26 / 52
第三章 どきどきイベント編
⑥君の幸せ、ぼくの幸せ。
しおりを挟む
助けに来てくれたノーベンと、他を探してくれているというイグニスの元へ向かった。
周囲を警戒しながら木の根が張った起伏の多い道を進んだので、俺は途中で息が続かなくなり足が動かなくなってしまった。
「テラ、大丈夫? 少しここで休もう」
身が隠れそうな木の下に連れてきてもらい、ノーベンとそこで腰を下ろした。
緊張しながら走ったので、肩が揺れるほど息が苦しくてたまらなかった。
横に座ったノーベンが俺の息が楽になるまで背中をさすってくれた。
「このイベントは、元々は国が主催して行っていた、ちょっと変わった集団お見合いだったみたい。戦争が終わってから民間に委託されて、それでやりたい放題になったらしい。今じゃお見合いというより、狩の方がメインになりつつあるみたいだね」
「そ…う…なんだ。ごめん、本当……こんな所まで助けにきてくれて……俺なんかのために……」
「テラ、なんかなんて言わないで」
いつもの調子でつい弱音を吐いてしまったら、ノーベンの強い言葉に背筋がピンと伸びた。
「僕さ、ディセル兄さんほどじゃないけど、結構なんでも上手くやってきたんだ。いつも自分の言いたいこと言って、押し通してきた。誰も文句は言わなかったし、もちろん言われないように完璧にやってきたつもり。文句あるなら僕みたいに出来てから言えよって……。天才なんて言われるのは嫌だったけど、実はそれで安心していたのかもしれない」
兄弟の中でも一番複雑な思考を持っているのがノーベンだと思っていた。
言いたいこと言って、相手を威嚇するのも厭わないし、黙らせるだけのスキルを持っている。それはすごいと思うけどノーベンの本心はよく分からなかった。
もてはやしてくる周囲を冷たい目で見ていたからだ。
それで本当に満たされているのかと……。
「怖かったんだ……。否定されるのが……。誰も何も言わないけど、僕が生まれた時に母さまが死んでしまったから、いつかお前のせいでって……責められるかもしれないって怖かった。だから完璧な城を築いて、いつ誰に攻撃されても傷一つ負わないように……、それでも怖い時は、逆に相手を攻撃すれば自分は傷つかない、そうやって生きてきた」
「ノーベン…、誰もノーベンを責めてなんかないだろう」
「……うん。でも、俺の前では誰も母のことを口にしないんだ…。だからきっと、心の中では俺を恨んでいて母の名前すら口にしないのだと……」
「それは……」
深いところは分からない。
ディセルやイグニスだって、母を失ったのは同じだ。
母が恋しくて、もしもあの時と頭によぎったことがあるかもしれない。
それを責めることなどできないし、誰も悪くない。
公爵だって愛する人を失った。
みんな悲しみを乗り越えるために、あえて話題に触れないようにしていたのだろう。
でもそれはノーベンを責めていたわけではない。それをどうやってノーベンに伝えようかと顔を上げたら、ノーベンは全て理解しているという目をして微笑んでいた。
「イグニス兄さんは、僕の人形の名前を当てたでしょう。一度も見たことなんてないはずだから、本当は人形なんて知らなかったと思う。でも分かってくれた。それに名前……イザベラは母さまの名前なんだ。肖像画の中でしか姿が分からないけど、いつも一人で見ていたから……。兄さん達は全部なかったことのようにしていると思っていたけど、イグニス兄さんも僕と同じように見ていたんだって……、あの時、初めて分かった」
一つ違いの兄弟だから、イグニスだって母親の姿は記憶にないだろう。
母の絵を眺めるノーベン、そしてイグニスもきっとその後ろからそっと母の絵を眺めていたに違いない。
口にしないことで悲しみを思い出さないようにしてきた。いつか語ることで悲しみを癒し、兄弟達の絆がもっと強くなる、そんな日はきっとくるはず……遠くない将来にきっと……。
