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第一章
⑰秘密は蜜の味
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渡り廊下でジェイド・クラフトに出会って、慌てて戻ってきたリリアンヌは汗だくで呼吸も乱れていた。
ローリエにお茶を勧められ、一杯飲み干してから、やっと落ち着いて話が出来るようになった。
「大丈夫なの?何があったの?」
ローリエはハンカチでリリアンヌの額の汗を拭ってあげた。
「それが…、会っちゃったのよ。ジェイド・クラフトに」
「あら、どちらで」
「職員室の帰り、間違えて、奥の校舎の方に行ってしまって、そしたら、いきなり名前を呼ばれて…」
「まぁ…」
「向こうがすごく失礼な態度で、私にアレとかソレとか言ってきて、ムカついたから睨み付けて誰なのか聞いたら、ジェイド王子だった」
半泣きで訴えるリリアンヌの頭を撫でながら、ローリエはため息をついた。
「アレとかソレの意味が分かりませんけど、ジェイド王子はリリアンヌの事を知っていたのですね」
「そう、知ってたの。他国の王子に失礼過ぎる態度をしてしまったわ。フェルナンドに何か迷惑がかからないかしら」
「大丈夫よ。フェルナンド様はそういうの上手くやるわ」
心配で震えるリリアンヌを、ローリエはそっと抱きしめた。
「杞憂であればいいのだけど、何かある気がするわ。次に殿下に会うときは、一応報告しておいたほうが良いわよ」
「ええ、分かった」
その日はフェルナンドが校舎の点検があり、放課後の約束はなかった。
リリアンヌが帰り支度をしていると、エリーナに声をかけられた。
ローリエと一緒に来てほしいと言われたので、着いていくと、王族サロンと呼ばれる個人専用の談話室へ連れてこられた。
「ここで、アルフレッド様がお待ちです」
エリーナがそう言って、ノックをして部屋に入った。中にはアルフレッド王子と、ルカリオ王子がいた。
「おー!リリアンヌにローリエ、急に呼び立てて悪かったな」
「どうされたのですか、サロンまで予約されて」
王族サロンは、王族限定で、普通の貴族は簡単に入ることは出来ない。事前に申請が必要となる。手続きが面倒なので、普段わざわざここを使う人は少ない。
まずは、俺からとアルフレッドが前に出た。
「ここに集まってもらったのは、他でもない。今、学園を二分するように新しい勢力が力をつけている。今は生徒会が力を持って学園を取り仕切っているが、そいつらは独自のルールを作って勝手に生徒を取り締まったりしているんだ。各国の王族や貴族が集うこの場所で、争い事はご法度。生徒会も衝突を避けて動きにくい。そこで、サファイアの王子である俺が、調査に乗り出したんだ」
続いてルカリオが前に出た。
「向こうの勢力のトップは、ジェイド・クラフト、一学年の頃から、成績は非常に優秀。人の心を操るのが上手くて、冷徹で狡猾な男だ。王族同士幼い頃から交流があるが、正直言ってアルフレッドとは、犬猿の仲というか、水と油というか、非常に仲がよろしくない。それで、私も公平さを保つために駆り出されたわけです」
やはり、というか、ジェイドに注意するように言われていたのは、生徒会との確執があったのだとリリアンヌは理解した。
「その、ジェイド様は具体的にはどのような事をされているんでしょうか」
ローリエが優雅に髪をかきあげながら、アルフレッドに向かって言った。
「ジェイドは自分を学園の王と支持するように仕向け、従わないものに罰を与えている。最初は軽いからかい程度であったが、今はどんどんエスカレートして怪我人も出ている」
ルカリオは眉間にシワを寄せて、腕を組みながら難しい顔で答えた。
「アイツは昔からそうだ。自分の嫌いなやつや、気に入らないやつは徹底的に排除して。今だって、本気で王様やっているのか知らないけれど、絶対面白がって楽しんでいるに違いない」
アルフレッドは、苦虫を噛み潰したような顔をして、拳に力を入れていた。
「それで君たちを呼んだのは、エリーナを守ってもらいたいんだ。エリザベスだけだと、無理があるからな。エリーナを手中に収めて、俺を痛め付けたいのかもしれない。すでに何度かヤツの信者から接触があった。なるべく一人にさせないように注意を払ってもらえないだろうか」
アルフレッドがエリーナの肩を抱き寄せた。エリーナは不安そうな顔で下を向いていた。
