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第四章 ゲームの終わり
2、修行開始
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「うーーーーん」
アスランがゾウ神山に修行に行ってから四日。
夜中、みんなが寝静まった頃、自分の寝室で俺はベッドの上でひとり唸り声を上げた。
目の前には妖しげなピンクの包装紙に包まれた箱がある。それに手を伸ばしては引っ込めてというのを繰り返していた。
放課後、イクシオに連れて行かれたのは町にある一軒のお店だった。
窓はないし目立った看板もない。
入り口にピンク色のカードが無造作に下げられている状態で、普通だったらこれがお店だなんてとてもじゃないけど分からない。
しかし、そこは貴族なら誰でも知っているという、長い歴史と、皇族とも取引のある由緒正しいお店だと聞かされた。
「いらっしゃぁい」
お店のドアを開けて中へ入ると、男の野太い声だがやけに甘ったるい喋り方の挨拶が聞こえてきた。
「ロロリーさん、お久しぶり」
「あらっ、イクシオちゃんじゃない。また綺麗になっちゃってー、殿下なんて、こっちからフッてやれば良かったのよぉ」
カウンターには、全身タトゥーだらけのムキムキのおそらく男が立っていた。
金髪に金色の目は三白眼、イカつい爬虫類顔で、長髪を三つ編みにして垂らしている。普段なら近づけないし、とても声をかけられない迫力の人だった。
しかもいきなり際どい台詞を発してきたので、誰かいたら大変だと周りをキョロキョロと確認してしまった。
「この子がシリウスちゃん? へぇ、聞いていた感じとは違うわね。ちょっと生意気そうな……」
上から下までじとっと舐めるように見られて、ゾクっとした俺は無意識にイクシオの後ろに隠れた。
「ふふふっ、あら可愛い」
ロロリーという男が目を細めて笑う姿は、まるで舌を出す前のカメレオン。
コバエみたいな俺はビクビクしながら、イクシオの後ろから顔を出すしかなかった。
「ロロリーさん、シリウスで遊ばないでね。今日は例の初心者向けのセットを買いに来たんだから」
「ええ、もちろんお客様ですからぁ。しっかり接客させていただきまーす」
ロロリーはお尻をフリフリしながら、カウンターの奥の部屋に何か取りに行ってしまった。
イクシオからはその道のプロで師匠みたいな人と聞いていたので、本当に大丈夫かと心配になってしまった。
イクシオから聞いた対処法は、つまり慣らすことだった。いきなり初めてでするのは色々と大変だと聞いた。
事前にある程度自分の体を知っておくのが重要なのだと教えてもらい、この店を紹介してもらったのだ。
イクシオから大人のお店だと聞いていたが、店内を見渡すと見たこともないような商品がたくさん並んでいた。
一見するとメイク用品を取り扱っているようなお店だ。色とりどりの小瓶が並んでいて、甘い匂いが漂ってくる。アクセサリーも販売しているらしく、全体的にキラキラした印象で、男一人で入るにはハードルが高いお店だと思った。
「ほら、これよ」
カシャンと音がして見ると、ロロリーが小箱をカウンターの上に置いて俺に見せてきた。
「このピンクの瓶がラブオイル、この緑のはセクシーな気分になれる香水ね」
ハートでも飛び出してきそうな目が毒される感じに、思わず後退りしそうになった。
これが初心者セットなのかと、変な汗まで出てきた。
「シリウスくん、かなりピュアって聞いてるけど、準備は大事だからしっかりやっておくのよ。相手が大きいなら、普段からオイルを使ってよくマッサージすることが大事よ。やり方はじっくり教えるから、よく聞いてね」
甘すぎる匂いにすでに目眩までしてきたが、ここまできたのだからちゃんと覚えて帰るしかない。
俺は覚悟を決めて、頷いたのだった。