「僕だけが辛くて悲しいわけじゃない。イグニス兄さんとまた話せるようになって、ようやく分かったよ。僕を責めていたのは…僕自身だった。僕ら兄弟を繋いでくれたのはテラだよ」
「えっ…」
「小ちゃくて弱々しいのに、テラは生命力に溢れている。おかしいよね、僕らは力があり過ぎて、テラは力がないのが問題がなのに、本当は逆じゃないかと思うんだ。テラといるとね、なんでもないことが、最高に幸せに思える。それを教えてくれたんだよ」
「お…俺はそんな……」
「僕はテラが大好きだよ、それで兄さん達のことも好き。好きな人達が一緒に幸せになってくれたら、僕はもっともっと嬉しい。テラはイグニス兄さんのこと、好きでしょう? ラブの方で」
肩をくっ付けながら、間近でノーベンはニヤニヤしながらウィンクしてきた。
ここでもだだ漏れなのに、こうなると本人に伝わっていないというのが不思議に思えてくる。
「う…うん」
「あぁ赤くなっちゃって可愛い。テラとは出会ってからそんなに経っていないけど、まるでずっと一緒に育ったみたいに思えるんだ。僕にとっては可愛い弟みたいな存在って感じ。テラは大切なんだからね、俺なんか、なんて言わないでよ白いウサギさん」
調子に乗ったノーベンが俺のふわふわ耳を撫でてきた。確かに兄弟達が争わないように、仲良くさせようと思っていたが、結局のところ俺ができた事なんてほとんどない。ただの賑やかしみたいなものだった。
ディセルもノーベンもイグニスも、みんなそれぞれの力で兄弟の絆を取り戻したのだ。
ノーベンの透き通った目で見られると、まるで俺がみんなの仲を取り持ったみたいで照れてしまうが、若干気になるところもあった。
「あー…ええと、一点気になるんだけど、俺、ノーベンの弟? いちおう…年上なんだけど……」
「細かいことは気にしない! いいじゃない! 好きは好きで一緒でしょう」
「い…っ…まぁ、そうだけど。弟か…俺」
結局この世界でも弟役になるのかと胸の辺りがモヤついたが、ノーベンの顔つきが前よりずっと明るくて優しくなったので、俺はそれでいいかと思うようにした。
兄より弟の方が慣れているんだし、遠慮なく甘えさせてもらおう。この兄達なら、ちょっとくらいいじられても悪くないな、そう思った。
「だいぶ暗くなってきたな。でもノーベンがいるから安心だよ。イグニスと合流したらすぐに森から出よう」
「テラ、実は状況はあまり良いわけじゃない。さっきみたいな小物相手なら、余裕なんだけど、このハントには剣闘大会の常連がたくさん来ているんだよね。僕の双剣は一対一の戦いだと負けないけど、テラを守りながら複数と戦うとどうしても時間がかかるからさ。それにブラッドソードは長時間使えないんだ」
ノーベンがこぼした言葉に、また前世の記憶がパチンとヒットした。
そうだった。
体内の血を使って作り出されるブラッドソードは、威力が強すぎるがゆえ、使用する本人の自我が保てない。
だからイグニスも普段は普通の剣を使っている。
短期決戦で勝負を決めなければ、正常な精神が保てなくなり、狂ったように血を求めて敵味方見境なく攻撃をする、まるで獣になってしまう。
ゲームの中では主人公だけがその暴走状態を止めることができた。
彼がいないとなると、こんなところでそんな状態になったら惨劇ではすまされない大事件になってしまう。
とにかくそんな事態だけは避けなくてはいけない。
「分かった。なるべく見つからないように静かに行こう。どちらにせよ早くイグニスに会わないといけない」
俺がそう言うとノーベンも頷いてきた。
しかし、やはり中央広場に近づいたことで、他の参加者と会う確率も高くなる。
俺とノーベンが隠れている近くで人の声が聞こえてきた。
動き出そうとしていた俺の腕を、いち早く気がついたノーベンが掴んで止めてきた。
「い…いいって、もう十分だろう」
地面を踏みしめて歩く音と、気弱そうな声が聞こえてきた。この声にどうも聞き覚えがある気がした。
「なんで止めるんだ。ジェイムス家の人間をカモにしようなどと考えるなんて、バカにされたんだぞ。だいたいお前が気を抜いているから俺が尻拭いをさせらるんだ」
