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第二章
(8)背中の誘い
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「パーティーですか…? わ…私が!?」
町での誕生日パーティーとは規模が違う。貴族の屋敷でのパーティーと聞いて固まってしまった。前の世界でそんなものには縁がなく、この世界でもまた同じだと思っていたのに、急な話で驚いてしまった。
目を丸くしていると、ヨハネスはそんな大したものではないですからと言って笑った。
「たっ……大したものではって……、領主様のお屋敷に招待された…と言うことですよね?」
「ええ、どうやら転移者に対して帝国の扱いが変わったという話を耳にしたのでしょう。早速取り入ろうという腹積りでしょうね。無視してもいいのですが。この地域の管轄者なのでうるさくなると色々と面倒だなと思いまして……」
神殿で抑制具の作成に追われていたら、久々に本神殿に戻ってきたヨハネスに呼ばれ、会いにいくといきなりこの話題を振られた。
「え……ええ。それは…もちろん、ここの領主様でしたらご挨拶をしなくてはいけないので、私は構いません」
「良い返事がいただけて嬉しいです。本来なら私がエスコートしたいところなのですが……」
「とんでもないです!! 聖下、そんなことになったら大騒ぎになるのでお止めください!」
侍従のランドが真っ青になって慌てて話に口を挟んできた。神殿の最高職であるヨハネスは滅多に姿を見せないことで知られている。
本人は別にそんなつもりはないと言うが、フラリとパーティーに出るなんてことになったら、周りは大騒ぎで大変なことになるのは目に見えていた。
「聖下、その名誉は私が務めさせていただきます」
後ろからかけられた声に振り返ると、部屋の入り口にエドワードが立っていた。
しばらく首都に帰っていたので、会うのは久しぶりだった。
神殿騎士団の青を基調とした騎士服に身を包んでいて、目が覚めるような美貌にますます色気が増していたように思えて、胸がドキッと弾んでしまった。
「立ち聞きして申し訳ございません。先ほど戻りましたのでご挨拶に伺いましたが、こういった催しは私が適任かと……」
「ご苦労様。そうですね、ランスロットは社交会には慣れていないし、エドワードが適任ですね。それにしても悔しい、私もアリサのドレス姿が見たかったです」
「そ…そんな、それこそ大したものでは……」
私が困っていたら、ヨハネスはぷっと噴き出して大笑いした。
ランドがゴホンと咳払いして、やっと元のヨハネスに戻ったが、今度は一転、真剣な顔つきになった。
「実は注意していただきたいことがありまして、このクロンダイク地方の領主であるローヤル公は、隣国エルジョーカーと仲が良すぎるという噂があります。密接な関係というやつですね。情報を流しているとの噂も…、彼の妻はエルジョーカーの出身ですから繋がりもあります」
「エルジョーカーが聖女を狙っている、という話ですよね」
「ええ、アリサを通じて何か情報を得ようとしている可能性があります。御神託については内密にしていただき、候補者についての話はなるべく避けるようにしてください」
このところ平和でここの暮らしに慣れてきたところだったので、エルジョーカーの件が頭の中ですっかり薄くなっていた。
最近は目立った動きがないと聞いていたが、もしかしたら水面下で何か動いていたのかもしれない。
分かりましたと頷いたが心はパニックだった。ただ慣れないパーティーに参加するだけでなく、そんなおまけが付いてしまい、私の緊張は一気に高まった。
ゲートで屋敷に戻ってもそわそわと動き回る私に、エドワードがお茶を勧めてくれてやっと椅子に座って落ち着くことができた。
「パーティー!? ったく、あのジジィは金遣いが荒いし派手好きだから何かあるだろうと思ったがついに来たな」