というわけで、俺は購入してきた箱をベッドの上に載せたまま、小一時間ずっと唸っていた。
「はぁ……やるしかないか。アスラン帰ってきたらしたいって言ってたもんな」
考えてみたら俺達はすでにこの世界の成人で、抜き合いをするくらいのところまで進んでいた。
周りはすでに多くが経験済みだし、特に騎士団候補生はモテる集団なので、その中でもファンまでいるアスランは周りから色々言われて揶揄われてきたのが想像できる。
アスランが今まで最後までしなかったのは、おそらく父のブラッドフォード伯爵に恩義を感じているからだろう。
そして、なかなか微妙な立場だった俺のせいで、我慢することも多かったはずだ。
恋人になってからも、ちゃんと俺のことを考えて待っていてくれた。
そう思うと、自分ばかり何も知りませんとアホ面でいるのが申し訳なくなった。
「アスランのために、頑張るぞ。……って、しかし、これどうすればいいんだ」
ガサガサと包みから箱を取り出した俺は、恐る恐る箱の蓋を開けた。
中身はあの店で確認した通りだ。
他にも数点、サービスだと言われてよく分からない物が入っている。説明書付きだからと言われたので、じっくり見て確認するしかない。
「うううっ……一人でこんなこと」
手にオイルを垂らして指先に塗り込んだ後、教わったように下半身に手を伸ばした。
上はシャツを羽織っているが、下は何も身につけていない。
今は夜だから大丈夫だと思うが、こんなところ誰かに見られたら大変なことになる。
なぜかそれを思うと胸がドキドキして熱くなってきてしまった。
部屋は使用人が出入りすることが多いので、鍵が付けられていない。
それを考えたら変な緊張感が高まってきた。
これは訓練なんだ、集中しろと自分に言い聞かせて、俺は後ろに手を這わせた。
「え……と、まずは周辺をよく揉んでマッサージと……」
言われた通りに、指で筋肉をほぐすように押しながらしばらくマッサージを続けた。
特に痛みもないし、何か特別な感じはしない。
ひたすらマッサージを続けて指が疲れてしまったので、この日の訓練は終了することにした。
こうして翌日もその翌日も、俺は毎日マッサージを続けた。これが本当に良いことに繋がるのか分からないのだが、とにかく言われた通りに真面目に取り組んだ。
一人でするマッサージは、何かの作業のように思えた。
変化といえば、よく眠れるようになったなと感じるくらいだった。
そんなことがあって休日は家でゆっくり、というかゴロゴロ過ごしていたのだが、昼過ぎにロティーナが邸を訪ねてきた。
「アスラン今山籠りなんでしょう。寂しがってると思って、遊びに来たわよ」
昔と変わらず、メイドにお茶とお菓子を運ばせて、つかつかと俺の部屋に入ってきたロティーナは、勝手にアフタヌーンティーの用意をして満足そうに席に着いた。
「今帝都で人気のお菓子よ、特別にシリウスにもあげるから、ほら一緒にお茶しましょう」
ぽんぽんと机を叩いて着席を求められたので、ベッドに転がっていた俺は仕方なくのっそりと起き上がった。
「それで、無事アスランとお付き合いが始まったみたいね。私からしたら、やっとって感じよ。昔っから二人で恋する目で見つめ合ってて、何で告白しないのか不思議だったくらい。まあ、良かったわね」
「ありがとう……、なんかロティーナに素直にお祝いされると照れちゃうな」
「ちょっと、ボケっとして頭かいてる場合じゃないわよ。伯父様の件は大丈夫なの? もうすぐこっちに戻られるんでしょう?」
確かに邸は父親の帰宅が近いので少しだけ慌ただしい。俺とアスランが付き合い出したことは人伝に聞いているかもしれない。
かと言ってそこまで心配はしていなかった。
ブラッドフォード伯爵はアスランにメロメロと言ってもいいくらい、実の息子以上に可愛がってきた。
アスランが望むならと何でもすぐに用意したり、遠くへ行った際のお土産はアスランのものが一番豪華だった。
