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本編

⑰ぜんぶ好き●

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「っ……ぁぁっ、っぅ……だ、だめ……また」

 込み上げてくる快感に身を捩らせて、口元を手で覆った。
 そうでもしないと、大きな声を上げてしまいそうだったから。

「学、どうして声を抑えているの? ここには二人しかいないのに、可愛い声を聞かせてよ」

「ひっ、んんんっ、だっ……だって」

 手で押さえているのは、声を抑えるだけではない。
 そうでもしないと、快感で頭が沸いておかしくなってしまいそうだからだ。

 亜蘭は俺のモノをぱっくりと口に咥えたまま、長い指を後孔に入れてナカを擦ってくる。
 今まで感じたことのない強い刺激に、頭がクラクラとしてしまった。

「前と後、どっちが気持ちいい?」

「んっっ、や……、そん……いえな……」

「あれ、今イキそうだよね。先っぽ、ぷるぷるしているよ。このままヤメてもいい?」

「ふっ……ぁっっ、っ……やだ……だした……い」

「だったら教えて、どっちがいいの?」

 バスルームに入ってからの亜蘭の勢いが止まらない。まるで何かから解放されたように、俺を攻めまくってくる。
 こんなのは我慢できないと俺はブンブン首を振った。

「あああっ、ど……、どっちもすきっ、うっ……すき、だからぁ……」

「よく言えたね。今度は耳が出ちゃうかな」

 そう言った亜蘭は、大きく口を開けて俺の根元まで吸い付いてきた。同時に後ろに挿入った指が、俺のいいところをぐりぐりと擦って刺激してきた。

「んんんっっつあああぁーーっっ!!」

 両方同時に強く攻められたら、もう少しも我慢なんてできない。
 ビクビクと腰を揺らして、亜蘭の口内に放ってしまった。
 しまったと思ったのは、波が過ぎてから。
 しかもゴクリと喉を鳴らす音が聞こえてきた。

「の、飲んだの!?」

 ハッと気がついた俺は慌てたが、亜蘭は涼しい顔で、べぇと舌を見せてきた。

「うん。俺も初めて飲んだけど、不味くはなかった。学はいつも俺に新しい驚きをくれるね」

 ヘラヘラと笑う亜蘭を見て、俺は言葉が出てこなかった。
 相変わらず美しい人で、大輪の薔薇が咲いたようなこの唇に俺は……。
 罪を冒したような気持ちになって、ぶるりと震えた。

「んっ………」

 後ろから亜蘭の指が抜かれた。
 三本入っていたとか、恐ろしいことを言われたが、そこで今度は亜蘭が自分の服を脱いだ。

 もちろんアレを擦り合ったりしたので、ソコは見たことがあったが、全裸になった亜蘭を見るのは初めてだった。
 これまた彫刻のような、しなやかで美しい白い肢体が浮かび上がってきて、目が釘付けになった。

 ガリガリの子供のような体の俺と比べたら、立派な雄の体だ。
 胸が高鳴って、触れてみたくなってしまった。

「ん? どうしたの?」

「あ……あの、すご……すごいね、足とか……、細く見えたのに」

「ああ、着痩せして見えた? 中高と陸上をやっていたから、足はね、自然と逞しくなっちゃった」

 そんな話初めて聞いた。
 風を切ってトラックの上を走る亜蘭は、きっと誰よりも輝いていただろう。
 見たかったなと思っていたら、下半身に聳え立つモノが目に入ってしまった。
 改めて見るとあんなに大きかったのかと、息を呑んでしまった。

