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第二章

(4)壁際の悪戯

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「それで、ランスロットとはどこまでいったの?」

「どこまでって…その……べっ…べつに…」

「アリサって可愛い…。いつもこういう話すると真っ赤になるんだから」

「うわぁ…どこ触って…!!」

「ほら、できたよ」

 パチンと留め具をはめる音がして、どうやら完成したらしい。気のせいかやけに胸の周辺だけ時間がかかって触りまくられた気がするが、女同士だし私の気にし過ぎだろう。

「これ…。えええっ…やっぱり…恥ずかしい……」

 鏡の前に立って自分の姿を改めて見せられたら、ものすごい格好に頭がクラりとした。

 同じ格好をすると言われたが、さすがに豊満なお色気ボディーのラミーと同じ服は、私の貧相な体型で着こなせるはずがない。
 似たような仕様で同じ光沢のある素材で作られたちょっと大人しめのドレスが用意されていた。
 胸はある程度隠れているが、お腹は出ているし、一番の問題は私の場合ミニスカートだった。
 いつの間にかサイズまで測られていたことに驚きだった。
 この前、女子だらけのパジャマパーティーと称してお泊まりした時のことだろうか。

「ああいう奥手なタイプの男は、積極的に攻めた方がいいのよ。物陰に連れ込んで、アソコを擦ってあげたらもうイチコロね」

「い…いいよ…。そんな…!」

 二歳も年下のラミーだが、仲良くなってからぐいぐい好きな人はいないのかと聞かれて、今では大人の恋愛指南にまで発展している。
 なぜこんなにラミーが積極的かといえば、彼女の中で私がランスロットを好きだという設定になっているらしい。
 私達は仕事の関係だと言っているが、照れてるとか恥ずかしがってと言われて、全然本気に取ってもらえない。

 ラミーは世話好きの性格なのだろう。しかも、すでに既婚者であるので、どうにもドンくさい私が気になって助けてあげたいと思われているのかもしれない。

「アリサは田舎の村出身だから、町のことは分からないって言ってたけど、お祭りとかお祝い事でこれくらいの露出は普通なのよ。みんな慣れてるし、裸で出て行ってもべつにって感じよ」

「嘘でしょ!? ほほほ本気で言ってるの!?」

「本気よ。ランスロットだってこのくらいじゃ大して驚かないわよ」

 ラミーの言うことが信じられない。揶揄うのが好きな子だし、私が動転して慌てているのを見て、ケラケラ笑うタイプだ。
 だけどもしこれが誕生日パーティーで普通のことならば、一人で恥ずかしがっている私は逆に笑われるかもしれない。
 文化の違いというやつなのか、その辺りの加減がいまだに掴めていない。
 もやもやと考えていたら、ラミーはさっさ行ってしまったので、仕方なく私も移動することにした。




 昼前から始まった飲めや歌えやの楽しい会も、もう夕刻を過ぎようとしている。
 ついに、主役のダンスが始まるというところで、みんな酒瓶片手に盛り上がっていた。

 カウンター前の特設スペースに、ラミーの旦那さんがすでに待機していて、ラミーが入ってきたら二人で踊り出すのだと聞いていた。
 私は階段の角に座ってその様子を眺めていた。
 いつでも好きな時に降りてきてと言われてたが、準備だけで疲れてしまいぼんやりとその様子見ていた。

 セクシーなドレスで登場したラミーを旦那さんは嬉しそうに抱き上げて、みんなの手拍子と歌がはじまり、やけに色っぽいダンスが披露された。
 大胆に開いた胸と、時々足元からチラリと中が見えそうになるので、集まった男連中が嬉しそうな声を上げて大騒ぎしていた。

 大盛り上がりの声と、楽しそうに歌う声が何だか心地よく感じてきた。自分より若いカップルの仲睦まじい様子に、見ているだけで幸せな気持ちになっていた。
 ふと、自分は前の世界に戻ったらどうするのだろうかと考えが浮かんだ。
 もちろん家族に会いたいが、いつしかラミー夫婦のように、愛し合って幸せな家庭を築くことができるのか。
 その相手を想像した時、胸がツキンと痛んだ。
 私を大切にしてくれる人達がいるのに、前の世界に戻って、別の誰かとそんな関係が築けるのだろうか……。

「アリサ…」

 ランスロットの声が聞こえてきて、ぎしぎしと階段を踏みしめる音が聞こえてきた。
 さすがに降りてくるのが遅いから心配になったのだろう。

「ああ、アリサそこに…、遅いから心配に………」

 階段に座る私を見つけて声をかけてきたので、私は大丈夫だとサっと立ち上がった。

「ごめん! ラミーと着替えていて遅くなっちゃって、ちょっと座って休んでいたんだ。今下に降りるから……」

 ランスロットは大きな目を開けて、時間が止まったように固まっていた。
 どうしたのだろうと下に行くついでにランスロットの横まで降りて行ったら、がっと強い力で腕を掴まれてしまった。