「そ…それはあの男が持っていた宝石が俺が探していたヤツが受け取っていた宝石だったから話を聞こうと思って……」
「それで狙われるなんてアホくさくて話にならないな。俺がヤルって言ったのに、自分で停学に追い込んだ男に復讐するって言ったからには、ちゃんとヤってこいよ。さっきの男は居場所を吐いたのか?」
「……それが、開始すぐに奪って別れたから、もう向こうも移動しているだろうって……」
「使えねーな、殴っただけじゃだめか。五人くらいで輪姦してやろう。そしたら思い出すんじゃねーのか」
「や…やめろよ。もう…自分でなんとかするから……」
ここまで聞いてノーベンと目が合ってお互い頷いた。
この鼻にかかった声と情けない感じの喋り方は、ブランソンで間違いない。
会話の雲行きが怪しいし、張り詰めた空気がピリピリとしてこちらにも伝わってきた。
ブランソンに対して高圧的に言い放つ強い口調の男は誰なのだろう。言っている事がおかしいし、仲間にしてはずいぶんと力関係があるように思えた。
「もう…やめてくれ、俺が悪かったよ…ハモン…兄さん…」
その名前を聞いて、ビクリと体が揺れて胃の辺りが一気に冷えた。
ハモンというのは、盗み聞いた話に出ていた完全に頭がおかしいという……。
「兄と呼ぶなと言っているだろう! お前はジェイムス家の出来損ないだ! やはり痛い目に合わないと理解できないのだな!」
スッと剣を抜く音がして、次の瞬間森に悲痛な叫び声が響いた。
□□□
周囲を警戒しながら木の根が張った起伏の多い道を進んだので、俺は途中で息が続かなくなり足が動かなくなってしまった。
「テラ、大丈夫? 少しここで休もう」
身が隠れそうな木の下に連れてきてもらい、ノーベンとそこで腰を下ろした。
緊張しながら走ったので、肩が揺れるほど息が苦しくてたまらなかった。
横に座ったノーベンが俺の息が楽になるまで背中をさすってくれた。
「このイベントは、元々は国が主催して行っていた、ちょっと変わった集団お見合いだったみたい。戦争が終わってから民間に委託されて、それでやりたい放題になったらしい。今じゃお見合いというより、狩の方がメインになりつつあるみたいだね」
「そ…う…なんだ。ごめん、本当……こんな所まで助けにきてくれて……俺なんかのために……」
「テラ、なんかなんて言わないで」
いつもの調子でつい弱音を吐いてしまったら、ノーベンの強い言葉に背筋がピンと伸びた。
「僕さ、ディセル兄さんほどじゃないけど、結構なんでも上手くやってきたんだ。いつも自分の言いたいこと言って、押し通してきた。誰も文句は言わなかったし、もちろん言われないように完璧にやってきたつもり。文句あるなら僕みたいに出来てから言えよって……。天才なんて言われるのは嫌だったけど、実はそれで安心していたのかもしれない」
兄弟の中でも一番複雑な思考を持っているのがノーベンだと思っていた。
言いたいこと言って、相手を威嚇するのも厭わないし、黙らせるだけのスキルを持っている。それはすごいと思うけどノーベンの本心はよく分からなかった。
もてはやしてくる周囲を冷たい目で見ていたからだ。
それで本当に満たされているのかと……。
「怖かったんだ……。否定されるのが……。誰も何も言わないけど、僕が生まれた時に母さまが死んでしまったから、いつかお前のせいでって……責められるかもしれないって怖かった。だから完璧な城を築いて、いつ誰に攻撃されても傷一つ負わないように……、それでも怖い時は、逆に相手を攻撃すれば自分は傷つかない、そうやって生きてきた」
「ノーベン…、誰もノーベンを責めてなんかないだろう」
「……うん。でも、俺の前では誰も母のことを口にしないんだ…。だからきっと、心の中では俺を恨んでいて母の名前すら口にしないのだと……」
「それは……」
深いところは分からない。
ディセルやイグニスだって、母を失ったのは同じだ。