「そうだけど。お父様はアスランに優しいし、付き合いを認めてくれるのだってそんなに難しい話じゃ……」
「シリウス、それとこれとは話が違うわ。アスランは家門に入ったとはいえ元は孤児院にいた子よ。貴族社会では風当たりが強いの。聖騎士になれるかどうかが鍵だけど、それでも、あなたが苦労する道を選ぼうとしているのを伯父様は手放しで賛成するかしら」
「それは………」
「あまり甘く考えない方がいいわよ」
ゲームの世界ではアスランびいきで、出来の悪い息子のシリウスとの関係は悪いと書かれていたが、実際のところ父との関係は良好だ。
不器用ながらも俺を認めて支えてくれるのが分かるし、確かにアスランには甘いが、同じように目をかけてきてくれたと思う。
だからこそ、俺達の関係を話せばすぐに認めてくれると思い込んでいたが、周りはそうはいかないと厳しい顔をしてくる。
楽観的だった俺も、さすがに緊張してきてしまった。
ロティーナが用意してくれたお茶を飲みながら、どう話せば一番理解が得やすいかを考えていたら、ロティーナがわずかに息をこぼす音が聞こえた。
そういえばいつもギラギラしているくらい元気な人なのに、ロティーナの横顔はどこか沈んで見えた。
「ロティ、あのさ……顔、疲れてる?」
「ぐっっ、レディに向かって顔が疲れてる? はないでしょう! 私、そんなにひどい顔?」
「わわ、ごめん。元気がなさそうって意味で……」
女性相手だと気の使いどころをいつも間違えてしまう。ロティーナにギロリと睨まれて慌てて姿勢を正した。
「ふぅー、シリウスでもいいか。ちょっと誰かに聞いて欲しくて。私、本気になっちゃったみたい」
カップの中お茶をくるくるとかき混ぜながら、ロティーナはまた濃いため息をついた。
目を引く美人に育ったロティーナは、毎週のようにデート相手が違い恋多き女と言われている。
そんなロティーナの恋模様とは、イクシオに影響されたのか恋バナに興味が出てきてしまい、俺は前のめりになってロティーナの話に耳を傾けた。
□□□
アスランがゾウ神山に修行に行ってから四日。
夜中、みんなが寝静まった頃、自分の寝室で俺はベッドの上でひとり唸り声を上げた。
目の前には妖しげなピンクの包装紙に包まれた箱がある。それに手を伸ばしては引っ込めてというのを繰り返していた。
放課後、イクシオに連れて行かれたのは町にある一軒のお店だった。
窓はないし目立った看板もない。
入り口にピンク色のカードが無造作に下げられている状態で、普通だったらこれがお店だなんてとてもじゃないけど分からない。
しかし、そこは貴族なら誰でも知っているという、長い歴史と、皇族とも取引のある由緒正しいお店だと聞かされた。
「いらっしゃぁい」
お店のドアを開けて中へ入ると、男の野太い声だがやけに甘ったるい喋り方の挨拶が聞こえてきた。
「ロロリーさん、お久しぶり」
「あらっ、イクシオちゃんじゃない。また綺麗になっちゃってー、殿下なんて、こっちからフッてやれば良かったのよぉ」
カウンターには、全身タトゥーだらけのムキムキのおそらく男が立っていた。
金髪に金色の目は三白眼、イカつい爬虫類顔で、長髪を三つ編みにして垂らしている。普段なら近づけないし、とても声をかけられない迫力の人だった。
しかもいきなり際どい台詞を発してきたので、誰かいたら大変だと周りをキョロキョロと確認してしまった。
「この子がシリウスちゃん? へぇ、聞いていた感じとは違うわね。ちょっと生意気そうな……」
上から下までじとっと舐めるように見られて、ゾクっとした俺は無意識にイクシオの後ろに隠れた。
「ふふふっ、あら可愛い」
ロロリーという男が目を細めて笑う姿は、まるで舌を出す前のカメレオン。
コバエみたいな俺はビクビクしながら、イクシオの後ろから顔を出すしかなかった。
「ロロリーさん、シリウスで遊ばないでね。今日は例の初心者向けのセットを買いに来たんだから」