私が戻ったことを知って、ランスロットもお茶に参加してきたが、パーティーの招待について話すと呆れたような声を出した。
「ローヤル公は狸みたいなジジィだ。簡単に人を裏切ると知られているし、自分の利益になりそうなところにすぐに飛びつく。爵位は高いし金を持っているからみんな従っているが、心では関わりたくないと嫌われている」
「特にミゼルカ夫人は悪妻で有名だよ。裏で糸を引いているのは全部彼女だと言われている。誰が招待されているのか、要注意リストを作って当日に備えるつもりだ」
ランスロットに続いて、エドワードも詳しく話してくれたが、聞けば聞くほどどう立ち回ったらいいかさっぱり分からない。
「アリサ、心配しないで、俺が付いているから」
私があまりにも青い顔をしているからか、エドワードが手を掴んできて、甲にそっと口づけされた。
優しい眼差しに緊張が少し解かれた気がした。
ゆっくりお茶を飲んでいたが、ランスロットはもう出なければいけない時間になったらしく、バタバタと準備を始めた。
ランスロットはエドワードと交代で、神殿騎士団の仕事で聖下の聖地巡礼の警備に出ることになっていた。
「おい! 言っておくが、俺のアリサに怪我でもさせたら許さないからな!」
「は? お前のではないし、言われなくともそのつもりだ」
相変わらず仲が良いのか悪いのか分からない二人のやり取りを見ながら私はクスリと笑ってしまった。
「大丈夫だよ。多少の怪我ならすぐに治っちゃうから」
「アリサ、そういうことではなくてね……」
「背中の傷もすぐ治ったし……」
「背中……?」
ポロリと自分でこぼしておきながら、これは言ったらまずかったと慌てて口を閉じた。
ランスロットは気まずそうな顔になって、俺は行くからよろしくとさっさと出て行ってしまった。
「どういうことかな、アリサ。いい子だからちゃんと教えてくれるかな?」
「な…何でもないの、ちょっとした、言葉のあやと言うか、大したものでは……」
「大したものかは、俺が決めようかな。ランスロットは警護にしくじったのか? まさか、町で暴漢に襲われて背中を傷つけてられたとか……」
「ぼっ…暴漢なんて……!! ちっ違うの……ええと……吸血の痕のことで……」
それ以上突っ込まれたくなくて、ここまで言えば察してくれるだろうと思ったが、エドワードは椅子を寄せて私のすぐ側まで来てしまった。
「ふーん、ランスロットに吸血させたんだ」
「え……う…うん」
エドワードはムッとした顔をしながら、私の頭を撫でたり、指でくるくるさせたりして弄り始めた。
「悔しいな……、首都に戻らなければよかった」
「えっ……ちょっ………」
今日着ていたワンピースはちょうど背中でリボンで結んで開閉するタイプだった。
そのリボンをエドワードは、シュルシュルと解いてしまった。
「ちゃんとチェックしないと。傷が残っていたら、治療しないといけないからね」
「わっ…て…ま…待って、もう…大丈夫」
「背中ははっきり見えないだろう。俺が見てあげるから…ほら全部取れた。アリサは全部落ちないように前をしっかり持って」
「本当に…もう、何も……うぅ…いっ…あぁ…!」
エドワードは私の背中に手を添えて、上からゆっくりと指で肌をなぞっていく。くすぐったさとゾクゾクとする痺れが起こって私は変な声を上げてしまった。
「あっ…これは!?」
「ええ!? …な…何が?」
何をされているのかよく見えなくて、ドキドキしてしまう。何かを発見したらしいエドワードはその部分をペロリと舐めた。
「ほくろがあったよ」
「も…もう! そんなの…誰にでも」
「いや、誰にでもはない。こんなに可愛いのはアリサのだけだ」
ゆっくりと背中を撫でられながら、ほくろをペロペロと舐められているような状態だ。
そのうちほくろだけではなく、お尻の上から舌を這わせて背中全体を確認するようにキスを落とされて私はビクビクと揺れてしまたま。
「綺麗だ…、まるで真っ白なシルクのように…滑らかで柔らかい……」
「っっ…くすぐた…い! んんっ…! もう分かったでしょ…何も……」