母が恋しくて、もしもあの時と頭によぎったことがあるかもしれない。
それを責めることなどできないし、誰も悪くない。
公爵だって愛する人を失った。
みんな悲しみを乗り越えるために、あえて話題に触れないようにしていたのだろう。
でもそれはノーベンを責めていたわけではない。それをどうやってノーベンに伝えようかと顔を上げたら、ノーベンは全て理解しているという目をして微笑んでいた。
「イグニス兄さんは、僕の人形の名前を当てたでしょう。一度も見たことなんてないはずだから、本当は人形なんて知らなかったと思う。でも分かってくれた。それに名前……イザベラは母さまの名前なんだ。肖像画の中でしか姿が分からないけど、いつも一人で見ていたから……。兄さん達は全部なかったことのようにしていると思っていたけど、イグニス兄さんも僕と同じように見ていたんだって……、あの時、初めて分かった」
一つ違いの兄弟だから、イグニスだって母親の姿は記憶にないだろう。
母の絵を眺めるノーベン、そしてイグニスもきっとその後ろからそっと母の絵を眺めていたに違いない。
口にしないことで悲しみを思い出さないようにしてきた。いつか語ることで悲しみを癒し、兄弟達の絆がもっと強くなる、そんな日はきっとくるはず……遠くない将来にきっと……。
「僕だけが辛くて悲しいわけじゃない。イグニス兄さんとまた話せるようになって、ようやく分かったよ。僕を責めていたのは…僕自身だった。僕ら兄弟を繋いでくれたのはテラだよ」
「えっ…」
「小ちゃくて弱々しいのに、テラは生命力に溢れている。おかしいよね、僕らは力があり過ぎて、テラは力がないのが問題がなのに、本当は逆じゃないかと思うんだ。テラといるとね、なんでもないことが、最高に幸せに思える。それを教えてくれたんだよ」
「お…俺はそんな……」
「僕はテラが大好きだよ、それで兄さん達のことも好き。好きな人達が一緒に幸せになってくれたら、僕はもっともっと嬉しい。テラはイグニス兄さんのこと、好きでしょう? ラブの方で」
肩をくっ付けながら、間近でノーベンはニヤニヤしながらウィンクしてきた。
ここでもだだ漏れなのに、こうなると本人に伝わっていないというのが不思議に思えてくる。
「う…うん」
「あぁ赤くなっちゃって可愛い。テラとは出会ってからそんなに経っていないけど、まるでずっと一緒に育ったみたいに思えるんだ。僕にとっては可愛い弟みたいな存在って感じ。テラは大切なんだからね、俺なんか、なんて言わないでよ白いウサギさん」
調子に乗ったノーベンが俺のふわふわ耳を撫でてきた。確かに兄弟達が争わないように、仲良くさせようと思っていたが、結局のところ俺ができた事なんてほとんどない。ただの賑やかしみたいなものだった。
ディセルもノーベンもイグニスも、みんなそれぞれの力で兄弟の絆を取り戻したのだ。
ノーベンの透き通った目で見られると、まるで俺がみんなの仲を取り持ったみたいで照れてしまうが、若干気になるところもあった。
「あー…ええと、一点気になるんだけど、俺、ノーベンの弟? いちおう…年上なんだけど……」
「細かいことは気にしない! いいじゃない! 好きは好きで一緒でしょう」
「い…っ…まぁ、そうだけど。弟か…俺」
結局この世界でも弟役になるのかと胸の辺りがモヤついたが、ノーベンの顔つきが前よりずっと明るくて優しくなったので、俺はそれでいいかと思うようにした。
兄より弟の方が慣れているんだし、遠慮なく甘えさせてもらおう。この兄達なら、ちょっとくらいいじられても悪くないな、そう思った。
「だいぶ暗くなってきたな。でもノーベンがいるから安心だよ。イグニスと合流したらすぐに森から出よう」
「テラ、実は状況はあまり良いわけじゃない。さっきみたいな小物相手なら、余裕なんだけど、このハントには剣闘大会の常連がたくさん来ているんだよね。僕の双剣は一対一の戦いだと負けないけど、テラを守りながら複数と戦うとどうしても時間がかかるからさ。それにブラッドソードは長時間使えないんだ」