「……そんな格好で……どこへ行くつもりだ」

 ランスロットの低い声がいつもよりもっと低音で、お腹に響くように聞こえてきた。

「え……下に行こうかと。ラミーが…好きなときに降りて…きてって……」

 次の瞬間、ランスロットが私を押してきて、階段の壁に押しつけられるような格好になった。

「………か」

「ちょっ…なに?」

「……こんな、格好で……誰かに食べられたいのかって…聞いてるんだ!」

「!!」

 ランスロットの瞳は青い炎が宿ったように燃えていて、息が荒くなっている口元にはキラリと光る牙が見えてしまった。
 まさか、いきなり牙が出ているなんて驚きで私は動けなくなってしまった。

 ミニスカートなので開いた足の間にランスロットの足が入り込んできて、太ももに硬くなった欲望を擦り付けられた。それがどういうことが分かって私はハッとして顔を上げた。

「え……と、これは…その、ラミーに着せてもらって……この世界の女子はみんな普通に着るからって……」

 ランスロットもこの程度じゃ驚かないなんて言われていたハズなのに、どう考えても驚くを通り過ぎてブチギレているような気がする。私が慌てて言い訳に徹していると、ランスロットは堪えるような声を上げた。

「……クソ! んなわけないだろっ……。あぁ血が沸騰しそうだ。こんなに足を出して……。アリサが食べたくて……たまらない……」

 だから言ったじゃん!! と大声で叫びたいくらいだったが、声を聞いた誰かが来てしまい、ランスロットが必死に堪えている状態で放り出すのは、何だか可哀想な気がしてしまった。
 この手のことは、ヨハネスとベルトランに翻弄されるように経験してしまったので、それなりに知識は増えた。
 しかし、自分から積極的に動くなんてなかったので恥ずかしくて体が震えてきた。
 でも、辛そうに堪えるランスロットを見たら放っておけなくて、先ほどラミーから教えてもらったことを思い出して、私はおずおずと手を伸ばした。

「……!! …ア…アリサ!?」

「んっ…………」

 ランスロットの硬くなったそこに手を這わせて、布越しに擦り出した。
 ランスロットはビクリと体を揺らして、驚いた声を上げたが、構わずゴシゴシと擦ってみると、ランスロットの口から気持ちよさそうな息が漏れてきたのが分かった。

 自分のしたことで、ランスロットが感じてくれていると思うと、私のやる気に火がついた。
 直接その欲望に触れてみたくなった。ランスロットのズボンに手をかけて、下着の中に手を入れてお腹に付くくらい反り返って大きくなった欲望を取り出した。

「ア…リ……んっくっ」

 今しかないとランスロットの唇に自分の唇を重ねた。
 旅の途中で、敵から隠れながら二人でキスをしたことを思い出した。
 あの時は魔力過多で頭が熱くなっていて、無我夢中で訳が分からなかった。
 今だって胸は熱くなって張り裂けそうなくらい揺れている。
 ランスロットに触れたいと、もっと触れたいと思ってしまった。
 そんな気持ちを込めて舌を絡ませたら、抑えていたようなランスロットも私の動きに応えてくれるようになった。

 お腹の奥に溜まった熱いものが吸い出されていくのを感じる。きっとランスロットが私の黒魔力を吸収しているのだ。
 黒魔力を吸うと気持ちよくてたまらないと聞いたのを思い出した。
 うっすら目を開けて見たら、気持ちよさそうに夢中で私に口付けているランスロットの顔が見えた。
 トクンと心臓が甘く跳ねて、何かが込み上げてきた。
 もっと気持ち良くなって欲しい。
 自分の中に今までにない気持ちが芽生えてきて、それは胸をきゅんきゅんと熱くさせた。

 再びランスロットの欲望を手で擦り出すと、ランスロットはたまらなそうに熱い息を漏らした。
 先走りでとろけたものが鈴口から溢れ出して、ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てていた。

「だ…だめだ……、アリサ……放せ、もう……だめだ!」

 ランスロットが、慌て出したが私は手を止めなかった。
 何となく強弱をつけて煽るように擦り、ぎゅっと強く握ったら、ランスロットは詰めた声を出して、膨れ上がった欲望がびくびくと白濁を撒き散らして弾けた。

 私のお腹や太ももを、飛び散った精がたっぷりと濡らして、太ももから流れてぽたぽたと床にこぼれ落ちていくのが見えた。

「あ………」

 何と言ったらいいか口を開きかけたところで、わぁぁぁーっと言う歓声が響いて、パチパチと拍手の音が鳴り響いた。
 ちょうど主役のダンスが終わってみんながおめでとうと言って盛り上がっているところだった。

 ハッと冷静になった私は、こんなところで自分が何をしていたのか急に現実に引き戻されて慌て出した。
 調子に乗って触れたくなって、ランスロットを襲ってしまった。
 怒っているだろうと、恐る恐るランスロットの顔を見ようとしたら、ぐわっと腰を掴まれて担ぎ上げられてしまった。

「わっ…ランスロット、ちょっ……」

「俺に火をつけたな、アリサ」

「えっ……だっ……て……あの……」

「逃がさない…、もう嫌だって言っても、逃がさないから」

 私を担いだままランスロットは空いていた客室のドアを開けて中へズンズンと中へ入って行った。
 パタンとドアが閉まる音がやけに大きく聞こえて耳に響いた。





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