「ええ、もちろんお客様ですからぁ。しっかり接客させていただきまーす」
ロロリーはお尻をフリフリしながら、カウンターの奥の部屋に何か取りに行ってしまった。
イクシオからはその道のプロで師匠みたいな人と聞いていたので、本当に大丈夫かと心配になってしまった。
イクシオから聞いた対処法は、つまり慣らすことだった。いきなり初めてでするのは色々と大変だと聞いた。
事前にある程度自分の体を知っておくのが重要なのだと教えてもらい、この店を紹介してもらったのだ。
イクシオから大人のお店だと聞いていたが、店内を見渡すと見たこともないような商品がたくさん並んでいた。
一見するとメイク用品を取り扱っているようなお店だ。色とりどりの小瓶が並んでいて、甘い匂いが漂ってくる。アクセサリーも販売しているらしく、全体的にキラキラした印象で、男一人で入るにはハードルが高いお店だと思った。
「ほら、これよ」
カシャンと音がして見ると、ロロリーが小箱をカウンターの上に置いて俺に見せてきた。
「このピンクの瓶がラブオイル、この緑のはセクシーな気分になれる香水ね」
ハートでも飛び出してきそうな目が毒される感じに、思わず後退りしそうになった。
これが初心者セットなのかと、変な汗まで出てきた。
「シリウスくん、かなりピュアって聞いてるけど、準備は大事だからしっかりやっておくのよ。相手が大きいなら、普段からオイルを使ってよくマッサージすることが大事よ。やり方はじっくり教えるから、よく聞いてね」
甘すぎる匂いにすでに目眩までしてきたが、ここまできたのだからちゃんと覚えて帰るしかない。
俺は覚悟を決めて、頷いたのだった。
というわけで、俺は購入してきた箱をベッドの上に載せたまま、小一時間ずっと唸っていた。
「はぁ……やるしかないか。アスラン帰ってきたらしたいって言ってたもんな」
考えてみたら俺達はすでにこの世界の成人で、抜き合いをするくらいのところまで進んでいた。
周りはすでに多くが経験済みだし、特に騎士団候補生はモテる集団なので、その中でもファンまでいるアスランは周りから色々言われて揶揄われてきたのが想像できる。
アスランが今まで最後までしなかったのは、おそらく父のブラッドフォード伯爵に恩義を感じているからだろう。
そして、なかなか微妙な立場だった俺のせいで、我慢することも多かったはずだ。
恋人になってからも、ちゃんと俺のことを考えて待っていてくれた。
そう思うと、自分ばかり何も知りませんとアホ面でいるのが申し訳なくなった。
「アスランのために、頑張るぞ。……って、しかし、これどうすればいいんだ」
ガサガサと包みから箱を取り出した俺は、恐る恐る箱の蓋を開けた。
中身はあの店で確認した通りだ。
他にも数点、サービスだと言われてよく分からない物が入っている。説明書付きだからと言われたので、じっくり見て確認するしかない。
「うううっ……一人でこんなこと」
手にオイルを垂らして指先に塗り込んだ後、教わったように下半身に手を伸ばした。
上はシャツを羽織っているが、下は何も身につけていない。
今は夜だから大丈夫だと思うが、こんなところ誰かに見られたら大変なことになる。
なぜかそれを思うと胸がドキドキして熱くなってきてしまった。
部屋は使用人が出入りすることが多いので、鍵が付けられていない。
それを考えたら変な緊張感が高まってきた。
これは訓練なんだ、集中しろと自分に言い聞かせて、俺は後ろに手を這わせた。
「え……と、まずは周辺をよく揉んでマッサージと……」
言われた通りに、指で筋肉をほぐすように押しながらしばらくマッサージを続けた。
特に痛みもないし、何か特別な感じはしない。
ひたすらマッサージを続けて指が疲れてしまったので、この日の訓練は終了することにした。