ノーベンがこぼした言葉に、また前世の記憶がパチンとヒットした。
そうだった。
体内の血を使って作り出されるブラッドソードは、威力が強すぎるがゆえ、使用する本人の自我が保てない。
だからイグニスも普段は普通の剣を使っている。
短期決戦で勝負を決めなければ、正常な精神が保てなくなり、狂ったように血を求めて敵味方見境なく攻撃をする、まるで獣になってしまう。
ゲームの中では主人公だけがその暴走状態を止めることができた。
彼がいないとなると、こんなところでそんな状態になったら惨劇ではすまされない大事件になってしまう。
とにかくそんな事態だけは避けなくてはいけない。
「分かった。なるべく見つからないように静かに行こう。どちらにせよ早くイグニスに会わないといけない」
俺がそう言うとノーベンも頷いてきた。
しかし、やはり中央広場に近づいたことで、他の参加者と会う確率も高くなる。
俺とノーベンが隠れている近くで人の声が聞こえてきた。
動き出そうとしていた俺の腕を、いち早く気がついたノーベンが掴んで止めてきた。
「い…いいって、もう十分だろう」
地面を踏みしめて歩く音と、気弱そうな声が聞こえてきた。この声にどうも聞き覚えがある気がした。
「なんで止めるんだ。ジェイムス家の人間をカモにしようなどと考えるなんて、バカにされたんだぞ。だいたいお前が気を抜いているから俺が尻拭いをさせらるんだ」
「そ…それはあの男が持っていた宝石が俺が探していたヤツが受け取っていた宝石だったから話を聞こうと思って……」
「それで狙われるなんてアホくさくて話にならないな。俺がヤルって言ったのに、自分で停学に追い込んだ男に復讐するって言ったからには、ちゃんとヤってこいよ。さっきの男は居場所を吐いたのか?」
「……それが、開始すぐに奪って別れたから、もう向こうも移動しているだろうって……」
「使えねーな、殴っただけじゃだめか。五人くらいで輪姦してやろう。そしたら思い出すんじゃねーのか」
「や…やめろよ。もう…自分でなんとかするから……」
ここまで聞いてノーベンと目が合ってお互い頷いた。
この鼻にかかった声と情けない感じの喋り方は、ブランソンで間違いない。
会話の雲行きが怪しいし、張り詰めた空気がピリピリとしてこちらにも伝わってきた。
ブランソンに対して高圧的に言い放つ強い口調の男は誰なのだろう。言っている事がおかしいし、仲間にしてはずいぶんと力関係があるように思えた。
「もう…やめてくれ、俺が悪かったよ…ハモン…兄さん…」
その名前を聞いて、ビクリと体が揺れて胃の辺りが一気に冷えた。
ハモンというのは、盗み聞いた話に出ていた完全に頭がおかしいという……。
「兄と呼ぶなと言っているだろう! お前はジェイムス家の出来損ないだ! やはり痛い目に合わないと理解できないのだな!」
スッと剣を抜く音がして、次の瞬間森に悲痛な叫び声が響いた。
□□□
79
お気に入りに追加
3,251
あなたにおすすめの小説
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします
muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。
非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。
両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。
そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。
非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。
※全年齢向け作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる