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アクムチャン
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ヨネダ宅
『いつも見る悪夢はあんたの仕業だったのか。』
『えぇ。その気になれば実際に死ぬほどの悪夢をみせる事だってできるわよ。ずっと夢から目覚めさせない事もね。』
『なんでそんな事が…』
『私は集団暴行に合い30年もの間ずっと植物状態だった。人生の3分の2は夢の中だったわ。そんな人間滅多にいないでしょう。夢の中での経験で私の上を行く者はいないわ。』
『その力で実際に人を殺めていたのですか?』
『私を集団暴行した奴らはもちろん始末したわ。30年ずっと待ってたわ。早く誰か私を殺してと。』
『あなたは呪感レベル3ですよね。暴行をした人間達は全員霊感レベル1ってわけでもないはず。』
『苦労したわぁ。そいつらに関わるレベル1の人間を全て殺していった。死が身近にあると霊感レベルってどんどん上がっていくの。特にその人にとって大切な者はゲームで言うと経験値が高いキャラ。メタルスライムみたいな感じかな!
あらミライちゃんから聞いていなかった?』
『じゃあ、罪の無い人まで殺してたのか!?』
『罪のない人間なんていないわよ。』
『殺す事はないんじゃないか。暴行を実行した奴らならまだしも。』
『そこはあなたの価値観と私のちがいでしょ?鯛を釣るためならエビをエサにする。人間だけが特別な命じゃないわよ。』
『それでも人の命は…』
『この話しはキリがないわね。まぁそんな中ミライちゃんと会ったのよ。』
ヨルヅメはミライと出会った時の事を話しはじめた。
ミライの夢の中
ミライは手を縛られ目の前で父親が数名の人間に暴行されていた。
『あらやーね。なんかやな事思い出しちゃうじゃない。』
そこにヨルヅメが現れた。
ヨルヅメはミライの父親にとどめを刺した。
『あなたも随分と重い経験があったのね。』
ヨルヅメの見せる悪夢は、眠りについているその人間の過去に体験したトラウマをアレンジするものであった。
『貴様がレベル3の悪夢ちゃんか!』
『!?』
ミライがそう言い緑の炎で縛られていた縄を燃やす。
『何!あなた何者!?』
『貴様が人を殺めすぎるせいで依頼が絶えなくてな。おかげさまで儲かっているよ。しかし別の支部から問題視されてなぁ、私達で意図的に人を殺めてるんじゃないかと。』
『何を言っているの?』
『ここに辿り着くまでとっても大変だったよ。とりあえず成仏してくれ!』
ミライはヨルヅメに向かい炎を放つ。
しかしヨルヅメは地面から盛り上がるバリアーみたいなものでその攻撃を防ぐ。
『夢の中では無敵ってわけか。これは一筋縄ではいかなそうだ。』
『あなたみたいな人間ははじめてだわ。けれどここじゃ私には勝てないわよ。』
ミライとヨルヅメの戦いが始まった。
壮絶な戦いだったが
ヨルヅメの優勢で次第に追い込まれるミライだった。
『やはりここでは君には敵わないな。』
『あなたもたいしたものね。こんなに体を動かしたのなんてはじめてだわ。まぁ夢の中で現実ではないけど。これをあの時できてたらなぁ。私どんな人生を歩んでいたんだろうか。』
(ミライさん!ミライさん!起きてください!ミライさん!)