「分かりました。実は私も今日偶然ジェイド様と会って少し話もしました。僅かの時間でしたが、確かにあまり、良い印象を持つような方ではないですね」
「なっ、ジェイドと直接会ったのか!?アイツは滅多に表に出てこないのに…!!」
リリアンヌの言葉に、アルフレッドとルカリオが同時に驚いた。
「あーえーと、それは本当に偶然でして……」
「向こうは、リリアンヌの名前も知っていたわ。こちらの動向も探られているのではないですか」
動揺するリリアンヌを、ローリエがフォローしてくれた。
「その可能性は高い。向こうもこちらの出方を知ろうとするはずだからな。見慣れない者や、不審な誘いには気を付けてほしい」
当面はエリーナの保護につとめて、周囲を警戒すること確認して一同は解散した。
□□□
リリアンヌは、ジェイドという名前と、アルフレッドと不仲だという事、学園の支配を企んでいること、これらの情報をまとめると、ある可能性にたどり着いていた。
(ジェイドはシークレットかもしれない)
乙女ゲーム、王子様とlove&peaceの中には、通常の攻略対象者の他に、シークレットの攻略対象が存在した。
人気が出て、新たに追加される事になったのだ。
特定のルートで条件を満たせば分岐して、ある日、主人公に学園の真の王から手紙が届く。
それは、シークレットからの誘いで、それに乗ると、シークレットルートが開く。
しかし実際、蘭はプレイしていない。まだ、大まかな概要しか公開されておらず、透哉が生きていたときは、追加される予定の段階だった。
蘭は非常に楽しみにしており、ファンサイトや、スタッフのSNSに張り付いて、情報を集めていた。
それが、リリアンヌが考えに至った情報と酷似している。ただ、ジェイドの名前は記憶が定かではない。分かるのは蘭がそんな名を言っていた気がするというところまでだ。
(せめて、どんなやつとか、何が起こるとか、それだけでも分かっていれば対策がとれるのに)
すでに透哉の知るゲームの流れとは離れてしまったということか。
(とにかく、エリーナが何かされたりするのを守らないと。まぁこういうのは、だいたい、主人公を誘拐して、アルフレッドが助け出すみたいな展開になるだろう)
命に関わるような危険なフラグが立つような事は避けたいし、平和な学園を維持できるように、頑張ろうとリリアンヌは奮起したのだった。
□□□
ローリエにお茶を勧められ、一杯飲み干してから、やっと落ち着いて話が出来るようになった。
「大丈夫なの?何があったの?」
ローリエはハンカチでリリアンヌの額の汗を拭ってあげた。
「それが…、会っちゃったのよ。ジェイド・クラフトに」
「あら、どちらで」
「職員室の帰り、間違えて、奥の校舎の方に行ってしまって、そしたら、いきなり名前を呼ばれて…」
「まぁ…」
「向こうがすごく失礼な態度で、私にアレとかソレとか言ってきて、ムカついたから睨み付けて誰なのか聞いたら、ジェイド王子だった」
半泣きで訴えるリリアンヌの頭を撫でながら、ローリエはため息をついた。
「アレとかソレの意味が分かりませんけど、ジェイド王子はリリアンヌの事を知っていたのですね」
「そう、知ってたの。他国の王子に失礼過ぎる態度をしてしまったわ。フェルナンドに何か迷惑がかからないかしら」
「大丈夫よ。フェルナンド様はそういうの上手くやるわ」
心配で震えるリリアンヌを、ローリエはそっと抱きしめた。
「杞憂であればいいのだけど、何かある気がするわ。次に殿下に会うときは、一応報告しておいたほうが良いわよ」
「ええ、分かった」
その日はフェルナンドが校舎の点検があり、放課後の約束はなかった。
リリアンヌが帰り支度をしていると、エリーナに声をかけられた。
ローリエと一緒に来てほしいと言われたので、着いていくと、王族サロンと呼ばれる個人専用の談話室へ連れてこられた。
「ここで、アルフレッド様がお待ちです」
エリーナがそう言って、ノックをして部屋に入った。中にはアルフレッド王子と、ルカリオ王子がいた。
「おー!リリアンヌにローリエ、急に呼び立てて悪かったな」
「どうされたのですか、サロンまで予約されて」
王族サロンは、王族限定で、普通の貴族は簡単に入ることは出来ない。事前に申請が必要となる。手続きが面倒なので、普段わざわざここを使う人は少ない。
まずは、俺からとアルフレッドが前に出た。
