眼鏡モブですが、ラスボス三兄弟に愛されています。

朝顔

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第三章 どきどきイベント編

⑩どきどきが止まらない。※

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 俺は何を言ったんだと口元に持っていこうとした手をイグニスに掴まれた。
 背中に冷たい壁の感触があり、気がつけば廊下の壁に押し付けられていた。

 何かこう大人向けのドラマの台詞を真似しようと思ったが、出てきたのは姉がハマっていた不倫逃亡系のドロドロ恋愛ドラマの台詞だった。
 確かあれは、ヒロインが相手役の既婚教師とそういう関係になる時に放った一言で……。

 あーーーー!
 そういうことはどうでもいい!
 なんで今俺、それしか出てこなかった!!

「テラ…、テラからそんな事を……興奮しているのか…嬉しいな」

「あ…あの、え…ええと…」

「テラが望むなら、そうしよう」

「え……っ、……っんんんっっ」

 俺の手を壁に縫いつけるようにして、イグニスは唇を重ねてきた。
 しかも最初から噛み付くように口を合わせてきて、舌をねじ込んできた。
 いきなり口内がイグニスでいっぱいになって、頭が真っ白になった。

「…っ…はっ……ぁ……あ……んっ…っ」

 呼吸ができなくて開いた口の奥までイグニスは遠慮なく入ってくる。イグニスの長い舌がまるで、俺の舌ごと食べてしまうかように絡みついてきた。
 激しい口付けに必死で応えようとするが、完全に翻弄されて、口内からもたらされる快感に意識がグズグズと溶けていく。

 馬車の中のキスなんて軽いものだった。
 いつの間にかイグニスに両手で顔を掴まれて、今や口内をめちゃくちゃに蹂躙されている。

 流し込まれた二人分の唾液を、俺がごくりごくりと喉を鳴らして飲み込むたびに、イグニスの舌が喉仏まで舐められそうなくらいまで届いて奥を舐められる。

 こんな…こんなキスなんて……考えてもいなかった。
 鼻水も涎も流しまくりで、本当にめちゃくちゃだ……。

 口の中を滅茶苦茶にしながら、イグニスは俺の下半身に手を伸ばしてきた。
 意識するまでもなく、こんな激しいキスをされたら、そこは爆発寸前なくらい張り詰めていた。

「テラ…すごいな……ここ」

「…はぁはぁ…だっ……て……」

 間近で顔を見られながら指摘されたら余計に熱くなって口が震えてしまった。
 そんな俺を見てイグニスはニヤリと笑った。俺がちょっと気に入っている悪役っぽい笑い方だ。
 それが、お腹にぐっと熱がたぎるほどカッコイイ。

「俺だってそうだ。同じだ」

 イグニスが自らの下半身を押し付けてきた。
 俺の数倍はあるんじゃないかというくらいのモノが、ズボンを押し上げ、天を向いて主張していた。

「あ…あぁ…すご…………」

 ポロリと溢れた一言が嬉しかったらしい。イグニスは息を荒くしながら、俺のモノに擦り付けてきた。

「ん……あぁ……! 硬い…やばっ……なにこれ……頭飛んじゃ……」

「まだ少し擦っただけだろう」

「だ……だって、おお俺……」

 数回擦ってイクなんて童貞丸出しだ。
 わずかなプライドがそれを認めたくはなかった。ずっと我慢していたのだと話してしまえとぐいぐい心臓を刺激してきた。

「印の…、力を直接もらう時……、俺、毎回こんなんだったよ……。終わった後、一人で慰めていたんだ」

「はぁ!? それ…本当か?」

「そ…そうだよ、だから…ちょっとくらい早くてもさ……」

「テラ!!」

 ちょっと冷静になってもらうつもりが、なぜか余計に火がついてしまったようで、イグニスに全体重をかけて壁に押さえつけられた。
 重さと苦しさで、あぷあぷしていたら、イグニスは腰を突き上げるようにして、激しくアソコを擦ってきた。

「ぬあああっ…ちょ、だぁ…めめ、イっちゃ…出ちゃう…!!」

「テラ、俺も…俺も…あの時は毎回ヤバかった…、何度そのまま挿れてしまおうかと思ったか……」

「ああ…あぁぁ…いれ…る? あっ…はっっ」

「終わった後は…俺も一人で……なんだ、もっと早く…伝えれば良かったんだ…」

 どうやらずいぶん前から両思いだったらしい。すれ違いからの成就を噛み締める余裕なんてない。激しく擦られてこのままだと、服の中に、しかも廊下で発射してしまう。

 イグニスは俺の要望通りに、滅茶苦茶にしてくれているが、使用人が少ないとはいえ、誰かに見られたら恥ずかしくて生きていけない。

「イグニス…イ…イグニス、まっ…まって」

「テラ…はぁ…ぁ…テラ…」

 熱に浮かされたように興奮しきっているイグニスに、なかなか、待ってが届かない。
 あと一歩で部屋の中なのに、こんなに遠いなんて思わなかった。
 どうにかして中へ入れてもらうしかない。
 考えた俺は、イグニスの首に腕を巻きつけて、下半身は足をイグニスの腰絡めてしがみついた。
 イグニスの耳元に口を持っていって、すぐ近くで聞いてもらうことにした。

「イグニス…ここ…やだ。……中に入ろう」

「っ…テラ……」

 耳元で喋ってやっと聞き取ってもらえたらしい。
 イグニスはしがみついた俺を持ち上げながら、部屋に中に飛び込むように入った。
 イグニスの人柄が現れたような、ベッドと机くらいしかないシンプルな部屋だった。