『あら、何?』
『私もまだ死ぬわけにいかないんだ。もう少し戦力を練って君には再戦するよ。』
『待ちなさいよ!』
姿を消すミライ。
ミライを起こしたのはワダだった。
『どうですか。ミライさん。だいぶうなされていたので心配になって起こしちゃいました。』
『いい判断だワダちゃん。あれは夢の中じゃ勝てそうにないよ。』
日付が変わりミライの夢の中。
そこは動物園だった。
『あなた動物が好きなのね。』
『あぁ。動物は人と違って本性を隠して生きるわけでもなく本能通りに生きている、ありのまま正直な姿がとても愛おしいよ。』
『ふふふ』
『ところで君は現実世界でどこに隠れているんだ?ここじゃ敵わないから必死で探しているんだけども、いいかげん眠くて寝てしまったよ。』
『それがバレちゃったら私はおしまいじゃない。絶対に教えないわよ。』
『そうだよな。』
『でもね私は基本的には人の夢の中にいるわ。30年間過ごせなかった世界を人の記憶を通じて今楽しんでいるの。』
『それは楽しそうだ!羨ましいな。』
場面はラーメン屋に変わる。
『あら、ここのラーメンはおいしいの?』
『あぁ、ここのラーメンは最高だ!味が濃いんだ。』
『こんなに人と喋ったのはいつぶりだろう。とっても楽しいわ。あなたを失いたくなくなってしまいそう。』
『私はなんとしてでも君を成仏させてみせるよ。』
『ふふふ。いつになるのかしら!』
『何年かかろーが必ず私の手で君を成仏させるさ。』
『あら、素敵ね!ところであなたお名前は?』
『私はミライ!最強美人霊媒師さ!君の名前も教えてくれないか?』
『私の名前… あらやだ覚えてないわ。』
『はははっ!覚えてない?じゃあ君はヨルヅメ!ヨルちゃんて呼ぼう!』
『何よ!その可愛くない名前!やめてちょうだい!』
『こうしてミライちゃんとは狩る狩られる関係だけど仲良くやっているわ。ミライちゃんは勝手に協会の専属霊にしてるみたいだけど。仕事なんてしないわ。ミライちゃんには私を夢の中で除霊できるほど強くなってほしい。ミライちゃんが教えている生徒さん達の力を使ってでも。それはミライちゃんの実力だわ。そのためには私も力をかすのミライちゃんの手で私を消してくれるまで。』
『今のミライさんに除霊されるのはダメなんですか?』
『ミライちゃんが強くならなきゃ意味がないわよ。あの子、相当重いものを背負って生きているわ。ミライちゃんの夢を旅している中で私は見てきたわ。決着をつけて欲しい。その為にも君にも強くなってミライちゃんの力になってほしい。』
『ミライさんは充分強い人だと思うんですが。』
『ミライちゃんは相当なもんよ。ミライちゃんほどの人間はそうそういないわ。でもね、それでもなの。』
『ミライさんでも敵わない霊がいるのか…』
『ヨネダ君。夢の中で私がこれから鍛えてあげるわ!これは他の生徒さんに比べてかなりえこひいきになるけど。あなたも決着をつけなければいけない事もあるようだし。』
『っえ!いいんですか!?よろしくお願いします!』
『そのかわり途中で弱音を言ったら殺すわよ。私はなんの躊躇いもなく人を殺せる。覚悟しなさい。』
『わ、わかりました。』
少しビビるヨネダだがこれからヨルヅメとの夢の中での特別な特訓がはじまる。
『いつも見る悪夢はあんたの仕業だったのか。』
『えぇ。その気になれば実際に死ぬほどの悪夢をみせる事だってできるわよ。ずっと夢から目覚めさせない事もね。』
『なんでそんな事が…』
『私は集団暴行に合い30年もの間ずっと植物状態だった。人生の3分の2は夢の中だったわ。そんな人間滅多にいないでしょう。夢の中での経験で私の上を行く者はいないわ。』
『その力で実際に人を殺めていたのですか?』
『私を集団暴行した奴らはもちろん始末したわ。30年ずっと待ってたわ。早く誰か私を殺してと。』
『あなたは呪感レベル3ですよね。暴行をした人間達は全員霊感レベル1ってわけでもないはず。』
『苦労したわぁ。そいつらに関わるレベル1の人間を全て殺していった。死が身近にあると霊感レベルってどんどん上がっていくの。特にその人にとって大切な者はゲームで言うと経験値が高いキャラ。メタルスライムみたいな感じかな!
あらミライちゃんから聞いていなかった?』
『じゃあ、罪の無い人まで殺してたのか!?』
『罪のない人間なんていないわよ。』
『殺す事はないんじゃないか。暴行を実行した奴らならまだしも。』
『そこはあなたの価値観と私のちがいでしょ?鯛を釣るためならエビをエサにする。人間だけが特別な命じゃないわよ。』
『それでも人の命は…』
『この話しはキリがないわね。まぁそんな中ミライちゃんと会ったのよ。』
ヨルヅメはミライと出会った時の事を話しはじめた。
ミライの夢の中
ミライは手を縛られ目の前で父親が数名の人間に暴行されていた。
『あらやーね。なんかやな事思い出しちゃうじゃない。』
そこにヨルヅメが現れた。
ヨルヅメはミライの父親にとどめを刺した。
『あなたも随分と重い経験があったのね。』
ヨルヅメの見せる悪夢は、眠りについているその人間の過去に体験したトラウマをアレンジするものであった。
『貴様がレベル3の悪夢ちゃんか!』
『!?』
ミライがそう言い緑の炎で縛られていた縄を燃やす。
『何!あなた何者!?』
『貴様が人を殺めすぎるせいで依頼が絶えなくてな。おかげさまで儲かっているよ。しかし別の支部から問題視されてなぁ、私達で意図的に人を殺めてるんじゃないかと。』
『何を言っているの?』
『ここに辿り着くまでとっても大変だったよ。とりあえず成仏してくれ!』
ミライはヨルヅメに向かい炎を放つ。
しかしヨルヅメは地面から盛り上がるバリアーみたいなものでその攻撃を防ぐ。
『夢の中では無敵ってわけか。これは一筋縄ではいかなそうだ。』
『あなたみたいな人間ははじめてだわ。けれどここじゃ私には勝てないわよ。』
ミライとヨルヅメの戦いが始まった。
壮絶な戦いだったが
ヨルヅメの優勢で次第に追い込まれるミライだった。
『やはりここでは君には敵わないな。』
『あなたもたいしたものね。こんなに体を動かしたのなんてはじめてだわ。まぁ夢の中で現実ではないけど。これをあの時できてたらなぁ。私どんな人生を歩んでいたんだろうか。』
(ミライさん!ミライさん!起きてください!ミライさん!)