「ここに集まってもらったのは、他でもない。今、学園を二分するように新しい勢力が力をつけている。今は生徒会が力を持って学園を取り仕切っているが、そいつらは独自のルールを作って勝手に生徒を取り締まったりしているんだ。各国の王族や貴族が集うこの場所で、争い事はご法度。生徒会も衝突を避けて動きにくい。そこで、サファイアの王子である俺が、調査に乗り出したんだ」
続いてルカリオが前に出た。
「向こうの勢力のトップは、ジェイド・クラフト、一学年の頃から、成績は非常に優秀。人の心を操るのが上手くて、冷徹で狡猾な男だ。王族同士幼い頃から交流があるが、正直言ってアルフレッドとは、犬猿の仲というか、水と油というか、非常に仲がよろしくない。それで、私も公平さを保つために駆り出されたわけです」
やはり、というか、ジェイドに注意するように言われていたのは、生徒会との確執があったのだとリリアンヌは理解した。
「その、ジェイド様は具体的にはどのような事をされているんでしょうか」
ローリエが優雅に髪をかきあげながら、アルフレッドに向かって言った。
「ジェイドは自分を学園の王と支持するように仕向け、従わないものに罰を与えている。最初は軽いからかい程度であったが、今はどんどんエスカレートして怪我人も出ている」
ルカリオは眉間にシワを寄せて、腕を組みながら難しい顔で答えた。
「アイツは昔からそうだ。自分の嫌いなやつや、気に入らないやつは徹底的に排除して。今だって、本気で王様やっているのか知らないけれど、絶対面白がって楽しんでいるに違いない」
アルフレッドは、苦虫を噛み潰したような顔をして、拳に力を入れていた。
「それで君たちを呼んだのは、エリーナを守ってもらいたいんだ。エリザベスだけだと、無理があるからな。エリーナを手中に収めて、俺を痛め付けたいのかもしれない。すでに何度かヤツの信者から接触があった。なるべく一人にさせないように注意を払ってもらえないだろうか」
アルフレッドがエリーナの肩を抱き寄せた。エリーナは不安そうな顔で下を向いていた。
「分かりました。実は私も今日偶然ジェイド様と会って少し話もしました。僅かの時間でしたが、確かにあまり、良い印象を持つような方ではないですね」
「なっ、ジェイドと直接会ったのか!?アイツは滅多に表に出てこないのに…!!」
リリアンヌの言葉に、アルフレッドとルカリオが同時に驚いた。
「あーえーと、それは本当に偶然でして……」
「向こうは、リリアンヌの名前も知っていたわ。こちらの動向も探られているのではないですか」
動揺するリリアンヌを、ローリエがフォローしてくれた。
「その可能性は高い。向こうもこちらの出方を知ろうとするはずだからな。見慣れない者や、不審な誘いには気を付けてほしい」
当面はエリーナの保護につとめて、周囲を警戒すること確認して一同は解散した。
□□□
リリアンヌは、ジェイドという名前と、アルフレッドと不仲だという事、学園の支配を企んでいること、これらの情報をまとめると、ある可能性にたどり着いていた。
(ジェイドはシークレットかもしれない)
乙女ゲーム、王子様とlove&peaceの中には、通常の攻略対象者の他に、シークレットの攻略対象が存在した。
人気が出て、新たに追加される事になったのだ。
特定のルートで条件を満たせば分岐して、ある日、主人公に学園の真の王から手紙が届く。
それは、シークレットからの誘いで、それに乗ると、シークレットルートが開く。
しかし実際、蘭はプレイしていない。まだ、大まかな概要しか公開されておらず、透哉が生きていたときは、追加される予定の段階だった。
蘭は非常に楽しみにしており、ファンサイトや、スタッフのSNSに張り付いて、情報を集めていた。
それが、リリアンヌが考えに至った情報と酷似している。ただ、ジェイドの名前は記憶が定かではない。分かるのは蘭がそんな名を言っていた気がするというところまでだ。
(せめて、どんなやつとか、何が起こるとか、それだけでも分かっていれば対策がとれるのに)
すでに透哉の知るゲームの流れとは離れてしまったということか。
(とにかく、エリーナが何かされたりするのを守らないと。まぁこういうのは、だいたい、主人公を誘拐して、アルフレッドが助け出すみたいな展開になるだろう)
命に関わるような危険なフラグが立つような事は避けたいし、平和な学園を維持できるように、頑張ろうとリリアンヌは奮起したのだった。
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