こうして翌日もその翌日も、俺は毎日マッサージを続けた。これが本当に良いことに繋がるのか分からないのだが、とにかく言われた通りに真面目に取り組んだ。
一人でするマッサージは、何かの作業のように思えた。
変化といえば、よく眠れるようになったなと感じるくらいだった。
そんなことがあって休日は家でゆっくり、というかゴロゴロ過ごしていたのだが、昼過ぎにロティーナが邸を訪ねてきた。
「アスラン今山籠りなんでしょう。寂しがってると思って、遊びに来たわよ」
昔と変わらず、メイドにお茶とお菓子を運ばせて、つかつかと俺の部屋に入ってきたロティーナは、勝手にアフタヌーンティーの用意をして満足そうに席に着いた。
「今帝都で人気のお菓子よ、特別にシリウスにもあげるから、ほら一緒にお茶しましょう」
ぽんぽんと机を叩いて着席を求められたので、ベッドに転がっていた俺は仕方なくのっそりと起き上がった。
「それで、無事アスランとお付き合いが始まったみたいね。私からしたら、やっとって感じよ。昔っから二人で恋する目で見つめ合ってて、何で告白しないのか不思議だったくらい。まあ、良かったわね」
「ありがとう……、なんかロティーナに素直にお祝いされると照れちゃうな」
「ちょっと、ボケっとして頭かいてる場合じゃないわよ。伯父様の件は大丈夫なの? もうすぐこっちに戻られるんでしょう?」
確かに邸は父親の帰宅が近いので少しだけ慌ただしい。俺とアスランが付き合い出したことは人伝に聞いているかもしれない。
かと言ってそこまで心配はしていなかった。
ブラッドフォード伯爵はアスランにメロメロと言ってもいいくらい、実の息子以上に可愛がってきた。
アスランが望むならと何でもすぐに用意したり、遠くへ行った際のお土産はアスランのものが一番豪華だった。
「そうだけど。お父様はアスランに優しいし、付き合いを認めてくれるのだってそんなに難しい話じゃ……」
「シリウス、それとこれとは話が違うわ。アスランは家門に入ったとはいえ元は孤児院にいた子よ。貴族社会では風当たりが強いの。聖騎士になれるかどうかが鍵だけど、それでも、あなたが苦労する道を選ぼうとしているのを伯父様は手放しで賛成するかしら」
「それは………」
「あまり甘く考えない方がいいわよ」
ゲームの世界ではアスランびいきで、出来の悪い息子のシリウスとの関係は悪いと書かれていたが、実際のところ父との関係は良好だ。
不器用ながらも俺を認めて支えてくれるのが分かるし、確かにアスランには甘いが、同じように目をかけてきてくれたと思う。
だからこそ、俺達の関係を話せばすぐに認めてくれると思い込んでいたが、周りはそうはいかないと厳しい顔をしてくる。
楽観的だった俺も、さすがに緊張してきてしまった。
ロティーナが用意してくれたお茶を飲みながら、どう話せば一番理解が得やすいかを考えていたら、ロティーナがわずかに息をこぼす音が聞こえた。
そういえばいつもギラギラしているくらい元気な人なのに、ロティーナの横顔はどこか沈んで見えた。
「ロティ、あのさ……顔、疲れてる?」
「ぐっっ、レディに向かって顔が疲れてる? はないでしょう! 私、そんなにひどい顔?」
「わわ、ごめん。元気がなさそうって意味で……」
女性相手だと気の使いどころをいつも間違えてしまう。ロティーナにギロリと睨まれて慌てて姿勢を正した。
「ふぅー、シリウスでもいいか。ちょっと誰かに聞いて欲しくて。私、本気になっちゃったみたい」
カップの中お茶をくるくるとかき混ぜながら、ロティーナはまた濃いため息をついた。
目を引く美人に育ったロティーナは、毎週のようにデート相手が違い恋多き女と言われている。
そんなロティーナの恋模様とは、イクシオに影響されたのか恋バナに興味が出てきてしまい、俺は前のめりになってロティーナの話に耳を傾けた。
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