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本編
6、友達
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教室の中はすでに賑わっていた。町に住んでいるような貴族は、日頃から付き合いも多いだろうし、幼い頃からの友人同士であるものがほとんどかもしれない。
キースのような田舎の貴族は、まずこの学校に入るのが大変だし、しかも子爵という下位の貴族ということで、ますますキースの肩身は狭い。
先程から、あれ誰だっけというような視線をチラチラと感じるが、わざわざ話しかけてくるようなやつはいない。
居心地が悪いものを感じながら、自分の席へ座った。
「ねーねー、君名前なんて言うの?」
だから、隣の席のやつが話しかけてきても、教室の効果音みたいに感じて、こちらに向かっているものだとは思わなかった。
やけにうるさいなと目を向けると、隣の席から身を乗り出している男と目が合った。
明るくて柔らかそうな髪で、くりくりとした目が特徴的な男だ。一見すると可愛い感じだが、キースよりも大きな体つきなので、まるで大型犬を思わせるような感じだと思った。
男は尻尾でも振っているみたいに、にこにこしながら、キースのことを見ていた。
「あの?何か……用ですか?」
「え?名前聞いているんだよ。友達になろうと思って!」
まさかのゼロ距離に、キースは心臓が飛び出そうなくらい驚いた。
人見知りを絵に描いたような自分とは大違いだ。
社交的の塊のような男の誘いに、上手く言葉が出なかった。
「あ……、俺と…?」
「そう!俺はエヴァン・カルロスだよ。よろしく」
屈託のない明るい笑顔のエヴァンが眩しくて、キースは目を細めた。
「お…俺は、キース・ハルミング…です」
照れながらもなんとか声を絞り出すと、良かったぁー喋ってくれて、と言ってエヴァンはケラケラと笑った。
「俺も良かったよ。やっと静かになるから。お前さ、エヴァンが100回話しかけて、やっと気がつくってどれだけ鈍感なの?」
反対側の隣の席から、いきなり辛辣な言葉をかけられたので、キースは心臓がビクリとした。
「やめなよ、キーラン!いいんだよ俺が勝手に話しかけてたんだから。あっ、あっちのやつは、俺の幼馴染で、キーラン・メディウス。口は悪いけど良いやつだからさー」
「勝手に紹介するな」
キーランは、綺麗に切り揃えられた黒髪を後ろへ撫で付けて、整った顔に硬質な銀フレームの眼鏡をかけている。
切れ長の冷たそうな青い瞳は、こちらを一瞥もすることなく、ずっと本の上に向けられている。いかにも頭が良さそうで、キースはちょっと苦手なタイプだった。
「すみません、気づかなくて。俺…考え事をしていて……」
明らかに怖そうなキーランは避けて、エヴァンの方に声をかけた。
「なんだよキース、俺たち同じ年だろう。そんな硬い言葉遣いやめろよ。普通に話して!」
「あっ…はい、うん。ごめん。家族以外の人と話すの慣れてなくて…」
「じゃこれから慣れればいいだろ!よろしくな」
エヴァンが人懐っこいキラキラした顔で笑ったので、キースの中の壁はすっかりなくなっていた。
それから、エヴァンとは、お互い住んでいるところや、キースがこの学校へ入った事情などを話してすっかり打ち解けた。
ふと、目を向けると、教室の後方では人だかりができている。
あの、ルーファス王子が登校してきて、わらわらと人が集まってきたのだ。
見れば、線の細い可愛らしいタイプの男子ばかりで、皆甘えるように、キャーキャーと声を出してルーファスの机のまわりを取り囲んでいた。
「さっそく集まってるね。王子の親衛隊」
エヴァンもそこに注目していたらしく、バカにしたように笑った。
「あそこの席から離れていて良かった。でなければ、黄色い声に気が狂いそうだ」