「これ、気になる? 早く学の中に挿入りたくてウズウズしているんだよ」

「や……やっぱり、挿入れるの?」

 散々後ろを弄られて広げられていたので、そりゃ気がついてはいたが、さすがにあの大きさを目の前にしたら腰が引いてしまった。

「大丈夫、ゆっくりやるから。ココが……俺の形を覚えて、どこにいても欲しくてたまらなくなるまで……」

「困るよ……そんなっっ」

 本当か冗談なのか分からないが、俺が焦った顔になったら、亜蘭は噴き出して笑った。

 未知の不安は拭い切れないが、軽く体を流した後、俺は丁寧に運ばれてベッドに連れて行かれてしまった。








 初めての時は辛いからと、うつ伏せにされて、孔にトロリとしたものを塗り込まれた。
 冷やっとした感触に震えたら、後ろからぎゅっと抱きしめられた。

「ちょっとずつ挿入するから、痛かったら言ってね」

「う……うん」

 入り口をぱっくりと広げられて、そこに今度は熱くて硬いものが当てられた。
 入り口で何度か慣らした後、ぐっとナカに押し入れられた。

「あ………」

「学? 大丈夫?」

「うん……そんなに、痛くないけど……へんな感じ」

「まだ先っぽだけだからね。大丈夫そうなら、もっと奥までいくよ」

 亜蘭は言った通りゆっくりと挿入してくれたので、息を吐きながら力の抜き具合を覚えたら、灼熱のモノが尻の奥まで入ってきたのを感じた。

「はぁ……ハァハァァ……んんっ……」

「学……学、もうほとんど、挿入った……。ナカすごい、ウネって……温かい……んっ……」

 後ろにみっちりと亜蘭を感じて、全身がゾワっと痺れた俺は身を震わせた。
 頭の中が全部溶けてしまうように熱くなって、ぽんっと音がして耳と尻尾が同時に出てきた。

「あああっううう……出ちゃ……ああっ」

「嘘……同時なんて……学……だめだよ」

 無意識にフワフワの尻尾を揺らしてしまう。パサパサと音がして亜蘭の腹をくすぐるように揺れた。

「ハァハァ……学、だめ……抑え……きれな……」

 耳と尻尾を見た亜蘭が荒い息になって興奮しているのが分かった。ナカにいる亜蘭がぐっと大きくなったのを感じて、俺は声を上げた。

「あふっ……んあああっ」

 今までゆっくり挿入してくれたのに、一気に引き抜いた亜蘭は、今度は勢いをつけて一気に貫いてきた。
 亜蘭は俺の腰を掴んで、抜き挿しを始めたが、すぐにそれはパンパンと肉のぶつかる音を立てて激しいものになった。

「あ、あら……はげし……あっあっぅ、うあっ」

「学……こんな可愛いの、見せるなんて……もう……止まらない……ああっ……もうイキそっ」

 激しいピストンに痛みも忘れて、ひたすら揺らされていたが、奥の方を突かれた時、ピリリと強い快感が走った。

「あ、締まった。ここ、好きなの?」

「ああっ……ん」

「気持ちいい? 擦るとぎゅっとなる」

「んっ、きもち……いい」

「じゃあもっと、気持ち良くなって」

 そう言って亜蘭は俺の尻尾を掴んできた。根本から撫でるように掴まれたら、ビリビリと爆発しそうな快感で、俺は触れてもいないのに達してしまった。

「あっーーーっっ!! ひぃ……あっ、や、あぁ、しんじゃ……ううぅ」

「ううっっ」

 止まらない快感が続いて、俺はナカの亜蘭をぎゅうぎゅうと締め付けた。
 亜蘭が詰めた声を上げて、中で震えたのがわかった。すぐに熱いもので満たされていくのを感じて、亜蘭も達したのだと分かった。

「ん……あらん……」

「気持ちいいところ、擦ったらたくさん出ちゃったね。俺も……ナカ、俺のでいっぱいだよ」

 頭の上から背中までキスの雨を降らしながら、俺の足を持ち上げた亜蘭は、ぐるりと体勢を変えて俺を仰向けにした。

「ふふっ、トロトロの顔して……可愛いなぁ、学」

「んっ……んんっ」

 向き合う体勢になったら、すぐに亜蘭は唇を重ねてきた。
 片手は胸の尖りに、片手は耳を撫でられて、また快感の渦に飲まれていく。
 さっきイったばかりなのに、熱くなってしまった。

 亜蘭も同じように熱を感じてくれたのか、頬が赤くなり、胸を揺らしてハァハァと息をしている。
 そんな様子を見たら、俺もどんどん胸が高鳴って興奮してしまった。
 今度は足を持ち上げられて、亜蘭の大きくなったモノが挿入された。
 最初は時間がかかったが、二度目はズブズブと音を立ててすぐに奥までみっちりと満たされた。

「すごいっ、さっきのが出てきた。ぐちゃぐちゃになって泡立ってるよ。エロいなぁ、見える?」

「そんな、とこ……見えな……」

「嘘、俺のを咥え込んで、嬉しそうにきゅうきゅうしてるよ。あっ、締まった……可愛い」

「んんっ……おく、むずむずする」

「ん? もっと奥? 突いて欲しいの?」

 自分で口に出してから恥ずかし過ぎて目を隠した。受け入れるのに慣れたからかもしれないが、奥が疼いて仕方がない。
 浅いところを擦られるのも気持ちいいけど、足りないのだ。
 もっと、もっと深くで、亜蘭を感じたいと、俺は目を隠したまま頷いた。