 歩きながらも滅茶苦茶にキスを仕掛けてきて、まともに息を吸う暇さえ与えてくれない。
 普段あまり感情を表すタイプではない彼の激しい一面を知って、息苦しさも快感に変わりつつあった。

 ベッドに下ろされたら、すぐにシャツの前を開かれた。中にあるのは俺の貧弱な体なので、まるでプレゼントの包みを破るように、目を輝かせているイグニスに申し訳なくなった。

「ちょっ…あんま……見ないで」

「なんでだよ」

「だ…て、俺の体なんて…つまらないだろう……ぺったんこだし」

 女性のように膨らみがあるわけでもない。イグニスのように鍛えられた逞しさもない。ただの薄っぺらい体が急に恥ずかしくなった。

「ふっ……何言っているんだ。こんなに興奮しているのに……」

「うわっ…またデカくなってる!」

 萎えてしまうのではないかと考えたが、イグニスの手に導かれて触れたそこは、さっきよりももっと大きくなり石のように硬くなっていた。

「……テラ」

「はっ…ぁ……そっそんな…とこ…ろ」

 俺のシャツがはだけた間に、イグニスの顔をうずめてきた。
 胸の頂をペロリと舐められて、未知の感触に全身が痺れた。

「テラのここ、へこんでる。エロすぎるだろ」

「いっ…言わないでよ……」

 あぁ…俺のコンプレックスだった陥没気味のそこを見られてしまった。
 いかにも弱々しくて嫌だと思っていた乳首にイグニスは吸い付いてきた。

「んっあああっ」

 むず痒い。
 くすぐったくて、たまらない。
 それに、ほんのり甘い感覚も。

「あっあっ、そ…なとこ、すう…なって…、赤ん坊だけ…だろ」

「ああ、赤ん坊か。そうだな。今はそうなろうか。ばぶばぶー」

「なっ…な!」

 これは…、目の前にいるのは本当にイグニスなのだろうか。
 まさか、赤ちゃんプレイ?
 どう考えてもおかしいだろう、こんなデカい男が……。

「はははっ…、変な顔になって、テラは本当に面白いな」

「イグニスっ! お前な…! ううっ…あっ…ちょっ…ああっ」

 揶揄われたのだと気が抜けた瞬間に、ニヤリと笑ったイグニスはまた乳首にかぶりついてきた。しかも吸い付いて伸びたところを甘噛みしてきた。

「や…な……っ…やだ……いたい」

「本気で噛んでないだろう、ほらこれくらい強くした方が……」

「ははんんんっ…だ…だめ…ぇぇ!!」

 ガジガジ噛んでいたのに、今度は指で挟んでぎゅぎゅっと擦られた。
 つねられたら痛いと思うのに、わずかな痛みと全身を貫くような快感に俺はのけ反って声を上げてしまった。
 思わず下半身に力が入り、何か出てしまったような感覚がした。

「テラ、下着が……」

「ああ…嘘」

 ズボンは膝まで落ちていて、下着だけ残っていたが、そこがまるで漏らしたようにシミが広がっていた。丸くできた跡が目に入ったら恥ずかしくてたまらなくなった。

 クスリと笑ったイグニスは、俺の下着に手を掛けてズルリと下ろしてしまった。

「あっ……」

 イグニスの前に俺のお粗末なペニスがぷるんと飛び出した。何しろ毛もろくに生えていないので、これまた恥ずかしくて見られたくない光景だった。

「……これは……」

「や…見るな…よ、まだ…成長途中と…いうか……」

 これから大きくなってモジャモジャになるとはとても思えない。しかし、ハイこれですとは認めたくなかった。

「ああ、分かっている。これから、俺の手の中でたっぷりと成長すればいい」

 男のチンコなんて萎えるかとおもったが、イグニスはもっと興奮したみたいに鼻息まで荒くなった。
 俺だって、さっきからチラチラと大きな起立が目に入る度に、どきどきと心臓がうるさく鳴ってしまう。
 必死に平然を装うとしているが、本当は興奮し過ぎて視界がチカチカとして揺れている。
 早く見たい、触れてみたい。
 イグニスと同じ気持ちだと思うと嬉しかった。

「イグニスのも……見せろよ」

「ああ…分かった」

 すでにそこは苦しそうに衣服を押し上げていた。形まで分かってしまい直視できなかった。イグニスが下着をくつろげたら、巨大な肉棒が堂々たる姿を見せた。

「はぁ……やばっ…ナニソレ!!」

「なにって…同じモノがついてるだろう」

「違う違う! 仕様も効用も違う!」

「はぁ?」

「さ…触りたい……」

 ドキドキし過ぎて心臓が爆発しそうだ。
 俺は震える手でイグニスのペニスを掴んだ。

「…テラ……なんだよ、黙って……」

「す…すごい…熱い……、イグニスが二人に…見え…る…」

「あ? んなわけ……おっ…テラ? おい、テラ?」

「あ…れ? 三人に…やっぱ二人? ぐるぐるする」

「テラっ! わっ! 鼻血が! おっおい! 大丈夫か!? テラ、とりあえず手を…そこから手を…テラぁぁ!」

 残念すぎる俺は興奮し過ぎて、イグニスのアソコを掴んだまま、鼻血を噴き出して気絶してしまった。

 ベッドに倒れたと思うが、巨大なアソコにつぶされる夢を見た。
 イグニスと初めて肌を合わせる機会だったが、とても不本意な途中下車となった。

 こんどこそ、次こそはと、薄れゆく意識の中で繰り返していた。





 □第三章 終わり□
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