どうも静けさにこだわりがあるようなキーランが、ぼそりとそれに答えた。
しかし、キースは聞き捨てならない言葉を聞いた。親衛隊だ。つまり、王子の警護を担当しているのだろうか。
自分と同じような、細くて弱そうなタイプなのに、強いというのかと信じられなかった。
もしかしたら、自分も鍛えれば騎士団への道も開けるかもしれないと淡い期待が出てきた。
「あの、親衛隊って…。彼ら柔そうに見えるけど、そんなに凄腕の集団なのか?」
キースが投げた質問に、エヴァンはぽかんとして口を開けたままの状態で止まってしまった。
「キース。アホな質問をするな。あいつらが敵を倒せるわけないだろう。警備要員じゃない。殿下を悪い虫から守るとか勝手に言ってる集団だよ。ちなみに、下の世話まで担当してるって噂だ」
「え…?悪い虫?…世話?」
いつの間にか、キーランも普通に話しかけてくれるようになったが、理解の柵を飛び越えて来たので、キースの頭は全然まわらない。
「おい、キーラン、どう見ても真っ白なキースに際どいこと言うなよ」
「深窓の令息に事実を言っただけだ」
「俺だって!そっ…そのくらい分かる。つまりファンがいるくらいモテるってことだろ」
真っ赤になって怒るキースを、ここでやっとキーランは見てきた。しかも、やけにニヤけた顔で笑っている。
なにか本より興味を引かれることがあったらしい。
「じゃ、下の世話は?」
「そっ…それは…」
「悪いな、お子様には早かったな」
キーランがバカにしたような目線でニヤついているのがまた悔しい。
完全に頭にきたキースはつい興奮して大きな声が出てしまった。
「だから!それは!性欲が……!」
ゴホンっと咳払いの音がして、教室が沈黙に包まれた。
ハッとして顔を上げると、すでに教師が教卓の前に立っていた。
「キース・ハルミングだったな。授業が始まるから性欲は後にしてくれ」
ぽかんとして固まるキースだったが、誰か、というか隣の男なのだが耐えきれずに噴き出して、教室中が笑いに包まれた。
キースはゆでダコのように赤くなった顔から、火を出しながら、信じたくない事態に頭を抱えたのだった。
□□□
「ほら、謝んなよ」
やっと昼休みになり、エヴァンがキーランを促して先ほどからかったことをキースに謝罪させようとしてきた。
「悪かったな。なかなか面白い反応だったから、つい調子に乗ってしまった」
意外に素直に謝ってきたキーランに、キースは別にもういいよと言った。
すでに貧乏貴族の自分には守るようなプライドもないし、バカにされても失うものはない。
しかし、何もないということは、もらっても困らないということだ。
「じゃプリン一個で水に流してやるよ」
学校は給食制で、昼休みになると、それぞれの机に、食事が並べられる。
すでに、担当の当番が、食事を並べていた。懐かしすぎる光景にキースは嬉しくなった。
そして、デザートのプリンは謝罪分にはちょうどいい対価だと思った。
「……プリンはだめだ。ピクルスにしろ」
「いっ嫌だよ。何が楽しくてピクルス二皿もたべるんだよ!」
「とにかく、プリンはだめだ。じゃ牛乳に決定だな」
「ばっバカなこと言うなよ!お腹たぷたぷになるじゃないか!」
「卑猥な言葉を挟んでくるな」
「はい!?今のどこに!?頭おかしいぞ!」
二人の様子を最初は、はらはらした目で見ていたエヴァンだが、急に噴き出して笑いだした。
「ははははっ、何だよ。二人とも気が合うじゃないか。すっかり仲良しかよ」
「ええ!?」
エヴァンの能天気な台詞に、キースとキーランが同じタイミングで声を出したので、よけいに、ほら仲良いじゃんと言われてしまった。
そのまま、結局牛乳をもらうことになり、仲良く話ながら昼食を食べた。
てっきり一人の学生生活を考えていたので、こんな風に笑って話せる仲間ができたことがキースはまだ信じられなかった。