『あら、何?』
『私もまだ死ぬわけにいかないんだ。もう少し戦力を練って君には再戦するよ。』
『待ちなさいよ!』
姿を消すミライ。
ミライを起こしたのはワダだった。
『どうですか。ミライさん。だいぶうなされていたので心配になって起こしちゃいました。』
『いい判断だワダちゃん。あれは夢の中じゃ勝てそうにないよ。』
日付が変わりミライの夢の中。
そこは動物園だった。
『あなた動物が好きなのね。』
『あぁ。動物は人と違って本性を隠して生きるわけでもなく本能通りに生きている、ありのまま正直な姿がとても愛おしいよ。』
『ふふふ』
『ところで君は現実世界でどこに隠れているんだ?ここじゃ敵わないから必死で探しているんだけども、いいかげん眠くて寝てしまったよ。』
『それがバレちゃったら私はおしまいじゃない。絶対に教えないわよ。』
『そうだよな。』
『でもね私は基本的には人の夢の中にいるわ。30年間過ごせなかった世界を人の記憶を通じて今楽しんでいるの。』
『それは楽しそうだ!羨ましいな。』
場面はラーメン屋に変わる。
『あら、ここのラーメンはおいしいの?』
『あぁ、ここのラーメンは最高だ!味が濃いんだ。』
『こんなに人と喋ったのはいつぶりだろう。とっても楽しいわ。あなたを失いたくなくなってしまいそう。』
『私はなんとしてでも君を成仏させてみせるよ。』
『ふふふ。いつになるのかしら!』
『何年かかろーが必ず私の手で君を成仏させるさ。』
『あら、素敵ね!ところであなたお名前は?』
『私はミライ!最強美人霊媒師さ!君の名前も教えてくれないか?』
『私の名前… あらやだ覚えてないわ。』
『はははっ!覚えてない?じゃあ君はヨルヅメ!ヨルちゃんて呼ぼう!』
『何よ!その可愛くない名前!やめてちょうだい!』
『こうしてミライちゃんとは狩る狩られる関係だけど仲良くやっているわ。ミライちゃんは勝手に協会の専属霊にしてるみたいだけど。仕事なんてしないわ。ミライちゃんには私を夢の中で除霊できるほど強くなってほしい。ミライちゃんが教えている生徒さん達の力を使ってでも。それはミライちゃんの実力だわ。そのためには私も力をかすのミライちゃんの手で私を消してくれるまで。』
『今のミライさんに除霊されるのはダメなんですか?』
『ミライちゃんが強くならなきゃ意味がないわよ。あの子、相当重いものを背負って生きているわ。ミライちゃんの夢を旅している中で私は見てきたわ。決着をつけて欲しい。その為にも君にも強くなってミライちゃんの力になってほしい。』
『ミライさんは充分強い人だと思うんですが。』
『ミライちゃんは相当なもんよ。ミライちゃんほどの人間はそうそういないわ。でもね、それでもなの。』
『ミライさんでも敵わない霊がいるのか…』
『ヨネダ君。夢の中で私がこれから鍛えてあげるわ!これは他の生徒さんに比べてかなりえこひいきになるけど。あなたも決着をつけなければいけない事もあるようだし。』
『っえ!いいんですか!?よろしくお願いします!』
『そのかわり途中で弱音を言ったら殺すわよ。私はなんの躊躇いもなく人を殺せる。覚悟しなさい。』
『わ、わかりました。』
少しビビるヨネダだがこれからヨルヅメとの夢の中での特別な特訓がはじまる。
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