「背中に吸血するなんて……、背中の空いたドレスを着ることになったらどうするつもりだったんだ…。何も考えていないな…」
「んっ……ぁぁ……」
「アリサは知らないと思うけど、吸血の痕は自分のものだって証なんだ。見るたびに愛おしい気持ちになる。けれど、それを見た他の男は……嫉妬するんだ。自分も食べたいってさ……よけいに美味しく見えてしまう。俺だってそうだ。ここに……ランスロットの痕が付いていたと想像するだけで…腹から怒りが湧いてくるよ……」
頭の中が溶けていき、エドワードでいっぱいになりそうだったが、わずかに残った部分に私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
あれはミルの声だ。ゲートを使ってたまにこちらの手伝いに来てくれている。
「残念…。邪魔が入りそうだ。次は俺の番だよ。痕が付けられた場所も、まだ誰にも付けられてない場所にも…全部付けるから」
覚悟しておいてと耳元で囁かれた。下腹部に溜まった熱がトロリと溶けて流れ落ちたのを感じた。
「アリサ様! あっ! いたいたこんな所にいらしたんですね。 ドレス用の採寸に来ましたよ」
前は手で押さえていたが、このままだとエドワードに開けられた後ろがはだけたままだと私は慌てた。
急いで直そうと手で合わせようとしたが、ばっくり下まで開いていたはずの背中は綺麗に閉じられていてリボンも綺麗に結ばれていた。
「……どうしました? お顔、真っ赤ですけど」
「な…何でもない! 今日は暑くて……」
ミルに指摘されてよけいに熱くなって顔を手で覆った。開いた指の間からチラリとエドワードを見たらクスクスと笑っている姿が見えて指の間から睨んだ。
「練習した甲斐があった」
エドワードは笑いながらよく分からないことを言ったので、ミルはポカンとしているし、私も意味は分からなかったけど、この状況がもっと恥ずかしくなって顔を伏せた。
初めての社交会に訳ありの主催者、頼りになるはずのエドワードが翻弄してくるので、パーティーは上手くいくのだろうかと、心配が増えてしまった。
□□□
町での誕生日パーティーとは規模が違う。貴族の屋敷でのパーティーと聞いて固まってしまった。前の世界でそんなものには縁がなく、この世界でもまた同じだと思っていたのに、急な話で驚いてしまった。
目を丸くしていると、ヨハネスはそんな大したものではないですからと言って笑った。
「たっ……大したものではって……、領主様のお屋敷に招待された…と言うことですよね?」
「ええ、どうやら転移者に対して帝国の扱いが変わったという話を耳にしたのでしょう。早速取り入ろうという腹積りでしょうね。無視してもいいのですが。この地域の管轄者なのでうるさくなると色々と面倒だなと思いまして……」
神殿で抑制具の作成に追われていたら、久々に本神殿に戻ってきたヨハネスに呼ばれ、会いにいくといきなりこの話題を振られた。
「え……ええ。それは…もちろん、ここの領主様でしたらご挨拶をしなくてはいけないので、私は構いません」
「良い返事がいただけて嬉しいです。本来なら私がエスコートしたいところなのですが……」
「とんでもないです!! 聖下、そんなことになったら大騒ぎになるのでお止めください!」
侍従のランドが真っ青になって慌てて話に口を挟んできた。神殿の最高職であるヨハネスは滅多に姿を見せないことで知られている。
本人は別にそんなつもりはないと言うが、フラリとパーティーに出るなんてことになったら、周りは大騒ぎで大変なことになるのは目に見えていた。
「聖下、その名誉は私が務めさせていただきます」
後ろからかけられた声に振り返ると、部屋の入り口にエドワードが立っていた。
しばらく首都に帰っていたので、会うのは久しぶりだった。
神殿騎士団の青を基調とした騎士服に身を包んでいて、目が覚めるような美貌にますます色気が増していたように思えて、胸がドキッと弾んでしまった。
「立ち聞きして申し訳ございません。先ほど戻りましたのでご挨拶に伺いましたが、こういった催しは私が適任かと……」
「ご苦労様。そうですね、ランスロットは社交会には慣れていないし、エドワードが適任ですね。それにしても悔しい、私もアリサのドレス姿が見たかったです」
「そ…そんな、それこそ大したものでは……」
私が困っていたら、ヨハネスはぷっと噴き出して大笑いした。
ランドがゴホンと咳払いして、やっと元のヨハネスに戻ったが、今度は一転、真剣な顔つきになった。
「実は注意していただきたいことがありまして、このクロンダイク地方の領主であるローヤル公は、隣国エルジョーカーと仲が良すぎるという噂があります。密接な関係というやつですね。情報を流しているとの噂も…、彼の妻はエルジョーカーの出身ですから繋がりもあります」
「エルジョーカーが聖女を狙っている、という話ですよね」
「ええ、アリサを通じて何か情報を得ようとしている可能性があります。御神託については内密にしていただき、候補者についての話はなるべく避けるようにしてください」
このところ平和でここの暮らしに慣れてきたところだったので、エルジョーカーの件が頭の中ですっかり薄くなっていた。
最近は目立った動きがないと聞いていたが、もしかしたら水面下で何か動いていたのかもしれない。
分かりましたと頷いたが心はパニックだった。ただ慣れないパーティーに参加するだけでなく、そんなおまけが付いてしまい、私の緊張は一気に高まった。
ゲートで屋敷に戻ってもそわそわと動き回る私に、エドワードがお茶を勧めてくれてやっと椅子に座って落ち着くことができた。
「パーティー!? ったく、あのジジィは金遣いが荒いし派手好きだから何かあるだろうと思ったがついに来たな」
私が戻ったことを知って、ランスロットもお茶に参加してきたが、パーティーの招待について話すと呆れたような声を出した。
「ローヤル公は狸みたいなジジィだ。簡単に人を裏切ると知られているし、自分の利益になりそうなところにすぐに飛びつく。爵位は高いし金を持っているからみんな従っているが、心では関わりたくないと嫌われている」
「特にミゼルカ夫人は悪妻で有名だよ。裏で糸を引いているのは全部彼女だと言われている。誰が招待されているのか、要注意リストを作って当日に備えるつもりだ」
ランスロットに続いて、エドワードも詳しく話してくれたが、聞けば聞くほどどう立ち回ったらいいかさっぱり分からない。
「アリサ、心配しないで、俺が付いているから」
私があまりにも青い顔をしているからか、エドワードが手を掴んできて、甲にそっと口づけされた。
優しい眼差しに緊張が少し解かれた気がした。
ゆっくりお茶を飲んでいたが、ランスロットはもう出なければいけない時間になったらしく、バタバタと準備を始めた。
ランスロットはエドワードと交代で、神殿騎士団の仕事で聖下の聖地巡礼の警備に出ることになっていた。
「おい! 言っておくが、俺のアリサに怪我でもさせたら許さないからな!」
「は? お前のではないし、言われなくともそのつもりだ」
相変わらず仲が良いのか悪いのか分からない二人のやり取りを見ながら私はクスリと笑ってしまった。
「大丈夫だよ。多少の怪我ならすぐに治っちゃうから」
「アリサ、そういうことではなくてね……」
「背中の傷もすぐ治ったし……」
「背中……?」
ポロリと自分でこぼしておきながら、これは言ったらまずかったと慌てて口を閉じた。
ランスロットは気まずそうな顔になって、俺は行くからよろしくとさっさと出て行ってしまった。
「どういうことかな、アリサ。いい子だからちゃんと教えてくれるかな?」
「な…何でもないの、ちょっとした、言葉のあやと言うか、大したものでは……」
「大したものかは、俺が決めようかな。ランスロットは警護にしくじったのか? まさか、町で暴漢に襲われて背中を傷つけてられたとか……」
「ぼっ…暴漢なんて……!! ちっ違うの……ええと……吸血の痕のことで……」
それ以上突っ込まれたくなくて、ここまで言えば察してくれるだろうと思ったが、エドワードは椅子を寄せて私のすぐ側まで来てしまった。
「ふーん、ランスロットに吸血させたんだ」
「え……う…うん」
エドワードはムッとした顔をしながら、私の頭を撫でたり、指でくるくるさせたりして弄り始めた。
「悔しいな……、首都に戻らなければよかった」
「えっ……ちょっ………」
今日着ていたワンピースはちょうど背中でリボンで結んで開閉するタイプだった。
そのリボンをエドワードは、シュルシュルと解いてしまった。
「ちゃんとチェックしないと。傷が残っていたら、治療しないといけないからね」
「わっ…て…ま…待って、もう…大丈夫」
「背中ははっきり見えないだろう。俺が見てあげるから…ほら全部取れた。アリサは全部落ちないように前をしっかり持って」
「本当に…もう、何も……うぅ…いっ…あぁ…!」
エドワードは私の背中に手を添えて、上からゆっくりと指で肌をなぞっていく。くすぐったさとゾクゾクとする痺れが起こって私は変な声を上げてしまった。
「あっ…これは!?」
「ええ!? …な…何が?」
何をされているのかよく見えなくて、ドキドキしてしまう。何かを発見したらしいエドワードはその部分をペロリと舐めた。
「ほくろがあったよ」
「も…もう! そんなの…誰にでも」
「いや、誰にでもはない。こんなに可愛いのはアリサのだけだ」
ゆっくりと背中を撫でられながら、ほくろをペロペロと舐められているような状態だ。
そのうちほくろだけではなく、お尻の上から舌を這わせて背中全体を確認するようにキスを落とされて私はビクビクと揺れてしまたま。
「綺麗だ…、まるで真っ白なシルクのように…滑らかで柔らかい……」
「っっ…くすぐた…い! んんっ…! もう分かったでしょ…何も……」
「背中に吸血するなんて……、背中の空いたドレスを着ることになったらどうするつもりだったんだ…。何も考えていないな…」
「んっ……ぁぁ……」
「アリサは知らないと思うけど、吸血の痕は自分のものだって証なんだ。見るたびに愛おしい気持ちになる。けれど、それを見た他の男は……嫉妬するんだ。自分も食べたいってさ……よけいに美味しく見えてしまう。俺だってそうだ。ここに……ランスロットの痕が付いていたと想像するだけで…腹から怒りが湧いてくるよ……」
頭の中が溶けていき、エドワードでいっぱいになりそうだったが、わずかに残った部分に私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
あれはミルの声だ。ゲートを使ってたまにこちらの手伝いに来てくれている。
「残念…。邪魔が入りそうだ。次は俺の番だよ。痕が付けられた場所も、まだ誰にも付けられてない場所にも…全部付けるから」
覚悟しておいてと耳元で囁かれた。下腹部に溜まった熱がトロリと溶けて流れ落ちたのを感じた。
「アリサ様! あっ! いたいたこんな所にいらしたんですね。 ドレス用の採寸に来ましたよ」
前は手で押さえていたが、このままだとエドワードに開けられた後ろがはだけたままだと私は慌てた。
急いで直そうと手で合わせようとしたが、ばっくり下まで開いていたはずの背中は綺麗に閉じられていてリボンも綺麗に結ばれていた。
「……どうしました? お顔、真っ赤ですけど」
「な…何でもない! 今日は暑くて……」
ミルに指摘されてよけいに熱くなって顔を手で覆った。開いた指の間からチラリとエドワードを見たらクスクスと笑っている姿が見えて指の間から睨んだ。
「練習した甲斐があった」
エドワードは笑いながらよく分からないことを言ったので、ミルはポカンとしているし、私も意味は分からなかったけど、この状況がもっと恥ずかしくなって顔を伏せた。
初めての社交会に訳ありの主催者、頼りになるはずのエドワードが翻弄してくるので、パーティーは上手くいくのだろうかと、心配が増えてしまった。
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