そんな嬉しそうに笑う横顔を、じっとりと眺めている視線があることに、まだそのときのキースは気がつかなかった。
□□□
キースのような田舎の貴族は、まずこの学校に入るのが大変だし、しかも子爵という下位の貴族ということで、ますますキースの肩身は狭い。
先程から、あれ誰だっけというような視線をチラチラと感じるが、わざわざ話しかけてくるようなやつはいない。
居心地が悪いものを感じながら、自分の席へ座った。
「ねーねー、君名前なんて言うの?」
だから、隣の席のやつが話しかけてきても、教室の効果音みたいに感じて、こちらに向かっているものだとは思わなかった。
やけにうるさいなと目を向けると、隣の席から身を乗り出している男と目が合った。
明るくて柔らかそうな髪で、くりくりとした目が特徴的な男だ。一見すると可愛い感じだが、キースよりも大きな体つきなので、まるで大型犬を思わせるような感じだと思った。
男は尻尾でも振っているみたいに、にこにこしながら、キースのことを見ていた。
「あの?何か……用ですか?」
「え?名前聞いているんだよ。友達になろうと思って!」
まさかのゼロ距離に、キースは心臓が飛び出そうなくらい驚いた。
人見知りを絵に描いたような自分とは大違いだ。
社交的の塊のような男の誘いに、上手く言葉が出なかった。
「あ……、俺と…?」
「そう!俺はエヴァン・カルロスだよ。よろしく」
屈託のない明るい笑顔のエヴァンが眩しくて、キースは目を細めた。
「お…俺は、キース・ハルミング…です」
照れながらもなんとか声を絞り出すと、良かったぁー喋ってくれて、と言ってエヴァンはケラケラと笑った。
「俺も良かったよ。やっと静かになるから。お前さ、エヴァンが100回話しかけて、やっと気がつくってどれだけ鈍感なの?」
反対側の隣の席から、いきなり辛辣な言葉をかけられたので、キースは心臓がビクリとした。
「やめなよ、キーラン!いいんだよ俺が勝手に話しかけてたんだから。あっ、あっちのやつは、俺の幼馴染で、キーラン・メディウス。口は悪いけど良いやつだからさー」
「勝手に紹介するな」
キーランは、綺麗に切り揃えられた黒髪を後ろへ撫で付けて、整った顔に硬質な銀フレームの眼鏡をかけている。
切れ長の冷たそうな青い瞳は、こちらを一瞥もすることなく、ずっと本の上に向けられている。いかにも頭が良さそうで、キースはちょっと苦手なタイプだった。
「すみません、気づかなくて。俺…考え事をしていて……」
明らかに怖そうなキーランは避けて、エヴァンの方に声をかけた。
「なんだよキース、俺たち同じ年だろう。そんな硬い言葉遣いやめろよ。普通に話して!」
「あっ…はい、うん。ごめん。家族以外の人と話すの慣れてなくて…」
「じゃこれから慣れればいいだろ!よろしくな」
エヴァンが人懐っこいキラキラした顔で笑ったので、キースの中の壁はすっかりなくなっていた。
それから、エヴァンとは、お互い住んでいるところや、キースがこの学校へ入った事情などを話してすっかり打ち解けた。
ふと、目を向けると、教室の後方では人だかりができている。
あの、ルーファス王子が登校してきて、わらわらと人が集まってきたのだ。
見れば、線の細い可愛らしいタイプの男子ばかりで、皆甘えるように、キャーキャーと声を出してルーファスの机のまわりを取り囲んでいた。
「さっそく集まってるね。王子の親衛隊」
エヴァンもそこに注目していたらしく、バカにしたように笑った。
「あそこの席から離れていて良かった。でなければ、黄色い声に気が狂いそうだ」
どうも静けさにこだわりがあるようなキーランが、ぼそりとそれに答えた。
しかし、キースは聞き捨てならない言葉を聞いた。親衛隊だ。つまり、王子の警護を担当しているのだろうか。
自分と同じような、細くて弱そうなタイプなのに、強いというのかと信じられなかった。