「こう?」

「あっひっっ……あっ、そこぉ……」

 亜蘭は確かめるように、奥を突いてきた。
 擦られるたびに気持ち良くて、足が攣りそうなくらい伸びてしまう。

「ここが好き? ここかな?」

「んんんっ、ああ、アッアッ、ぜんぶ……いい」

 俺がいいと言うと、亜蘭はそこを目掛けて腰をぶつけるように激しく突いてきた。
 俺は亜蘭の腕を掴んで、込み上げてくる快感におかしくなりそうになりながら、首を振って喘ぎ続けた。
 薄目を開けて見上げると、亜蘭は目を細めてわずかに口を開けていた。
 亜蘭が感じている顔だと思うと、興奮してどんどん溢れている。
 耐え切れなくなって俺は腹の上に、白濁を撒き散らした。

「あらん、あっ…、あらん、すきっ、好きだよ」

「学……あぁ、……んんっっ」

 ぱんっと何かが弾けるような乾いた音がした。
 何事かと見上げると、亜蘭の額の少し上辺りから角が出ていた。
 くるくると螺旋状の模様が入った綺麗な角だった。

「それ……まさか……」

 先端が少し尖っているが、ため息が出そうなくらい輝いていて綺麗だった。
 俺は思わず手を伸ばして、その角に触れた。

「あああっっ」

 真っ赤になった亜蘭が甘い声を上げた瞬間、尻の奥でドクドクと熱い飛沫を感じた。

「んんっ、亜蘭」

「ああ……学が触れるから……」

「痛いの?」

「ちがう、気持ち良すぎる……あっ、ほらっまた」

 どうしても気になってしまい、ナデナデしていたら、ナカで硬度を保ったままだったモノがまた動いて熱いものが放たれた。
 さっき達したばかりなのに、連続射精に驚いて目を瞬かせた。

「嘘……」

「こらっ、獣化部分は性感帯だって言ったでしょう。また出ちゃうよ」

 さすがにそんなに出されたら、俺のソコはどうなってしまうのか、恐ろしくなってパッと手を離した。

 ズルリと引き抜かれて亜蘭が出ていくと、大量のモノが溢れていく感覚が止まらない。
 どれだけ出したのかと、ぶるりと震えてしまった。
 落ち着いたからか、俺の耳と尻尾、亜蘭の角も戻って、二人で倒れるようにベッドに転がった。
 寝ながら抱きしめられていたら、俺はあることを思い出した。

「こんなにいっぱいになったら、俺……」

 この世界、男同士でも妊娠が可能だと聞いていたので、慌ててお腹をさすったら、亜蘭はクスクスと笑った。

「赤ちゃんのこと? そこまで、考えてくれたの? 嬉しいなぁ。あー、学は高校の時、授業をサボっていたな。精を受けた雄の個体内部に雌器官ができるのは個人差があっても、だいたい二十五歳過ぎ、まだ該当しないよね」

「あっ、そうか……そうだったね」

 こっちの高校の頃なんて知るわけないので、ごまかすように笑った。

「今すぐ孕みたいの?」

「え?」

「たくさんしたら、できちゃうかもしれないよ。もっといっぱい、ココに……欲しい?」

「んっあっ、ちょっ……」

 むくりと起きがった亜蘭は俺の後ろに手を這わせた。そのまま指を突き入れられて、ナカをぐるりと掻き回された。

「ふふっ、こんなに溢れているのに……、学は欲しがりだなぁ」

「えっ、いや、ちょっ、今日はもう……無理、腰壊れそ……」

 ソコを使うのは初めての俺になんて無茶をさせるんだと焦ったら、亜蘭は口を押さえてクスクスと笑ってきた。
 まったく、いつも遊ばれている気がしてならない。

「学といると楽しくて、胸がいっぱい……。大好きだよ」

「亜蘭……。俺も、大好き」

 亜蘭が俺の顔中にキスをしてぎゅっと抱きしめきた。
 快感の名残りとわずかな鈍い痛み。
 その全てをくれたのが亜蘭なのだと思うと、全部愛おしく感じた。

 指を絡ませて、キスをしていると、やがて亜蘭は落ちるように俺の上で寝てしまった。

 そういえば、ずっと寝ていないと言っていたなと思い出した俺は、おやすみと呟いて、亜蘭の柔らかい髪を撫でた。





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