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【毎回 『運』 で勝つ】

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 多くの悪しき「チート作品」が代表するように、
主人公が「苦戦」もせずに勝ちまくるストーリーは
『つまらない』の一言であろう。
 だが【必ずピンチになる】事が解っている作品も
また同様に面白くない。
 結果としてその勝敗を分けるのは『運』でしかないのであり、
敵に捕らわれていつ殺されてもおかしくない状況なのに、
【何故か絶対殺されない】のはただの『ご都合主義』の塊でしかない。
 コレではその主人公は全然『強そう』に見えないし、
作中で幾ら盛っても持ち上げても
全ては虚しい『空回り』でしかない。

 この愚は有名な大ヒット作品、『遊戯王』でも犯しており
主人公はクールで大胆不敵な言動を取っているにも関わらず
絶体絶命の危機に陥り
「勝てない!」「オレの負けだ……!」
とか言って “諦めて” しまうのだ。
 しかし何故か「相手が攻撃して来なかったり」
「不思議パワーで最強カードが消えてしまう」
と言った『ご都合主義』でドヤ顔に戻った主人公は
アッサリそこから逆転してしまう。
 この体たらくで【最強のデュエリスト】とか言っても
読者はそうであろう。
しょっちゅう負けてるヤツ、負けそうになっているヤツを
誰もそうとは想わないように。
 幾らストーリーに『起伏』を出す為とは言え
余りにも安易な手法を選ぶと作品全体の
【バランス】が崩壊してしまってキャラの魅力やストーリー展開、
演出や設定に至るまで【矛盾】だらけになってしまう。

 主人公を『窮地ピンチ』に陥らせる展開は在っても良い、
だがその苦境を打開する術は安易に『運』や『他人の力』に
依存するのではなく【自分自身の力】で切り開かなければならない。
「ソレが無かったらやられてたじゃん」
と読者に思われたらお終いだからである。


PS
主人公が “マヌケ” だからピンチに陥る展開は、
読者も心底うんざりするから絶対ヤってはいけない、
と荒木先生が著書で仰っています。


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