もしかしたら、自分も鍛えれば騎士団への道も開けるかもしれないと淡い期待が出てきた。
「あの、親衛隊って…。彼ら柔そうに見えるけど、そんなに凄腕の集団なのか?」
キースが投げた質問に、エヴァンはぽかんとして口を開けたままの状態で止まってしまった。
「キース。アホな質問をするな。あいつらが敵を倒せるわけないだろう。警備要員じゃない。殿下を悪い虫から守るとか勝手に言ってる集団だよ。ちなみに、下の世話まで担当してるって噂だ」
「え…?悪い虫?…世話?」
いつの間にか、キーランも普通に話しかけてくれるようになったが、理解の柵を飛び越えて来たので、キースの頭は全然まわらない。
「おい、キーラン、どう見ても真っ白なキースに際どいこと言うなよ」
「深窓の令息に事実を言っただけだ」
「俺だって!そっ…そのくらい分かる。つまりファンがいるくらいモテるってことだろ」
真っ赤になって怒るキースを、ここでやっとキーランは見てきた。しかも、やけにニヤけた顔で笑っている。
なにか本より興味を引かれることがあったらしい。
「じゃ、下の世話は?」
「そっ…それは…」
「悪いな、お子様には早かったな」
キーランがバカにしたような目線でニヤついているのがまた悔しい。
完全に頭にきたキースはつい興奮して大きな声が出てしまった。
「だから!それは!性欲が……!」
ゴホンっと咳払いの音がして、教室が沈黙に包まれた。
ハッとして顔を上げると、すでに教師が教卓の前に立っていた。
「キース・ハルミングだったな。授業が始まるから性欲は後にしてくれ」
ぽかんとして固まるキースだったが、誰か、というか隣の男なのだが耐えきれずに噴き出して、教室中が笑いに包まれた。
キースはゆでダコのように赤くなった顔から、火を出しながら、信じたくない事態に頭を抱えたのだった。
□□□
「ほら、謝んなよ」
やっと昼休みになり、エヴァンがキーランを促して先ほどからかったことをキースに謝罪させようとしてきた。
「悪かったな。なかなか面白い反応だったから、つい調子に乗ってしまった」
意外に素直に謝ってきたキーランに、キースは別にもういいよと言った。
すでに貧乏貴族の自分には守るようなプライドもないし、バカにされても失うものはない。
しかし、何もないということは、もらっても困らないということだ。
「じゃプリン一個で水に流してやるよ」
学校は給食制で、昼休みになると、それぞれの机に、食事が並べられる。
すでに、担当の当番が、食事を並べていた。懐かしすぎる光景にキースは嬉しくなった。
そして、デザートのプリンは謝罪分にはちょうどいい対価だと思った。
「……プリンはだめだ。ピクルスにしろ」
「いっ嫌だよ。何が楽しくてピクルス二皿もたべるんだよ!」
「とにかく、プリンはだめだ。じゃ牛乳に決定だな」
「ばっバカなこと言うなよ!お腹たぷたぷになるじゃないか!」
「卑猥な言葉を挟んでくるな」
「はい!?今のどこに!?頭おかしいぞ!」
二人の様子を最初は、はらはらした目で見ていたエヴァンだが、急に噴き出して笑いだした。
「ははははっ、何だよ。二人とも気が合うじゃないか。すっかり仲良しかよ」
「ええ!?」
エヴァンの能天気な台詞に、キースとキーランが同じタイミングで声を出したので、よけいに、ほら仲良いじゃんと言われてしまった。
そのまま、結局牛乳をもらうことになり、仲良く話ながら昼食を食べた。
てっきり一人の学生生活を考えていたので、こんな風に笑って話せる仲間ができたことがキースはまだ信じられなかった。
そんな嬉しそうに笑う横顔を、じっとりと眺めている視線があることに、まだそのときのキースは気がつかなかった。
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