。一匹狼に見えて、実はノリのいいタイプだと最近知ったが、今は止めるところだろうと唖然とした。
「実はさ、ベルトランはファッションについての造詣が深いんだ」
「いい機会だ。ランスロットにも、教えてやろう。さっき、下着くらいで、と言っただろう……」
突然人が変わったように喋り出すベルトランと、エドワードに肩を組まれながら、夜勤前に町へ連れて行かれることになってしまった。
「あーもー!休ませてくれーーー!」
おかげで任務中居眠りして上官に怒られるハメになった。
※※※
実際はアリサは普段使いしていただけ、というオチです。
まぎらわしいことするなと、男性陣からツッコミが入りそうですね(笑)
ランスロット視点
※※※※
「今日集まってもらったのは他でもない。アリサについて重要な情報があるからだ」
昼下がりの屋敷に、男三人が集まって井戸端会議よろしく顔をつき合わせた。
発起人はエドワード。
俺とベルトランは、また改まって何のことかと呆れた顔で座っていた。
「重要って…、どうせ大した話じゃないだろう。俺神殿警備の仕事が夕方からなんだよ。そろそろ行かないと……」
「俺はヨハネスの仕事で二日寝ていない。やっと帰って来たところに勘弁してくれ」
二人にブーブーと文句を言われてもエドワードは真剣な顔を崩さない。
さすがに何かあったのかと、身を乗り出した。
「先日、アリサの警護で町へ行ったが、そこでアリサはドレスショップであるものを買っていた」
マダムの店のドレスショップは、町の女性なら誰もが行くところだ。わざわざ話題に出すなんてと呆れた目で見ていたがその次の言葉に体が固まった。
「アリサは……セクシーランジェリーを買っていた」
ベルトランが飲んでいたお茶を噴き出した。さすがムッツリ反応が早いと思っていたら、エドワードは詳細を語り始めた。
「肩部分はヒモのキャミソール、黒いレースがベースで、紫の蝶が胸を覆うデザインだが透けていた。下も同じ仕様で細いヒモで横を結ぶ形だった。外から見てしっかり確認したから間違いはない」
やけに詳しい解説で俺はドン引きしていたが、ベルトランはすでに想像しているのか目元が赤くなっていた。
「諸君らに聞きたいのは、それを見たことがあるか、ということだ」
「ねーよ」
「ない」
俺とベルトランの答えが重なったが、それを聞いてエドワードは安心したように息を吐いた。
「……そうか、ならアリサはまだ……。きっと、とっておきの機会にと、大切にしまっているんだな」
ここで三人の目線がバッと合って、全員コクリと頷いた。
「誰が選ばれても文句はなしだ」
「あ…当たり前だ。そんな…下着くらいで…驚かねーし」
「お前達、忘れていないか? もう一人いることを……」
ベルトランの言葉に、全員の視線が入り口に集中すると、ゲートでフラリとこちらに寄ったのか、白銀の髪をなびかせて天使のような微笑みを浮かべた男が立っていた。
後ろに伸びた影が悪魔の羽のように見えるのは気のせいだろうか。
「ま…まさか……そんな……」
ヨハネスの全て知っているかのような雰囲気に、エドワードが悲鳴のような声を上げた。
「楽しそうなところ悪いですが……、それなら外に干してありましたよ」
のほほんとした余裕の顔で、ヨハネスは洗濯場の方を指差していた。
「と…ということは……もう使用済み」
「ここにいる三人が知らないとなると……」
エドワードがそんなぁと言いながら床に崩れて伸びた。
「私は虫が嫌いでしたが、蝶は好きになりました」
優雅に微笑みながら手を振って、ヨハネスは意味深な発言をした後、歩いて行ってしまった。
エドワードは放心状態だし、ベルトランは無言でカップを持つ手が震えていた。
それを見て一番大人なのは自分かもしれないと思いながらため息をついた。
「あのさ、買ってプレゼントすればよくね?」
一瞬の沈黙の後、エドワードがそれだ! と叫んだ。
「よし! これからみんなで行こう!」
「は!? 何で…俺は夕方から夜勤が……しかも何で野郎同士で……」
「行くか……」
「ええ!? ベルトランまで!?」
ありえないと思っていたベルトランが乗ってしまった。一匹狼に見えて、実はノリのいいタイプだと最近知ったが、今は止めるところだろうと唖然とした。
「実はさ、ベルトランはファッションについての造詣が深いんだ」
「いい機会だ。ランスロットにも、教えてやろう。さっき、下着くらいで、と言っただろう……」
突然人が変わったように喋り出すベルトランと、エドワードに肩を組まれながら、夜勤前に町へ連れて行かれることになってしまった。
「あーもー!休ませてくれーーー!」
おかげで任務中居眠りして上官に怒られるハメになった。
※※※
実際はアリサは普段使いしていただけ、というオチです。
まぎらわしいことするなと、男性陣からツッコミが入りそうですね(笑)
応援ありがとうございます!
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