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◇◇◇





「神のご加護がありますように」

 最後の村人にそう声をかけて、手を振って送り出した。
 午前礼拝はこれで終わり、午後からは隣村の結婚式が入っている。
 予定を確認しようと思いながら教会のドアを閉めたところで、後ろから抱きしめられた。

「こらっ……オランジュ、ダメだよ。今日は忙しいのに……」

「支度は終わっているじゃないか。隣村に行くだけだし、まだ時間はある」

 誰もいなくなったとはいえ、まだ真っ昼間だ。
 しかも聖域と呼ばれる場所で、この男は毎日の様にベタベタと触れてくるので困ってしまう。

「祈りの最中も、エロい尻で歩き回って……、何人が涎を垂らして見ていたか……」

「はぁ? そんな変態はオランジュだけだよ。本当にそんなエロ頭で神父様なの? ……って、あっ……ちょっ……だめっ」

 オランジュは遠慮なく俺のズボンに手を入れてしまい、尻をぎゅうぎゅうと揉んできた。
 ソコから朝の残りがトロリと漏れてきてしまい、変な声が出てしまった。

「尻に俺の種をたっぷり蓄えて、行儀良くしてるなんてエロ過ぎだろう。たまらないな……また注いでやるよ」

 祭壇の机に押された俺は手をついたが、あっという間に下着を下ろされて、昂りを押し付けられてしまった。
 いつも思うが、この早業はいったい何なんだ。下着を剥くスキルが備わっているとしか思えない。

「あっ……ああっ、もう……勝手に、デカいの……挿入れるなっ……」

「ここは、喜んでるぞ。ほら……簡単に飲み込んだ。朝たっぷり出したやつが溢れてきた」

 灼熱の杭を打ち込まれたが、すぐに俺の中に馴染んでしまい、オランジュは容赦なく中をかき回すように抽送を始めた。

「へ……へんた、エロ神父……あっ、ぁぁぁっ、んん、あっあっ、アッ……」

「その変態に突かれて、締め付けてアンアン感じまくってるクセに。認めろよ、気持ちいいんだろう?」

「うっ、んーぁっっ、んんっ、……バカぁ、ドエロ変態神父っっ」

「フッ……、本当は神父じゃないって言ったら?」

「あ……あんなに、流れるように……聖書を見ずに……読める人が……、何言って……んんっああっ! そこぉ、やぁっっ」

「頑張って覚えたんだ……っっ、はぁ……お前に……嫌われたく……なくてな」

 俺の良いところを熟知しているクセに、オランジュはいじわるく、わざと外して突いてくるので、ソコを擦って欲しくてたまらなくて俺は頭を振ってやだやだと喘いだ。

「嫌われたくない……なら、ちゃんと……擦って、きもちい……の、ほし……」

「欲しいのか? なら、このエロ尻を振って、可愛くお願いしてみろ」

 普段ならムカついて叩いてやることも、こうなったら従順に求めてしまう。
 すっかり飼い慣らされていることも、また快感に思えてしまうのだ。

 俺は後ろから攻めてくるオランジュを、振り返って見つめながら、言われた通りにお尻をねっとりと動かした。

「オランジュ……好きなの」

 オランジュの喉仏が上下して、ごくりと唾を飲み込んだ音がした。
 尻の奥に挿入ったオランジュの硬いモノがぶるりと震えた。じんわりと熱いものが広がったので、どうやらイッてしまったようだ。

「くっっ、ばっ……、ランめ……」

「フフッ、イッちゃったの? かわいいー」

「……クソっ、可愛いのはお前だ! 覚悟しろ! 抱きつぶしてやる!

「うわぁっ、えっ……あっあっ……あああっーーー!」

 火をつけてしまった俺は、この後連続でイカされ続けて立てなくなり、午後の予定は俺だけ休むことになった。
 ヤリまくってスッキリした顔で、隣村に行ってきますと出かけて行ったオランジュに、掠れた声でバカと言ったが、嬉しそうな笑顔が返ってきて気が抜けた俺はベッドに倒れ込んだ。


 両思いになってから、オランジュは俺の家で一緒に暮らすことになった。
 さすがにこうなったらどう見ても恋人同士なので、周りからはおめでとうと言われている。
 結婚すればいいのにと言われるが、罪人は結婚できないという決まりなので、夫婦にはなれない。
 だが、異世界の結婚の決まりとかはどうでもいいし、オランジュも俺と一緒にいられるだけでいいと言ってくれるので寂しく思う気持ちはない。

 オランジュは、今までむっつりだったのが開花したように、ところ構わず盛ってきて、とんでもなくエロい男になってしまった。
 だが、他のやつには今まで通り無表情の無愛想なので、俺は困った顔をしながらその実、喜んでいる。

 薄々勘付いてはいるが、ただの神父ではなさそうだし、生まれも含めて色々と事情がありそうだ。
 でも、無理に聞き出そうとは思わないし、どんな事情があっても俺はオランジュと一緒にいると決めている。

 ヤリ過ぎて足腰が立たなくなっていたが、夕刻には動けるようになり、夕飯の支度を始めた。
 今日はオランジュが好きなスープをたくさん作った。蓋を開けて喜ぶときの顔を想像して、嬉しくて笑ってしまった。

 その時、外でガタンと音がした。
 続いてガタガタとうるさく音がしたが、オランジュは物の扱いが荒いので、外の椅子でも倒したのだろうと思った。
 パタパタと玄関に走ってドアを開けると、予想通りオランジュが立っていた。

「おかえりなさい」

「ただいま」

「隣村の結婚式は? 何事もなく終わった?」

「ああ、若い夫婦だった。感謝されたよ。泊まっていけと言われたけど断った。家に可愛い恋人が待っているからな」

 大きな鞄を床に置いた後、近づいてきたオランジュは俺のおでこにキスをしてきた。
 走って帰ってきたのだろうか、少しだけ汗の香りがした。

「貰ってきたぞ。ランの好物だろう」

 机の上に包みが置かれて、中からコロンと丸いカラフルなお菓子が飛び出してきた。

「あー! ボンボン! これ、結婚式でしか食べられないんだよねぇ。やっぱり俺のこと分かってる。オランジュ最高ー」

「出かける時は、バカだと言ったクセに」

「んんーーー、バカじゃなくて、好き、大好き」

 小さく頬を膨らませているオランジュに抱きついた俺は、ぷっくりした頬に鳥が啄むようにキスをした。
 オランジュも嬉しそうに笑って、俺の頭をふわりと撫でてくれた。

 その時、胸に込み上げてくるものに気がついて、俺は自分の胸に手を当てた。
 トクトクと心臓の音がして、たくさんの温かさで満たされている気がした。

「どうした? 苦しいのか?」

 突然動きが止まってしまった俺を、オランジュが心配そうな目で見つめてきた。

「ううん、幸せだなって思って……」

 オランジュの心配そうな目が、今度は優しく細められた。

「そうか。俺もだ」

 胸にぽっかりと空いた穴。
 風が吹き抜けて凍えそうだった心は、いつしか温かいもので満たされていた。

 この温かさが幸せなんだと分かった。

 そして同じ幸せを一緒に感じられる人がいること。
 もっと温かい気持ちで満たされて、二人で笑い合った後、とびきり甘くて幸せなキスをした。









 終

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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