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『機動戦士ガンダムSEED』 【リクエスト】

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*作品単体のリクエストもOKとのことで
「ガンダムSEED」をリクエストさせて頂きます。
特に続編が酷かったこのシリーズ、
今のラノベに通じる要素もいくつか抱えており、
反面教師とするためにも掘り下げて頂きたい作品です。
~『Pixy』 様~


 とうとうこのリクエストが来たか、と観念にも似た気持ちが在る。
 しかし『ライトノベルの問題点』を掘り下げ
ソレを【解消】する事によって作品創りに活かしていく、
という事を命題にしている以上
避けては通れないタイトルであろう。
 全部書くと膨大な量になってしまうこと必然なので、
まずはワタシが過去に書いた同作品の論評を
『再構成』したモノから御覧戴こう。↓




『機動戦士ガンダムSEED・何故未だに叩かれ続けるのか?』


 まず、どうしても一番気になる、
というか【不快】に感じる部分は
『ガンダムSEED』主人公、キラ・ヤマトが物語の後半から
相手(敵)のコックピットを狙わなくなった、
所謂【不殺】を行うようになった事を
評価する人がいるのであるが、
同時にコレが未だに叩かれる【要因】の一つだと
気付いている者は少ないようである。
 何故なら、その行為(不殺)は、
歴代のガンダム主人公を【否定】する行為に繫がるからである。
 人の感情はそれぞれであるから、
他のロボット作品にまで波及する可能性もありえる。

『機動戦士ガンダム・シリーズ』の
『他作品』を視聴した方には解ると想うが
基本的に【ガンダム主人公】というのは、
皆 『純粋で優しい』心の持ち主であって
好き好んで“ガンダム機体”に乗っている者は一人もおらず、
また【戦争で人を殺す事】を楽しんでいる者も一人もいない。

『殺したくないのに殺さなければならない』

『ガンダムに乗って戦わ(殺さ)なければ、仲間が皆殺されてしまう』

『本当は誰一人として殺したくはない』


 この“悲しみ”を背負って現実と葛藤して“成長”していくというのが
歴代ガンダム主人公達の『共通項』なのであって、
戦争で【不殺】等という『都合の良い事』が出来るのなら
頼まれなくとものである。
 
 なのに何故
そんな都合の良いチート染みた能力を持っているのか?
 じゃあ他のガンダム主人公はキラよりも腕が落ちるのか?
キラよりも優しくないのか? 本来殺さなくて良い筈なのに殺しているのか?
という事になってしまい、当たり前であるが「ガンダムファン」は

当然、 「フザけるな!」 という心情になるのは必然である。
「でも殺すより殺さない方が良いでしょ?」
という反論もあるかもしれないが
【戦争状態で】殺さなくても済む、
等という『都合の良い事』が存在するのならば
ソレは最早【戦争】ではなく“戦争”になってしまうので、
歴代のガンダム主人公の苦悩や葛藤を全て『無』にする暴挙愚挙、
場合によっては侮蔑しているようにすら映るので
その時点で作品としては完全に【破綻】してしまうのである。
 
 この部分 (キラの不殺) は、
ゲームの話になってしまい申し訳ないが
『スーパーロボット大戦Z』で徹底的に問題視され、
スパロボの良心である鉄也サンでさえも怒りを露わにし、
聖人のようなロランにすら「あの人 (キラ) は信用できない」
とまで言われている。
 挙句の果てに終盤近くでキラ達一行が「援軍」に来たら、
善良なスパロボメンバー、その殆どに総スカンを喰らい
「ふざけるな!」「お前らの援軍なんかいるか!」「邪魔だから帰れ!」
とまで言われる始末である。
 ワタシもスパロボ歴は長いのであるが、
『旧作・エヴァンゲリオン』のようなBAD・END一直線の作品でも
シンジが “人類補完計画” により初号機に取り込まれた際、
「諦めるな!」「絶対に助けてやる!」「お前は一人じゃない!」
「お前が戦えないならオレが代わりに戦ってやる!」
「だから帰ってこい!」
と原作を無視して無理矢理ハッピー・エンドにしてしまうスパロボで、
を受けた作品とキャラは
本当に【前代未聞】である。

 それでもこの作品が好きな者を否定する気は毛頭無い。
 しかし、キラが好きな人はいてものだな、と
改めて認識した次第である。

≪続く≫
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